マンションと戸建て、どちらを選ぶべきか
住宅購入を検討する際、「マンションと戸建て、どちらがいいのか」と悩む方は少なくありません。
この記事では、購入価格、維持費、資産価値、ライフスタイル別の適性を、公式データや不動産市場の最新動向を元に公平に比較します。
どちらが優れているかではなく、あなたの状況に合った選択ができるようになります。
この記事のポイント
- マンションと戸建てでは購入価格に大きな差があり、2024年の首都圏データでは建売戸建ての方が約1,000万円安い
- 維持費は月々の固定費が必要なマンションに対し、戸建ては自己管理で50年間の生涯コストは戸建ての方が低い傾向
- 資産価値はマンションが駅近立地で維持されやすく、戸建ては土地の価値が残る強みがある
- ライフスタイル(子育て世帯・DINKS・シニア)や優先順位により最適な選択は異なる
- 専門家(宅建士・FP)への相談を推奨
購入価格と初期費用の比較
(1) 新築マンション・中古マンションの価格相場
2024年の首都圏における新築マンションの平均購入価格は4,848万円です(SUUMO調査)。一方、2025年8月時点の中古マンション価格は**84.85万円/㎡**で、前年比13%上昇しています(ダイヤモンド不動産研究所)。
東京23区では新築マンション平均価格が1億円を突破しており、購入のハードルが高くなっています。
| 項目 | 価格相場 | 備考 |
|---|---|---|
| 新築マンション(首都圏) | 4,848万円 | 2024年平均 |
| 中古マンション(首都圏) | 84.85万円/㎡ | 2025年8月、前年比+13% |
| 新築マンション(東京23区) | 1億円超 | 2025年、前年比+8% |
(出典: SUUMO、ダイヤモンド不動産研究所)
(2) 新築戸建て・中古戸建ての価格相場
戸建ての場合、土地付き注文住宅の平均価格は4,694万円、建売住宅は3,719万円です(SUUMO調査)。首都圏の新築戸建て平均価格は4,817万円で、前年比+1.0%とマンションに比べ価格が安定しています(ダイヤモンド不動産研究所)。
中古戸建ては新築に比べさらに安価で、2024年の成約件数は**14,182件(前年比+10.2%)**と増加傾向にあります。
| 項目 | 価格相場 | 備考 |
|---|---|---|
| 土地付き注文住宅 | 4,694万円 | 2024年平均 |
| 建売住宅 | 3,719万円 | 2024年平均 |
| 新築戸建て(首都圏) | 4,817万円 | 2024年、前年比+1.0% |
(出典: SUUMO、ダイヤモンド不動産研究所)
(3) 初期費用(諸費用・仲介手数料)の違い
購入時の初期費用(諸費用)は、マンションが物件価格の3-5%、戸建ては**6-10%**が目安です(住まいサーフィン)。
マンションは仲介手数料が不要な新築物件が多い一方、戸建ては土地の登記費用や造成費用が追加でかかることがあります。
例: 4,000万円の物件の場合
- マンション: 120万円~200万円(3-5%)
- 戸建て: 240万円~400万円(6-10%)
初期費用は基本的に住宅ローンに含められないため、自己資金での用意が必要です。
維持費・ランニングコストの比較
(1) マンションの月々の固定費(管理費・修繕積立金・駐車場代)
マンションでは、管理費・修繕積立金・駐車場代の月々の固定費がかかります。
- 管理費: 約15,000円/月(長谷工の住まい調査)
- 修繕積立金: 約15,000円/月
- 駐車場代: 10,000-20,000円/月(地域により変動)
合計で月々約36,000円の固定費が発生します。
管理費は共用部分の清掃・保守に充てられ、修繕積立金は大規模修繕(外壁塗装、給排水管交換等)に備えるものです。
(2) 戸建ての修繕計画と自己負担
戸建てには管理費・修繕積立金の固定費はありませんが、屋根や外壁の修繕を自分で計画・実行する必要があります。
一般的な修繕費の目安:
- 外壁塗装: 100-150万円(10-15年ごと)
- 屋根の葺き替え: 80-120万円(20-30年ごと)
- 給排水設備の交換: 50-100万円(15-25年ごと)
修繕費を計画的に積み立てておかないと、突発的な出費で家計を圧迫するリスクがあります。
(3) 固定資産税の違い
固定資産税は、土地・建物の評価額に応じて毎年課税されます。
- マンション: 土地の持ち分が少ないため固定資産税は低めだが、専有面積により変動
- 戸建て: 土地の評価額により大きく変動(都心部ほど高額)
一般的な目安(首都圏):
- マンション: 年間10-20万円
- 戸建て: 年間15-30万円
新築住宅の場合、一定期間の軽減措置が適用されます(国税庁)。
(4) 50年間の生涯コスト比較
住まいサーフィンの調査によると、50年間の生涯コストは以下の通りです。
| 項目 | マンション | 戸建て |
|---|---|---|
| 購入価格 | 4,848万円 | 3,719万円 |
| 管理費・修繕積立金 | 約2,160万円 | 0円 |
| 修繕費(自己負担) | 0円 | 約500万円 |
| 固定資産税(50年) | 約750万円 | 約1,000万円 |
| 合計(50年) | 約7,758万円 | 約5,219万円 |
| 年間コスト | 約155万円 | 約104万円 |
長期的には戸建ての方が費用を抑えられる傾向がありますが、大規模修繕を計画的に実行する必要があります。
資産価値の長期的な変化
(1) マンションの資産価値(駅近立地の強み、築年数の影響)
マンションは駅から近い立地なら資産価値が下がりにくく、値上がりする可能性もあります(HOMES)。
マンションの資産価値の特徴:
- 駅徒歩10分以内の物件: 値下がりしにくく、値上がりの可能性もある
- 築年数の影響: 建物価値は約50年で減少(長谷工の住まい調査)
- 20年後の資産価値: 購入価格の半分以上を維持するケースが多い
2025年8月時点の中古マンション価格は前年比13%上昇しており、駅近の好立地物件は高い需要が続いています。
(2) 戸建ての資産価値(土地の価値、建物減価の影響)
戸建ては建物が老朽化しても土地の価値が残るため、一定の資産価値を保つことができます(HOMES)。
戸建ての資産価値の特徴:
- 土地の価値: 建物がなくなっても土地の価値は残る
- 築年数の影響: 建物価値は約30年で大きく減少
- 立地による差: 都心部や人気エリアは土地価格が高く、資産価値を保ちやすい
土地の評価額は地域・時期により変動しますが、マンションに比べ土地の持ち分が大きいため、長期的な資産価値の安定性があります。
(3) 売却時の価格推移
2024年の首都圏新築マンション発売戸数は2万2,239戸で過去最少を記録し、新築供給が減少しています(ダイヤモンド不動産研究所)。
一方、中古マンションの成約件数は37,222件(前年比+3.4%)、中古戸建ては**14,182件(前年比+10.2%)**と増加傾向にあります。
新築に手が届かない層が中古マンションや戸建てに流れる傾向が強まっており、中古市場の活性化が続いています。
ライフスタイル別の適性診断
(1) セキュリティと防犯面の比較
マンションは防犯面で優位です。
マンションのセキュリティ:
- オートロック、管理人常駐、セキュリティ会社契約
- 24時間ゴミ出し可能、管理会社が清掃・メンテナンスを実施(SUUMO)
- 不審者の侵入リスクが低い
戸建ての防犯:
- 個別にセキュリティ会社と契約可能
- 窓や玄関の施錠管理が必要
- 敷地内への不審者侵入リスクあり
セキュリティを重視する方はマンションが適しています。
(2) 管理・メンテナンスの負担
マンションは管理会社が清掃・メンテナンスを行うため、居住者の負担が少なくなります(SUUMO)。
一方、戸建ては庭の手入れ、外壁・屋根の点検、ゴミ出しルールの個別対応など、自己管理が必要です。
管理・メンテナンスの比較:
| 項目 | マンション | 戸建て |
|---|---|---|
| 共用部分の清掃 | 管理会社が実施 | 自己負担なし |
| 外壁・屋根の点検 | 管理会社が計画 | 自分で手配 |
| ゴミ出し | 24時間可能 | 曜日・時間指定 |
| 庭の手入れ | なし | 自己負担 |
管理の手間を減らしたい方はマンションが適しています。
(3) リフォーム・増改築の自由度
戸建てはリフォームや増改築の自由度が高く、管理規約に縛られません(SUUMO)。
マンションは専有部分のリフォームは可能ですが、管理組合の承認が必要な場合があり、共用部分の変更はできません。
リフォームの自由度:
- 戸建て: 間取り変更、増築、外観変更が自由
- マンション: 専有部分のみ変更可能、共用部分は変更不可
ライフスタイルの変化に合わせて柔軟に住空間を変えたい方は戸建てが適しています。
(4) 子育て世帯・DINKS・シニア別の適性
子育て世帯:
- マンション: セキュリティ面で安心、駅近で通勤・通学が便利
- 戸建て: 庭で遊べる、騒音トラブルのリスクが低い
DINKS(共働き夫婦):
- マンション: 管理の手間が少なく、駅近で通勤が便利
- 戸建て: 将来の家族計画に合わせた間取りが選べる
シニア世帯:
- マンション: バリアフリー設計、管理の手間が少ない
- 戸建て: 庭いじりや趣味のスペースが確保できる
ライフスタイルや家族構成に応じて最適な選択は異なります。
まとめ:最適な選択をするための判断基準
マンションと戸建てのどちらを選ぶべきかは、価格、維持費、資産価値、ライフスタイルを総合的に判断する必要があります。
2024年の首都圏データでは、購入価格は建売戸建ての方が約1,000万円安く、50年間の生涯コストも戸建ての方が低い傾向にあります。一方、マンションは駅近立地で資産価値を保ちやすく、管理の手間が少ないメリットがあります。
どちらが優れているかではなく、あなたの予算、家族構成、将来計画に合った選択をすることが重要です。
信頼できる不動産会社や宅建士、ファイナンシャルプランナーに相談しながら、無理のない資金計画を立てましょう。
