不動産評価額の調べ方|固定資産税評価額と時価の違いと確認方法

著者: Room Match編集部公開日: 2025/11/22

1. 不動産評価額とは|なぜ複数の評価額が存在するのか

不動産を所有していると、「評価額っていくつあるの?」「固定資産税評価額と時価は違うの?」「どうやって調べればいいの?」と疑問を感じる方は少なくありません。

この記事では、不動産評価額の種類、それぞれの用途、具体的な調べ方を、総務省・国税庁・国土交通省の公式情報を元に解説します。

不動産の売却や相続を検討している方が、目的に応じた評価額を正確に把握できるようになります。

この記事のポイント

  • 不動産評価額は5種類あり、用途によって使い分ける(固定資産税・相続税・売買で異なる)
  • 固定資産税評価額は課税明細書で確認するのが最も簡単(毎年4月初旬に送付)
  • 相続税評価額(路線価)は国税庁ホームページで無料で閲覧・計算可能
  • 実勢価格(時価)は不動産一括査定サイトや国土交通省の取引価格データで確認できる

(1) 不動産評価額の役割(税金・売買・相続等)

不動産評価額とは、不動産の価値を金額で表したものです。

以下のような場面で使用されます。

  • 固定資産税の計算: 固定資産税評価額を基準に税額を算出
  • 相続税・贈与税の計算: 相続税評価額(路線価)を基準に税額を算出
  • 不動産の売買: 実勢価格(市場価格)を参考に取引価格を決定
  • 不動産の価値把握: 公示価格や基準地価で市場動向を確認

(2) 5つの評価額の関係性と目安(公示価格を100とした場合の比率)

不動産評価額には5種類があり、それぞれ異なる基準で算出されます。

評価額の種類 公示価格を100とした場合の比率 主な用途
実勢価格(市場価格) 100~110程度 実際の売買
公示価格 100 土地取引の指標
固定資産税評価額 70程度 固定資産税の計算
相続税評価額(路線価) 80程度 相続税・贈与税の計算
基準地価 100程度 公示価格を補完

2. 不動産評価額の5つの種類とそれぞれの用途

(1) 実勢価格(市場価格)|実際の売買価格

実勢価格とは、実際に不動産が売買された価格です。

市場で決まる価格であり、需要と供給のバランス、物件の状態、立地条件等により変動します。

(2) 公示価格|国土交通省が公表する標準地の価格

公示価格とは、国土交通省が毎年3月に公表する標準地の1平方メートルあたりの価格です。

土地取引の指標として活用されます。

(3) 固定資産税評価額|固定資産税の課税基準(公示価格の70%程度)

固定資産税評価額とは、固定資産税の課税基準となる価格です。

公示価格の70%程度が目安とされています。

(4) 相続税評価額(路線価)|相続税・贈与税の課税基準(公示価格の80%程度)

相続税評価額(路線価)とは、道路に面した宅地1平方メートルあたりの価格です。

相続税・贈与税の課税基準として使用され、公示価格の80%程度が目安です。

(5) 基準地価|都道府県が公表する基準地の価格

基準地価とは、都道府県が毎年9月に公表する基準地の価格です。

公示価格を補完する指標として活用されます。

3. 固定資産税評価額の調べ方と確認方法

(1) 方法①:課税明細書で確認(最も簡単、毎年4月初旬に送付)

最も簡単な方法は、毎年4月初旬に送付される課税明細書を確認することです。

課税明細書の「価格」欄が固定資産税評価額です。

(2) 方法②:固定資産課税台帳の閲覧(役所窓口、4~5月は無料)

役所の窓口で固定資産課税台帳を閲覧することもできます。

4~5月頃は無料、それ以外の期間は手数料300円程度がかかります。

(3) 方法③:固定資産評価証明書を取得(手数料300円程度)

固定資産評価証明書を取得することで、固定資産税評価額を確認できます。

手数料は300円程度です。

(4) 方法④:全国地価マップで確認(無料、インターネット)

全国地価マップを使えば、インターネットで無料で固定資産税評価額を確認できます。

地図上で物件所在地を検索し、評価額を閲覧できます。

(5) 固定資産税評価額と課税標準額の違い(住宅用地の特例措置)

固定資産税評価額と課税標準額は異なります。

住宅用地の特例措置により、課税標準額は固定資産税評価額よりも小さくなります。

区分 特例措置
小規模住宅用地(200㎡以下) 固定資産税評価額の1/6
一般住宅用地(200㎡超) 固定資産税評価額の1/3

4. 相続税評価額(路線価)の調べ方と計算方法

(1) 路線価図の確認方法(国税庁ホームページで無料閲覧)

国税庁ホームページで路線価図を無料で閲覧できます。

令和6年分(2024年1月1日基準)の路線価が2024年7月1日に公表されています。

(2) 路線価方式の計算式(路線価 × 奥行価格補正率 × 地積)

路線価方式の基本的な計算式は以下の通りです。

評価額 = 路線価 × 奥行価格補正率 × 地積

計算例:

  • 路線価: 200,000円/㎡
  • 奥行価格補正率: 1.00(奥行10m~24mの場合)
  • 地積: 100㎡
評価額 = 200,000円 × 1.00 × 100㎡ = 20,000,000円

(3) 補正率の種類(奥行価格補正率・側方路線影響加算率等)

路線価の計算には、以下のような補正率が適用されます。

  • 奥行価格補正率: 土地の奥行距離に応じて調整
  • 側方路線影響加算率: 側方に道路がある場合に加算
  • 二方路線影響加算率: 二方に道路がある場合に加算
  • 不整形地補正率: 形状が不整形な土地の場合に調整

(4) 計算例と注意点

路線価の計算は、複数の補正率を適用する必要があるため、複雑になりやすいです。

(5) 専門家(税理士等)への相談を推奨

正確な相続税評価額の計算が必要な場合は、税理士等の専門家への相談を推奨します。

5. 実勢価格(時価・市場価格)の調べ方

(1) 国土交通省「不動産情報ライブラリ」で取引価格を検索

国土交通省の不動産情報ライブラリで、過去の取引価格を検索できます。

地域や物件種別を指定して、実際の取引価格を確認できます。

(2) 不動産一括査定サイトで無料査定を受ける

不動産一括査定サイトを利用すれば、複数の不動産会社から無料で査定を受けられます。

実勢価格(市場価格)の目安を知ることができます。

(3) 不動産会社に査定依頼する

不動産会社に直接査定を依頼することもできます。

物件の状態や立地条件を踏まえた詳細な査定を受けられます。

(4) 評価額と実勢価格の違い(市場で決まる、地域や時期で変動)

評価額(固定資産税評価額・相続税評価額)は、税金計算の基準として使用される価格です。

一方、実勢価格は市場で決まる価格であり、地域や時期によって大きく変動します。

2025年は都市部でマンション価格が高騰しており、評価額と実勢価格に乖離が生じやすい状況です。

6. まとめ:目的別の評価額の使い分けと注意点

不動産評価額は5種類あり、用途によって使い分けることが重要です。

(1) 固定資産税の確認 → 固定資産税評価額

固定資産税の金額を確認したい場合は、固定資産税評価額を使用します。

課税明細書で簡単に確認できます。

(2) 相続・贈与税の計算 → 相続税評価額(路線価)

相続税・贈与税の計算には、相続税評価額(路線価)を使用します。

国税庁ホームページで無料で確認できますが、計算が複雑な場合は税理士に相談しましょう。

(3) 売買の参考 → 実勢価格・公示価格

不動産の売買を検討する場合は、実勢価格や公示価格を参考にします。

不動産一括査定サイトや不動産情報ライブラリで確認できます。

(4) 評価額は3年に一度の評価替えがあることに注意

固定資産税評価額は、3年に一度の評価替えが行われます。

最新の評価額を確認するようにしてください。

(5) 2025年の不動産市場動向(都市部と地方の違い)

2025年は全国的に不動産価格が上昇傾向にあり、特にマンション価格が高騰しています。

一方、地方圏では地価がマイナスになっており、評価額が実勢価格を上回る可能性があります。

地域による違いを理解し、適切な評価額を確認することが重要です。

信頼できる専門家のサポートを受けながら、目的に応じた評価額を正確に把握しましょう。

よくある質問

Q1不動産評価額には何種類ありますか?

A15種類あります。実勢価格(市場価格)、公示価格、固定資産税評価額、相続税評価額(路線価)、基準地価です。用途によって使い分けます。固定資産税評価額は公示価格の70%程度、相続税評価額は80%程度が目安です。固定資産税の計算には固定資産税評価額、相続税・贈与税の計算には相続税評価額を使用します。

Q2固定資産税評価額はどこで確認できますか?

A2毎年4月初旬に送付される課税明細書の「価格」欄で確認するのが最も簡単です。また、役所の固定資産課税台帳を閲覧(4~5月は無料、それ以外は手数料300円程度)、固定資産評価証明書を取得(手数料300円程度)、全国地価マップで無料検索も可能です。インターネットで簡単に確認できる全国地価マップが便利です。

Q3路線価を使って評価額を計算する方法は?

A3「路線価 × 奥行価格補正率 × 地積」で計算します。ただし、奥行価格補正率や側方路線影響加算率、二方路線影響加算率、不整形地補正率など複数の補正が必要で複雑です。正確な計算が必要な場合は税理士等の専門家への相談を推奨します。国税庁ホームページで路線価図を無料で閲覧できます。

Q4無料で不動産の評価額を調べる方法はありますか?

A4はい、複数あります。課税明細書での確認、国税庁ホームページでの路線価図閲覧、全国地価マップでの検索、国土交通省の不動産情報ライブラリでの取引価格検索、不動産一括査定サイトでの無料査定などが利用できます。インターネットで簡単に確認できるため、複数の方法を組み合わせて活用すると良いでしょう。

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Room Match編集部

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