超高層マンションとは
超高層マンション(タワーマンション)に憧れや関心がある方にとって、「メリットとデメリットは何か」「地震は大丈夫か」「管理費はどれくらいかかるのか」といった疑問は重要です。
この記事では、超高層マンションの定義、メリット・デメリット、価格相場、購入時の注意点を、公式データや専門機関の情報を元に解説します。
超高層マンション購入を検討する際の判断材料を得られるようになります。
この記事のポイント
- 超高層マンションは建築基準法で高さ60m超の建物、一般的に20階建て以上を指す
- メリットは眺望の良さ、充実した共用施設、高いセキュリティ、ステータス性
- デメリットは管理費が高額、エレベーター待ち時間、地震リスク(長周期地震動、高層難民)
- 2024年4月のタワーマンション契約率は48.3%で、「超高層」というだけでは売れなくなっている
- 資産価値を保つには立地(駅近、都心エリア)が最重要、複数社での査定と市場動向の確認を推奨
超高層マンションの定義と現状
(1) 法的定義(建築基準法:高さ60m超)
超高層マンションの法的定義は、建築基準法第20条で「高さ60mを超える建築物」とされています(国土交通省)。
日本マンション学会も「高さ60mを超える建築物」を超高層マンションと定義しています(Wikipedia調査)。
建築基準法第20条の規定:
- 高さ60m超の建物は超高層建築物として扱われる
- 構造安全性の審査が厳格化される
- 大臣認定による構造計算が必要
(2) 一般的な定義(20階建て以上)
一般的には、20階建て以上のマンションを超高層マンションと呼びます(Wikipedia調査)。
1階あたりの高さを約3mとすると、20階建てで高さ60mになるため、法的定義とも整合します。
日本初の超高層マンション:
- 名称: 与野ハウス
- 所在地: 埼玉市(旧・与野市)
- 竣工: 1976年
- 規模: 21階建て、高さ66m
(Wikipedia調査)
日本で最も高い住宅用タワーマンション:
- 名称: 虎ノ門ヒルズレジデンス
- 所在地: 東京都港区
- 高さ: 247m
- 階数: 52階
(Wikipedia調査)
(3) 全国の計画戸数(111,645戸、2024年3月時点)
2024年3月時点で、全国に321棟・111,645戸の超高層マンション(20階建て以上)が計画されています(不動産経済研究所調査)。
地域別の内訳:
| 地域 | 棟数 | 戸数 | 全国比 |
|---|---|---|---|
| 首都圏 | 194棟 | 82,114戸 | 73.5% |
| 東京23区 | 130棟 | 54,904戸 | 49.2% |
| 近畿圏 | 43棟 | 13,472戸 | 12.1% |
(出典: 不動産経済研究所)
2025年3月時点では全国に約97,000戸(270棟)の計画があり、2025年は約15,000戸、2026年は約25,000戸、2027年は約12,000戸が竣工予定です(日本経済新聞)。
(4) 首都圏での普及状況(8戸に1戸)
首都圏では、8戸に1戸が超高層マンションの時代になっています(三菱地所のレジデンスクラブ調査)。
超高層マンションは都心部を中心に急速に普及しており、住宅市場の重要な選択肢の一つとなっています。
超高層マンションのメリット
(1) 眺望の良さ
超高層マンションの最大のメリットは、眺望の良さです。
上層階からは都心の夜景、富士山、東京スカイツリー、東京タワー等の眺望を楽しむことができます(SUUMO調査)。
眺望の特徴:
- 上層階ほど眺望が良い
- 日当たりが良く、開放感がある
- 周辺の建物に遮られない
眺望は、住む楽しみだけでなく、来客時のステータス性にもつながります。
(2) 充実した共用施設(ジム・ラウンジ・ゲストルーム)
超高層マンションは、共用施設が充実しているのが特徴です。
主な共用施設:
- フィットネスジム: 24時間利用可能なジムやスタジオ
- ラウンジ: 来客対応やテレワークスペースとして利用可能
- ゲストルーム: 来客時の宿泊施設として利用可能
- パーティールーム: イベント・交流会での利用可能
- キッズルーム: 子どもの遊び場として利用可能
(SUUMO調査)
共用施設は、生活の質を高めるだけでなく、外部の施設を利用するコストを抑える効果もあります。
(3) 高いセキュリティ
超高層マンションは、セキュリティ面で優れています。
セキュリティの特徴:
- オートロック: エントランスでの入館管理
- 防犯カメラ: 共用部分の監視
- 管理人・コンシェルジュ: 24時間常駐(物件による)
- セキュリティ会社との契約: 緊急時の対応体制
(SUUMO調査)
高いセキュリティは、特に女性や子育て世帯にとって安心材料となります。
(4) ステータス性
超高層マンションは、住むこと自体がステータスの象徴として認識される傾向があります。
都心の一等地に建つ超高層マンションは、住所のブランド価値が高く、社会的な評価につながる場合があります。
ただし、ステータス性は主観的な価値であり、投資判断の主要な要素にすべきではありません。
超高層マンションのデメリット
(1) 管理費・修繕積立金が高額
超高層マンションは、管理費・修繕積立金が中層マンションより高額です(SUUMO調査)。
管理費が高額な理由:
- 共用施設(ジム・ラウンジ等)の維持費
- エレベーターの保守費用(台数が多い)
- 24時間管理体制の人件費
- セキュリティシステムの維持費
修繕積立金が高額な理由:
- 外壁・屋上の大規模修繕にゴンドラ等の特殊機材が必要
- 高層階の設備交換にコストがかかる
- 修繕期間が長期化しやすい
(ダイヤモンド不動産研究所調査)
管理費・修繕積立金は物件により大きく異なるため、購入前に長期的な維持費を確認することが重要です。
(2) エレベーター待ち時間の長さ
超高層マンションでは、エレベーター待ち時間が長くなることがあります(SUUMO調査)。
待ち時間が長くなる理由:
- 住戸数が多い(1,000戸を超える物件もある)
- 通勤・通学時間帯に集中する
- 高層階への移動に時間がかかる
物件によっては、低層・中層・高層でエレベーターが分かれている場合もあり、待ち時間を短縮する工夫がされています。
(3) 地震リスク(長周期地震動、高層難民)
超高層マンションには、地震に関するリスクがあります。
長周期地震動のリスク:
大地震で発生する周期の長い揺れ(長周期地震動)により、超高層建築物は共振しやすく、低層建物より大きく揺れる可能性があります(ダイヤモンド不動産研究所調査)。
高層難民のリスク:
地震時にエレベーターが停止し、上層階住民が非常階段を使わざるを得ない状況を「高層難民」と呼びます(ダイヤモンド不動産研究所調査)。
エレベーター復旧までの間、30階以上の階段移動は非常に困難です。
対策:
- 家具の固定(地震時の転倒防止)
- 備蓄品の準備(水・食料・非常用トイレ)
- エレベーター停止時の対応計画の確認
(4) 子育て・健康への影響(研究報告)
超高層マンションに住むことで、健康への影響が報告されています。
研究報告の内容:
- 妊娠中の女性の流産率が高くなるという研究報告がある
- 子どもが低体温やアレルギーになりやすいという研究報告がある
(ダイヤモンド不動産研究所調査)
ただし、これらは研究段階の情報であり、すべての超高層マンション居住者に当てはまるわけではありません。
個別の健康状態や生活環境により影響は異なるため、心配な方は医師に相談してください。
(5) 洗濯物をベランダに干せない
高層階では、洗濯物をベランダに干せない物件が多くなります(SUUMO調査)。
理由:
- 強風により洗濯物が飛ばされるリスク
- 落下による事故防止
- 景観保全のため
洗濯物は浴室乾燥機や洗濯乾燥機を使用する必要があり、光熱費がかかります。
価格相場と購入時の注意点
(1) 階数別の価格差(上層階ほど高額)
超高層マンションの価格は、階数により大きく異なります。
価格差の傾向:
- 上層階: 眺望が良く、価格が高額
- 中層・低層階: 眺望は限定的だが、比較的安価
価格例(高価格帯の物件):
| 物件名 | 最高価格 |
|---|---|
| THE TOYOMI TOWER MARINE&SKY | 5億980万円 |
| Proud Tower 池袋 | 4億9,500万円 |
(高いタワーマンションランキング調査)
中層・低層階は価格が安い一方、共用施設やセキュリティは上層階と同じであるため、コストパフォーマンスを重視する場合は中層・低層階も検討してください。
(2) 維持費のシミュレーション
超高層マンションの維持費は、購入価格だけでなく、長期的なコストとして考える必要があります。
維持費の内訳:
- 管理費: 月々2-5万円(物件により異なる)
- 修繕積立金: 月々1-3万円(築年数により増額される場合がある)
- 駐車場代: 月々2-5万円(都心部ほど高額)
- 固定資産税: 年間20-50万円(評価額による)
50年間の維持費シミュレーション例:
- 管理費(月3万円): 1,800万円
- 修繕積立金(月2万円): 1,200万円
- 駐車場代(月3万円): 1,800万円
- 固定資産税(年30万円): 1,500万円
- 合計: 6,300万円
購入価格に加え、50年間で6,000万円以上の維持費がかかる可能性があるため、長期的な資金計画が重要です。
(3) 2024年市場の変化(契約率48.3%に急落)
2024年4月のタワーマンション契約率は48.3%で、2023年4月の92.7%から44.4ポイント急落しました(ダイヤモンド不動産研究所)。
契約率低下の理由:
- 価格高騰により購入のハードルが上昇
- 金利上昇による住宅ローンの負担増
- 「超高層」というだけでは売れなくなっている
市場の変化により、立地・価格・設備が購入判断の重要な要素となっています。
(4) 資産価値を保つ条件
超高層マンションの資産価値を保つには、立地が最重要です(三菱地所のレジデンスクラブ調査)。
資産価値を保つ条件:
- 駅近: 徒歩5-10分以内
- 都心エリア: 主要駅へのアクセスが良い
- ブランド力: 有名デベロッパーの物件
- 管理の質: 長期的な管理体制が整っている
立地が悪い物件や、供給過剰のエリアでは、資産価値が下落するリスクがあります。
購入前に複数の不動産会社に査定を依頼し、市場動向を確認することを推奨します。
まとめ:超高層マンション購入の判断基準
超高層マンションは、眺望の良さ、充実した共用施設、高いセキュリティ、ステータス性が魅力です。
一方で、管理費・修繕積立金が高額、エレベーター待ち時間の長さ、地震リスク(長周期地震動、高層難民)、子育て・健康への影響(研究報告)、洗濯物をベランダに干せないといったデメリットがあります。
2024年4月のタワーマンション契約率は48.3%に急落し、「超高層」というだけでは売れなくなっています。資産価値を保つには、立地(駅近、都心エリア)が最重要です。
超高層マンション購入を検討する際は、メリット・デメリットを理解した上で、ライフスタイル・予算・将来計画に合った選択をすることが重要です。
信頼できる不動産会社や宅建士、建築士に相談しながら、無理のない資金計画を立てましょう。
最新の不動産市場動向や建築基準は、公式サイト(国土交通省)でご確認ください。
