中古住宅の固定資産税はいくら?
中古住宅の購入を検討する際、「固定資産税はどれくらいかかるのか」「新築と比べてどう違うのか」と気になる方は多いでしょう。
この記事では、中古住宅の固定資産税の計算方法、軽減措置、新築との違いを、総務省や国税庁の公式情報を元に解説します。
購入前に固定資産税の負担額を正確に把握し、資金計画を立てられるようになります。
この記事のポイント
- 中古住宅の固定資産税は「固定資産税評価額×1.4%」で計算される
- 物件価格3,000~4,000万円の中古住宅で年間10~15万円程度が相場
- 築年数に応じて経年減点補正率が適用され、新築より評価額が下がる
- 住宅用地の特例(200㎡まで1/6、超過分1/3)は新築・中古問わず適用される
- 新築住宅の建物分軽減措置(1/2、3~5年間)は中古住宅には適用されない
(1) 中古住宅の固定資産税相場(年間10~15万円程度)
中古住宅の固定資産税は、物件価格や築年数により異なりますが、物件価格3,000~4,000万円で年間10~15万円程度が相場です。
ただし、立地(都市部か地方か)、構造(木造か鉄筋コンクリートか)、築年数により税額は変動します。正確な金額は、市町村役場で固定資産税台帳を確認することをおすすめします。
(2) 新築と中古の税額差
新築住宅には「建物分の固定資産税が1/2になる軽減措置(3~5年間)」がありますが、中古住宅にはこの軽減措置がありません。
そのため、築年数が浅い中古住宅の場合、新築と比べて建物分の固定資産税が高くなることがあります。ただし、築年数が経過すると経年減点補正率により評価額が下がり、税額も減少します。
固定資産税の基礎知識(課税の仕組み・税率・納税時期)
(1) 固定資産税とは?課税対象と納税義務者
固定資産税は、毎年1月1日時点の土地・建物所有者に課される地方税です。総務省によると、課税対象は土地・家屋・償却資産(事業用設備等)です。
納税義務者:
- 毎年1月1日時点で不動産を所有している人
- 年末に購入した場合、翌年から課税される
(2) 標準税率1.4%の仕組み(自治体により異なる)
固定資産税の標準税率は**1.4%**ですが、自治体により独自の税率を設定している場合があります。
計算式:
固定資産税額 = 固定資産税評価額 × 税率(標準1.4%)
なお、市街化区域内の土地・建物には**都市計画税(最大0.3%)**も別途課されるため、合計で1.7%程度になることがあります。
(3) 納付時期と支払い方法(年4回分割または一括払い)
固定資産税の納付書は、4~6月頃に届きます。納付時期・回数は市町村により異なりますが、一般的には以下の選択肢があります。
| 支払い方法 | 内容 |
|---|---|
| 年4回分割払い | 各期(6月・9月・12月・翌年2月等)に分割して納付 |
| 一括払い | 第1期に全額をまとめて納付 |
中古住宅の固定資産税の計算方法(評価額・経年減点補正率)
(1) 固定資産税評価額の決定方法(公示価格の約70%)
固定資産税評価額は、市町村が3年ごとに実施する「評価替え」で決定されます。土地の評価額は**公示価格の約70%**が目安です。
評価額の確認方法:
- 市町村役場で固定資産税台帳を閲覧
- 固定資産税評価証明書の発行を依頼
固定資産税評価額は購入価格とは異なるため、購入前に確認しておくことをおすすめします。
(2) 経年減点補正率による評価額減少
中古住宅の建物分の評価額には、経年減点補正率が適用されます。これは、築年数に応じて建物の価値が減少することを反映したものです。
築年数が経過するほど評価額が下がり、固定資産税も減少します。
(3) 税額の計算式(評価額 × 税率1.4%)
固定資産税の基本的な計算式は以下の通りです。
固定資産税額 = (土地の評価額 + 建物の評価額) × 税率1.4%
ただし、後述する「住宅用地の特例」が適用されると、土地の評価額が減額されます。
(4) 具体的な計算シミュレーション例
例:物件価格3,500万円の中古住宅(木造、築10年)
- 土地の評価額: 1,400万円(公示価格2,000万円の約70%)
- 建物の評価額: 800万円(新築時評価額1,200万円、経年減点補正率適用後)
住宅用地の特例適用後:
- 土地の課税標準額: 1,400万円 × 1/6 = 約233万円
- 建物の課税標準額: 800万円(そのまま)
固定資産税額:
(233万円 + 800万円) × 1.4% = 約14.5万円/年
これに都市計画税(0.3%)が加わる場合、年間約17万円程度になります。
中古住宅の固定資産税軽減措置(住宅用地の特例・リフォーム減額)
(1) 住宅用地の特例(200㎡まで1/6、超過分1/3)
住宅が建っている土地には、住宅用地の特例が適用されます。これは新築・中古問わず適用される軽減措置です。
| 土地面積 | 評価額の減額 |
|---|---|
| 200㎡まで(小規模住宅用地) | 評価額の1/6 |
| 200㎡超過分(一般住宅用地) | 評価額の1/3 |
この特例により、土地分の固定資産税が大幅に減額されます。
(2) リフォーム時の軽減措置(耐震改修・省エネ改修等)
中古住宅をリフォームした場合、以下の軽減措置が受けられる場合があります。
対象リフォーム:
- 耐震改修: 固定資産税が1/2に減額(1年間)
- 省エネ改修: 固定資産税が1/3に減額(1年間)
- バリアフリー改修: 固定資産税が1/3に減額(1年間)
これらの軽減措置を受けるには、市町村への申請が必要です。
ただし、大規模リフォームで耐用年数が延びると、評価額が上がり、リフォーム前より固定資産税が高くなる場合があります。
(3) 免税点の仕組み(土地30万円未満・家屋20万円未満)
固定資産税には免税点があり、以下の基準を下回る場合は課税されません。
| 種類 | 免税点 |
|---|---|
| 土地 | 30万円未満 |
| 家屋 | 20万円未満 |
ただし、一般的な住宅ではこの基準を超えるため、免税点が適用されることは少ないです。
新築住宅との違い(新築の軽減措置・税額比較)
(1) 新築住宅の軽減措置(建物分1/2、3~5年間)
新築住宅には、建物分の固定資産税が1/2になる軽減措置があります。
軽減期間:
- 一般住宅(3階建て以下の木造等): 3年間
- 中高層耐火建築物(マンション等): 5年間
この軽減措置により、新築住宅は建物分の税負担が大幅に減ります。
(2) 中古住宅に軽減措置が適用されない理由
中古住宅には、新築住宅の建物分軽減措置(1/2、3~5年間)が適用されません。これは、軽減措置が「新築取得から一定期間のみ」と定められているためです。
ただし、住宅用地の特例(土地分の減額)は新築・中古問わず適用されます。
(3) 新築と中古の税額比較シミュレーション
新築住宅の場合(軽減措置適用、3年間):
- 土地: 233万円 × 1.4% = 約3.3万円
- 建物: 1,200万円 × 1/2 × 1.4% = 約8.4万円
- 合計: 約11.7万円/年
中古住宅の場合(築10年、軽減措置なし):
- 土地: 233万円 × 1.4% = 約3.3万円
- 建物: 800万円 × 1.4% = 約11.2万円
- 合計: 約14.5万円/年
新築住宅は軽減措置により、軽減期間中は中古住宅より年間約3万円安くなります。ただし、軽減期間終了後は新築住宅の税額が上昇します。
まとめ:中古住宅の固定資産税で押さえるべきポイント
中古住宅の固定資産税は、**固定資産税評価額×1.4%**で計算され、物件価格3,000~4,000万円で年間10~15万円程度が相場です。
築年数が経過すると経年減点補正率により評価額が下がり、税額も減少します。住宅用地の特例(200㎡まで1/6)は新築・中古問わず適用されますが、新築住宅の建物分軽減措置(1/2、3~5年間)は中古住宅には適用されません。
固定資産税評価額や税率は自治体により異なるため、購入前に市町村役場で確認することをおすすめします。リフォーム時は耐震改修・省エネ改修で軽減措置が受けられる場合があるため、申請を忘れずに行いましょう。
