1. 住宅ローン分割融資の必要性と仕組み
注文住宅を建築する際、建売住宅とは異なり、工事の進捗に合わせて複数回の支払いが発生します。このため、住宅ローンを分割して実行できる銀行を選ぶことが重要です。
(1) 注文住宅建築時の資金スケジュール
注文住宅を建築する場合、一般的に以下のタイミングで資金が必要になります。
| タイミング | 内容 | 金額の目安 |
|---|---|---|
| 土地購入時 | 土地代金 | 土地価格の全額 |
| 着工時 | 着工金 | 建築費の約30% |
| 上棟時 | 中間金 | 建築費の約30% |
| 完成時 | 最終金 | 建築費の約40% |
このように、建物が完成する前に大きな金額の支払いが複数回発生するため、自己資金が十分でない場合は分割融資が必要になります。
(2) 分割融資が必要な理由(土地購入・着工金・中間金)
通常の住宅ローンは、建物が完成して引き渡しを受けた後に実行されます。しかし注文住宅の場合、土地購入時や建築途中の着工金・中間金の支払いが必要になるため、これらのタイミングで融資を受ける必要があります。
分割融資とは、住宅ローンを建築工事の進捗に合わせて複数回に分けて実行する方法です。Money Careerの解説によると、分割融資を取り扱っている金融機関は限られており、手続きも複雑になる傾向があるため、事前の情報収集が重要です。
(3) 分割融資の実行タイミング(一般的に4回)
分割融資は一般的に、土地購入時、着工時、上棟時、完成時の4回に分けて融資が実行されます。各タイミングで融資が実行されることで、建築工事を円滑に進めることができます。
2. 分割融資とつなぎ融資の違い
分割融資と似た仕組みに「つなぎ融資」があります。両者の違いを理解しておくことが重要です。
(1) 分割融資の特徴(住宅ローンとして実行)
分割融資は、住宅ローンを複数回に分けて実行する仕組みです。みずほ銀行の分割融資によると、つなぎ融資ではなく住宅ローンとしてお得な金利で分割融資が利用可能です。
土地購入時、着工時、中間金の支払いに利用でき、住宅ローンとして融資を受けるため、金利や手数料の面でメリットがあります。
(2) つなぎ融資の特徴(一時的な借入、金利が高め)
つなぎ融資とは、住宅ローン実行前に一時的に借入れる融資のことです。土地購入時や着工時の支払いに利用されますが、通常の住宅ローンより金利が高い傾向にあります。
楽天銀行のつなぎローンでは、土地取得資金、着工金、中間金について、最大3回まで分割融資が可能です(2024-2025年)。
(3) コストの違い(金利・手数料)
つなぎ融資は金利が高めに設定されているため、総コストが増える傾向があります。一方、分割融資は住宅ローンとして実行されるため、金利が低く抑えられる場合が多いです。ただし、分割融資も各融資実行時に手数料が発生するため、総コストを確認することが重要です。
3. 住宅ローン分割融資に対応している銀行
オカネコマガジンの2025年版レポートによると、みずほ銀行、SBI新生銀行、イオン銀行、住信SBIネット銀行、三井住友銀行がつなぎ融資や分割融資を扱っています。
(1) みずほ銀行(住宅ローンとしてお得な金利)
みずほ銀行の分割融資は、つなぎ融資ではなく住宅ローンとしてお得な金利で利用できる点が大きなメリットです。土地購入時、着工時、中間金の支払いに対応しており、住宅ローンとして融資を受けるため、金利や手数料の面で優位性があります。
(2) 住信SBIネット銀行(土地先行プラン)
住信SBIネット銀行の土地先行プランは、建物完成までの金利や諸費用を抑えられるプランです。建物完成までは土地の融資分の返済は利息だけ(元金据置)となり、現在の家賃との二重負担を軽減できます。
ただし、1回目と2回目の融資実行時にそれぞれ抵当権設定が必要になります。
(3) 三井住友銀行(土地先行融資)
三井住友銀行の土地先行融資は、通常の住宅ローンと金利は同じです。ただし、建物で分割融資利用の場合は、分割融資期間中は変動金利型のみとなります。
各融資実行時に融資金額の2.2%(消費税込)の銀行手数料がかかるため、総コストを事前に確認することが重要です。
(4) その他の対応銀行(SBI新生銀行、イオン銀行、楽天銀行)
SBI新生銀行、イオン銀行、楽天銀行も分割融資またはつなぎ融資に対応しています。各銀行で金利、手数料、融資実行タイミングが異なるため、複数銀行を比較して選ぶことを推奨します。
4. 分割融資のメリットとデメリット
分割融資には、メリットとデメリットの両面があります。
(1) メリット(自己資金不要、金利優遇、元金据置)
分割融資のメリットは以下の通りです。
- 自己資金が少なくても注文住宅が建築できる: 土地購入時や着工金の支払いに自己資金を充てる必要がない
- 金利優遇が受けられる: 住宅ローンとして実行される場合、つなぎ融資より金利が低い
- 元金据置で負担軽減: 住信SBIネット銀行の土地先行プランのように、建物完成までは利息のみの返済で家賃との二重負担を軽減
(2) デメリット(諸費用増加、手続きの複雑さ)
一方、デメリットもあります。
- 諸費用が膨らみやすい: 各融資実行時に手数料が発生するため、総コストが増加
- 手続きが複雑: 複数回の融資実行に伴い、書類準備や手続きが煩雑になる
- 取り扱い銀行が限られる: 分割融資を取り扱っている金融機関は限られており、選択肢が少ない
5. 分割融資利用時の注意点とリスク
分割融資を利用する際は、以下の点に注意が必要です。
(1) 手数料の確認(各融資実行時に発生)
三井住友銀行の例では、各融資実行時に融資金額の2.2%(消費税込)の銀行手数料がかかります。例えば、土地購入時2,000万円、着工時500万円、中間金500万円、最終金1,000万円の場合、総額4,000万円に対して88万円の手数料が発生します。
銀行によって手数料体系が異なるため、事前に総コストを試算することが重要です。
(2) 金利タイプの制限(分割融資期間中は変動金利のみ)
三井住友銀行のように、建物で分割融資利用の場合は、分割融資期間中は変動金利型のみとなる銀行もあります。固定金利を希望する場合は、建物完成後に固定金利に変更できるか確認しましょう。
(3) 抵当権設定費用の負担
住信SBIネット銀行の土地先行プランのように、1回目と2回目の融資実行時にそれぞれ抵当権設定が必要になる場合、抵当権設定費用が2回分かかります。登記費用や司法書士報酬を含めて、総コストを確認することが重要です。
6. まとめ:分割融資の選び方
注文住宅を建築する際、土地購入時や着工金・中間金の支払いに対応するため、住宅ローンの分割融資が必要です。分割融資に対応している主な銀行は、みずほ銀行、住信SBIネット銀行、三井住友銀行、SBI新生銀行、イオン銀行、楽天銀行などです。
みずほ銀行はつなぎ融資ではなく住宅ローンとしてお得な金利で分割融資が利用可能で、住信SBIネット銀行の土地先行プランは建物完成までの金利や諸費用を抑えられるメリットがあります。一方、三井住友銀行では各融資実行時に融資金額の2.2%の銀行手数料がかかるため、総コストを確認することが重要です。
分割融資は自己資金が少なくても注文住宅が建築できるメリットがある一方、諸費用が膨らみやすく、手続きも複雑になる傾向があります。各銀行で金利、手数料、融資実行タイミングが異なるため、複数銀行を比較し、専門家(ファイナンシャルプランナー、住宅ローンアドバイザー等)への相談を推奨します。


