不動産業者が嫌がる客の特徴|敬遠される行動17選
不動産の売買や賃貸を検討する際、「不動産業者との関係をうまく築けるか」と不安に感じる方は少なくありません。実は、不動産業者が対応に困る客の行動には一定の傾向があります。
この記事では、不動産業者が嫌がる客の特徴、業界の仕組みと本音、スムーズな取引のためのコミュニケーション術、信頼できる不動産会社の選び方を解説します。
この記事のポイント
- 不動産業者が嫌がる行動として、仲介手数料の過度な値切り、横柄な態度、曖昧な条件が上位
- 仲介手数料は不動産会社の主な収入源のため、値切りすぎると積極的な物件紹介がされない可能性がある
- 希望条件を明確にし、レスポンスを早くすることで、良い物件を優先的に紹介してもらえる
- 信頼できる不動産会社を選ぶには、複数社の比較、業界団体への加盟確認、レスポンスの速さをチェック
- トラブル発生時は消費生活センターや宅建協会等の公的機関への相談を推奨
(1) 仲介手数料の過度な値切り
2025年最新の調査によると、不動産業者が一番嫌がることとして「仲介手数料の値切り」が上位に挙げられています。仲介手数料は不動産会社の主な収入源であり、宅地建物取引業法で上限が定められています(売買価格の3%+6万円+消費税が上限)。
なぜ嫌がられるのか:
- 仲介手数料は不動産会社の主な収入源
- 値切りすぎると、積極的な物件紹介がされなくなる可能性がある
- 担当者のモチベーションが下がり、サービスの質に影響する
適切な対応:
- 過度な値切りは避け、適度な交渉を心がける
- 仲介手数料の相場を理解し、法定上限内での交渉に留める
- 他社と比較して、妥当な金額かを判断する
(2) 横柄な態度・乱暴な言葉遣い
横柄な態度や乱暴な言葉遣いは、担当者のモチベーションを下げる大きな要因です。不動産取引は売主・買主・不動産会社の信頼関係が重要であり、態度が悪い客には良い物件を優先的に紹介しない傾向があります。
具体的な行動例:
- 担当者を見下すような発言
- 感情的な怒鳴り声
- 「こんな物件しか紹介できないのか」といった批判
適切な対応:
- 敬意を持って接する
- 質問や要望は冷静に伝える
- 担当者との信頼関係を大切にする
(3) 曖昧な条件・優柔不断な態度
希望条件が曖昧だと、不動産業者は適切な物件を提案できません。「予算はいくらくらい?」「エリアはどこが良い?」といった質問に明確に答えられないと、担当者は手探りで物件を探すことになり、効率が悪くなります。
曖昧な条件の例:
- 「予算は決めていない」
- 「エリアはどこでも良い」
- 「とりあえず見てから考える」
適切な対応:
- 予算の上限・下限を明確にする
- 希望エリアを3~5箇所程度に絞る
- 物件タイプ(マンション・戸建て・土地)を決める
- 譲れない条件(駅距離・間取り・築年数等)を整理する
(4) 必要書類の未提出・約束のドタキャン
必要書類の提出が遅れたり、内覧や契約の約束をドタキャンすると、不動産業者のスケジュールが狂います。特に売主や他の買主候補との調整が必要な場合、ドタキャンは大きな迷惑となります。
具体的な行動例:
- 本人確認書類の提出を何度も先延ばし
- 内覧の約束を当日キャンセル(連絡なし)
- 契約日の直前に「やっぱり考え直します」
適切な対応:
- 必要書類は早めに準備・提出
- スケジュールが変わる場合は早めに連絡
- やむを得ない事情がある場合は誠実に説明
(5) 冷やかし・情報収集のみ
真剣に購入・賃貸を検討していないのに、物件情報だけを集める「冷やかし」も嫌がられます。不動産業者は契約成立で初めて収入を得るため、成約見込みのない客に時間を使うことは避けたいと考えます。
具体的な行動例:
- 「とりあえず見るだけ」と繰り返し内覧
- 購入・賃貸の意思がないまま情報だけを聞く
- 他社で契約する前提で情報収集
適切な対応:
- 真剣に検討している旨を伝える
- 購入・賃貸の時期を明確にする
- 情報収集のみの場合は、その旨を正直に伝える
なぜその行動が嫌がられるのか?業界の仕組みと本音
(1) 仲介手数料の仕組み(不動産会社の主な収入源)
不動産会社の主な収入源は仲介手数料です。売買契約が成立して初めて収入を得る「成功報酬型」のため、契約に至らない客や仲介手数料を大幅に値切る客には消極的になる傾向があります。
仲介手数料の上限(宅地建物取引業法):
| 売買価格 | 仲介手数料の上限 |
|---|---|
| 200万円以下 | 5%+消費税 |
| 200万円超~400万円以下 | 4%+2万円+消費税 |
| 400万円超 | 3%+6万円+消費税 |
例: 売買価格3,000万円の場合、仲介手数料の上限は約105万円(3,000万円×3%+6万円+消費税)
(2) 担当者のモチベーションとサービスの質
不動産営業担当者は、複数の客を同時に対応しています。横柄な態度や非協力的な客よりも、誠実で協力的な客を優先するのは自然な心理です。
担当者の本音:
- 「良い客には良い物件を優先的に紹介したい」
- 「態度が悪い客には最低限の対応しかしない」
- 「成約見込みの高い客に時間を使いたい」
(3) 物件紹介の優先順位(良い客に良い物件)
不動産業者は、人気物件や掘り出し物の物件を、成約見込みの高い「良い客」に優先的に紹介します。曖昧な条件や優柔不断な態度の客には、優先順位が下がります。
良い客の特徴:
- 希望条件が明確
- レスポンスが早い
- 誠実な態度
- 購入・賃貸の意思が明確
スムーズな取引のためのコミュニケーション術
(1) 希望条件を明確にする(予算・エリア・物件タイプ等)
希望条件を明確にすることで、不動産業者は適切な物件を効率的に提案できます。
明確にすべき条件:
| 項目 | 具体例 |
|---|---|
| 予算 | 上限3,000万円、下限2,500万円 |
| エリア | 〇〇区、△△市、××駅徒歩15分以内 |
| 物件タイプ | マンション、戸建て、土地 |
| 間取り | 3LDK以上 |
| 築年数 | 築20年以内 |
| 譲れない条件 | 南向き、駐車場2台分 |
(2) レスポンスを早くする(質問への回答・書類提出)
担当者からの質問や書類提出の依頼には、できるだけ早く対応しましょう。レスポンスの速さは「成約見込みの高さ」の指標となり、優先的に対応してもらえます。
早いレスポンスのメリット:
- 人気物件を逃さない
- 担当者の信頼を得られる
- スムーズに契約まで進む
(3) 誠実な態度で接する(担当者との信頼関係構築)
不動産取引は高額な取引であり、売主・買主・不動産会社の信頼関係が重要です。誠実な態度で接することで、担当者も積極的にサポートしてくれます。
誠実な態度の例:
- 担当者に敬意を持って接する
- 約束を守る(内覧の時間、書類提出期限等)
- 不明点は素直に質問する
- 感謝の気持ちを伝える
(4) 物件情報を完全に開示する(売却時)
売却時には、物件情報を完全に開示することが重要です。不動産売却のトラブル回避によると、「物件情報は完全に開示し、不動産会社や買主にすべて伝えることでトラブルを回避できる」とされています。
開示すべき情報:
- 雨漏り、シロアリ被害等の不具合
- 近隣トラブルの有無
- リフォーム・修繕の履歴
- 事故物件かどうか
隠すリスク:
- 契約不適合責任により、売主が損害賠償を負う可能性がある
- 契約解除のリスク
- 信頼関係の損失
よくあるトラブルと回避方法|契約不適合責任と囲い込み
(1) 契約不適合責任(物件情報の完全開示が重要)
契約不適合責任(旧:瑕疵担保責任)とは、契約内容と引き渡した不動産の状態が一致しない場合、売主が責任を負う制度です。2024年以降、この責任への注目が高まっており、売主の完全な情報開示がより重要になっています。
契約不適合責任の内容:
- 買主は売主に対して、修補請求、代金減額請求、損害賠償請求、契約解除を求められる
- 売主は契約内容と一致した不動産を買主へ引き渡す義務がある
回避方法:
- 物件情報を完全に開示する
- 契約書に「瑕疵の範囲」「責任期間」を明記
- 専門家(建築士等)による事前調査を実施
(2) 囲い込み(複数社の比較で回避)
囲い込みとは、不動産会社が売り手と買い手両方から仲介手数料を得るため、物件情報を公開せず他社からの問い合わせを制限する行為です。これにより、売主は売却機会を失い、適正価格での売却が困難になります。
囲い込みのリスク:
- 売却期間が長引く
- 売却価格が下がる
- 他社からの購入希望者に情報が届かない
回避方法:
- 複数社に査定を依頼し、比較する(3~5社程度)
- 専任媒介契約ではなく、一般媒介契約を選択
- レインズ(不動産流通標準情報システム)への登録を確認
(3) ローン特約による契約解除
ローン特約とは、買主が融資審査に通らなかった場合に無条件で売買契約を解除できる特約です。買主にとっては安心材料ですが、売主にとってはリスクとなります。
ローン特約の注意点:
- 契約書にローン特約の内容を明記
- 審査期間、融資額、金融機関を具体的に記載
- 審査に通らなかった場合の対応を事前に確認
(4) トラブル発生時の相談先
トラブルが発生した場合は、消費生活センター、宅建協会等の公的機関への相談を推奨します。
相談先:
- 消費生活センター: 消費者トラブル全般の相談窓口
- 宅建協会: 宅地建物取引業者のトラブル相談窓口
- 弁護士: 契約解除、損害賠償等の法的相談
信頼できる不動産会社の選び方|2024年最新ガイド
(1) 複数社の比較方法(3~5社程度に絞る)
信頼できる不動産会社の選び方によると、「不動産会社を選ぶ際は3~5社程度に絞ってじっくり比較検討することで、自分に合った会社を選びやすくなる」とされています。
比較すべきポイント:
| 項目 | 確認方法 |
|---|---|
| 仲介手数料 | 見積もりを複数社から取得 |
| 実績 | 過去の成約件数、取扱物件数 |
| レスポンス | 問い合わせへの返答速度 |
| 担当者の質 | 専門知識、対応の丁寧さ |
| 口コミ・評判 | インターネット、知人の紹介 |
(2) 業界団体への加盟確認(全宅連・FRK等)
業界団体への加盟は、一定の基準をクリアしている証拠です。全宅連(全国宅地建物取引業協会連合会)やFRK(不動産流通経営協会)などの団体への加盟を確認しましょう。
業界団体加盟のメリット:
- 倫理規定を遵守している
- トラブル発生時の相談窓口がある
- 一定の教育・研修を受けている
(3) レスポンスの速さと物件情報の透明性
信頼できる不動産会社の選び方によると、「レスポンスの速さを確認し、要望や質問に対する返答が早い会社を選ぶ」ことが重要とされています。
確認すべきポイント:
- 問い合わせから返答までの時間(24時間以内が目安)
- 物件情報の詳細さ(写真枚数、間取り図、設備情報等)
- デメリットも含めた正直な情報提供
(4) おとり物件への注意(相場から大幅に乖離した好条件物件)
おとり物件とは、実際には売る気のない物件を広告に使って客を引き寄せる悪質な販売手法です。相場から大幅に乖離した好条件物件には注意が必要です。
おとり物件の特徴:
- 相場より明らかに安い
- 好立地・好条件なのに長期間掲載されている
- 問い合わせても「すでに契約済み」と言われる
見抜く方法:
- 周辺相場を事前に調べる
- 複数の不動産ポータルサイトで比較
- おとり物件の疑いがある場合は、消費生活センターに相談
まとめ:不動産取引でWin-Winの関係を築くために
不動産業者が嫌がる行動には、仲介手数料の過度な値切り、横柄な態度、曖昧な条件、必要書類の未提出、冷やかし等があります。これらの行動は、不動産会社の収入源や担当者のモチベーションに直結するため、積極的な物件紹介がされなくなる可能性があります。
スムーズな取引のためには、希望条件を明確にし、レスポンスを早くし、誠実な態度で接することが重要です。売却時には、物件情報を完全に開示することで、契約不適合責任によるトラブルを回避できます。
信頼できる不動産会社を選ぶには、複数社の比較、業界団体への加盟確認、レスポンスの速さをチェックしましょう。おとり物件には注意し、相場から大幅に乖離した好条件物件は慎重に判断することが必要です。
不動産取引では、売主・買主・不動産会社の三者がWin-Winの関係を築くことが成功の鍵です。業界の仕組みを理解し、誠実なコミュニケーションを心がけることで、納得のいく取引を実現しましょう。
