ろうきん住宅ローン金利の基本|会員と非会員で大きく異なる金利体系
ろうきん(労働金庫)で住宅ローンを検討する際、「金利は銀行より安いのか」「自分は会員になれるのか」と疑問に感じる方は多いでしょう。
この記事では、ろうきん住宅ローンの金利体系、地域別の最新金利表、変動・固定の選び方、他金融機関との比較、2025年以降の金利予想を、中央ろうきん・知るぽると等の公式情報を元に解説します。
初めて住宅ローンを検討する方でも、ろうきんの金利体系と自分に合った選択肢を正確に把握できるようになります。
この記事のポイント
- ろうきんは会員(労働組合・生協組合員)なら金利・保証料の優遇があり、非会員より有利
- 地域別に13のろうきんがあり、金利は地域・会員資格・時期により異なる
- 変動金利は初期負担が軽いが金利上昇リスクあり、固定金利は返済額確定で安心
- 2025年以降は日銀の利上げ政策により、変動・固定とも緩やかな上昇傾向が予想される
(1) ろうきん(労働金庫)とは?営利目的ではない協同組織金融機関
ろうきんは、労働組合や生協などの会員が出資・運営する協同組織金融機関です。銀行と異なり、営利を目的とせず、会員への金融サービス提供を目的としています。
会員になるには、以下のいずれかに該当する必要があります。
- 労働組合の組合員
- 生協の組合員
- ろうきんの個人会員(出資金を支払って会員になる)
非会員でも利用可能ですが、金利・保証料・融資条件で会員より不利になるため、会員資格を確認することが重要です。
(2) 会員と非会員の金利・保証料の違い|会員は約30%の保証料削減
会員と非会員では、金利・保証料に大きな差があります。
| 項目 | 会員 | 非会員 |
|---|---|---|
| 金利 | 下限金利適用 | 会員より+0.1~0.3%程度高い |
| 保証料 | 標準 | 会員の約1.5倍 |
| 繰上返済手数料 | 無料 | 無料 |
保証料の差額例(3,000万円・35年返済の場合)
- 会員: 約60万円
- 非会員: 約90万円
- 差額: 約30万円
このように、会員になることで保証料だけでも数十万円の節約が可能です。出資金(通常1,000円~1万円程度)を支払って個人会員になる選択肢もあります。
(3) 地域別のろうきん組織|中央・近畿・東北など全国13のろうきん
ろうきんは全国に13の地域組織があり、それぞれ独立して金利を設定しています。
主要なろうきん
- 中央ろうきん(東京・神奈川・千葉・埼玉等)
- 近畿ろうきん(大阪・京都・兵庫・奈良・滋賀・和歌山)
- 東北ろうきん(青森・岩手・宮城・秋田・山形・福島)
- 九州ろうきん(福岡・佐賀・長崎・熊本・大分・宮崎・鹿児島)
- 北海道ろうきん
- その他8地域
自分の住む地域のろうきんの公式サイトで、最新金利を確認する必要があります。
最新のろうきん住宅ローン金利一覧|地域別・金利タイプ別の比較表
(1) 2025年11月時点の主要ろうきん金利表(変動・固定)
以下は、2025年11月時点の主要ろうきんの変動金利・固定金利の目安です(会員向け金利)。
| ろうきん | 変動金利 | 10年固定 | 全期間固定 |
|---|---|---|---|
| 中央ろうきん | 年0.6%台~ | 年1.1%台~ | 年1.8%台~ |
| 近畿ろうきん | 年0.7%台~ | 年1.2%台~ | 年1.9%台~ |
| 東北ろうきん | 年0.7%台~ | 年1.2%台~ | 年2.0%台~ |
| 九州ろうきん | 年0.7%台~ | 年1.3%台~ | 年2.0%台~ |
(出典: マネーライフ本舗「住宅ローン 地域別金利ランキング 労働金庫版」)
重要: 金利は会員資格・審査結果・時期により変動します。必ず該当するろうきんの公式サイトで最新情報を確認してください。
(2) 中央ろうきん・近畿ろうきんの金利詳細
中央ろうきん(東京・神奈川・千葉・埼玉等)
- 変動金利型: 年0.6%台~(会員)
- 固定金利期間選択型(3年・5年・10年): 年0.9%台~1.1%台
- 全期間固定金利型: 年1.8%台~
近畿ろうきん(大阪・京都・兵庫等)
- 変動金利型: 年0.7%台~(会員)
- 固定金利期間選択型(3年・5年・10年): 年1.0%台~1.2%台
- 全期間固定金利型: 年1.9%台~
詳細は中央ろうきん公式サイト、近畿ろうきん公式サイトで確認できます。
(3) その他の地域ろうきん(東北・九州・北海道等)の金利動向
東北ろうきん、九州ろうきん、北海道ろうきん等も、変動金利は年0.7%台~が中心です。固定金利は地域により年1.2%台~2.0%台と幅があります。
地域ろうきんの金利は、地域の経済状況や競合金融機関の動向により異なるため、必ず該当するろうきんの公式サイトで確認してください。
変動金利と固定金利の選び方|リスクとメリットを徹底比較
(1) 変動金利型の特徴|5年ごとの返済額見直しと1.25倍ルール
変動金利型は、短期プライムレートに連動し、半年ごとに金利が見直される住宅ローンです。
メリット
- 初期の金利が低く、返済負担を抑えられる
- 金利が低い時期に多く返済できる
デメリット・リスク
- 金利上昇時に返済額が増加する
- 返済額は5年ごとに見直され、元額の1.25倍までの制限がある
- 金利急上昇時には未払い利息が発生するリスクがある
知るぽるとによると、変動金利型は金利が低い時期に初期返済を多く進められる一方、金利上昇局面では返済額増加のリスクがあるため、家計に余裕がある方に適しています。
(2) 固定金利型(全期間固定・フラット35)の特徴と安心感
固定金利型は、契約時に決まった金利が完済まで適用される住宅ローンです。代表的な商品としてフラット35があります。
メリット
- 返済額が確定し、長期の家計管理がしやすい
- 金利上昇の影響を受けない
デメリット
- 変動金利より初期金利が高い
- 金利低下時にもメリットを受けられない
固定金利型は、金利上昇リスクを避けたい方や、長期の家計管理を重視する方に適しています。
(3) 固定金利期間選択型|3年・5年・10年固定の中間選択肢
固定金利期間選択型は、3年、5年、10年などの一定期間は固定金利で、期間終了後に変動金利か再度固定金利かを選択できる住宅ローンです。
メリット
- 変動金利と固定金利の中間的な選択肢
- 固定期間中は返済額が確定
デメリット・リスク
- 固定期間終了時に金利が急上昇する可能性がある
- 再選択時の金利情勢に注意が必要
(4) どちらを選ぶべきか|金利上昇リスクと家計状況で判断
以下の表を参考に、自分の家計状況と金利上昇リスクへの許容度で判断してください。
| 家計状況 | 金利上昇リスク許容度 | 推奨タイプ |
|---|---|---|
| 返済に余裕あり | 高い | 変動金利型 |
| 返済に余裕あり | 中程度 | 固定金利期間選択型(10年) |
| 返済に余裕なし | 低い | 固定金利型(全期間固定) |
迷ったら: 固定金利期間選択型(10年)で金利動向を見ながら、期間終了時に再選択する方法もあります。
ろうきんと他金融機関の金利比較|JA・楽天・地方銀行との違い
(1) JAバンクの住宅ローン金利との比較
JAバンクも協同組織金融機関であり、ろうきんと類似した特徴があります。
| 項目 | ろうきん | JAバンク |
|---|---|---|
| 変動金利 | 年0.6%台~ | 年0.7%台~ |
| 10年固定 | 年1.1%台~ | 年1.2%台~ |
| 会員優遇 | あり | あり(組合員) |
JAバンクは農業従事者や地域住民を対象としており、ろうきんは労働組合・生協組合員を対象としています。自分の属性に合った方を選ぶと良いでしょう。
(2) 楽天銀行・ネット銀行の金利との比較
楽天銀行等のネット銀行は、変動金利が年0.5%台~と低めです。
| 項目 | ろうきん | 楽天銀行 |
|---|---|---|
| 変動金利 | 年0.6%台~ | 年0.5%台~ |
| 10年固定 | 年1.1%台~ | 年1.0%台~ |
| 手続き | 来店必要な場合が多い | 完全オンライン |
ネット銀行は金利が低い一方、対面相談ができないため、初めての方には注意が必要です。
(3) 地方銀行(南都銀行・宮崎銀行・佐賀銀行等)との比較
地方銀行の変動金利は年0.7%台~1.0%台が中心です。
| 項目 | ろうきん | 地方銀行 |
|---|---|---|
| 変動金利 | 年0.6%台~ | 年0.7%台~1.0%台 |
| 地域密着 | あり | あり |
ろうきんは会員優遇があり、地方銀行は地域の不動産情報に詳しいという特徴があります。
(4) 三井住友信託銀行など信託銀行の金利動向
三井住友信託銀行等の信託銀行は、変動金利が年0.6%台~、固定金利が年1.0%台~と競争力のある水準です。
信託銀行は不動産仲介や相続対策など、住宅ローン以外のサービスも充実しているため、資産全体の相談をしたい方に適しています。
2025年以降の住宅ローン金利予想|日銀政策と今後10年の見通し
(1) 日銀の利上げ政策と住宅ローン金利への影響
日本銀行は2024年3月にマイナス金利政策を解除し、2024年7月と2025年1月に追加利上げを実施しました。政策金利は約0.5%となっています。
日銀の利上げは、短期プライムレート(変動金利の基準)と長期金利(固定金利の基準)の両方に影響を与えます。
(2) 2025年の金利動向|変動金利は横ばい、固定金利は上昇傾向
住まいサーフィンによると、2025年11月時点で変動金利は春の利上げ後横ばいが続いています。一方、固定金利は長期金利の上昇により上昇傾向です。
(3) 今後10年の金利予想|3つのシナリオ(上昇・横ばい・低下)
今後10年の金利は、日銀の金融政策と経済情勢により変動します。以下の3つのシナリオが考えられます。
シナリオ1: 緩やかな上昇(可能性: 高)
- 日銀が利上げを継続し、2026年末に政策金利が約1.1%まで上昇
- 変動金利は年1.0%台~、固定金利は年2.0%台~に上昇
シナリオ2: 横ばい(可能性: 中)
- 日銀が利上げを一時停止し、政策金利が0.5%前後で推移
- 変動金利・固定金利ともに現状維持
シナリオ3: 低下(可能性: 低)
- 景気後退により日銀が利下げを実施
- 変動金利・固定金利ともに低下
重要: 金利予想はあくまで目安であり、経済情勢により変動する可能性があります。最新情報は日銀・住宅金融支援機構等の公式サイトで確認してください。
(4) 金利上昇に備えた対策|繰上返済と固定金利への借り換え
金利上昇リスクに備えるため、以下の対策が有効です。
- 繰上返済: ろうきんでは窓口での繰上返済手数料が無料のため、積極的に繰上返済することで総返済額を削減できます。
- 固定金利への借り換え: 変動金利で借りている場合、金利が低いうちに固定金利へ借り換えることで、将来の金利上昇リスクを回避できます。
詳細はファイナンシャルプランナーや住宅ローンアドバイザーにご相談ください。
まとめ|ろうきん住宅ローンの選び方と次のアクション
ろうきん住宅ローンは、会員(労働組合・生協組合員)なら金利・保証料の優遇があり、銀行と競争力のある水準です。地域別に13のろうきんがあり、金利は地域・会員資格・時期により異なるため、必ず該当するろうきんの公式サイトで最新情報を確認してください。
変動金利は初期負担が軽いが金利上昇リスクあり、固定金利は返済額確定で安心という特徴があります。自分の家計状況と金利上昇リスクへの許容度で選びましょう。
2025年以降は日銀の利上げ政策により、変動・固定とも緩やかな上昇傾向が予想されます。金利が低いうちに借り入れるか、固定金利を選ぶことも検討してください。
ろうきんの窓口、ファイナンシャルプランナー、宅地建物取引士に相談しながら、無理のない資金計画を立てましょう。
