売れない土地を手放す方法:寄付・無償譲渡・相続放棄など選択肢を解説

著者: Room Match編集部公開日: 2025/12/4

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売れない土地を手放したい:現実的な解決方法とは

相続した土地や田舎の土地が売れず、固定資産税の負担や管理責任に悩んでいる方は少なくありません。「どうにかして手放したい」と考えても、具体的な方法が分からず困っている方も多いでしょう。

この記事では、売れない土地を手放す4つの方法(相続土地国庫帰属制度、専門買取業者、隣接地所有者への売却、寄付)を、政府広報オンライン・民法・相続法の公式情報を元に解説します。

各方法の要件・手続き・費用・リスクを理解し、状況に応じた最適な選択ができるようになります。

この記事のポイント

  • 売れない土地を手放す方法は4つ:相続土地国庫帰属制度、専門買取業者、隣接地所有者への売却、寄付
  • 相続土地国庫帰属制度は2023年4月施行、承認率93%(2025年2月時点)で、審査手数料1.4万円+負担金が必要
  • 相続放棄は全財産放棄が条件で、管理義務が継続するため慎重な判断が必要
  • 固定資産税の負担を避けるため、土地の価値を高める工夫と複数方法の比較検討が重要

売れない土地を手放したい:現状と理由

売れない土地の典型例(相続した田舎の土地、市街化調整区域等)

売れない土地の典型例は以下の通りです。

  • 相続した田舎の土地: 需要が少なく、買い手が見つからない
  • 市街化調整区域の土地: 建物を建てる許可が下りにくく、利用価値が低い
  • 狭小地・不整形地: 面積が小さい、形が悪いため、活用が困難
  • 道路に面していない土地: 接道義務を満たさず、建築不可
  • 崖地・傾斜地: 造成費用が高額で、活用が困難

これらの土地は、通常の不動産仲介では買い手が見つかりにくいため、処分に困るケースが多いです。

固定資産税の負担と管理責任

売れない土地でも、所有者には以下の負担が発生します。

  • 固定資産税: 毎年1月1日時点の所有者に課税(標準税率1.4%)
  • 管理責任: 雑草・倒木等の管理責任を負う

使用していない土地でも、これらの負担が永続するため、「手放したい」と考える方が増えています。

2024年4月から相続登記が義務化(3年以内)

2024年4月から相続登記が義務化され、相続を知ってから3年以内の登記が必須になりました。

登記しないまま放置すると、10万円以下の過料が科される可能性があります。相続した土地を手放したい場合は、早めに対応することが重要です。

売れない土地を手放す4つの方法

方法①:相続土地国庫帰属制度(2023年4月施行、承認率93%)

相続土地国庫帰属制度は、2023年4月27日に施行された制度で、相続で取得した土地を一定の要件下で国に返還できます。

政府広報オンラインによると、2025年2月時点で承認件数1,426件、**承認率93%**と高い実績があります。

相続した土地を「国に引き取ってもらう」ことで、固定資産税の負担と管理責任から解放されます。

方法②:専門買取業者への売却

専門買取業者は、通常の不動産仲介で売れない土地も買い取ります。

  • 田舎の土地
  • 市街化調整区域の土地
  • 狭小地・不整形地

これらの土地を専門に買い取る業者が存在し、確実に売却できる可能性があります。ただし、買取価格は市場価格より低くなる傾向があります。

方法③:隣接地所有者への売却

隣接地所有者への売却は、最も現実的な選択肢の一つです。

隣接地所有者は、自分の土地と一体化できるため、購入意欲が高い可能性があります。市場価格に近い価格で売却できる場合もあります。

売却交渉の際は、測量・境界確定を行い、トラブルを避けることが重要です。

方法④:自治体・法人・個人への寄付

寄付は、土地を無償で譲渡する方法です。ただし、以下の問題があります。

  • 自治体への寄付: 固定資産税収が減るため、基本的に受け入れない(公共利用の予定がある場合のみ可能性あり)
  • 法人への寄付: みなし譲渡として譲渡所得税が課される可能性
  • 個人への贈与: 受贈者に贈与税の負担が発生(年間110万円超で課税)

寄付は、受け入れ先が限られており、税制上の問題もあるため、専門家への相談が必須です。

相続放棄は選択肢になるか?(全財産放棄が条件、管理義務は継続)

相続放棄は、相続開始を知ってから3ヶ月以内に家庭裁判所に申述する手続きです。

しかし、以下の問題があります。

  • 一部の財産のみを放棄することはできず、すべての相続権を放棄する必要がある
  • 相続放棄しても管理義務が継続し、相続財産管理人の選任が必要な場合がある
  • 相続財産管理人の選任費用(数十万円~)が高額

相続放棄は、プラスの財産が少なく、マイナスの財産が多い場合にのみ有効で、土地のみを手放す目的では適していません。

各方法の手続き・費用・要件の詳細

相続土地国庫帰属制度の要件(建物なし、担保権なし等)

相続土地国庫帰属制度の対象となる土地は、以下の要件を満たす必要があります。

申請できる土地:

  • 相続または遺贈で取得した土地
  • 建物がない土地
  • 担保権が設定されていない土地
  • 境界が明確な土地

却下事由(以下の土地は対象外):

  • 建物がある土地
  • 担保権・使用収益権が設定されている土地
  • 通路・墓地・境内地・現況が道路の土地
  • 土壌汚染・地下埋設物がある土地
  • 崖地(勾配30度以上、高さ5m以上)

要件が厳しいため、事前に法務局で相談することを推奨します。

相続土地国庫帰属制度の費用(審査手数料1.4万円+負担金10年分の管理費)

相続土地国庫帰属制度の費用は以下の通りです。

項目 金額
審査手数料 1.4万円(土地1筆あたり)
負担金 10年分の管理費相当額

負担金の目安:

  • 宅地: 面積により20万円~(最低20万円)
  • 農地・原野: 約20万円
  • 森林: 面積により変動(最低14万円)

例えば、宅地(200㎡)の場合、審査手数料1.4万円+負担金20万円=合計21.4万円程度が必要です。

専門買取業者の手続き(査定→契約→決済)

専門買取業者への売却の流れは以下の通りです。

  1. 査定依頼: 複数の買取業者に査定を依頼
  2. 価格提示: 買取価格の提示を受ける
  3. 契約: 売買契約を締結
  4. 決済: 代金受領・所有権移転登記

売却期間は3-6ヶ月程度が目安です。地元密着型の業者も含めて複数社に依頼することで、高値売却の可能性が高まります。

隣接地所有者への売却の手続き(測量・境界確定→価格交渉→登記)

隣接地所有者への売却の流れは以下の通りです。

  1. 測量・境界確定: 土地家屋調査士に依頼(費用30万円~)
  2. 価格交渉: 隣接地所有者と価格を交渉
  3. 売買契約: 契約書を作成
  4. 登記: 所有権移転登記(司法書士に依頼、費用5万円~)

測量費用・登記費用は売主負担が一般的です。

自治体への寄付の条件(公共利用の予定がある場合のみ受け入れ可能性)

自治体への寄付は、以下の条件を満たす場合のみ受け入れられる可能性があります。

  • 公共利用の予定がある(道路・公園等の用地)
  • 自治体が公共事業で必要としている土地

自治体は固定資産税収が減るため、基本的に土地寄付を受け入れません。まずは自治体の資産税課・財産管理課に相談することを推奨します。

個人への贈与の税制(贈与税110万円超で課税、みなし譲渡の注意)

個人への贈与は、以下の税制上の問題があります。

  • 贈与税: 受贈者に年間110万円超の贈与税が課される
  • みなし譲渡: 法人へ無償譲渡した場合、時価での譲渡とみなされ、譲渡所得税が課される

税制上の影響が大きいため、税理士への相談が必須です。

各方法のメリット・デメリット比較

相続土地国庫帰属制度:メリット(国が引き取り)、デメリット(要件厳格、費用発生)

メリット デメリット
国が引き取るため確実に手放せる 要件が厳格(建物なし、担保権なし等)
固定資産税の負担から解放 審査手数料+負担金(20万円~)が必要
承認率93%(2025年2月時点) 審査に時間がかかる(数ヶ月~)

専門買取業者:メリット(確実に売却可能)、デメリット(買取価格が低い)

メリット デメリット
確実に売却できる 買取価格が市場価格より低い
売却期間が短い(3-6ヶ月) 複数業者を比較する手間がかかる
仲介手数料が不要(買取のため) 地域により業者が少ない

隣接地所有者への売却:メリット(高値売却の可能性)、デメリット(交渉が必要、断られる可能性)

メリット デメリット
市場価格に近い価格で売却できる可能性 隣接地所有者が購入を断る可能性
購入意欲が高い(土地を一体化できる) 測量・境界確定費用(30万円~)が必要
仲介手数料が不要(個人間売買) 価格交渉が難航する可能性

寄付:メリット(無償で手放せる可能性)、デメリット(受け入れ先が少ない、税金発生)

メリット デメリット
無償で手放せる可能性 自治体は基本的に受け入れない
固定資産税の負担から解放 個人への贈与は贈与税が発生
公共利用される場合がある 法人へはみなし譲渡で譲渡所得税

売れない土地を放置するリスクと固定資産税

固定資産税の支払い義務(毎年1月1日時点で課税、使用状況にかかわらず)

毎年1月1日時点の所有者に固定資産税の支払い義務があります(使用状況にかかわらず)。

標準税率は**1.4%**で、市町村が評価額を決定します。使用していない土地でも、所有者である限り支払い義務が継続します。

負担調整措置(地価下落でも税額が下がらない場合)

負担調整措置により、地価が下がっても固定資産税額が下がらない場合があります。

これは、急激な税額変動を防ぐための措置ですが、地価下落局面では税額が高止まりする原因になります。

次世代への負担の継続

売れない土地を放置すると、固定資産税の負担が永続し、次世代に負担を残します。

相続登記が義務化されたことで、相続人が登記を怠ると過料が科される可能性もあります。

管理責任の継続(雑草・倒木等のトラブル)

所有者には、土地の管理責任があります。雑草・倒木等が隣地に被害を及ぼした場合、損害賠償責任を負う可能性があります。

まとめ:売れない土地を手放す際の注意点と専門家への相談

売れない土地を手放す方法は、相続土地国庫帰属制度、専門買取業者への売却、隣接地所有者への売却、寄付の4つです。それぞれに要件・費用・難易度の違いがあります。

相続土地国庫帰属制度は承認率93%と高く、確実に手放せる方法です。審査手数料1.4万円+負担金(20万円~)が必要ですが、固定資産税の負担から解放されます。

土地の価値を高める工夫(境界確定、測量図作成、更地化)を行うことで、売却可能性が向上します。複数の方法を比較検討し、状況に応じた最適な選択を行いましょう。

専門家(司法書士・税理士・弁護士・土地家屋調査士)への相談を推奨します。詳細は政府広報オンラインでご確認ください。

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よくある質問

Q1売れない土地を手放す方法にはどんなものがありますか?

A14つの方法があります。①相続土地国庫帰属制度(2023年4月施行、承認率93%、審査手数料1.4万円+負担金20万円~)、②専門買取業者への売却(確実に売却可能だが買取価格が低い)、③隣接地所有者への売却(高値売却の可能性があるが交渉が必要)、④自治体・法人・個人への寄付(受け入れ先が少なく税金発生の可能性)。各方法に要件・費用・難易度の違いがあるため、状況に応じて選択してください。

Q2相続放棄すれば土地を手放せますか?

A2相続放棄は相続開始を知ってから3ヶ月以内に家庭裁判所に申述する手続きですが、一部の財産のみを放棄することはできず、すべての相続権を放棄する必要があります。また相続放棄しても管理義務が残り、相続財産管理人の選任費用(数十万円~)が必要になる場合があります。プラスの財産が多い場合は相続放棄は適していません。専門家(司法書士・弁護士)への相談を推奨します。

Q3自治体に土地を寄付できますか?

A3自治体は固定資産税収が減るため、基本的に土地寄付を受け入れません。公共利用の予定がある土地(道路・公園等の用地)のみ受け入れる可能性があります。個人への贈与は贈与税の対象となり、受贈者に110万円超の贈与税負担が発生します。法人への寄付はみなし譲渡として譲渡所得税が課される可能性があります。まずは自治体の資産税課・財産管理課に相談してください。

Q4相続土地国庫帰属制度の費用はいくらかかりますか?

A4審査手数料1.4万円(土地1筆あたり)+負担金(10年分の管理費相当額)が必要です。負担金の目安は、宅地が面積により20万円~(最低20万円)、農地・原野が約20万円、森林が面積により変動(最低14万円)です。例えば宅地(200㎡)の場合、審査手数料1.4万円+負担金20万円=合計21.4万円程度です。2025年2月時点で承認率93%と高い実績があります。

Q5売れない土地でも固定資産税は払わないといけませんか?

A5毎年1月1日時点の所有者に固定資産税の支払い義務があります(使用状況にかかわらず)。標準税率は1.4%で、負担調整措置により地価が下がっても税額が下がらない場合があります。評価額に誤りがあれば市町村に修正申請が可能です。使用していない土地でも、所有者である限り支払い義務が継続するため、早めに手放す方法を検討することを推奨します。

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Room Match編集部

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