大手不動産仲介会社の選び方|サービス内容・手数料・特徴を比較

著者: Room Match編集部公開日: 2025/11/18

大手不動産仲介会社を選ぶメリットとは

不動産の売却・購入を検討する際、「大手不動産仲介会社と地域密着型業者のどちらに依頼すべきか」「仲介手数料はどのくらいかかるのか」「各社のサービス内容や特徴は何か」など、様々な疑問が生まれるのではないでしょうか。

この記事では、大手不動産仲介会社の特徴、住友不動産ステップ(旧:住友不動産販売)のサービス内容、仲介手数料の仕組みと割引制度、大手と地域密着型の比較、仲介会社選びのポイントを解説します。

初めて不動産取引をする方でも、自分に合った仲介会社を選ぶ基準を持てるようになります。

この記事のポイント

  • 大手不動産仲介会社は全国ネットワーク、広告力、ブランド力が強みで、広範囲の購入希望者にアプローチできる
  • 住友不動産ステップ(旧:住友不動産販売)は全国200店舗以上を展開し、2024年度の成約件数は31,502件、売主の満足度は約95%
  • 仲介手数料の法定上限は物件価格の3%+6万円+消費税、住友不動産グループ物件は最大20%割引
  • 大手は広範囲の物件検索が可能、地域密着型は地域特化の情報と柔軟な対応が強み
  • 複数社に査定を依頼し、担当者の質を見極めることが成功の鍵

住友不動産ステップ(旧:住友不動産販売)の特徴

住友不動産ステップ(旧:住友不動産販売)は、日本を代表する大手不動産仲介会社の一つです。ここでは、同社の特徴を詳しく解説します。

(1) 全国200店舗以上のネットワーク

住友不動産ステップ公式サイトによると、同社は全国200店舗以上の直営営業センターを展開しています。

全国展開のメリット:

  • 北海道から九州まで幅広いエリアをカバー
  • 転勤・転居に伴う不動産売却・購入に対応しやすい
  • 全国の購入希望者にアプローチできる

2024年度の実績:

項目 実績
購入相談数 185,000件以上
成約件数 34,900件以上
取引高 1兆3,960億円(業界3位)
成約件数ランキング 業界2位

(出典: イエポタ

社名変更について:

  • 2025年4月1日付で社名を「住友不動産販売株式会社」から「住友不動産ステップ株式会社」に変更
  • サービス名は「すみふの仲介ステップ」となる
  • 基本的なサービス内容に変更はない

(2) マンツーマン営業体制と成約実績

マンツーマン営業体制:

  • 1人の営業担当が査定から契約まで一貫して対応する営業方式
  • 担当者が変わることなく、最初から最後まで同じ担当者がサポート
  • コミュニケーションがスムーズで、信頼関係を築きやすい

売主の満足度:

イエウールの調査によると、売主の満足度は約94.4%と高い水準です。

満足度が高い理由:

  • 営業力やネットワークの強さから売却活動がスピーディー
  • 一貫した対応により、売主の不安を軽減
  • 豊富な成約実績に基づくノウハウの蓄積

ネガティブな口コミも存在:

  • 「連絡が遅い」「担当者の対応に問題があった」などの口コミも存在する
  • 担当者によって対応の質にばらつきがある可能性がある
  • 複数の営業担当と面談し、信頼できる担当者を選ぶことが重要

(3) ステップオークションなど独自サービス

ステップオークション:

  • 住友不動産ステップ独自の売却方式
  • 複数の購入候補者が入札形式で売却価格を決定する仕組み
  • 市場価格より高値で売却できる可能性がある

仕組み:

  1. 売主が最低売却価格を設定
  2. 購入希望者が入札形式で価格を提示
  3. 最高価格を提示した購入希望者と売買契約

メリット:

  • 競争原理により、高値で売却できる可能性がある
  • 短期間で売却できる場合がある

デメリット:

  • 入札者が集まらない場合、売却が成立しない可能性がある
  • 最低売却価格を低く設定すると、想定より安く売却される可能性がある

仲介手数料の仕組みと割引制度

仲介手数料は不動産取引のコストの中で大きな割合を占めます。ここでは、法定上限と計算方法、割引制度を解説します。

(1) 仲介手数料の法定上限と計算方法

住友不動産ステップ公式サイトによると、仲介手数料は宅地建物取引業法で定められた法定上限があります。

法定上限の計算式(物件価格が400万円超の場合):

仲介手数料 = 物件価格 × 3% + 6万円 + 消費税

具体例:

物件価格 仲介手数料(上限)
3,000万円 105.6万円((3,000万円 × 3% + 6万円) × 1.1)
5,000万円 171.6万円((5,000万円 × 3% + 6万円) × 1.1)
1億円 336.6万円((1億円 × 3% + 6万円) × 1.1)

重要な注意点:

  • 上記は上限であり、必ずしもこの金額が請求されるわけではない
  • 仲介手数料は成功報酬のため、売買契約が成立しなければ発生しない
  • 法定上限を超える請求は違法

(2) 住友不動産グループ物件の割引特典

住友不動産ステップ公式サイトによると、住友不動産グループ物件の売却時には仲介手数料の割引特典があります。

割引率:

物件種別 割引率
住友不動産のマンション 20%割引
住友不動産グループ関連物件 10%割引

具体例(物件価格3,000万円の場合):

  • 通常の仲介手数料:105.6万円
  • 住友不動産マンション売却時:84.48万円(20%割引)
  • 住友不動産グループ関連物件売却時:95.04万円(10%割引)

適用条件:

  • 住友不動産グループが開発・分譲した物件であること
  • 売却を住友不動産ステップに依頼すること
  • 詳細は営業センターに確認が必要

(3) 仲介手数料の交渉は可能か

基本的には困難:

  • 住友不動産グループ物件以外は、法定上限の仲介手数料が適用される
  • 大手不動産仲介会社は規定に沿った対応が中心で、個別の値引き交渉は難しい

交渉が可能な場合:

  • 複数物件を同時に売却する場合
  • 購入と売却を同時に依頼する場合
  • ただし、交渉できるケースは限られる

他社との比較:

  • 仲介手数料が割安な不動産会社(仲介手数料半額、無料等)も存在する
  • ただし、サービス内容や売却活動の質が異なる可能性があるため、総合的に判断する必要がある

大手と地域密着型の比較|どちらを選ぶべきか

大手不動産仲介会社と地域密着型業者には、それぞれメリット・デメリットがあります。ここでは、両者の違いを解説します。

(1) 大手不動産仲介会社のメリット・デメリット

メリット:

  • 広範囲の購入希望者にアプローチ: 全国ネットワークにより、広範囲の購入希望者にアプローチできる
  • ブランド力: 知名度が高く、購入希望者が集まりやすい
  • 充実した広告活動: 大手ポータルサイト(SUUMO、HOME'S等)への掲載、折込チラシ、デジタル広告など多様な広告手法
  • 最新の市場データ: 全国規模のデータベースで相場を把握しやすい
  • 体系化されたサービス: 査定・広告・契約手続きが体系化されている

デメリット:

  • 担当者の異動が多い: 担当者が変わることで対応が一貫しない場合がある(住友不動産ステップはマンツーマン営業体制でこの問題を軽減)
  • 地域特化の情報が弱い: 地域密着型に比べて地域特有の情報が少ない
  • 柔軟性が低い: 規定に沿った対応が中心で、個別の事情に柔軟に対応しにくい

(2) 地域密着型業者のメリット・デメリット

メリット:

  • 地域特化の情報: 地域の相場、学区、商業施設等の詳細情報を持つ
  • 柔軟な対応: 個別の事情に応じた柔軟な対応が可能
  • 長期的な関係: 担当者が変わりにくく、長期的な関係を築きやすい
  • 地域ネットワーク: 地域の住民・事業者とのつながりが強い

デメリット:

  • 物件情報の範囲が限られる: 広範囲の物件検索には不向き
  • 広告力が弱い: 大手に比べて広告予算が少ない
  • ブランド力が低い: 知名度が低く、購入希望者が集まりにくい場合がある

(3) 物件種別・エリア別の選び方

ライフスタイルや物件種別に応じて、以下のように選ぶと良いでしょう。

大手不動産仲介会社がおすすめの場合:

ケース 理由
都心部の物件を広範囲に売却したい 全国ネットワークで多くの購入希望者にアプローチできる
転勤が多く全国ネットワークが必要 全国の営業センターでサポートを受けられる
ブランド力を活かしたい 知名度が高く、購入希望者が集まりやすい
複数の大手に同時に依頼したい 一般媒介契約で複数社に依頼可能

地域密着型業者がおすすめの場合:

ケース 理由
地域の詳細情報が欲しい 地域の相場、学区、商業施設等の詳細情報を持つ
柔軟な対応を希望 個別の事情に応じた柔軟な対応が可能
長期的な関係を築きたい 担当者が変わりにくく、長期的な関係を築きやすい
地域限定で売却したい 地域の住民・事業者とのつながりが強い

不動産仲介会社選びのポイントと注意点

不動産仲介会社選びでは、担当者の質、複数社比較、媒介契約の種類を理解することが重要です。

(1) 担当者の質を見極める方法

担当者の質は、売却・購入の成否に大きく影響します。以下のポイントで見極めましょう。

確認ポイント:

  • 対応速度: 問い合わせに対する返信が早いか(理想は当日、遅くとも翌営業日以内)
  • 専門知識: 宅地建物取引士の資格を持っているか、不動産市場の知識が豊富か
  • コミュニケーション能力: 説明が分かりやすいか、質問に的確に答えられるか
  • 実績: 過去の成約件数、売却までの平均期間を確認
  • 誠実性: 無理な営業をしないか、デメリットも正直に伝えるか

担当者の変更:

  • 対応に問題がある場合、担当者の変更を依頼することが可能
  • 変更を依頼しにくい場合は、他の営業センターや別の不動産会社に相談する

(2) 複数社に査定を依頼する重要性

不動産売却では、複数社に査定を依頼することが推奨されます。

複数社比較のメリット:

  • 査定額の相場を把握: 1社だけでは査定額が適正か判断できない
  • 仲介手数料やサービス内容を比較: 仲介手数料、広告活動、サポート内容を比較できる
  • 担当者の対応・専門性を確認: 複数の担当者と面談し、信頼できる担当者を選べる

推奨する査定依頼数:

  • 3〜5社程度が目安
  • 多すぎると対応が大変になる
  • 少なすぎると比較が不十分

一括査定サイトの活用:

  • SUUMO、HOME'S、イエウール等の一括査定サイトを活用すると効率的
  • ただし、営業電話が多数かかってくる可能性があるため注意

(3) 媒介契約の種類と選び方

不動産売却時には、不動産会社と媒介契約を結びます。媒介契約には3種類あり、それぞれメリット・デメリットがあります。

専属専任媒介契約:

  • 1社のみに依頼し、自己発見取引(自分で買主を見つける)も禁止
  • メリット: 不動産会社が積極的に営業活動を行う、定期的な報告義務がある(1週間に1回以上)
  • デメリット: 囲い込みのリスクがある、他社の情報が得られない

専任媒介契約:

  • 1社のみに依頼するが、自己発見取引は可能
  • メリット: 不動産会社が積極的に営業活動を行う、定期的な報告義務がある(2週間に1回以上)
  • デメリット: 囲い込みのリスクがある、他社の情報が得られない

一般媒介契約:

  • 複数社に同時に依頼可能
  • メリット: 複数社が競争するため、広範囲に情報が流通する、囲い込みのリスクが低い
  • デメリット: 不動産会社の営業活動が消極的になる場合がある、報告義務がない

選び方の目安:

状況 推奨タイプ
売却スピード重視 専属専任媒介契約・専任媒介契約
複数社を比較したい 一般媒介契約
信頼できる1社に任せたい 専属専任媒介契約

まとめ:自分に合った仲介会社を見つける方法

大手不動産仲介会社は、全国ネットワーク、広告力、ブランド力が強みで、広範囲の購入希望者にアプローチできます。

住友不動産ステップ(旧:住友不動産販売)は全国200店舗以上を展開し、2024年度の成約件数は31,502件、売主の満足度は約95%と高い実績を持ちます。マンツーマン営業体制により、1人の営業担当が査定から契約まで一貫して対応するため、コミュニケーションがスムーズです。仲介手数料の法定上限は物件価格の3%+6万円+消費税ですが、住友不動産グループ物件の売却時は最大20%割引の特典があります。

大手は広範囲の物件検索が可能、地域密着型は地域特化の情報と柔軟な対応が強みです。複数社に査定を依頼し、担当者の質(対応速度、専門知識、コミュニケーション能力等)を見極めることが成功の鍵です。媒介契約の種類(専属専任・専任・一般)を理解し、売却スピード重視なら専属専任・専任、比較重視なら一般媒介を選びましょう。

仲介会社選びのチェックリスト:

  • 複数社(3〜5社程度)に査定を依頼したか
  • 担当者の対応速度、専門知識、コミュニケーション能力を確認したか
  • 仲介手数料の金額と割引制度を確認したか
  • 媒介契約の種類(専属専任・専任・一般)を理解したか
  • 広告活動の内容(ポータルサイト掲載、折込チラシ、デジタル広告等)を確認したか
  • 過去の成約件数、売却までの平均期間を確認したか
  • 大手と地域密着型のメリット・デメリットを比較したか
  • 担当者が宅地建物取引士の資格を持っているか確認したか
  • 口コミや評判を複数の情報源で確認したか
  • 専門家(宅建士、弁護士等)に相談したか

よくある質問

Q1住友不動産販売の仲介手数料は他社と比べて高いのか?

A1仲介手数料は宅地建物取引業法で定められた法定上限(物件価格の3%+6万円+消費税)が適用されます。例えば、3,000万円の物件の場合、仲介手数料の上限は105.6万円です。住友不動産グループ物件の売却時は、住友不動産のマンションで20%割引、住友不動産グループ関連物件で10%割引の特典があります。住友不動産ステップ公式サイトによると、通常は法定上限の仲介手数料が適用されるため、他の大手不動産仲介会社と同水準です。

Q2住友不動産販売と住友不動産ステップの違いは何か?

A22025年4月1日付で社名を「住友不動産販売株式会社」から「住友不動産ステップ株式会社」に変更しました。サービス名は「すみふの仲介ステップ」となりますが、基本的なサービス内容(全国200店舗以上のネットワーク、マンツーマン営業体制、ステップオークション等)に変更はありません。住友不動産ステップ公式サイトによると、社名変更は企業イメージの刷新を目的としており、従来のサービスは継続して提供されます。

Q3大手不動産仲介会社と地域密着型業者、どちらを選ぶべきか?

A3広範囲の購入希望者にアプローチしたい場合は大手不動産仲介会社、地域の詳細な情報や柔軟な対応を求める場合は地域密着型業者が向いています。大手は全国ネットワーク、広告力、ブランド力が強み、地域密着型は地域特化の情報と柔軟な対応が強みです。複数社(3〜5社程度)に査定を依頼し、担当者の対応速度、専門知識、コミュニケーション能力を見極めることが重要です。イエウールによると、複数社比較により査定額の相場を把握し、信頼できる担当者を選べます。

Q4担当者の対応に問題があった場合の対処法は?

A4担当者の変更を依頼するか、他の営業センターや別の不動産会社に相談することが可能です。契約前に複数の営業担当と面談し、信頼できる担当者を選ぶことが重要です。担当者の質を見極めるポイントは、対応速度(問い合わせに当日または翌営業日以内に返信)、専門知識(宅地建物取引士の資格の有無)、コミュニケーション能力(説明の分かりやすさ)、実績(過去の成約件数)、誠実性(デメリットも正直に伝えるか)です。イエウールによると、担当者によって対応の質にばらつきがある可能性があるため、事前確認が重要です。

Q5媒介契約はどの種類を選ぶべきか?

A5専属専任媒介契約は1社専任で手厚いサポート(定期的な報告義務が1週間に1回以上)、専任媒介契約は1社専任だが自己発見取引可能(報告義務は2週間に1回以上)、一般媒介契約は複数社に同時に依頼可能です。売却スピード重視なら専属専任・専任、複数社を比較したいなら一般媒介を選ぶことを推奨します。ただし、専属専任・専任は囲い込み(物件情報を適切に広告せず、自社で買主・売主両方から手数料を得ようとする違法行為)のリスクがあるため、信頼できる不動産会社を選ぶことが重要です。

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Room Match編集部

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