副業としての不動産投資の種類:ワンルーム・アパート・駐車場経営
会社員として働きながら「副業で不動産投資を始めたいが、会社の副業禁止規定に抵触しないか」「どれくらいの資金が必要か」「リスクは大きいか」と不安を感じる方は少なくありません。
この記事では、副業としての不動産投資の種類、収益性とリスク、資金計画、会社員が知るべき注意点を、公的情報と実例を元に解説します。
副業で不動産投資を検討している方でも、リスク管理と成功のポイントを正確に把握できるようになります。
この記事のポイント
- 副業禁止の会社でも、不動産投資は資産運用として認められるケースが多い
- 5棟10室未満、年間家賃収入500万円未満が副業とみなされない一般的な基準
- 確定申告で住民税を普通徴収にすることで、会社に副収入が知られにくくなる
- 空室リスク、金利上昇リスク、自然災害リスクなど複数のリスクを考慮する必要がある
- 税理士やファイナンシャルプランナーなど専門家への相談を推奨
(1) 会社員の資産形成手段として注目される理由
2024-2025年にかけて、サラリーマンの副業としての不動産投資が注目されています。会社員の資産形成手段として、株式投資や投資信託と並んで関心が高まっている背景には、以下の理由があります。
- 定期的な家賃収入が見込める可能性がある
- 長期的な資産形成に適している場合がある
- 管理会社に委託することで、本業に支障が出にくい
ただし、不動産投資にはリスクが伴うため、十分な情報収集と専門家への相談が重要です。
(2) 不動産投資が副業とみなされないケースが多い理由
一般的なアルバイトやフリーランスと異なり、不動産投資は「資産運用」として扱われるため、副業禁止の会社でも認められるケースが多いです。
これは、不動産投資が「労働による収入」ではなく「資産から生じる収入」と判断されるためです。ただし、就業規則は会社ごとに異なるため、必ず事前に確認することを推奨します。
(3) 忙しい会社員でも取り組める理由(管理会社への委託)
会社員が不動産投資を行う際、物件管理を管理会社に委託することで、日常的な業務(家賃回収、入居者対応、修繕手配等)を任せることができます。
この仕組みにより、本業に支障をきたすことなく、スキマ時間で不動産投資を運用できる可能性があります。
(4) 中古ワンルームマンション投資(初心者向け、少額から可能)
中古ワンルームマンション投資は、初心者が最も始めやすい不動産投資の一つです。実際の事例では、融資1600万円で中古ワンルームマンションを購入してスタートした会社員もいます。
メリット:
- 初期投資が比較的少ない
- 1室からスタートできる
- 都市部では賃貸需要が高い傾向
デメリット:
- 1室が空室になると収入がゼロになる
- 築年数が古い場合、修繕費用が高くなる可能性
(5) アパート経営(事業的規模、高い収益性)
アパート経営は、複数の部屋を持つ物件を購入または建築し、賃貸する方法です。事業的規模となるため、収益性が高い反面、初期投資額も大きくなります。
自己資金の目安は、物件価格の10-30%が推奨されます。例えば、5,000万円の物件であれば、500万円~1,500万円の自己資金が必要です。
注意: 5棟以上または10室以上になると、税法上の事業的規模とみなされ、会社の副業規定に抵触する可能性があるため、事前に確認が必要です。
(6) 駐車場経営(管理が簡単、初期投資が少ない)
駐車場経営は、土地を駐車場として貸し出す方法です。建物の建築や維持管理が不要なため、管理が簡単で初期投資が少ないという特徴があります。
メリット:
- 建物の修繕費用が不要
- 契約・解約が比較的容易
デメリット:
- 家賃収入に比べて収益性が低い傾向
- 立地によっては稼働率が低い場合がある
(7) その他の不動産投資(戸建て賃貸、シェアハウス等)
その他の不動産投資として、戸建て賃貸、シェアハウス、民泊等があります。これらは物件の特性や運営方法により、収益性やリスクが大きく異なります。
初心者は、まず中古ワンルームマンションやアパート経営から始め、経験を積んでから他の投資方法を検討することを推奨します。
収益性とリスク:家賃収入・利回りと空室・金利上昇のリスク
不動産投資の収益性とリスクを理解することは、投資判断において重要です。
(1) 家賃収入と利回りの目安
家賃収入は、物件の立地、広さ、築年数、設備等により大きく異なります。利回りは「年間家賃収入 ÷ 物件価格」で計算されますが、空室期間、管理費用、修繕費用等を考慮する必要があります。
重要: 不動産投資にはリスクが伴うため、断定的な収益見込みは避け、専門家(ファイナンシャルプランナー等)に相談することを推奨します。
(2) 空室リスク(立地・物件管理・市場環境が影響)
空室リスクとは、賃貸物件が空室になり家賃収入が得られなくなるリスクです。立地、物件管理、市場環境(地域の人口動態、賃貸需要等)が大きく影響します。
対策:
- 駅近・商業施設が近いなど、賃貸需要が高い立地を選ぶ
- 物件管理を信頼できる管理会社に委託する
- 定期的なメンテナンスで物件の魅力を維持する
(3) 金利上昇リスク(変動金利の注意点)
不動産投資ローンを変動金利で利用する場合、将来的に金利が上昇すると、月々の返済額が増加する可能性があります。
金利上昇により、不動産投資の収益性が悪化するリスクがあるため、固定金利との比較検討や、金利上昇を想定したシミュレーションが重要です。
(4) 自然災害リスク(地震・台風等の修繕費用)
地震、台風、水害等の自然災害により物件が損傷し、修繕費用が発生する可能性があります。火災保険や地震保険への加入を検討し、リスクに備えることを推奨します。
資金計画と初期投資:自己資金の目安と不動産投資ローンの活用
不動産投資を始める際、資金計画は最も重要な要素の一つです。
(1) 自己資金の目安(物件価格の10-30%が推奨)
アパート経営の場合、物件価格の10-30%の自己資金が推奨されます。例えば、3,000万円の物件であれば、300万円~900万円の自己資金を用意することが一般的です。
自己資金が多いほど、不動産投資ローンの借入額が減り、金利負担や返済リスクを軽減できます。
(2) 不動産投資ローンの仕組みと審査基準
不動産投資ローンは、不動産投資用の物件購入に利用するローンです。住宅ローンより金利が高い場合が多く、審査基準も異なります。
審査のポイント:
- 申込者の年収・勤務先・勤続年数
- 物件の収益性(想定家賃収入、立地等)
- 自己資金の準備状況
金融機関や専門家に相談し、借入条件や審査基準を事前に確認することを推奨します。
(3) 初心者の実例(融資1600万円で中古ワンルーム購入)
実際の事例として、融資1600万円で中古ワンルームマンションを購入して不動産投資を始めた会社員がいます。この事例では、初期投資を抑えつつ、家賃収入を得ることを目指しました。
ただし、この事例が全ての方に当てはまるわけではなく、物件の立地、築年数、市場環境等により結果は異なります。
(4) 初期投資の回収計画とシミュレーション
初期投資の回収計画は、想定家賃収入、空室率、管理費用、修繕費用、ローン返済額等を考慮してシミュレーションします。
重要: 楽観的な見積もりは避け、複数のシナリオ(空室期間が長い場合、金利が上昇する場合等)を想定することを推奨します。
会社員が知るべき注意点:副業規定・5棟10室基準・確定申告
会社員が不動産投資を行う際、副業規定や税務申告について正しく理解することが重要です。
(1) 副業禁止の会社でも不動産投資ができる理由(資産運用として扱われる)
副業禁止の会社でも、不動産投資は「資産運用」として扱われるため、認められるケースが多いです。これは、不動産投資が「労働による収入」ではなく「資産から生じる収入」と判断されるためです。
ただし、就業規則は会社ごとに異なるため、必ず事前に確認してください。
(2) 5棟10室基準とは(事業的規模の判断基準)
5棟10室基準とは、不動産投資が事業的規模かどうかを判断する税法上の目安です。5棟以上(戸建て等)または10室以上(アパート・マンション等)で事業的規模とみなされます。
事業的規模とみなされると、税法上の取り扱いが変わり、会社の副業規定に抵触する可能性があるため、注意が必要です。
(3) 会社にバレない方法(確定申告で住民税を普通徴収にする)
確定申告時に住民税の徴収方法を「普通徴収」(自分で納付)にすることで、会社に副収入が知られにくくなります。
手順:
- 確定申告書の「住民税の徴収方法」欄で「自分で納付」を選択
- 住民税の納付書が自宅に郵送される
- 自分で金融機関やコンビニで納付する
ただし、この方法で完全にバレないわけではなく、会社によっては他の方法で把握される可能性もあります。
(4) 公務員・銀行員の特殊な規制(年間家賃収入500万円以上で規則違反)
公務員や銀行員など、特定の職業では厳格な規制があります。公務員の場合、年間家賃収入500万円以上で規則違反となる可能性があるため、該当者は特に注意が必要です。
公務員の不動産投資の条件:
- 5棟10室未満
- 年間家賃収入500万円未満
- 管理会社への委託
銀行員の場合、事前届出が必要な場合が多いため、勤務先の規定を必ず確認してください。
(5) 確定申告の義務(年間20万円以上の不動産所得で必要)
年間20万円以上の不動産所得(家賃収入から必要経費を差し引いた額)がある場合、確定申告が必要です。
不動産所得の計算: 不動産所得 = 家賃収入 - 必要経費(管理費、修繕費、減価償却費、ローン利息等)
確定申告の方法や控除の適用については、税理士への相談を推奨します。
不動産投資の失敗事例と成功のポイント
不動産投資の失敗事例を知ることで、同じ過ちを避けることができます。
(1) よくある失敗事例(予算オーバー・空室続き・金利上昇)
予算オーバー: 想定以上の修繕費用が発生し、資金繰りが悪化するケース。築年数が古い物件では特に注意が必要です。
空室続き: 賃貸需要が低いエリアで物件を購入し、長期間空室が続くケース。立地選びが重要です。
金利上昇: 変動金利で不動産投資ローンを借り、金利が上昇して返済額が増加するケース。固定金利との比較検討が重要です。
(2) 成功のポイント(立地選び・物件管理・資金計画)
立地選び: 駅近、商業施設が近い、人口が増加している等、賃貸需要が高いエリアを選ぶことが重要です。
物件管理: 信頼できる管理会社に委託し、入居者対応や修繕を適切に行うことで、空室リスクを軽減できます。
資金計画: 楽観的な見積もりを避け、複数のシナリオを想定した資金計画を立てることが重要です。
(3) 専門家への相談推奨(税理士・ファイナンシャルプランナー等)
不動産投資にはリスクが伴うため、税理士、ファイナンシャルプランナー、宅地建物取引士など専門家への相談を推奨します。
専門家は、税務申告、資金計画、物件選び等について、専門的なアドバイスを提供できます。
まとめ:副業不動産投資を成功させるために専門家に相談を
副業としての不動産投資は、会社員の資産形成手段として注目されています。副業禁止の会社でも、資産運用として認められるケースが多いですが、就業規則の確認が必須です。
5棟10室未満、年間家賃収入500万円未満が副業とみなされない一般的な基準ですが、会社によって独自の判断基準がある場合があります。また、空室リスク、金利上昇リスク、自然災害リスクなど複数のリスクを考慮する必要があります。
信頼できる税理士、ファイナンシャルプランナー、宅地建物取引士に相談しながら、リスク管理と資金計画を十分に行い、無理のない投資判断を心がけましょう。
