中古住宅購入時の登記費用とは
中古住宅を購入する際、「登記費用はいくらかかるのか」「内訳は何か」と不安に感じる方は少なくありません。登記費用は物件取得後に必須の手続きであり、事前に正確な金額を把握しておくことが重要です。
この記事では、中古住宅の登記費用の内訳、登録免許税の計算方法、司法書士報酬の相場を、法務局や国税庁の公式情報を元に解説します。
初めて不動産を購入する方でも、必要な資金と手続きを正確に理解できるようになります。
この記事のポイント
- 中古住宅の登記費用は概算20~30万円前後、内訳は登録免許税(7~8割)と司法書士報酬(2~3割)
- 登録免許税の軽減税率は土地1.5%(2026年3月末まで)、建物0.3%・抵当権0.1%(2027年3月末まで)
- 司法書士報酬は現金購入で7~10万円、住宅ローン利用で10~15万円程度が相場
- 2024年4月から不動産登記が義務化され、3年以内に登記しないと10万円以下の過料が科される
- 諸費用全体は物件価格の6~9%程度、3,000万円の物件なら180万~270万円が目安
登記費用の構成要素(登録免許税+司法書士報酬)
登記費用は、登録免許税と司法書士報酬の2つで構成されます。
登記費用の内訳:
| 項目 | 内容 | 割合 |
|---|---|---|
| 登録免許税 | 不動産登記の際に国に納める税金 | 70~80% |
| 司法書士報酬 | 登記手続きを司法書士に依頼した際の報酬 | 20~30% |
登録免許税は物件の固定資産税評価額に基づいて計算され、司法書士報酬は事務所により異なります。
登記費用の相場(20~30万円程度)
中古住宅の登記費用は、物件価格や借入額により異なりますが、概算20~30万円前後が相場です。
登記費用の目安(物件価格3,000万円の場合):
- 土地評価額1,000万円 × 1.5% = 15万円
- 建物評価額700万円 × 0.3% = 2.1万円
- 抵当権設定(ローン3,000万円) × 0.1% = 3万円
- 司法書士報酬: 10~15万円
- 合計: 30~35万円程度
諸費用全体の目安(物件価格の6~9%)
登記費用は諸費用の一部です。中古住宅購入にかかる諸費用全体は、物件価格の6~9%程度が目安です。
諸費用の内訳:
| 項目 | 金額目安(3,000万円の物件) |
|---|---|
| 仲介手数料 | 約105万円 |
| 登記費用 | 20~30万円 |
| 印紙税 | 1~3万円 |
| 不動産取得税 | 10~30万円 |
| 火災保険 | 10~20万円 |
| 合計 | 180~270万円 |
諸費用は基本的に現金払いが必要です。住宅ローンに含められる場合もありますが、審査が厳しくなるリスクがあります。
2024年4月からの登記義務化
2024年4月から、法務局により不動産登記が義務化されました。
登記義務化のポイント:
- 不動産を取得した場合、3年以内に所有権移転登記を行う義務がある
- 正当な理由なく登記しない場合、10万円以下の過料が科される
- 相続・贈与・売買すべてが対象
登記を怠ると法的ペナルティが科されるため、不動産取得後は速やかに登記手続きを行いましょう。
登録免許税の計算方法と税率
登録免許税の税率一覧(所有権移転、抵当権設定)
登録免許税は、登記の種類により税率が異なります。国税庁によると、以下の税率が適用されます。
登録免許税の税率:
| 登記の種類 | 本則税率 | 軽減税率 | 軽減期限 |
|---|---|---|---|
| 土地の所有権移転 | 2.0% | 1.5% | 2026年3月31日まで |
| 中古建物の所有権移転 | 2.0% | 0.3% | 2027年3月31日まで |
| 抵当権設定 | 0.4% | 0.1% | 2027年3月31日まで |
(出典: 国税庁)
軽減税率の適用(土地1.5%、建物0.3%、抵当権0.1%)
軽減税率は、国土交通省の不動産取引に係る税制に基づいて適用されます。
軽減税率の効果:
- 土地: 2.0% → 1.5%(0.5%軽減)
- 建物: 2.0% → 0.3%(1.7%軽減)
- 抵当権: 0.4% → 0.1%(0.3%軽減)
軽減税率を活用することで、登録免許税を大幅に節約できます。
軽減税率の適用期限(土地2026年3月、建物・抵当権2027年3月)
軽減税率には期限があります:
- 土地: 2026年3月31日まで
- 建物・抵当権: 2027年3月31日まで
期限後は本則税率(土地2%、建物2%、抵当権0.4%)に戻るため、税額が2~4倍に増加します。軽減措置の期限内に取得・登記することが重要です。
固定資産税評価額の確認方法
登録免許税は固定資産税評価額に基づいて計算されます。固定資産税評価額は、市場価格の約70%程度です。
固定資産税評価額の確認方法:
- 売主から「固定資産税評価証明書」を取得
- 市町村役場で「固定資産税評価証明書」を申請
- 不動産会社や司法書士に確認を依頼
登記費用を正確に見積もるため、購入前に固定資産税評価額を確認しておくことを推奨します。
司法書士報酬の相場と内訳
司法書士報酬の相場(現金購入7~10万円、ローン利用10~15万円)
司法書士報酬は、現金購入か住宅ローン利用かで異なります。
司法書士報酬の相場:
| 購入方法 | 報酬相場 | 登記の種類 |
|---|---|---|
| 現金購入 | 7~10万円 | 所有権移転登記のみ |
| ローン利用 | 10~15万円 | 所有権移転登記+抵当権設定登記 |
(出典: モゲチェック)
住宅ローンを利用する場合、抵当権設定登記の手続きが追加されるため、報酬が高くなります。
登記の種類別の報酬(所有権移転、抵当権設定)
登記種別ごとの司法書士報酬:
| 登記の種類 | 報酬目安 |
|---|---|
| 所有権移転登記(土地) | 3~5万円 |
| 所有権移転登記(建物) | 3~5万円 |
| 抵当権設定登記 | 3~5万円 |
| その他(書類作成等) | 1~3万円 |
報酬は司法書士事務所により異なるため、複数の事務所から見積を取得して比較することが推奨されます。
司法書士報酬の自由化と見積比較の重要性
司法書士報酬は2003年に自由化され、各事務所が独自に報酬を設定できるようになりました。そのため、同じ登記手続きでも報酬に差が生じます。
見積比較のポイント:
- 複数の司法書士事務所(3社以上)から見積を取得
- 登録免許税と司法書士報酬の内訳を明確に確認
- 追加費用(交通費、書類取得費等)の有無を確認
登記費用の軽減措置と適用条件
中古住宅の軽減措置の要件(築25年以内or耐震基準満たす)
中古住宅で軽減税率を受けるには、以下の要件を満たす必要があります。
軽減措置の要件:
- 築年数: 木造は築25年以内、耐火建築物は築25年以内
- 耐震基準: 築25年超の場合、耐震基準を満たすことを証明
- 床面積: 50㎡以上
- 居住用: 自己居住用であること
- 取得後1年以内の登記: 取得後1年以内に登記すること
要件を満たさない場合、本則税率(2.0%)が適用されるため、購入前に要件を確認してください。
床面積50㎡以上の条件
軽減措置を受けるには、床面積が50㎡以上である必要があります。
床面積は登記簿謄本に記載されており、購入前に不動産会社や司法書士に確認できます。
取得後1年以内の登記と自己居住用の要件
軽減措置を受けるには、以下の条件も必要です:
- 取得後1年以内に登記すること
- 自己居住用であること(投資用物件は対象外)
取得後速やかに登記手続きを行い、軽減措置を確実に受けられるようにしましょう。
軽減措置適用による節税効果
軽減措置の節税効果(土地評価額1,000万円、建物評価額700万円の場合):
| 項目 | 本則税率 | 軽減税率 | 節税額 |
|---|---|---|---|
| 土地 | 20万円(2%) | 15万円(1.5%) | 5万円 |
| 建物 | 14万円(2%) | 2.1万円(0.3%) | 11.9万円 |
| 合計 | 34万円 | 17.1万円 | 16.9万円 |
軽減措置を活用することで、約17万円の節税が可能です。
登記費用を節約する方法
軽減措置の活用
最も効果的な節約方法は、軽減措置を活用することです。
要件を満たすことで、登録免許税を大幅に削減できます。購入前に物件が要件を満たすか確認してください。
複数の司法書士から見積取得
司法書士報酬は事務所により異なるため、複数の司法書士から見積を取得して比較しましょう。
見積比較の手順:
- 不動産会社から紹介された司法書士の見積を取得
- 自分で探した司法書士(2~3社)の見積を取得
- 報酬の内訳と追加費用を比較
- 信頼できる司法書士に依頼
自分で登記するメリット・デメリット
登記手続きは自分で行うことも可能ですが、専門知識が必要です。
自分で登記するメリット:
- 司法書士報酬(7~15万円)を節約できる
自分で登記するデメリット:
- 書類不備により登記が却下されるリスク
- 手続きに時間がかかる
- 住宅ローン利用時は金融機関が司法書士依頼を要求する場合がある
複雑な手続きのため、司法書士への依頼が一般的です。
諸費用のオーバーローンのリスク
諸費用を住宅ローンに含める「オーバーローン」も可能ですが、リスクがあります。
オーバーローンのリスク:
- 返済負担が増加する
- 金融機関の審査が厳しくなる
- 金利が高くなる場合がある
可能な限り諸費用は現金で用意し、無理のない返済計画を立てることが重要です。
まとめ:登記費用の準備と確認ポイント
中古住宅の登記費用は概算20~30万円前後で、内訳は登録免許税(7~8割)と司法書士報酬(2~3割)です。登録免許税の軽減税率は土地1.5%(2026年3月末まで)、建物0.3%・抵当権0.1%(2027年3月末まで)が適用され、要件を満たすことで大幅な節税が可能です。
2024年4月から不動産登記が義務化され、3年以内に登記しないと10万円以下の過料が科されるため、取得後は速やかに登記手続きを行いましょう。司法書士報酬は事務所により異なるため、複数の見積を比較し、信頼できる専門家に依頼することが推奨されます。
諸費用全体は物件価格の6~9%程度かかるため、事前に資金計画を立て、無理のない不動産購入を実現してください。


