戸建て投資とは|注目される理由と基本的な仕組み
戸建て投資に興味があるものの、「本当に儲かるのか」「アパート投資との違いは何か」と疑問を抱えている方は多いのではないでしょうか。
この記事では、戸建て投資の基本的な仕組み、メリット・デメリット、始め方のポイントを解説します。国土交通省の不動産価格指数や総務省の住宅・土地統計調査をもとに、投資判断に必要な情報を提供します。
この記事のポイント
- 戸建て投資は賃貸物件全体の約3.7%と競合が少ない
- 利回りの目安は新築5〜6%、中古6〜8%、地方は10%以上も可能
- 中古戸建ては300〜500万円から始められるが、リフォーム費用も考慮が必要
- 1室のみのため空室時は収入ゼロになるリスクがある
- 投資判断は物件・立地・市場動向を踏まえ、複数の専門家に相談を推奨
戸建て投資の基礎知識:利回り・種類・初期費用
戸建て投資を始める前に、利回りの考え方や物件の種類、必要な初期費用を理解しておくことが重要です。
表面利回りと実質利回りの違い
不動産投資で使われる利回りには「表面利回り」と「実質利回り」があります。
| 種類 | 計算式 | 特徴 |
|---|---|---|
| 表面利回り | 年間家賃収入÷物件購入価格×100 | 諸経費を含まない概算値 |
| 実質利回り | (年間家賃収入−年間経費)÷(購入価格+諸費用)×100 | 経費を含む実態に近い数値 |
物件を比較する際は表面利回りが使われることが多いですが、実際の収益を判断するには実質利回りを確認することが大切です。
新築・中古・ボロ戸建ての違い
戸建て投資は物件の状態により、特徴とリスクが異なります。
- 新築戸建て: 修繕費がかからず管理が楽。ただし初期費用が高く、利回りは5〜6%程度
- 中古戸建て: 価格が抑えめで利回り6〜8%程度。リフォーム費用の見積もりが重要
- ボロ戸建て: 100万円台から購入可能だが、大規模修繕が必要。専門知識と手間が求められる
ボロ戸建てとは、築年数が古く状態の悪い物件を指します。高利回りが期待できる反面、初心者には向かない場合があります。
初期費用の目安(100万円台〜数千万円)
戸建て投資の初期費用は物件タイプにより大きく異なります(2025年時点)。
| 物件タイプ | 物件価格の目安 | 備考 |
|---|---|---|
| ボロ戸建て | 100万円〜300万円 | リフォーム費用が別途必要 |
| 中古戸建て | 300万円〜500万円 | 状態により修繕費が変動 |
| 新築戸建て | 数千万円〜 | 修繕費は当面不要 |
物件価格に加えて、登記費用・仲介手数料・リフォーム費用などの諸費用も見込んでおく必要があります。
戸建て投資のメリット5つ
戸建て投資にはアパート・マンション投資と異なる独自のメリットがあります。
競合が少ない(賃貸物件の約3.7%)
総務省の住宅・土地統計調査によると、戸建て賃貸は賃貸物件全体の約3.7%に過ぎません。アパート・マンションに比べて供給が少なく、競合物件が限られるため、適切な立地であれば入居者確保がしやすい傾向にあります。
ファミリー層の長期入居が期待できる
戸建て賃貸の主なターゲットはファミリー層です。子どもの学区や地域コミュニティの関係から、一度入居すると長期間住み続ける傾向があります。入居者の入れ替えに伴う原状回復費用や空室期間を抑えられる可能性があります。
管理費・修繕積立金がかからない
マンション投資では毎月の管理費・修繕積立金が発生しますが、戸建ての場合はこれらがかかりません。修繕費用は必要に応じて自己負担となりますが、支出のタイミングや金額を自分でコントロールできます。
土地の資産価値が残る
建物は経年劣化により価値が下がりますが、土地は価値が残ります。立地が良ければ将来の売却時にも一定の価格で売れる可能性があり、出口戦略を立てやすいメリットがあります。
少額から始められる
中古戸建てであれば300〜500万円程度から、ボロ戸建てなら100万円台から購入できる物件もあります。アパート一棟投資に比べて少ない資金で始められるため、不動産投資の第一歩として選ばれることがあります。
戸建て投資のデメリット・リスクと対策
メリットがある一方で、戸建て投資特有のリスクも理解しておく必要があります。
空室時は収入ゼロのリスク
アパート投資は複数の部屋があるため、一部が空室でも収入はゼロになりません。しかし戸建ては1室のみのため、空室になると収入が完全にゼロになります。入居率は0%か100%のどちらかです。
対策: 購入前に近隣の不動産会社へ賃貸需要をヒアリングし、入居者が見込める立地かを確認することが重要です。
リフォーム費用の高額化
中古戸建て、特にボロ戸建ては購入後にリフォームがほぼ必須です。外壁・屋根・水回りなど、マンションの専有部分よりも修繕範囲が広いため、想定以上に費用がかかるケースがあります。
対策: 購入前に複数の業者からリフォーム見積もりを取り、総投資額を把握してから判断することが大切です。
融資が受けにくい物件もある
中古戸建て、特に築年数の古い物件は担保評価が低く、金融機関からの融資が受けにくい場合があります。既存不適格物件(建築時は合法だったが、法改正により現行法に適合しなくなった建物)は特に注意が必要です。
対策: 新耐震基準(1981年6月1日以降の建築確認)を満たす物件を選ぶことで、融資や将来の売却時のリスクを軽減できます。
戸建て投資の始め方と物件選びのポイント
戸建て投資を始める際には、物件選びが成否を分けます。以下のポイントを押さえて検討しましょう。
新耐震基準と駐車場の確認
新耐震基準を満たす物件は、震度6強〜7程度の地震でも倒壊しないことを想定して設計されています。融資を受けやすく、将来の売却もしやすいため、1981年6月1日以降に建築確認を受けた物件を選ぶことをおすすめします。
また、特に地方・郊外では駐車場付きが必須条件です。車社会を前提とした需要があるため、駐車スペースの有無は入居率に直結します。
近隣の賃貸需要をヒアリング
購入を検討している地域の不動産会社に、戸建て賃貸の需要や相場家賃をヒアリングすることが重要です。「戸建て賃貸を探している人はいるか」「この家賃で入居者は見つかりそうか」など、実需を確認してから購入を判断しましょう。
2024-2025年の市場動向を踏まえた判断
日本銀行の金融政策により、2024年3月にマイナス金利が解除され、2025年1月には政策金利が0.5%に引き上げられました。住宅ローン金利は0.6〜0.9%程度で推移しています(2025年時点)。
金利上昇は不動産価格の下落要因となる可能性がありますが、市場動向は様々な要因で変動します。投資判断は最新の市場情報を踏まえ、複数の専門家に相談した上で行うことを推奨します。
まとめ:戸建て投資に向いている人と次のステップ
戸建て投資は、アパート・マンション投資に比べて競合が少なく、少額から始められるメリットがあります。一方で、空室時は収入ゼロになるリスクや、リフォーム費用の負担も理解しておく必要があります。
戸建て投資に向いているのは、以下のような方です。
- 少額から不動産投資を始めたい方
- DIYや物件管理に興味がある方
- 長期的な視点で資産形成を考えている方
- 土地の資産価値を重視する方
まずは興味のあるエリアの物件情報を収集し、賃貸需要をリサーチすることから始めてみましょう。税務や法律面については、税理士や宅地建物取引士への相談を推奨します。


