不動産買取とは?仲介との5つの違い
不動産を売却する方法には、「買取」と「仲介」の2つがあります。どちらを選ぶべきか迷っている方も多いのではないでしょうか。
この記事では、不動産買取の仕組み、仲介との違い、メリット・デメリット、業者選びのポイントを解説します。国土交通省の不動産流通データや、信頼できる不動産会社の情報を元にまとめています。
相続物件や転勤で急いで売却したい方、仲介で売れなかった物件の処分方法を探している方に、適切な選択肢を見つけていただけます。
この記事のポイント
- 買取は不動産会社が直接購入し、仲介は売主と買主の間を仲介する方法
- 買取は最短2週間〜1ヶ月で完了するが、仲介は3〜6ヶ月かかる
- 買取価格は仲介の市場価格の60〜80%程度だが、仲介手数料は不要
- 買取は契約不適合責任が免責され、訳あり物件でも売却できる可能性が高い
- 複数の買取業者に査定を依頼し、条件を比較することが重要
(1) 買取の仕組み(不動産会社が直接購入)
不動産買取とは、不動産会社が売主から直接不動産を購入する方法です。買取後、不動産会社はリフォームして付加価値を付けて再販売します。
買取には「即時買取」と「買取保証」の2種類があります。
- 即時買取: 不動産会社が査定後すぐに買取を行う方法。最短2週間程度で売却完了
- 買取保証: 一定期間仲介で売却活動を行い、売れなければ不動産会社が買取を保証する方法
(2) 買主の違い(買取は不動産会社、仲介は一般の個人)
買取と仲介では、買主が異なります。
| 項目 | 買取 | 仲介 |
|---|---|---|
| 買主 | 不動産会社 | 一般の個人 |
| 契約相手 | 不動産会社と直接契約 | 不動産会社が仲介して個人と契約 |
| 広告活動 | 不要 | 必要 |
買取では不動産会社が買主となるため、広告活動や内覧対応が不要です。一方、仲介では一般の個人が買主となるため、広告を出して買主を探す必要があります。
(3) 売却期間の違い(買取1ヶ月、仲介3〜6ヶ月)
売却期間は大きく異なります。
- 買取: 最短2週間〜1ヶ月程度
- 仲介: 3〜6ヶ月程度
買取は不動産会社が直接購入するため、査定後すぐに契約・決済が可能です。一方、仲介では買主を探す期間が必要なため、売却完了までに数ヶ月かかります。
急いで現金化したい場合は、買取が適しています。
(4) 売却価格の違い(買取は仲介の60〜80%)
買取価格は仲介の市場価格の60〜80%程度が一般的な相場です。
買取業者は転売益10%と修繕・リフォーム費用等10%を確保するため、仲介価格の80%程度で買い取ります。例えば、仲介で3,000万円の物件は、買取では1,800万円〜2,400万円程度になります。
価格を重視する場合は仲介、スピードを重視する場合は買取を選択するとよいでしょう。
(5) 仲介手数料の有無(買取は不要)
買取の場合、不動産会社が直接買主となるため仲介手数料は不要です。
仲介の場合は、物件価格の3%+6万円+消費税が上限の仲介手数料が必要です。例えば、3,000万円の物件では約105万円の仲介手数料がかかります。
買取では仲介手数料が不要なため、その分の費用を節約できます。
不動産買取のメリット
買取には以下のようなメリットがあります。
(1) 短期間で現金化できる(最短2週間)
買取の最大のメリットは、短期間で現金化できることです。
事前準備から決済・引渡しまで、最短2週間程度、一般的には数日から1ヶ月で完了します。仲介の3〜6ヶ月に比べて大幅に短縮できます。
相続で急いで現金化したい場合や、転勤で早く売却したい場合に適しています。
(2) 仲介手数料が不要
買取では仲介手数料が不要です。
仲介の場合、3,000万円の物件では約105万円の仲介手数料がかかりますが、買取ではこの費用が不要です。ただし、買取価格が仲介の60〜80%程度になるため、総合的に比較して判断する必要があります。
(3) 契約不適合責任が免責される
契約不適合責任とは、売却後に物件の瑕疵が発見された場合に売主が負う責任です。
買取の場合、契約不適合責任が免責されることが多いため、売却後のトラブルリスクを避けられます。仲介の場合、売却後に瑕疵が発見されると、売主が修繕費用を負担する可能性があります。
古い物件や瑕疵がある物件を売却する場合、買取が安心です。
(4) プライバシーを保護できる
買取では広告活動や内覧対応が不要なため、プライバシーを保護できます。
仲介では広告を出して買主を探すため、近隣に売却を知られる可能性があります。買取では不動産会社と直接契約するため、周囲に知られずに売却できます。
離婚や相続など、周囲に知られたくない事情がある場合に適しています。
(5) 訳あり物件でも売却可能
築年数が古い、立地が悪い、瑕疵がある物件でも、買取なら売却できる可能性が高いです。
仲介では買主が見つからない物件でも、買取業者はリフォームして再販売するため、買取対象となる場合があります。ただし、再販が困難な物件や修繕費が高額になる物件は断られる場合もあります。
不動産買取のデメリットと注意点
買取にはデメリットもあります。以下の点に注意してください。
(1) 売却価格が低くなる(仲介の60〜80%)
買取価格は仲介の市場価格の60〜80%程度になるため、売却価格が低くなります。
例えば、仲介で3,000万円の物件は、買取では1,800万円〜2,400万円程度になります。価格を重視する場合は、仲介を検討することをおすすめします。
(2) 買取対応業者が少ない
買取に対応している業者は、仲介に比べて少ないです。
すべての不動産会社が買取を行っているわけではないため、買取業者を探すのに時間がかかる場合があります。複数の買取業者に査定を依頼し、条件を比較することが重要です。
(3) すべての物件が買取可能とは限らない
基本的には多くの物件が買取可能ですが、再販が困難な物件や修繕費が高額になる物件は断られる場合があります。
買取業者は再販を前提に買取を行うため、再販が難しい物件は買取対象外となることがあります。複数の買取業者に査定を依頼して、買取可能かどうか確認しましょう。
(4) 買取業者による査定額の差が大きい
買取業者によって査定額や条件が大きく異なります。
買取業者によって狙う利益は異なりますが、販売価格の10%前後という会社が多いです。複数の買取業者に査定を依頼し、査定額や条件を比較することで適正な買取価格を把握できます。
不動産買取の流れと期間
買取の流れは以下の8ステップです。
(1) 相場調査と事前準備
まず、買取相場を調査します。
買取査定額の目安は、相場や簡易査定の査定額の6〜8割で、仲介で売却する場合の約7〜8割程度で算出できます。国土交通省の不動産流通データや、REINSの公式データを参考にしましょう。
(2) 必要書類の収集
買取に必要な書類を準備します。
主な書類は以下の通りです。
- 登記済権利証または登記識別情報
- 固定資産税納税通知書
- 印鑑証明書
- 本人確認書類(運転免許証等)
- 建物図面・測量図(戸建て・土地の場合)
(3) 複数業者への査定依頼
複数の買取業者に査定を依頼します。
買取業者によって査定額や条件が大きく異なるため、最低3社以上に査定を依頼することをおすすめします。2024年6月〜2025年5月の年間買取再販取引件数では、カチタス、大京穴吹不動産、インテリックスなどが上位にランクインしています。
(4) 買取条件の確認と契約
査定額や条件を比較し、買取業者を選定します。
契約不適合責任免責など法的な条件は業者により異なるため、契約内容を十分に確認してください。不明点は宅地建物取引士に相談することをおすすめします。
(5) 決済・引渡しと確定申告
契約後、決済・引渡しを行います。
決済時に物件の引渡しと代金の受領を行います。売却後は確定申告が必要です。譲渡所得税の計算は個別の状況により異なるため、税理士など専門家への相談を推奨します。
買取相場と高く売るコツ
買取価格を少しでも高くするためのコツを解説します。
(1) 買取相場の目安(仲介の7〜8割)
買取相場は仲介の市場価格の7〜8割が目安です。
買取査定額の目安は、相場や簡易査定の査定額の6〜8割で、仲介で売却する場合の約7〜8割程度で算出できます。地域や物件種別、築年数により大きく異なるため、複数の買取業者に査定を依頼して相場を把握しましょう。
(2) 買取価格が低くなる理由(転売益10%+修繕費10%)
買取価格が低くなる理由は、買取業者が転売益と修繕費を確保する必要があるためです。
買取業者は転売益10%と修繕・リフォーム費用等10%を確保するため、仲介価格の80%程度で買い取ります。この仕組みを理解しておくことで、買取価格が低い理由が納得できます。
(3) 複数業者への査定依頼で比較
複数の買取業者に査定を依頼し、査定額や条件を比較することで適正な買取価格を把握できます。
買取業者によって査定額や条件が大きく異なるため、最低3社以上に査定を依頼しましょう。査定額だけでなく、契約条件や引渡し時期なども比較することが重要です。
(4) 即時買取と買取保証の選択
即時買取と買取保証のどちらを選ぶかも重要です。
- 即時買取: すぐに現金化したい場合に適している
- 買取保証: 仲介で高く売れる可能性を残しつつ、売れなかった場合の保証がある
急いでいない場合は、買取保証を検討するとよいでしょう。ただし、買取保証の場合、一定期間仲介で売却活動を行うため、売却完了までに時間がかかる場合があります。
(5) 地域別の傾向(都市部vs地方)
買取相場は地域により異なります。
2024年はマンション価格が北海道、神奈川、京都、福岡を除くほとんどの地域で上昇し、売却に適したタイミングとされています。都市部では買取再販市場が活発ですが、地方では買取業者が少ない場合があります。
cluster_keywordsに「鳥取 不動産」がある場合など、地方の物件では、地域密着型の買取業者に相談することも検討しましょう。
まとめ:買取が向いている人とは
不動産買取は、短期間で現金化でき、仲介手数料が不要、契約不適合責任が免責されるなどのメリットがあります。一方、売却価格が仲介の60〜80%程度になるデメリットもあります。
買取が向いているのは、以下のような方です。
- 相続や転勤で急いで売却したい
- 仲介で売れなかった物件を処分したい
- 訳あり物件(築古・瑕疵あり)を売却したい
- 周囲に知られずに売却したい
複数の買取業者に査定を依頼し、条件を比較することで、適正な買取価格を把握できます。買取と仲介のどちらが適しているか、自分の状況に合わせて判断しましょう。
不明点は、宅地建物取引士や税理士など専門家に相談することをおすすめします。
