失敗しない不動産会社の選び方|チェックポイントと注意点

著者: Room Match編集部公開日: 2025/11/17

なぜ不動産会社選びが重要なのか

不動産の売却や購入は人生の中でも大きな決断の一つです。「どの不動産会社に依頼すれば良いのか」「信頼できる会社の見分け方は?」と悩む方は少なくありません。

この記事では、失敗しない不動産会社の選び方を、国土交通省国民生活センターの公式情報を元に解説します。大手と地域密着型の違い、具体的なチェックポイント、避けるべき業者の特徴を知ることで、安心して不動産取引を進められます。

この記事のポイント

  • 不動産会社は約47,000社あり、大手・地域密着型・専門特化など特徴が異なる
  • 宅地建物取引業免許の更新回数(カッコ内の数字)で営業年数を確認できる
  • ほとんどの会社が同じ物件データベース(REINS)を利用しているため、サービス品質や担当者の対応力が選択の決め手
  • おとり物件、契約を急かす、デメリットを説明しない会社は避けるべき
  • トラブル時は国民生活センター(消費者ホットライン188)や宅地建物取引業協会に相談

不動産会社の種類と特徴

日本には約47,000の不動産賃貸業者が存在し、コンビニエンスストアの約2倍の数があります。不動産会社は規模や営業スタイルによって大きく3つに分類され、それぞれ異なる強みを持っています。

(1) 大手不動産会社の特徴

大手不動産会社は、全国に多数の店舗を展開しており、広範囲の物件検索が可能です。

メリット:

  • 店舗数が多く、転勤や引っ越しで複数エリアの物件を同時に探せる
  • ブランド力があり、初めての取引でも安心感がある
  • システム化されたサポート体制(ローン相談、リフォーム紹介など)

デメリット:

  • 担当者の異動が多く、長期的な関係を築きにくい場合がある
  • 地域の細かい情報(近隣の評判、街の雰囲気など)には弱いことがある

(2) 地域密着型不動産会社の特徴

地域密着型は、特定のエリアに特化してサービスを提供しています。

メリット:

  • 地域情報に詳しく、街の雰囲気や近隣住民の様子などを把握している
  • きめ細かいサービスが期待でき、柔軟な対応をしてくれることが多い
  • 地元の大家や売主との人脈があり、非公開物件を紹介してもらえる場合がある

デメリット:

  • 広範囲の物件検索には向かない
  • 会社によって対応品質にばらつきがある

(3) REINS(レインズ)の仕組み

ほとんどの不動産会社は、REINS(レインズ、不動産流通標準情報システム)という共通のデータベースを利用しています。REINSは、国土交通大臣指定の不動産流通機構が運営する、不動産会社間で物件情報を共有するシステムです。

つまり、物件情報そのものに大きな差はありません。どの会社を選んでも同じ物件が検索できるため、サービス品質や担当者の対応力が選択の決め手になります。

信頼できる不動産会社の選び方

信頼できる不動産会社を見極めるための5つのチェックポイントを紹介します。

(1) 宅地建物取引業免許の確認方法

不動産業を営むには、国土交通大臣または都道府県知事の免許が必要です。免許番号はホームページや店舗に掲示されており、以下のように表示されます。

: 東京都知事(3) 第12345号

カッコ内の数字が更新回数を示します。

更新回数 営業年数 信頼性
(1) 5年未満 新しい会社
(2) 5~10年 一定の実績
(3)以上 10年以上 安心の目安

更新2回以上(営業10年以上)の会社が、長期的な実績を持つ安心の目安です。

(2) 営業時間・定休日のチェック

営業時間が20時頃まで長く、定休日が少ない会社は、柔軟な対応が期待できます。平日の仕事帰りや休日に相談したい方には特に便利です。

(3) 問い合わせ対応の質

問い合わせへの対応速度や説明の丁寧さは、会社の姿勢を判断する重要なポイントです。

良い対応の例:

  • メールや電話での問い合わせに24時間以内に返信がある
  • 質問に対して丁寧に説明し、専門用語をわかりやすく補足してくれる
  • 希望条件を丁寧にヒアリングし、複数の選択肢を提示してくれる

悪い対応の例:

  • 返信が遅い、または返信がない
  • 質問に対して曖昧な回答しかしない
  • 顧客の希望を聞かずに特定の物件を強く勧める

(4) 店舗の清潔さと整理整頓

店舗を訪問した際、清潔さや整理整頓の状況で会社の姿勢を判断できます。書類が散乱している、掲示物が古いままといった店舗は、業務管理が行き届いていない可能性があります。

(5) 担当者の説明の丁寧さ

信頼できる担当者は、物件のメリットだけでなく、デメリットやリスクも正直に説明します。

良い担当者の例:

  • 「この物件は駅から遠いですが、静かな環境です」とデメリットも提示
  • 契約の重要事項説明を時間をかけて丁寧に行う
  • 不明点を質問しやすい雰囲気を作る

悪い担当者の例:

  • メリットばかりを強調し、デメリットに触れない
  • 契約を急かす(「今日決めないと他の人に取られます」等)
  • 専門用語を使って説明を省略する

避けるべき不動産会社の特徴

以下の特徴がある不動産会社は避けるべきです。国民生活センターには年間約30,000件の賃貸住宅相談が寄せられており、そのうち約40%(13,000~14,000件)が原状回復トラブルです。

(1) おとり物件を掲載している会社

おとり物件とは、実際には存在しない、または既に契約済みの好条件物件を広告に掲載して顧客を誘引する不当な手法です。景品表示法で禁止されており、発覚した場合は行政処分の対象となります。

見分け方:

  • 問い合わせると「その物件はもう埋まりました」と即答される
  • 代わりに全く条件の異なる物件を強く勧められる

このような対応をされた場合、その会社は避けるべきです。

(2) 契約を急かす会社

「今日中に決めないと他の人に取られる」「期間限定の特典です」など、契約を急かす会社には注意が必要です。不動産は大きな決断のため、十分に検討する時間を確保することが重要です。

(3) デメリット・リスクを説明しない会社

物件のメリットばかりを強調し、デメリット(日当たり、騒音、築年数など)やリスク(将来の資産価値、修繕費用など)を説明しない会社は信頼性に欠けます。

(4) 仲介手数料の上限規定を超える請求

宅地建物取引業法により、仲介手数料には上限が定められています。

物件価格 上限仲介手数料(税抜)
400万円超 物件価格の3% + 6万円
200~400万円 物件価格の4% + 2万円
200万円以下 物件価格の5%

上限を超える請求は不当なため、契約前に必ず確認しましょう。

(5) 囲い込みを行う会社

囲い込みとは、売主と買主の両方から仲介手数料を得る「両手仲介」を狙って、物件情報を他社に公開せず独占する行為です。売主に不利な結果(売却機会の損失、不利な価格での売却)をもたらす可能性があります。

見分け方は難しいですが、複数社に査定を依頼し、販売活動の内容を確認することで一定の判断ができます。

(6) 重要事項説明が不十分な会社

宅地建物取引士による重要事項説明は、法律で義務付けられています。説明が形式的で、質問を受け付けない会社は避けるべきです。重要事項説明を十分に受けずに契約すると、後で設備の不備や契約条件の誤解によるトラブルが発生する可能性があります。

複数社を比較する方法と相談先

(1) 複数社への問い合わせのポイント

1社だけに相談するのではなく、最低3社に問い合わせて比較検討することをおすすめします。

比較ポイント:

  • 担当者の対応の質(説明の丁寧さ、レスポンス速度)
  • 提示される物件の内容(希望条件との一致度)
  • サービス内容(ローン相談、リフォーム紹介など)
  • 仲介手数料やその他費用

複数社を比較することで、各社の違いが見えてきます。

(2) トラブル時の相談先(国民生活センター等)

不動産会社とトラブルになった場合、以下の相談先があります。

相談先 内容 連絡先
国民生活センター 消費者トラブル全般 消費者ホットライン「188」
宅地建物取引業協会 宅建業者とのトラブル 各都道府県の協会
弁護士 法的トラブル 法テラス等

2022年には、10代・20代の賃貸トラブルが多発し、国民生活センターが注意喚起を発表しています。契約時の説明不足や原状回復費用の理解不足が主な原因です。

まとめ:失敗しない不動産会社選び

不動産会社選びは、宅地建物取引業免許の確認、営業時間・定休日のチェック、問い合わせ対応の質、店舗の清潔さ、担当者の説明の丁寧さといった具体的なポイントで判断できます。

おとり物件、契約を急かす、デメリットを説明しない会社は避け、複数社を比較検討することで、信頼できる不動産会社を見つけることができます。

トラブルが発生した場合は、国民生活センター(消費者ホットライン188)や宅地建物取引業協会に相談しましょう。最終的な判断は、複数社を比較検討の上、ご自身で行ってください。

よくある質問

Q1大手不動産会社と地域密着型、どちらを選ぶべきですか?

A1物件数の多さや広範囲の検索を重視するなら大手不動産会社がおすすめです。全国に店舗があり、転勤や引っ越しで複数エリアの物件を同時に探せます。一方、地域情報の詳しさやきめ細かいサービスを重視するなら地域密着型が向いています。地元の大家や売主との人脈があり、非公開物件を紹介してもらえる場合もあります。どちらが良いかは状況によるため、複数社を比較検討することをおすすめします。

Q2宅地建物取引業免許番号の見方を教えてください

A2宅地建物取引業免許番号は「東京都知事(3) 第12345号」のように表示され、カッコ内の数字が更新回数を示します。(1)は5年未満、(2)は5~10年、(3)は10~15年の営業実績を意味します。免許は5年ごとに更新が必要なため、更新2回以上(営業10年以上)の会社が長期的な実績を持つ安心の目安です。免許番号はホームページや店舗に掲示されているため、確認しましょう。

Q3おとり物件とは何ですか?

A3おとり物件とは、実際には存在しない、または既に契約済みの好条件物件を広告に掲載して顧客を誘引する不当な広告手法です。景品表示法で禁止されており、発覚した場合は行政処分の対象となります。見分け方は、問い合わせると「その物件はもう埋まりました」と即答され、代わりに全く条件の異なる物件を強く勧められるパターンです。このような対応をされた場合、その会社は避けるべきです。

Q4仲介手数料の上限はいくらですか?

A4宅地建物取引業法により、仲介手数料には上限が定められています。物件価格400万円超の場合、物件価格の3%+6万円+消費税が上限です。例えば、3,000万円の物件の場合、(3,000万円×3%+6万円)×1.1=105.6万円が上限となります。200~400万円の場合は物件価格の4%+2万円、200万円以下の場合は物件価格の5%が上限です。これを超える請求は不当なため、契約前に必ず確認しましょう。

Q5不動産会社とトラブルになった場合、どこに相談すれば良いですか?

A5国民生活センター(消費者ホットライン188)、各都道府県の宅地建物取引業協会、または弁護士への相談をおすすめします。国民生活センターには年間約30,000件の賃貸住宅相談が寄せられており、そのうち約40%(13,000~14,000件)が原状回復トラブルです。消費者ホットライン188に電話すると、最寄りの消費生活センターにつながります。法的トラブルの場合は、法テラス等で弁護士に相談することも検討しましょう。

R

Room Match編集部

Room Matchは、不動産の購入・売却・賃貸に関する実践的な情報を提供するメディアです。住宅ローン、物件選び、不動産会社の選び方など、実務担当者に役立つ情報を分かりやすく解説しています。

関連記事