大手不動産仲介会社を選ぶメリットとは
不動産の売却・購入を検討する際、「大手不動産仲介会社と地域密着型業者のどちらに依頼すべきか」「仲介手数料はどのくらいかかるのか」「各社のサービス内容や特徴は何か」など、様々な疑問が生まれるのではないでしょうか。
この記事では、大手不動産仲介会社の特徴、住友不動産ステップ(旧:住友不動産販売)のサービス内容、仲介手数料の仕組みと割引制度、大手と地域密着型の比較、仲介会社選びのポイントを解説します。
初めて不動産取引をする方でも、自分に合った仲介会社を選ぶ基準を持てるようになります。
この記事のポイント
- 大手不動産仲介会社は全国ネットワーク、広告力、ブランド力が強みで、広範囲の購入希望者にアプローチできる
- 住友不動産ステップ(旧:住友不動産販売)は全国200店舗以上を展開し、2024年度の成約件数は31,502件、売主の満足度は約95%
- 仲介手数料の法定上限は物件価格の3%+6万円+消費税、住友不動産グループ物件は最大20%割引
- 大手は広範囲の物件検索が可能、地域密着型は地域特化の情報と柔軟な対応が強み
- 複数社に査定を依頼し、担当者の質を見極めることが成功の鍵
住友不動産ステップ(旧:住友不動産販売)の特徴
住友不動産ステップ(旧:住友不動産販売)は、日本を代表する大手不動産仲介会社の一つです。ここでは、同社の特徴を詳しく解説します。
(1) 全国200店舗以上のネットワーク
住友不動産ステップ公式サイトによると、同社は全国200店舗以上の直営営業センターを展開しています。
全国展開のメリット:
- 北海道から九州まで幅広いエリアをカバー
- 転勤・転居に伴う不動産売却・購入に対応しやすい
- 全国の購入希望者にアプローチできる
2024年度の実績:
| 項目 | 実績 |
|---|---|
| 購入相談数 | 185,000件以上 |
| 成約件数 | 34,900件以上 |
| 取引高 | 1兆3,960億円(業界3位) |
| 成約件数ランキング | 業界2位 |
(出典: イエポタ)
社名変更について:
- 2025年4月1日付で社名を「住友不動産販売株式会社」から「住友不動産ステップ株式会社」に変更
- サービス名は「すみふの仲介ステップ」となる
- 基本的なサービス内容に変更はない
(2) マンツーマン営業体制と成約実績
マンツーマン営業体制:
- 1人の営業担当が査定から契約まで一貫して対応する営業方式
- 担当者が変わることなく、最初から最後まで同じ担当者がサポート
- コミュニケーションがスムーズで、信頼関係を築きやすい
売主の満足度:
イエウールの調査によると、売主の満足度は約94.4%と高い水準です。
満足度が高い理由:
- 営業力やネットワークの強さから売却活動がスピーディー
- 一貫した対応により、売主の不安を軽減
- 豊富な成約実績に基づくノウハウの蓄積
ネガティブな口コミも存在:
- 「連絡が遅い」「担当者の対応に問題があった」などの口コミも存在する
- 担当者によって対応の質にばらつきがある可能性がある
- 複数の営業担当と面談し、信頼できる担当者を選ぶことが重要
(3) ステップオークションなど独自サービス
ステップオークション:
- 住友不動産ステップ独自の売却方式
- 複数の購入候補者が入札形式で売却価格を決定する仕組み
- 市場価格より高値で売却できる可能性がある
仕組み:
- 売主が最低売却価格を設定
- 購入希望者が入札形式で価格を提示
- 最高価格を提示した購入希望者と売買契約
メリット:
- 競争原理により、高値で売却できる可能性がある
- 短期間で売却できる場合がある
デメリット:
- 入札者が集まらない場合、売却が成立しない可能性がある
- 最低売却価格を低く設定すると、想定より安く売却される可能性がある
仲介手数料の仕組みと割引制度
仲介手数料は不動産取引のコストの中で大きな割合を占めます。ここでは、法定上限と計算方法、割引制度を解説します。
(1) 仲介手数料の法定上限と計算方法
住友不動産ステップ公式サイトによると、仲介手数料は宅地建物取引業法で定められた法定上限があります。
法定上限の計算式(物件価格が400万円超の場合):
仲介手数料 = 物件価格 × 3% + 6万円 + 消費税
具体例:
| 物件価格 | 仲介手数料(上限) |
|---|---|
| 3,000万円 | 105.6万円((3,000万円 × 3% + 6万円) × 1.1) |
| 5,000万円 | 171.6万円((5,000万円 × 3% + 6万円) × 1.1) |
| 1億円 | 336.6万円((1億円 × 3% + 6万円) × 1.1) |
重要な注意点:
- 上記は上限であり、必ずしもこの金額が請求されるわけではない
- 仲介手数料は成功報酬のため、売買契約が成立しなければ発生しない
- 法定上限を超える請求は違法
(2) 住友不動産グループ物件の割引特典
住友不動産ステップ公式サイトによると、住友不動産グループ物件の売却時には仲介手数料の割引特典があります。
割引率:
| 物件種別 | 割引率 |
|---|---|
| 住友不動産のマンション | 20%割引 |
| 住友不動産グループ関連物件 | 10%割引 |
具体例(物件価格3,000万円の場合):
- 通常の仲介手数料:105.6万円
- 住友不動産マンション売却時:84.48万円(20%割引)
- 住友不動産グループ関連物件売却時:95.04万円(10%割引)
適用条件:
- 住友不動産グループが開発・分譲した物件であること
- 売却を住友不動産ステップに依頼すること
- 詳細は営業センターに確認が必要
(3) 仲介手数料の交渉は可能か
基本的には困難:
- 住友不動産グループ物件以外は、法定上限の仲介手数料が適用される
- 大手不動産仲介会社は規定に沿った対応が中心で、個別の値引き交渉は難しい
交渉が可能な場合:
- 複数物件を同時に売却する場合
- 購入と売却を同時に依頼する場合
- ただし、交渉できるケースは限られる
他社との比較:
- 仲介手数料が割安な不動産会社(仲介手数料半額、無料等)も存在する
- ただし、サービス内容や売却活動の質が異なる可能性があるため、総合的に判断する必要がある
大手と地域密着型の比較|どちらを選ぶべきか
大手不動産仲介会社と地域密着型業者には、それぞれメリット・デメリットがあります。ここでは、両者の違いを解説します。
(1) 大手不動産仲介会社のメリット・デメリット
メリット:
- 広範囲の購入希望者にアプローチ: 全国ネットワークにより、広範囲の購入希望者にアプローチできる
- ブランド力: 知名度が高く、購入希望者が集まりやすい
- 充実した広告活動: 大手ポータルサイト(SUUMO、HOME'S等)への掲載、折込チラシ、デジタル広告など多様な広告手法
- 最新の市場データ: 全国規模のデータベースで相場を把握しやすい
- 体系化されたサービス: 査定・広告・契約手続きが体系化されている
デメリット:
- 担当者の異動が多い: 担当者が変わることで対応が一貫しない場合がある(住友不動産ステップはマンツーマン営業体制でこの問題を軽減)
- 地域特化の情報が弱い: 地域密着型に比べて地域特有の情報が少ない
- 柔軟性が低い: 規定に沿った対応が中心で、個別の事情に柔軟に対応しにくい
(2) 地域密着型業者のメリット・デメリット
メリット:
- 地域特化の情報: 地域の相場、学区、商業施設等の詳細情報を持つ
- 柔軟な対応: 個別の事情に応じた柔軟な対応が可能
- 長期的な関係: 担当者が変わりにくく、長期的な関係を築きやすい
- 地域ネットワーク: 地域の住民・事業者とのつながりが強い
デメリット:
- 物件情報の範囲が限られる: 広範囲の物件検索には不向き
- 広告力が弱い: 大手に比べて広告予算が少ない
- ブランド力が低い: 知名度が低く、購入希望者が集まりにくい場合がある
(3) 物件種別・エリア別の選び方
ライフスタイルや物件種別に応じて、以下のように選ぶと良いでしょう。
大手不動産仲介会社がおすすめの場合:
| ケース | 理由 |
|---|---|
| 都心部の物件を広範囲に売却したい | 全国ネットワークで多くの購入希望者にアプローチできる |
| 転勤が多く全国ネットワークが必要 | 全国の営業センターでサポートを受けられる |
| ブランド力を活かしたい | 知名度が高く、購入希望者が集まりやすい |
| 複数の大手に同時に依頼したい | 一般媒介契約で複数社に依頼可能 |
地域密着型業者がおすすめの場合:
| ケース | 理由 |
|---|---|
| 地域の詳細情報が欲しい | 地域の相場、学区、商業施設等の詳細情報を持つ |
| 柔軟な対応を希望 | 個別の事情に応じた柔軟な対応が可能 |
| 長期的な関係を築きたい | 担当者が変わりにくく、長期的な関係を築きやすい |
| 地域限定で売却したい | 地域の住民・事業者とのつながりが強い |
不動産仲介会社選びのポイントと注意点
不動産仲介会社選びでは、担当者の質、複数社比較、媒介契約の種類を理解することが重要です。
(1) 担当者の質を見極める方法
担当者の質は、売却・購入の成否に大きく影響します。以下のポイントで見極めましょう。
確認ポイント:
- 対応速度: 問い合わせに対する返信が早いか(理想は当日、遅くとも翌営業日以内)
- 専門知識: 宅地建物取引士の資格を持っているか、不動産市場の知識が豊富か
- コミュニケーション能力: 説明が分かりやすいか、質問に的確に答えられるか
- 実績: 過去の成約件数、売却までの平均期間を確認
- 誠実性: 無理な営業をしないか、デメリットも正直に伝えるか
担当者の変更:
- 対応に問題がある場合、担当者の変更を依頼することが可能
- 変更を依頼しにくい場合は、他の営業センターや別の不動産会社に相談する
(2) 複数社に査定を依頼する重要性
不動産売却では、複数社に査定を依頼することが推奨されます。
複数社比較のメリット:
- 査定額の相場を把握: 1社だけでは査定額が適正か判断できない
- 仲介手数料やサービス内容を比較: 仲介手数料、広告活動、サポート内容を比較できる
- 担当者の対応・専門性を確認: 複数の担当者と面談し、信頼できる担当者を選べる
推奨する査定依頼数:
- 3〜5社程度が目安
- 多すぎると対応が大変になる
- 少なすぎると比較が不十分
一括査定サイトの活用:
- SUUMO、HOME'S、イエウール等の一括査定サイトを活用すると効率的
- ただし、営業電話が多数かかってくる可能性があるため注意
(3) 媒介契約の種類と選び方
不動産売却時には、不動産会社と媒介契約を結びます。媒介契約には3種類あり、それぞれメリット・デメリットがあります。
専属専任媒介契約:
- 1社のみに依頼し、自己発見取引(自分で買主を見つける)も禁止
- メリット: 不動産会社が積極的に営業活動を行う、定期的な報告義務がある(1週間に1回以上)
- デメリット: 囲い込みのリスクがある、他社の情報が得られない
専任媒介契約:
- 1社のみに依頼するが、自己発見取引は可能
- メリット: 不動産会社が積極的に営業活動を行う、定期的な報告義務がある(2週間に1回以上)
- デメリット: 囲い込みのリスクがある、他社の情報が得られない
一般媒介契約:
- 複数社に同時に依頼可能
- メリット: 複数社が競争するため、広範囲に情報が流通する、囲い込みのリスクが低い
- デメリット: 不動産会社の営業活動が消極的になる場合がある、報告義務がない
選び方の目安:
| 状況 | 推奨タイプ |
|---|---|
| 売却スピード重視 | 専属専任媒介契約・専任媒介契約 |
| 複数社を比較したい | 一般媒介契約 |
| 信頼できる1社に任せたい | 専属専任媒介契約 |
まとめ:自分に合った仲介会社を見つける方法
大手不動産仲介会社は、全国ネットワーク、広告力、ブランド力が強みで、広範囲の購入希望者にアプローチできます。
住友不動産ステップ(旧:住友不動産販売)は全国200店舗以上を展開し、2024年度の成約件数は31,502件、売主の満足度は約95%と高い実績を持ちます。マンツーマン営業体制により、1人の営業担当が査定から契約まで一貫して対応するため、コミュニケーションがスムーズです。仲介手数料の法定上限は物件価格の3%+6万円+消費税ですが、住友不動産グループ物件の売却時は最大20%割引の特典があります。
大手は広範囲の物件検索が可能、地域密着型は地域特化の情報と柔軟な対応が強みです。複数社に査定を依頼し、担当者の質(対応速度、専門知識、コミュニケーション能力等)を見極めることが成功の鍵です。媒介契約の種類(専属専任・専任・一般)を理解し、売却スピード重視なら専属専任・専任、比較重視なら一般媒介を選びましょう。
仲介会社選びのチェックリスト:
- 複数社(3〜5社程度)に査定を依頼したか
- 担当者の対応速度、専門知識、コミュニケーション能力を確認したか
- 仲介手数料の金額と割引制度を確認したか
- 媒介契約の種類(専属専任・専任・一般)を理解したか
- 広告活動の内容(ポータルサイト掲載、折込チラシ、デジタル広告等)を確認したか
- 過去の成約件数、売却までの平均期間を確認したか
- 大手と地域密着型のメリット・デメリットを比較したか
- 担当者が宅地建物取引士の資格を持っているか確認したか
- 口コミや評判を複数の情報源で確認したか
- 専門家(宅建士、弁護士等)に相談したか
