不要な土地を抱える悩みと解決策
相続した土地や使わない不動産を抱えて、「固定資産税を払い続けるのがつらい」「土地を手放したいけれど方法がわからない」と悩んでいる方は少なくありません。土地を放棄することは法的には不可能ですが、実質的に手放す方法はいくつか存在します。
この記事では、やまねこ不動産という土地放棄支援サービスの特徴、土地を手放す4つの方法、2023年4月に開始された相続土地国庫帰属制度の詳細を、政府広報オンラインや法務省の公式情報を元に解説します。
不要な土地を抱えている方、相続で土地を引き継いだ方、固定資産税の負担に悩んでいる方が、最適な解決策を見つけられるようになります。
この記事のポイント
- 土地を法的に放棄することは不可能だが、相続土地国庫帰属制度や専門業者への譲渡など、実質的に手放す方法がある
- やまねこ不動産は2017年にサービス開始、2021年に法人化した土地放棄支援を専門とする不動産会社
- 相続土地国庫帰属制度は審査手数料14,000円+負担金(20万円~)で国に返還可能、建物付き土地や担保権付き土地は対象外
- 専門業者への譲渡は数万円~50万円程度の費用がかかるが、固定資産税・管理費の継続負担から解放される
- 土地を放置すると固定資産税が発生し続け、特定空家指定で税金が最大6倍になるリスクもある
1. 不要な土地を抱える問題:固定資産税と管理負担
不要な土地を所有し続けることには、以下のような経済的負担とリスクがあります。
(1) 毎年発生する固定資産税の負担
土地を所有していると、毎年1月1日時点の所有者に固定資産税が課されます。
- 固定資産税の仕組み: 土地の評価額(固定資産税評価額)に対して1.4%程度の税率が適用される
- 支払い義務: 土地を使っていなくても、所有者である限り支払い義務がある
- 累積する負担: 年間数万円~数十万円の固定資産税が毎年発生し続ける
使わない土地のために固定資産税を払い続けることは、大きな経済的負担となります。
(2) 特定空家指定による税金6倍のリスク(2023年法改正)
土地上に建物がある場合、建物が老朽化して「特定空家」に指定されると、固定資産税が大幅に増額されるリスクがあります。
特定空家とは:
- 倒壊の危険がある
- 衛生上有害である
- 著しく景観を損なっている
- その他周辺の生活環境を著しく害する状態にある空き家
大和ハウスの解説によると、特定空家に指定されると、固定資産税の軽減措置(住宅用地の特例)が解除され、税金が最大6倍になる可能性があります。
2023年法改正のポイント:
- 特定空家の指定要件が拡大
- 管理不全空家(特定空家になる前段階)も指定対象に追加
- 早期の対応が求められる
(3) 滞納による差し押さえの危険性
固定資産税を滞納すると、以下のような手続きが進行します。
滞納後の流れ:
- 督促状の送付: 納期限後20日以内に送付
- 差し押さえ: 督促状の発送から10日経過後、差し押さえが可能になる
- 差し押さえ対象: 銀行預金、給与、不動産、自動車等
(出典: アットホーム「固定資産税を滞納するとどうなる?」)
不要な土地を放置すると、経済的負担だけでなく、差し押さえという法的リスクも抱えることになります。
2. やまねこ不動産とは:土地放棄支援サービスの仕組み
やまねこ不動産は、不要な土地を手放したい方向けのサービスを提供する専門業者です。
(1) やまねこ不動産の会社概要(2017年サービス開始、2021年法人化)
やまねこ不動産株式会社の公式サイトによると、以下のような特徴があります。
- サービス開始: 2017年
- 法人化: 2021年
- 事業内容: 土地放棄支援サービスを専門とする不動産会社
- 拠点: 福岡・東京の2拠点
(2) 土地放棄支援サービスの特徴と対応エリア(福岡・東京)
やまねこ不動産のサービスは、以下のような特徴があります。
サービスの仕組み:
- 売却・寄付が困難な土地を有償で引き取る
- 所有権を移転し、固定資産税の支払い義務を解除
- 福岡・東京の2拠点でサービス提供
対応可能な土地:
- 通常の不動産会社では売却が困難な土地
- 山林、農地、田舎の土地等
- 立地や条件が悪く、買い手がつかない土地
(3) 有償での引き取りと所有権移転の流れ
やまねこ不動産のサービスは、有償での引き取りとなります。
利用の流れ:
- 問い合わせ・相談
- 土地の情報提供(所在地、面積、状況等)
- 引き取り可否の判断と費用の見積もり
- 契約・費用の支払い
- 所有権移転手続き
- 固定資産税の支払い義務から解放
注意点:
- 有償サービスであり、費用が発生する
- 引き取り費用は土地の条件により変動
- すべての土地が対象とは限らない
3. 土地を手放す4つの方法と比較
不要な土地を手放す方法は、大きく分けて4つあります。
(1) 売却:不動産会社への売却(最も一般的)
最も一般的な方法は、不動産会社を通じて土地を売却することです。
メリット:
- 売却代金を得られる
- 所有権を確実に移転できる
- 固定資産税の支払い義務から解放される
デメリット:
- 買い手が見つからない場合がある(山林、田舎の土地等)
- 売却に時間がかかる場合がある
- 仲介手数料がかかる
向いている土地:
- 立地が良い土地
- 住宅地や商業地として需要がある土地
- 価格が適正な範囲にある土地
(2) 自治体への寄付:公益性が求められ、大半が断られる
自治体(市区町村)に土地を寄付する方法もありますが、現実には難しいケースが多いです。
自治体への寄付の条件:
- 公益性が求められる(公園、道路、公共施設用地等)
- 自治体が管理しやすい形状・立地であること
- 周辺住民の利益になること
スマイティの解説によると、自治体への寄付は大半が断られるため、期待値は低いと言えます。
メリット:
- 費用がかからない(無償譲渡)
- 公益に貢献できる
デメリット:
- 承認されることが稀
- 公益性が認められない土地は断られる
(3) 相続放棄:全財産を放棄する必要があり、実質的に使いづらい
相続が発生した段階であれば、相続放棄という選択肢があります。
相続放棄の仕組み:
- 相続開始を知った日から3ヶ月以内に家庭裁判所に申述
- すべての財産(プラスもマイナスも)を放棄する
- 特定の財産だけを放棄することはできない
注意点:
- 不要な土地だけを放棄することはできない
- 現金や価値のある財産も含めて全財産を放棄する必要がある
- 相続放棄後でも、次の相続人が決まるまで管理責任が残る場合がある
向いているケース:
- 債務が多く、財産全体でマイナスになる場合
- 相続財産全体に魅力がない場合
(4) 専門業者への譲渡:やまねこ不動産のようなサービス利用
やまねこ不動産のような専門業者に有償で引き取ってもらう方法です。
メリット:
- 売却が困難な土地でも引き取ってもらえる可能性がある
- 所有権を確実に移転できる
- 固定資産税の支払い義務から解放される
デメリット:
- 有償サービスであり、費用が発生する(数万円~50万円程度)
- すべての土地が対象とは限らない
- 悪質業者に注意が必要
向いている土地:
- 通常の不動産会社では売却が困難な土地
- 固定資産税の負担から早期に解放されたい場合
4. 相続土地国庫帰属制度:国に返還する手続きと費用
2023年4月27日から、相続した土地を国に返還できる「相続土地国庫帰属制度」が開始されました。
(1) 制度の概要(2023年4月27日開始)
政府広報オンラインによると、この制度は以下のような特徴があります。
制度の目的:
- 相続した土地を手放したい方のための公的制度
- 所有者不明土地の発生を防ぐ
対象者:
- 相続または遺贈(遺言によって譲り受けた場合)により土地を取得した人
- 購入した土地は対象外
(2) 対象となる土地と対象外の土地(建物付き・担保権付きはNG)
法務省の公式情報によると、以下のような土地は対象外です。
対象外となる土地:
- 建物がある土地
- 担保権または使用収益権が設定されている土地
- 他人の利用が予定されている土地(道路、水道用地等)
- 土壌汚染されている土地
- 境界が明らかでない土地
- 所有権の存否、帰属、範囲について争いがある土地
- その他、通常の管理・処分に過分の費用・労力を要する土地
対象となる土地:
- 更地(建物がない土地)
- 担保権等が設定されていない土地
- 境界が明確な土地
- 通常の管理が可能な土地
(3) 手続きの流れと費用(審査手数料14,000円+負担金20万円~)
手続きの流れ:
- 法務局(本局)に承認申請書を提出
- 審査手数料14,000円(土地1筆あたり)を納付
- 法務局による要件審査・実地調査
- 承認の可否の通知
- 承認された場合、負担金を納付
- 国庫帰属(所有権が国に移転)
費用:
- 審査手数料: 14,000円(土地1筆あたり)
- 負担金: 10年分の管理費相当額(20万円~、土地の状況により変動)
負担金の目安:
- 宅地(面積200m²以内): 約20万円
- 田・畑(面積200m²以内): 約20万円
- 森林(面積500m²以内): 約27万円
(出典: 政府広報オンライン)
審査手数料と負担金を合わせると、最低でも21万4000円程度の費用が必要です。
5. 専門業者を利用する際の費用とメリット・デメリット
やまねこ不動産のような専門業者を利用する際の費用とメリット・デメリットを解説します。
(1) 引き取り費用の相場(数万円~50万円程度)
負動産の引き取り費用の解説によると、引き取り費用の相場は以下の通りです。
- 一般的な相場: 数万円~50万円程度
- 費用の変動要因: 土地の条件(立地、面積、管理状況、境界の明確性等)により変動
- 相続土地国庫帰属制度との比較: 国庫帰属制度(21万4000円~)と同程度か、やや高額な場合もある
(2) メリット:固定資産税・管理費の継続負担から解放される
専門業者を利用する主なメリットは以下の通りです。
メリット:
- 固定資産税の支払い義務から解放される
- 土地の管理負担から解放される
- 売却が困難な土地でも引き取ってもらえる可能性がある
- 相続土地国庫帰属制度の対象外の土地(建物付き等)でも対応可能な場合がある
- 手続きが比較的簡単
費用対効果の例:
- 固定資産税が年間5万円の土地の場合、4年で20万円の負担
- 引き取り費用が30万円でも、6年で元が取れる計算
(3) デメリット:有償での処分、悪質業者に注意
専門業者を利用する際の注意点は以下の通りです。
デメリット:
- 有償サービスであり、費用が発生する
- すべての土地が対象とは限らない
- 業者によって費用が大きく異なる
- 悪質業者に注意が必要
悪質業者に注意:
- 異常に高額な費用を請求する業者
- 契約前に詳細な説明をしない業者
- 所有権移転手続きを適切に行わない業者
業者選びのポイント:
- 複数の業者に見積もりを依頼
- 費用の内訳を明確にしてもらう
- 所有権移転手続きの流れを確認
- 契約書の内容を十分に確認
- 司法書士や弁護士に相談することも検討
6. まとめ:不要な土地を放置せず早期に処分する重要性
土地を法的に放棄することは不可能ですが、相続土地国庫帰属制度や専門業者への譲渡など、実質的に手放す方法は存在します。
やまねこ不動産は2017年にサービスを開始し、2021年に法人化した土地放棄支援を専門とする不動産会社で、福岡・東京の2拠点でサービスを提供しています。売却・寄付が困難な土地を有償で引き取り、所有権を移転することで、固定資産税の支払い義務から解放されます。
相続土地国庫帰属制度は、審査手数料14,000円+負担金(20万円~)で国に返還できる公的制度ですが、建物付き土地や担保権付き土地は対象外です。専門業者への譲渡は数万円~50万円程度の費用がかかりますが、相続土地国庫帰属制度の対象外の土地でも対応可能な場合があります。
不要な土地を放置すると、毎年固定資産税が発生し続け、特定空家に指定されると税金が最大6倍になるリスクもあります。滞納すれば差し押さえの危険性もあるため、早期に処分することが重要です。
土地の処分方法は個別事情により異なるため、政府広報オンラインや法務省の公式情報で最新情報を確認し、司法書士・税理士・弁護士などの専門家に相談しながら、最適な解決策を見つけましょう。
