税理士試験の固定資産税科目とは|試験の位置づけと選択理由
税理士試験の科目選択を検討する際、「固定資産税科目は他の税法科目と比べて難易度はどうなのか」「勉強時間はどれくらい必要なのか」と疑問に感じる方は少なくありません。
この記事では、税理士試験の固定資産税科目について、2024年度の合格率(18.0%)、難易度、勉強法、他科目との比較を、国税庁の公式統計や専門予備校の分析を元に解説します。
ミニ税法としての特徴、高得点勝負のリスク、実務での活用度を理解し、自分に合った科目選択を実現できるようになります。
この記事のポイント
- 固定資産税は勉強時間250-800時間程度の「ミニ税法」で、範囲が狭く出題傾向が安定
- 2024年度の合格率は18.0%(受験者893人、合格者161人)で、過去13-18%で推移
- 高得点勝負(満点近く)で、1つのミスが不合格につながるリスクがある
- 実務での活用頻度は低く、不動産業界や不動産鑑定士志望者には有利
(1) 税理士試験における固定資産税の位置づけ(税法科目の1つ、ミニ税法)
税理士試験は、会計科目2科目(簿記論・財務諸表論)が必須、税法科目11科目から3科目選択の計5科目合格が必要な国家試験です。
固定資産税は税法科目の1つで、地方税法に基づく固定資産税(土地・家屋・償却資産)を扱います。出題範囲が比較的狭いため「ミニ税法」と呼ばれ、事業税、住民税、国税徴収法と並ぶ短期合格を目指しやすい科目です。
(2) 固定資産税科目を選ぶメリット(勉強時間が短い、出題傾向が安定)
固定資産税科目を選ぶメリットは以下の通りです。
- 勉強時間が短い: 250-800時間程度で合格可能(個人差あり)。法人税や所得税は1,000時間以上必要な場合もあるため、短期合格を目指す受験生に向いている
- 出題範囲が狭い: 地方税法のうち固定資産税に限定され、他の税法科目より範囲が限定的
- 出題傾向が安定: 過去問の類似問題が多く出題され、対策が立てやすい
初学者や、他の科目と並行して受験したい方に適した科目です。
(3) 固定資産税科目を選ぶデメリット(実務での活用頻度が低い、高得点勝負)
一方で、以下のデメリットもあります。
- 実務での活用頻度が低い: 税理士業務で固定資産税を扱う機会は少なく、法人税・所得税・相続税等の主要科目に比べて直接的な恩恵が少ない
- 高得点勝負: 合格点が満点近くになると言われ、1つのミスが不合格につながるリスクがある
- 科目廃止の噂: 実務での活用頻度の低さから廃止の噂があるが、2024年時点で廃止予定はない
実務重視なら法人税・所得税・相続税等を優先する方が実用的です。
固定資産税の試験概要|出題範囲・試験構成・配点
固定資産税の試験は、理論問題と計算問題で構成され、どちらも50点ずつの配点です。
(1) 出題範囲(地方税法・同施行令・同施行規則)
固定資産税の出題範囲は、地方税法・同施行令・同施行規則のうち、固定資産税に関する部分です。具体的には以下の内容が含まれます。
- 固定資産税の対象となる資産(土地・家屋・償却資産)
- 固定資産の評価方法(評価額の計算、評価替え制度)
- 固定資産税の税額計算
- 固定資産税の賦課決定手続き
- 固定資産税の減免措置・特例
地方税法は、固定資産税以外にも住民税・事業税等を含みますが、試験ではこれらは出題されません。
(2) 試験構成と配点(理論50点・計算50点)
固定資産税の試験は、大問2つで構成されます。
| 問題 | 内容 | 配点 |
|---|---|---|
| 理論問題 | 税法の条文・趣旨・手続きを問う | 50点 |
| 計算問題 | 具体的な事例に基づき税額を計算 | 50点 |
理論・計算ともに50点ずつで、どちらも重要です。高得点勝負になるため、両方で高得点を取る必要があります。
(3) 出題傾向(土地・家屋・償却資産の固定資産税、評価計算、手続き的問題)
出題傾向は比較的安定しており、以下の内容が頻出です。
- 土地の固定資産税: 土地の評価方法、住宅用地の特例、農地の課税方法
- 家屋の固定資産税: 家屋の評価方法、新築住宅の減額措置
- 償却資産の固定資産税: 償却資産の評価方法、申告手続き
- 評価計算: 固定資産の評価額計算、評価替え制度(3年に1度)
- 手続き的問題: 賦課決定手続き、固定資産税台帳の縦覧・閲覧
2024年は評価替え年(3年に1度の固定資産評価見直し)のため、評価計算の仕組みが出題される可能性があります。
難易度と合格率|2024年最新データと推移
固定資産税の難易度は中レベルで、合格率は13-18%で推移しています。
(1) 2024年度(令和6年度)試験結果(合格率18.0%、受験者893人、合格者161人)
国税庁の公式発表によると、2024年度(令和6年度)の固定資産税科目の試験結果は以下の通りです。
- 受験者数: 893人
- 合格者数: 161人
- 合格率: 18.0%
2023年度の合格率17.3%と比較して微増しており、比較的安定した水準です。
(2) 過去の合格率推移(13-18%で推移)
固定資産税の合格率は、過去数年間で13-18%の範囲で推移しています。他の税法科目と比較して、特に高いわけでも低いわけでもありません。
税理士試験全体の合格率は科目により異なりますが、固定資産税は概ね平均的な水準と言えます。
(3) 難易度評価(中レベル、範囲が狭いが高得点勝負で1つのミスが命取り)
固定資産税の難易度は「中レベル」と評価されます。範囲が狭く出題傾向が安定しているため、対策は立てやすいです。
一方で、以下の理由から注意が必要です。
- 高得点勝負: 合格点が満点近くになると言われており、1つのミスが不合格につながるリスクがある
- スピードとミス対策: 計算問題は満点を狙う気持ちで、スピードとミス対策を徹底する必要がある
「範囲が狭い=簡単」ではなく、「範囲が狭い=全員が高得点を取る=ミスが許されない」と認識してください。
合格のための勉強法とスケジュール|理論・計算・過去問対策
固定資産税の合格には、理論の暗記、計算の正確性、過去問対策が重要です。
(1) 必要な勉強時間(250時間または500-800時間、個人差が大きい)
固定資産税の勉強時間については、以下の2つの見解があります。
- アガルート: 250時間程度
- 合格者の体験談: 500-800時間程度
個人差が大きく、以下の要因により変動します。
- 他の税法科目の学習経験(ある場合は短縮可能)
- 簿記や会計の基礎知識(ある場合は理解が早い)
- 予備校利用 vs 独学(予備校は効率的、独学は時間がかかる可能性)
初学者や独学の場合は500-800時間を目安にし、余裕を持ったスケジュールを組むことをおすすめします。
(2) 理論問題の対策(条文の暗記・理解、手続き的問題の習得)
理論問題は、税法の条文・趣旨・手続きを問う問題です。対策方法は以下の通りです。
- 条文の暗記: 固定資産税の主要条文を正確に暗記する
- 趣旨の理解: 条文の趣旨(なぜこの規定があるのか)を理解する
- 手続き的問題の習得: 固定資産税台帳の縦覧・閲覧、賦課決定手続き等の実務的な手続きを習得する
理論問題は50点配点のため、軽視せず確実に得点できるように準備しましょう。
(3) 計算問題の対策(過去問の徹底演習、満点狙いのスピードとミス対策)
計算問題は、具体的な事例に基づき税額を計算する問題です。対策方法は以下の通りです。
- 過去問の徹底演習: 過去問の類似問題が多く出題されるため、過去問を繰り返し解く
- 満点狙いのスピード: 高得点勝負のため、計算問題は満点を狙う気持ちで臨む
- ミス対策: 計算ミスを防ぐため、途中式を丁寧に書く、見直しの時間を確保する
計算問題も50点配点で、1つのミスが命取りになるため、正確性とスピードを両立する練習が必要です。
(4) 予備校利用 vs 独学(法改正対応リスク、TACや大原等の予備校推奨)
固定資産税は独学でも合格可能ですが、以下の理由から予備校利用が推奨されます。
- 法改正への対応: 税法は毎年改正されるため、独学では最新情報の入手が遅れるリスクがある
- 学習効率: 予備校は出題傾向を分析したカリキュラムを提供し、効率的に学習できる
- 質問対応: 不明点を講師に質問でき、理解が深まる
TACや大原等の大手予備校が固定資産税のコースを提供しており、利用することで合格率が上がる可能性があります。
(5) 評価替え年(2024年等)の対策(3年に1度の評価見直しの仕組み)
固定資産の評価額は3年に1度見直されます(評価替え)。2024年は評価替え年のため、評価計算の仕組みが試験に出る可能性があります。
評価替えの仕組み(評価額の算定方法、据置年度の扱い等)を理解し、2024年の試験に備えましょう。
他の税法科目との比較|選択科目としての評価
固定資産税を他の税法科目と比較し、選択科目としての評価を確認しましょう。
(1) 勉強時間の比較(他の税法科目より短め、ミニ税法の特徴)
固定資産税の勉強時間は、他の税法科目と比較して短めです。
| 科目 | 勉強時間の目安 | 分類 |
|---|---|---|
| 固定資産税 | 250-800時間 | ミニ税法 |
| 事業税 | 300-600時間 | ミニ税法 |
| 住民税 | 300-600時間 | ミニ税法 |
| 国税徴収法 | 200-500時間 | ミニ税法 |
| 法人税 | 1,000-1,500時間 | 主要税法 |
| 所得税 | 1,000-1,500時間 | 主要税法 |
| 相続税 | 800-1,200時間 | 主要税法 |
短期合格を目指す場合や、他の科目と並行して受験する場合は、固定資産税を含むミニ税法が有利です。
(2) 実務での活用度(税理士業務での頻度は低い、不動産業界・不動産鑑定士志望者には有利)
固定資産税の実務での活用度は以下の通りです。
- 税理士業務での頻度は低い: 税理士業務で固定資産税を扱う機会は少なく、法人税・所得税・相続税等の主要科目に比べて直接的な恩恵が少ない
- 不動産業界・不動産鑑定士志望者には有利: 不動産業界や不動産鑑定士を目指す場合には、固定資産税の知識が有利に働く
実務重視なら法人税・所得税・相続税等を優先し、不動産分野に特化したい場合は固定資産税を選択するという判断が合理的です。
(3) 科目廃止の噂(2024年時点で廃止予定なし、ただし将来の不確実性)
固定資産税は実務での活用頻度の低さから、科目廃止の噂が根強くあります。しかし、2024年時点で廃止予定はなく、今後も試験科目として継続される見込みです。
ただし、将来的な不確実性は存在するため、他の科目との組み合わせを慎重に検討することをおすすめします。
まとめ:固定資産税科目を選ぶべき人・避けるべき人
税理士試験の固定資産税科目は、勉強時間250-800時間程度の「ミニ税法」で、範囲が狭く出題傾向が安定しています。2024年度の合格率は18.0%で、過去13-18%で推移しており、難易度は中レベルです。
高得点勝負で1つのミスが不合格につながるリスクがあり、実務での活用頻度は低いものの、不動産業界や不動産鑑定士志望者には有利です。
固定資産税科目を選ぶべき人:
- 短期合格を目指す受験生(勉強時間が短い)
- 初学者や他の科目と並行して受験したい方(範囲が狭く対策しやすい)
- 不動産業界や不動産鑑定士を目指す方(実務で有利)
固定資産税科目を避けるべき人:
- 実務で直接活用できる科目を優先したい方(法人税・所得税・相続税を推奨)
- 高得点勝負のプレッシャーに弱い方(ミスが許されない)
受験科目の選択は、他の科目とのバランス、実務志向、勉強時間の確保など個別の状況により異なります。税理士や予備校講師に相談し、自分に合った科目選択を実現してください。


