不動産用語集|売買・賃貸でよく使われる専門用語を初心者向けに解説

著者: Room Match編集部公開日: 2025/11/18

不動産用語がわからないと損をする理由

不動産取引(売買・賃貸)を初めて経験する際、契約書や物件情報に出てくる専門用語がわからず困ることがあります。この記事では、不動産取引でよく使われる用語を体系的に解説します。

この記事のポイント

  • 基本的な40-60個の用語を覚えれば、賃貸・売買の基本的な取引は理解できる
  • 不動産用語は取引・物件・契約法律・顧客対応の4カテゴリに分けて覚えると効率的
  • 接道義務・瑕疵担保責任・重要事項説明など、知らないと資産価値や契約リスクに直結する用語がある
  • 仲介手数料の上限(物件価格の3%+6万円+消費税)を知らないと過剰請求に気づかない
  • アットホーム・LIFULL HOME'Sなど大手ポータルサイトが無料の用語集を提供

不動産用語を知らないと、以下のような損失やリスクが発生する可能性があります。

金銭的な損失:

  • 仲介手数料の過剰請求: 上限(物件価格の3%+6万円+消費税)を知らないと、違法な請求に気づかない
  • 瑕疵担保責任の免責: 契約書の「瑕疵担保責任を負わない」という条項を見逃し、物件の欠陥があっても損害賠償請求できない
  • 再建築不可物件の購入: 接道義務を理解していないと、将来建て替えができず資産価値が大幅に低下する物件を購入してしまう

契約上のトラブル:

  • 重要事項説明の見落とし: 専門用語が多いため、重要な制限事項(用途地域、建ぺい率等)を理解できずに契約してしまう
  • 手付金の扱いの誤解: 手付金の解約時のルール(買主が放棄、売主が倍返し)を知らないと、解約時にトラブルになる

不動産用語を正確に理解することは、安全な取引の基本です。

不動産用語の基本知識(カテゴリ別分類と学習法)

不動産用語は膨大ですが、初心者が最初に覚えるべき基本用語は限られています。

(1) 不動産用語の4つのカテゴリ(取引・物件・契約法律・顧客対応)

不動産用語は以下の4つのカテゴリに分類できます。

カテゴリ 主な用語 覚える理由
取引関連 仲介、手付金、決済、仲介手数料 取引プロセスを理解するため
物件関連 LDK、坪単価、接道義務、RC造、メゾネット 物件情報を正確に読み取るため
契約・法律関連 重要事項説明、瑕疵担保責任、契約解除 契約リスクを回避するため
顧客対応関連 追客、ロング客、集中客、決め物 営業担当との会話をスムーズにするため

カテゴリ別に整理して覚えることで、体系的に理解しやすくなります。

(2) 初心者が最初に覚えるべき40-60個の用語

初心者が最初に覚えるべき用語は以下の通りです。

最優先の10個:

  1. LDK: リビング・ダイニング・キッチンが一体となった間取り
  2. 坪単価: 1坪(約3.3㎡)あたりの価格
  3. 接道義務: 4m以上の道路に2m以上接する必要がある規定
  4. 重要事項説明(重説): 契約前に宅地建物取引士が説明する法定書類
  5. 仲介手数料: 不動産会社に支払う手数料(上限あり)
  6. 瑕疵担保責任: 売主が負う隠れた欠陥への責任
  7. 手付金: 契約時に買主が売主に支払う金銭
  8. 決済: 売買代金の支払いと物件の引き渡しを同時に行う手続き
  9. RC造: 鉄筋コンクリート造(耐火性・耐久性に優れる)
  10. 基準地価: 国土交通省が公表する土地価格(不動産取引の目安)

これらの用語を理解すれば、基本的な物件情報と契約書の内容を把握できます。

(3) 効率的な学習法と無料の用語集サイト

効率的な学習法は以下の通りです。

学習法:

  • カテゴリ別に覚える: 取引→物件→契約法律→顧客対応の順で覚える
  • 実際の物件情報で確認: ポータルサイトの物件情報を見ながら用語を確認
  • 理解度テスト: CHINTAI JOURNALなどが提供する無料の理解度テストで確認

無料の用語集サイト:

これらのサイトを活用することで、無料で体系的に学習できます。

物件・取引関連の重要用語解説

物件情報と取引プロセスに関する用語を詳しく解説します。

(1) LDK・DK・坪単価など物件情報の基本用語

LDK・DK:

  • LDK: リビング(Living)・ダイニング(Dining)・キッチン(Kitchen)が一体となった間取り
  • DK: ダイニングとキッチンのみが一体(リビングなし)
  • : 「2LDK」は2部屋+LDK、「2DK」は2部屋+DK

坪単価:

  • 定義: 1坪(約3.3㎡)あたりの価格
  • 計算: 土地・建物の総額÷坪数
  • 活用: 物件の価格を比較する際の指標

基準地価:

  • 定義: 国土交通省が毎年7月1日時点で調査・公表する土地価格
  • 活用: 不動産取引の目安として活用(公示地価と並ぶ公的な価格指標)

(2) RC造・SRC造・メゾネットなど構造・間取り用語

RC造(Reinforced Concrete):

  • 定義: 鉄筋コンクリート造
  • 特徴: 耐火性・耐久性・遮音性に優れる
  • 用途: マンション、ビルなどの中高層建築

SRC造(Steel Reinforced Concrete):

  • 定義: 鉄骨鉄筋コンクリート造
  • 特徴: RC造より強度が高く、高層建築に適している
  • 用途: 超高層マンション、大型ビル

メゾネット:

  • 定義: 集合住宅内で2階層以上にまたがる住戸
  • 特徴: 戸建て感覚で暮らせる、上下の移動が必要

ユニットバス:

  • 狭義: 浴槽と洗面台が一体となった浴室
  • 広義: 浴槽・洗面台・トイレが一体となった浴室(3点ユニット)

納戸(サービスルーム):

  • 定義: 建築基準法の採光・換気基準を満たさない居室扱いでない部屋
  • 表記: 間取り図では「S」(Service Room)と表記されることが多い

(3) 接道義務・再建築不可・用途地域など法規制用語

接道義務:

  • 定義: 建築基準法で4m以上の道路に2m以上接している必要がある規定
  • 理由: 消防車の進入、避難経路の確保
  • リスク: 満たさない場合は「再建築不可」となり、将来建て替えができず資産価値が大幅に低下

再建築不可物件:

  • 定義: 接道義務を満たさない等の理由で、現在の建物を取り壊した後に新たな建物を建てられない物件
  • 価格: 一般的な物件より安価だが、将来建て替えができないため資産価値が低い
  • 注意点: リフォームは可能だが、一度取り壊すと再建築できない

用途地域:

  • 定義: 都市計画法で定められた土地の用途区分(住宅地、商業地、工業地等)
  • 影響: 建築できる建物の種類・高さ・建ぺい率・容積率が制限される
  • 確認: 重要事項説明書に記載される

(4) 仲介・手付金・決済など取引プロセス用語

仲介:

  • 定義: 不動産会社が売主・買主の間に入り、契約を成立させる業務
  • 報酬: 仲介手数料(後述)

手付金:

  • 定義: 契約時に買主が売主に支払う金銭(通常、物件価格の5-10%)
  • 役割: 契約成立の証明、解約時の違約金
  • 解約時のルール:
    • 買主都合の解約: 手付金を放棄(返還されない)
    • 売主都合の解約: 手付金の倍額を買主に返還

決済:

  • 定義: 売買代金の支払いと物件の引き渡しを同時に行う手続き
  • 場所: 通常、銀行で実施(住宅ローンの融資実行と同時)
  • 参加者: 売主、買主、不動産会社、司法書士、銀行担当者

契約・法律関連の必須用語

契約書や重要事項説明書に出てくる法律用語を解説します。

(1) 重要事項説明(重説)の内容と確認ポイント

重要事項説明(重説):

  • 定義: 宅地建物取引士が契約前に買主・借主に説明する法定義務のある書類
  • 内容:
    • 物件の権利関係(所有者、抵当権の有無等)
    • 法令上の制限(用途地域、建ぺい率、容積率等)
    • インフラ(上下水道、電気、ガス等)
    • 契約条件(契約解除の条件、瑕疵担保責任の有無等)

確認ポイント:

  • 専門用語は必ず質問: 理解できない用語はその場で質問する(後で問題になる可能性)
  • 制限事項の確認: 用途地域、建ぺい率、容積率など、将来の建て替え・リフォームに影響する制限を確認
  • インフラの確認: 上下水道、電気、ガスの引き込み状況(未整備の場合は別途費用が発生)

(2) 瑕疵担保責任と契約解除の条件

瑕疵担保責任:

  • 定義: 売主が買主に対して負う隠れた欠陥(瑕疵)への責任
  • 内容: 隠れた欠陥があれば、買主は損害賠償請求や契約解除が可能
  • 期間: 通常、引渡しから3ヶ月〜1年(契約により異なる)
  • 免責条項: 個人間売買では「瑕疵担保責任を負わない」という条項が入る場合がある(中古物件に多い)

契約解除:

  • 手付解除: 手付金の放棄(買主)または倍返し(売主)により解約可能(契約から一定期間内)
  • ローン特約による解除: 住宅ローンの審査が通らなかった場合、無条件で解約可能(手付金が返還される)
  • 違約解除: 売主・買主のいずれかが契約違反した場合、違約金を支払って解約

(3) 業界隠語(ハマる・両手・決め物)の実務的な意味

不動産業界では、業務効率化のために独自の隠語が使われます。

ハマる:

  • 意味: 住宅ローンの審査条件に適合すること
  • 用例: 「この顧客、フラット35にハマりそう」

両手:

  • 意味: 売主・買主の両方から仲介手数料を取得すること
  • 仲介手数料: 通常、売主または買主のいずれか一方から取得(「片手」)するが、自社で売主・買主の両方を見つけた場合は両方から取得できる(「両手」)

決め物(本命物件):

  • 意味: 営業最終段階での本命物件
  • 用例: 「この物件が決め物になりそう」

追客:

  • 意味: 過去に接触した顧客に再度アプローチする営業活動
  • 用例: 「先月の来店客に追客する」

これらの隠語を知っておくと、営業担当との会話がスムーズになります。

税金・費用関連の用語とリスク回避のポイント

不動産取引には様々な税金・費用が発生します。用語を正確に理解することで、金銭トラブルを回避できます。

(1) 仲介手数料の上限(物件価格の3%+6万円+消費税)

仲介手数料:

  • 定義: 不動産会社に支払う手数料
  • 上限(売買の場合):
    • 物件価格が400万円超の場合: 物件価格の3%+6万円+消費税
    • 物件価格が200万円超〜400万円以下: 物件価格の4%+2万円+消費税
    • 物件価格が200万円以下: 物件価格の5%+消費税
  • 上限(賃貸の場合): 家賃1ヶ月分+消費税

リスク回避のポイント:

  • 上限を超える請求は違法: 上限を知らないと、過剰請求に気づかない
  • 計算例(物件価格5,000万円の場合):
    • 仲介手数料 = 5,000万円 × 3% + 6万円 = 156万円
    • 消費税込み = 156万円 × 1.1 = 171.6万円

(2) 印紙税・不動産取得税・固定資産税の基礎知識

印紙税:

  • 定義: 売買契約書に貼付する税金
  • 金額: 契約金額により変動(例: 1,000万円超〜5,000万円以下は1万円)
  • 注意点: 売主・買主がそれぞれ印紙税を負担(契約書を2通作成する場合)

不動産取得税:

  • 定義: 不動産を取得した際に課される税金
  • 税率: 固定資産税評価額の3%(土地・住宅の場合、2025年3月31日まで)
  • 軽減措置: 新築住宅の場合、最大1,200万円控除

固定資産税:

  • 定義: 毎年1月1日時点の不動産所有者に課される税金
  • 税率: 固定資産税評価額の1.4%(標準税率)
  • 支払い: 年4回に分けて納付

(3) 住宅ローン用語(フラット35・変動金利・金消)

フラット35:

  • 定義: 住宅金融支援機構が提供する最長35年の固定金利住宅ローン
  • 特徴: 全期間固定金利のため、将来の金利上昇リスクがない
  • 条件: 物件の技術基準(耐震性、省エネ性等)を満たす必要がある

変動金利:

  • 定義: 市場金利に連動して金利が変動する住宅ローン
  • 特徴: 固定金利より低金利だが、将来金利が上昇するリスクがある
  • 見直し: 通常、半年ごとに金利が見直される

金消(金銭消費貸借契約):

  • 定義: 住宅ローンの正式な契約(銀行と借主が締結)
  • タイミング: 決済の1〜2週間前
  • 内容: 借入金額、金利、返済期間、返済方法等を確定

(4) 用語を知らないことで発生する金銭トラブル

実際のトラブル例:

  • 仲介手数料の過剰請求: 「物件価格の5%」と請求されたが、上限(3%+6万円+消費税)を超えていた
  • 接道義務の見落とし: 再建築不可物件と知らずに購入し、将来建て替えができず資産価値が大幅に低下
  • 瑕疵担保責任の免責: 契約書の「瑕疵担保責任を負わない」という条項を見逃し、物件の欠陥があっても損害賠償請求できなかった

これらのトラブルは、用語を正確に理解していれば回避できます。

まとめ:状況別に優先すべき用語の覚え方

不動産用語は膨大ですが、状況別に優先すべき用語を絞って覚えることで、効率的に学習できます。

賃貸物件を探す場合(優先度高):

  • LDK、DK、ユニットバス、メゾネット、敷金、礼金、仲介手数料、重要事項説明

不動産を購入する場合(優先度高):

  • 坪単価、接道義務、再建築不可、RC造、SRC造、重要事項説明、瑕疵担保責任、手付金、決済、仲介手数料、フラット35、変動金利、印紙税、不動産取得税、固定資産税

不動産を売却する場合(優先度高):

  • 仲介手数料、専任媒介、一般媒介、瑕疵担保責任、手付金、決済、譲渡所得税

不動産業界で働く場合(優先度高):

  • 追客、ロング客、集中客、決め物、ハマる、両手、REINS、おとり物件

自身の状況に応じて優先順位をつけ、まずは基本的な40-60個の用語から学習を始めましょう。用語を正確に理解することで、安全で納得のいく不動産取引が可能になります。

よくある質問

Q1不動産用語は何個覚えればいい?

A1基本的な40-60個の用語を覚えれば、賃貸・売買の基本的な取引は理解できます。最優先で覚えるべき用語は、LDK、坪単価、接道義務、重要事項説明、仲介手数料、瑕疵担保責任、手付金、決済、RC造、基準地価の10個です。これらを理解すれば、基本的な物件情報と契約書の内容を把握できます。状況別(賃貸・購入・売却・業界勤務)に優先順位をつけて学習すると効率的です。

Q2LDKとDKの違いは?

A2LDKはリビング(Living)・ダイニング(Dining)・キッチン(Kitchen)が一体となった間取りで、DKはダイニングとキッチンのみが一体(リビングなし)です。例えば「2LDK」は2部屋+LDK、「2DK」は2部屋+DKを意味します。一般的にLDKの方が広く、リビングスペースがあるため、ゆったりとした生活ができます。

Q3仲介手数料の上限はいくら?

A3売買の場合、物件価格が400万円超のときは物件価格の3%+6万円+消費税が上限です(例: 5,000万円の物件なら171.6万円)。賃貸の場合は家賃1ヶ月分+消費税が上限です。この上限を超える請求は宅地建物取引業法違反となり違法です。用語を知らないと過剰請求に気づかない可能性があるため、契約前に必ず確認しましょう。

Q4不動産用語集はどこで調べられる?

A4アットホーム、LIFULL HOME'S、住友不動産ステップなど大手不動産ポータルサイトが無料で包括的な用語集を提供しています。アットホームはあいうえお順で検索可能、LIFULL HOME'Sは賃貸・購入・売却・リフォーム・建築・投資の用語を網羅しています。CHINTAI JOURNALでは新人社員向けの40個の基本用語を理解度テスト付きで無料配布しています。

Q5接道義務を満たさない物件のリスクは?

A5建築基準法で4m以上の道路に2m以上接していない物件は「再建築不可物件」となり、現在の建物を取り壊した後に新たな建物を建てられません。リフォームは可能ですが、一度取り壊すと再建築できないため、将来建て替えができず資産価値が大幅に低下するリスクがあります。物件購入前に重要事項説明書で接道状況を必ず確認しましょう。

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Room Match編集部

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