不動産投資を検討している方へ
不動産投資に興味はあるが、「リスクが高そう」「失敗したらどうしよう」と不安に感じる方も多いのではないでしょうか。
この記事では、不動産投資の主要リスク(空室、金利上昇、家賃下落、災害等)を体系的に整理し、各リスクの対策方法を具体的に解説します。不動産会社や専門家の見解、実際の失敗事例を元に、リスク管理の実践的なポイントをご紹介します。
不動産投資を検討している方が、リスクを正しく理解し、成功率を高めるための準備ができるようになります。
この記事のポイント
- 不動産投資は「ミドルリスク・ミドルリターン」で、株式投資より価格変動が小さく、リスクの種類が事前に決まっており対策を立てやすい
- 最大のリスクは空室リスクで、失敗の約36%が長期空室が原因(都心マンション型は空室率9-14%、アパート型は33-41%)
- 金利上昇リスクは固定金利を選ぶ・頭金を多めに入れる・繰上返済で対策可能(変動金利でも5年ルール・125%ルールで保護)
- 40.7%の投資家が失敗経験あり、主な原因は立地の悪さ・現地未確認・修繕費の過小見積もり
- 成功率を高めるには、立地選び(駅徒歩10分以内、都心部)、管理会社選び、専門家への相談が重要
不動産投資のリスクとは(ミドルリスク・ミドルリターンの特性)
不動産投資は株式投資より価格変動が小さい
不動産投資は、株式投資と比較して「ミドルリスク・ミドルリターン」の投資特性があります。株式投資は短期間で価格が大きく変動する一方で、不動産は実物資産であり、価格変動が比較的緩やかです。
また、賃貸収入という安定したキャッシュフローが得られるため、長期的な資産形成に向いています。ただし、リスクがゼロではないため、事前にリスクを理解し、対策を講じることが重要です。
リスクの種類が事前に決まっており対策を立てやすい
不動産投資のリスクは、7-10種類程度に分類されており、事前に対策を立てやすい特徴があります。主要なリスクは以下の通りです。
- 空室リスク
- 金利上昇リスク
- 家賃滞納リスク
- 家賃下落リスク
- 災害リスク
- 資産価値下落リスク
- 修繕リスク
- その他(税制改正、法規制等)
これらのリスクを理解し、適切な対策を講じることで、失敗の可能性を大幅に低減できます。
「やめとけ」と言われる理由
不動産投資には「やめとけ」という声もあります。その主な理由は以下の通りです。
- 空室リスクが高い: 家賃収入がゼロになるが、ローン返済等の固定費は継続する
- 失敗率が高い: 40.7%の投資家が失敗経験あり(調査結果)
- 初期投資が大きい: 物件購入に数千万円〜数億円が必要
- 流動性が低い: すぐに現金化できない
ただし、これらのリスクは適切な対策を講じることで回避・低減できます。「やめとけ」と言われる理由を理解した上で、リスク管理を徹底することが成功の鍵です。
不動産投資の主要リスク7-10選
(1) 空室リスク(最大のリスク)
空室リスクは、不動産投資の最大のリスクです。賃貸物件に入居者が入らず、家賃収入が得られないリスクを指します。
影響:
- 家賃収入がゼロになる
- ローン返済、管理費、固定資産税等の固定費は継続
- 長期化すると収支が悪化し、投資失敗につながる
失敗の約36%が長期空室が原因であり、不動産投資で最も警戒すべきリスクです。
(2) 金利上昇リスク
金利上昇リスクは、住宅ローンの金利が上昇し、返済額が増加するリスクです。変動金利で借入をしている場合、市場金利の上昇により返済負担が増加します。
影響:
- 返済額が増加し、収支が悪化
- キャッシュフローがマイナスになる可能性
(3) 家賃滞納リスク
家賃滞納リスクは、入居者が家賃を滞納し、収入が途絶えるリスクです。滞納が長期化すると、法的手続き(訴訟、強制退去等)が必要になり、費用と時間がかかります。
(4) 家賃下落リスク
家賃下落リスクは、物件の老朽化や周辺環境の悪化等により、家賃が下落するリスクです。長期的に収益が減少し、投資効率が悪化します。
(5) 災害リスク(地震・火災・台風等)
災害リスクは、地震・火災・台風・水害等により物件が損傷し、修繕費用や収入減少が発生するリスクです。日本は地震大国であるため、特に地震リスクに注意が必要です。
(6) 資産価値下落リスク
資産価値下落リスクは、物件の老朽化、周辺環境の悪化、人口減少等により、物件の市場価値が下落するリスクです。売却時に購入価格を下回る可能性があります。
(7) 修繕リスク
修繕リスクは、設備故障や経年劣化により、予想外の修繕費用が発生するリスクです。築年数が古い物件ほど修繕費用が高額になる傾向があります。
(8) その他のリスク(税制改正、法規制等)
- 税制改正リスク: 不動産取得税、固定資産税、譲渡所得税等の税率が変更されるリスク
- 法規制リスク: 建築基準法、借地借家法等の法改正により、賃貸経営に影響が出るリスク
- 人口減少リスク: 日本の人口は2008年をピークに減少しており、長期的に賃貸需要が減少する可能性
空室リスクへの対策(最大のリスク)
空室リスクの影響(失敗の約36%が空室原因)
空室リスクは、不動産投資で最も警戒すべきリスクです。調査によると、失敗の約36%が「長期的に空室が続いた」ことが原因です。
空室が続くと、家賃収入がゼロになる一方で、ローン返済、管理費、固定資産税等の固定費は継続するため、収支が大幅に悪化します。
都心マンション型(空室率9-14%)とアパート型(33-41%)の違い
空室率は、物件タイプによって大きく異なります。
| 物件タイプ | 空室率 |
|---|---|
| 都心マンション型 | 9-14% |
| アパート型 | 33-41% |
都心マンション型は需要が高く空室率が低い一方で、アパート型(特に地方)は空室リスクが高い傾向にあります。
例えば、RENOSYは2025年3月時点で入居率99.7%、平均空室期間18日と好調な実績を示しています。都心マンション型投資の強みが表れています。
立地選びの重要性(駅徒歩10分以内、都心部、再開発予定エリア)
空室リスクを低減する最も効果的な方法は、立地選びです。以下の条件を満たす物件を選ぶことで、長期的に賃貸需要が見込めます。
- 駅徒歩10分以内: 通勤・通学の利便性が高い
- 都心部: 人口が多く、賃貸需要が安定
- 再開発予定エリア: 将来的な資産価値上昇が期待できる
- 人口減少が緩やかなエリア: 長期的な賃貸需要が見込める
実際の失敗事例として、「駅から徒歩20分の県境物件で7ヶ月間空室が続いた」というケースがあります。立地が悪いと、空室リスクが高まることが明確です。
管理会社選びのポイント
空室リスクを低減するには、優れた管理会社を選ぶことも重要です。管理会社の役割は以下の通りです。
- 入居者募集・審査
- 家賃回収
- トラブル対応
- 修繕・メンテナンス
管理会社の実績(入居率、空室期間等)を確認し、信頼できる会社を選びましょう。
サブリース契約の注意点(免責期間、解約リスク)
サブリース契約は、不動産会社が物件を一括借上げし、オーナーに家賃保証する契約です。空室リスクを回避できる一方で、以下の注意点があります。
- 免責期間: 契約開始直後や入居者入替時は家賃保証されない期間がある
- 解約リスク: 不動産会社が契約解除する可能性がある
- 家賃減額リスク: 市場環境の変化により、保証家賃が減額される可能性
契約内容(免責期間、解約条項、家賃見直し条件等)を慎重に確認してください。
金利上昇・家賃下落・災害リスクへの対策
金利上昇リスクの対策(固定金利、頭金投入、繰上返済)
金利上昇リスクへの対策は以下の通りです。
- 固定金利を選ぶ: 契約時に金利を固定し、将来の金利上昇リスクを回避
- 頭金を多めに入れる: 借入額を減らし、金利上昇の影響を低減
- 繰上返済を行う: 余裕があれば繰上返済で借入残高を減らす
変動金利の保護ルール(5年ルール、125%ルール)
変動金利で借入をしている場合でも、以下のルールで急激な返済額増加は保護されます。
- 5年ルール: 変動金利でも5年間は返済額が変わらない
- 125%ルール: 返済額が増加する場合でも、前回の125%までに制限される
ただし、未払利息が発生する可能性があるため、金利動向を常に確認することが推奨されます。
家賃下落リスクの対策(賃貸需要の長期見込めるエリア選定)
家賃下落リスクを低減するには、賃貸需要が長期的に見込めるエリアを選ぶことが重要です。
- 人口が増加しているエリア: 東京23区、横浜、川崎、福岡等
- 再開発予定エリア: 駅前再開発、大型商業施設の建設等
- 大学・企業が多いエリア: 学生・単身者の賃貸需要が安定
日本の人口は2008年をピークに減少しており、長期的には都心部に賃貸需要が集中する傾向があります。
災害リスクの対策(火災保険・地震保険、ハザードマップ確認、新耐震基準)
災害リスクへの対策は以下の通りです。
- 火災保険・地震保険に加入: 災害時の修繕費用をカバー
- ハザードマップで確認: 水害・土砂災害リスクを事前に把握
- 新耐震基準以降の物件を選ぶ: 1981年6月以降の建築基準法改正後の物件は耐震性が高い
- 定期的なメンテナンス: 設備の故障を早期発見し、大規模修繕を回避
不動産投資の失敗事例と成功率を高める方法
失敗率40.7%の調査結果
調査によると、40.7%の投資家が不動産投資で失敗経験があります。主な失敗原因は以下の通りです。
- 長期的に空室が続いた(約36%)
- 立地が悪かった
- 修繕費用が想定以上にかかった
- 現地を見ずに購入した
これらの失敗は、事前の調査と専門家への相談で回避できる可能性があります。
具体的な失敗事例(県境の駅徒歩20分物件で7ヶ月空室等)
実際の失敗事例をいくつかご紹介します。
事例1: 県境の駅徒歩20分物件で7ヶ月空室
- 立地が悪く、入居者が見つからなかった
- 7ヶ月間家賃収入ゼロで、収支が大幅に悪化
事例2: 現地を見ずにインターネット情報のみで購入
- 実際に訪問すると、周辺環境が悪く(治安、騒音等)賃貸需要が低かった
- 想定家賃で入居者が見つからず、家賃を下げざるを得なかった
事例3: 修繕費用が想定以上にかかった
- 築年数の古い物件を購入し、設備故障が頻発
- 修繕費用が年間数十万円〜数百万円に達し、収支が悪化
失敗の共通パターン(現地未確認、立地軽視、修繕費過小見積もり)
失敗事例には、以下の共通パターンがあります。
- 現地を確認しない: インターネット情報のみで判断し、実際の環境を把握していない
- 立地を軽視する: 駅から遠い、治安が悪い等、賃貸需要が低い立地を選ぶ
- 修繕費を過小見積もりする: 築年数の古い物件の修繕費用を軽視し、想定外の出費が発生
- 専門家に相談しない: 不動産会社、税理士、ファイナンシャルプランナー等の専門家への相談を怠る
成功率を高める5つのポイント
成功率を高めるには、以下の5つのポイントを押さえましょう。
- 立地選び: 駅徒歩10分以内、都心部、再開発予定エリアを選ぶ
- 現地確認: 必ず現地を訪問し、周辺環境・治安・交通の便を確認
- 管理会社選び: 実績のある管理会社を選び、空室リスクを低減
- 専門家への相談: 不動産会社、税理士、ファイナンシャルプランナー等に相談し、リスクを把握
- 資金計画: 頭金を多めに入れ、金利上昇リスクに備える。修繕費用を余裕を持って見積もる
まとめ:リスクを理解して不動産投資を成功させる
不動産投資は「ミドルリスク・ミドルリターン」の投資で、株式投資より価格変動が小さく、リスクの種類が事前に決まっており対策を立てやすい特徴があります。
最大のリスクは空室リスクで、失敗の約36%が長期空室が原因です。都心マンション型は空室率9-14%、アパート型は33-41%であり、立地選びが成功の鍵です。金利上昇リスクは固定金利を選ぶ・頭金を多めに入れる・繰上返済で対策可能です。
40.7%の投資家が失敗経験があり、主な原因は立地の悪さ・現地未確認・修繕費の過小見積もりです。成功率を高めるには、立地選び(駅徒歩10分以内、都心部)、現地確認、管理会社選び、専門家への相談、資金計画が重要です。
不動産投資のリスクは複数ありますが、物件・立地・市場状況により大きく異なります。執筆時点(2025年)のデータであることを明記し、具体的な投資判断は専門家(不動産会社、税理士、ファイナンシャルプランナー等)への相談を強く推奨します。
