不動産仲介手数料を半額にする方法とは?交渉のコツと注意点を解説

著者: Room Match編集部公開日: 2025/11/21

不動産仲介手数料の基礎知識:法律と上限額

不動産仲介手数料は、契約が成立した場合のみ支払う成功報酬です。法律は上限額のみを定めており、下限はありません。

仲介手数料とは:成功報酬の仕組み(契約成立時のみ支払い)

仲介手数料は、不動産会社が売買や賃貸の仲介を行った際に、契約成立時のみ支払う成功報酬です。契約が不成立の場合は支払う必要がありません。

宅建業法第46条:上限のみ規定、下限はない

仲介手数料の上限は、宅地建物取引業法第46条により定められています。国土交通大臣が上限額を告示しており、この上限を超える請求は違法です。一方、下限は規定されていないため、半額や無料も法律上は問題ありません(国土交通省)。

上限額を超える請求は違法:国土交通省告示

上限額を超える仲介手数料を請求された場合は、違法行為に該当します。また、「ローン事務手数料」などの名目で別途請求するのも違法です(国土交通省)。

仲介手数料の計算方法:売買と賃貸の違い

売買と賃貸では仲介手数料の上限額の計算方法が異なります。2024年7月1日からは800万円以下の物件の上限額が変更されています。

売買の仲介手数料上限:物件価格の3%+6万円+消費税(400万円超の場合)

売買の仲介手数料の上限額は、物件価格により異なります。

物件価格 仲介手数料の上限
200万円以下 物件価格の5%+消費税
200万円超〜400万円以下 物件価格の4%+2万円+消費税
400万円超 物件価格の3%+6万円+消費税

(出典: 三井のリハウス

例えば、3000万円の物件の場合:

  • 上限額 = 3000万円 × 3% + 6万円 + 消費税10% = 105.6万円

「3%+6万円」の6万円は何か:段階的な計算式を簡略化したもの

「3%+6万円」の6万円は、200万円以下の部分(5%)、200万円超〜400万円以下の部分(4%)の計算を簡略化したものです。400万円超の物件であれば、この公式で一括計算できます。

賃貸の仲介手数料上限:貸主・借主合計で家賃1.1ヶ月分

賃貸の仲介手数料の上限は、貸主・借主の合計で「家賃1.1ヶ月分(1ヶ月分+消費税10%)」です。通常は借主が家賃1ヶ月分+消費税を支払うケースが多いですが、契約前に説明があれば合法です。事後請求は違法の可能性があります(2019年東京地裁判例)。

2024年7月の法改正:800万円以下の物件は33万円(税込)に変更

2024年7月1日から、800万円以下の不動産売買の仲介手数料上限が33万円(税込)に引き上げられました。これは、空き家問題や地方の不動産流通を促進するための改定です(売買の窓口)。

仲介手数料を半額にする方法:交渉のコツとタイミング

仲介手数料は交渉により半額になる場合があります。交渉のタイミングと方法が重要です。

交渉の最適なタイミング:見積もり後・内見後(申し込み後は遅い)

仲介手数料の値引き交渉は、以下のタイミングが最適です。

タイミング 成功率 理由
見積もり後・内見後 高い 会社側も契約を取りたいため柔軟に対応
申し込み後 低い 既に契約前提のため交渉余地が少ない
契約後 ほぼ不可 契約済みのため交渉不可

(出典: GKコンサルティング

メール交渉の例文と言い方:件名は「仲介手数料について相談」、具体的な金額を提示

仲介手数料の値引き交渉は、メールで丁寧に行うことを推奨します。

メール例文:

件名: 仲介手数料について相談

〇〇不動産 ご担当者様

いつもお世話になっております。
先日ご提示いただいた物件(〇〇マンション)につきまして、
ぜひ購入を前向きに検討しております。

つきましては、仲介手数料についてご相談がございます。
もし可能であれば、仲介手数料を〇円(半額)に
値下げしていただけないでしょうか。

ご検討のほど、よろしくお願い申し上げます。

(署名)

ポイント:

  • 件名は「仲介手数料について相談」と明記
  • 丁寧な言葉遣いで具体的な金額を提示
  • 購入意欲を示す(「前向きに検討」等)

値引き交渉が断られた場合の対応:他社への乗り換えも選択肢

値引き交渉が断られた場合は、他社に乗り換えるのも選択肢です。ただし、時間的余裕が必要なため、早めに行動することを推奨します。

仲介手数料半額・無料の会社の仕組みとメリット・デメリット

仲介手数料半額・無料の会社が増えています。IT活用や店舗削減でコスト削減を実現していますが、サービス品質には注意が必要です。

半額・無料を実現する仕組み:IT活用、実店舗削減、広告費削減

仲介手数料半額・無料の会社は、以下の方法でコスト削減を実現しています。

  • IT活用: オンライン内見、電子契約でコスト削減
  • 実店舗削減: 店舗を持たず、人件費・家賃を削減
  • 広告費削減: Web集客に特化、チラシ・新聞広告を削減

これらのコスト削減により、仲介手数料を半額や無料にしても利益を確保できる仕組みです(イエウール)。

メリット:3000万円の物件で半額なら約50万円の節約

仲介手数料を半額にすると、大きな節約になります。

節約額の例:

  • 3000万円の物件の上限額: 105.6万円
  • 半額: 52.8万円
  • 節約額: 約53万円

この金額は、引越し費用や家具購入などに充てることができます。

デメリット:契約手続きや物件説明などのサービス品質低下の可能性

仲介手数料を極端に下げると、以下のサービス品質が低下する可能性があります。

  • 契約手続きの丁寧さ
  • 物件説明の詳細さ
  • 購入後のアフターサポート

安さだけでなく、対応力や実績も比較検討してください。

半額・無料サービスの認知度:約8割が「知らなかった」(2022年調査)

2022年の調査によると、約8割の人が仲介手数料無料・半額のサービスを「知らなかった」と回答しています(イエフリコラム)。認知度はまだ低いですが、利用には前向きな意見が多いです。

2024年7月の法改正と2025年の業界動向

2024年7月1日に仲介手数料の上限額が改定され、2025年からは囲い込みが行政処分の対象になります。

800万円以下の物件の上限引き上げ:33万円(税込)に変更

2024年7月1日から、800万円以下の不動産売買の仲介手数料上限が33万円(税込)に引き上げられました。これは、空き家問題や地方の不動産流通を促進するための改定です(売買の窓口)。

2025年から囲い込みが行政処分の対象に

囲い込みとは、不動産会社が売却物件の情報を他社に公開せず、自社で買主も見つけようとする行為です。2025年からは行政処分の対象となり、厳しく取り締まられます。

仲介手数料の上限額(3%+6万円)は1970年から変更なし

仲介手数料の上限額(3%+6万円)は1970年から変更されていません。物価上昇や人件費増加を考慮すると、今後見直される可能性もあります。

まとめ:仲介手数料を抑えるための重要ポイント

仲介手数料は、法律で上限のみが定められており、下限はないため半額や無料も可能です。交渉する場合は、見積もり後・内見後が最適なタイミングで、メールで丁寧に具体的な金額を提示することが重要です。

仲介手数料半額・無料の会社は、IT活用や店舗削減でコスト削減を実現しています。3000万円の物件で半額なら約50万円の節約になりますが、サービス品質(契約手続き、物件説明等)が落ちないか確認することが重要です。

2024年7月1日から800万円以下の物件の上限が33万円(税込)に変更され、2025年からは囲い込みが行政処分の対象になります。国土交通省の宅建業法で最新情報を確認し、信頼できる不動産会社を選びましょう。

よくある質問

Q1仲介手数料は半額にできますか?

A1はい、法律は上限のみ規定しており、下限はないため半額や無料も可能です。交渉する場合は見積もり後・内見後が最適なタイミングです。メールで「仲介手数料について相談」と件名を明記し、具体的な金額を提示することを推奨します。ただし、値引き交渉が断られる場合もあるため、複数の不動産会社に相談することも検討してください。

Q2仲介手数料の「3%+6万円」の6万円は何ですか?

A2段階的な計算式(200万円以下5%、200万円超〜400万円以下4%、400万円超3%)を簡略化したものです。400万円超の物件であれば「物件価格×3%+6万円+消費税」で上限額を一括計算できます。例えば、3000万円の物件の場合、上限額は105.6万円です。

Q3賃貸で家賃1ヶ月分の仲介手数料は違法ですか?

A3契約前に説明があれば合法です。賃貸の仲介手数料の上限は、貸主・借主の合計で家賃1.1ヶ月分(1ヶ月分+消費税10%)です。通常は借主が家賃1ヶ月分+消費税を支払うケースが多いですが、事前説明がない契約後の請求は違法の可能性があります(2019年東京地裁判例)。

Q4仲介手数料の交渉はいつすべきですか?

A4見積もり後・内見後が最適です。このタイミングであれば、会社側も契約を取りたいため柔軟に対応してもらえる可能性が高いです。申し込み後では既に契約前提のため交渉余地が少なく、契約後はほぼ不可能です。メールで丁寧に具体的な金額を提示し、購入意欲を示すことが重要です。

Q5仲介手数料が無料・半額の会社は怪しいですか?

A5IT活用や店舗削減でコスト削減しており、違法ではありません。オンライン内見、電子契約、Web集客に特化することで、仲介手数料を半額や無料にしても利益を確保できる仕組みです。ただし、サービス品質(契約手続き、物件説明、アフターサポート等)が落ちないか確認することが重要です。安さだけでなく、実績や対応力も比較検討してください。

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Room Match編集部

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