固定資産税はいつまで安いのか
新築住宅を購入すると、「固定資産税が安い期間はいつまで続くのか」「軽減措置が終わったらどれくらい負担が増えるのか」と不安に感じる方も多いでしょう。また、固定資産税の支払時期や減税制度の期限についても気になるところです。
この記事では、新築住宅の固定資産税軽減措置の期間、軽減終了後の負担増、支払時期、税額が下がるタイミングを、国土交通省や総務省の公式情報を元に解説します。
固定資産税の負担を正しく理解し、資金計画を立てられるようになります。
この記事のポイント
- 新築一般住宅の固定資産税は3年間(マンション5年間)半額、認定長期優良住宅は5年間(マンション7年間)半額の軽減措置がある
- 軽減措置終了後(4年目・6年目)は税額が約1.9倍に上がるため、事前の資金計画が重要
- 固定資産税の減税制度は2024年税制改正で2年延長、令和8年(2026年)3月31日取得分まで適用
- 納税通知書は4-6月頃に送付され、年4回の分割払い(または一括払い)で支払う
- 建物の固定資産税は経年劣化で下がる可能性があるが、3年に一度の評価替えで建築費高騰や地価上昇があれば下がらない場合もある
(1) 新築住宅の軽減措置の概要
新築住宅を購入すると、固定資産税の「軽減措置」が適用され、一定期間は固定資産税が半額になります。この軽減措置の期間は、住宅の種類により異なります。
- 一般住宅(一戸建て): 最初の3年間
- マンション(3階建て以上の耐火・準耐火構造): 最初の5年間
- 認定長期優良住宅(一戸建て): 最初の5年間
- 認定長期優良住宅(マンション): 最初の7年間
軽減措置の期間が終了すると、固定資産税は通常の税額に戻るため、4年目(マンションは6年目)から税負担が増加します。
(2) cluster_keywordsの検索意図(支払時期・減税期限等)
「固定資産税いつまで安い」という検索には、以下のような複数の意図が含まれます。
- 軽減措置の期間: いつまで半額なのか(3年・5年・7年)
- 減税制度の適用期限: いつまで取得分が対象か(令和8年3月31日まで)
- 支払時期: いつ納税通知書が届き、いつ支払うのか
- 税額が下がるタイミング: いつになったら固定資産税が下がるのか
この記事では、これらすべての疑問に答えていきます。
固定資産税の軽減措置の仕組みと期間
(1) 一般住宅の軽減期間(3年・マンション5年)
一般的な新築住宅(一戸建て)の場合、最初の3年間は固定資産税が半額になります。具体的には、建物部分の固定資産税額の2分の1が減額されます。
マンション(3階建て以上の耐火・準耐火構造)の場合、軽減期間は5年間に延長されます。
(2) 認定長期優良住宅の軽減期間(5年・マンション7年)
認定長期優良住宅として認定を受けた住宅は、軽減期間が2年延長されます。
- 一戸建て: 5年間
- マンション: 7年間
認定長期優良住宅とは、長期にわたり良好な状態で使用するための措置(耐震性、省エネ性能、維持管理のしやすさ等)が講じられた優良な住宅のことです。
(3) 軽減措置の適用要件(床面積50㎡以上280㎡以下)
固定資産税の軽減措置を受けるには、以下の要件を満たす必要があります。
- 床面積: 50㎡以上280㎡以下(戸建以外の貸家住宅は40㎡以上280㎡以下)
- 軽減対象: 120㎡までの部分が軽減対象(120㎡を超える部分は通常税額)
例えば、延床面積150㎡の住宅の場合、120㎡までの部分が半額、残りの30㎡は通常税額となります。
(参考: 国土交通省「新築住宅に係る税額の減額措置」)
(4) 減税制度の適用期限(令和8年3月31日まで)
新築住宅の固定資産税軽減措置は、令和8年(2026年)3月31日までに取得した住宅が対象です。
2024年税制改正で2年延長されましたが、今後の税制改正により変更される可能性があります。最新情報は国土交通省のウェブサイトや自治体の税務課でご確認ください。
軽減措置終了後の負担増(4年目の税額)
(1) 4年目(マンション6年目)から税額が約1.9倍に上昇
軽減措置の期間が終了すると、固定資産税は通常の税額に戻ります。これにより、4年目(マンションは6年目)から税額が約1.9倍に上がるケースが一般的です。
例えば、3年目まで年間8万円だった固定資産税が、4年目から15万円になる、といった負担増があります。
(2) 具体的な計算例とシミュレーション
以下に具体的な計算例を示します。
前提条件:
- 新築一戸建て(一般住宅)
- 建物の固定資産税評価額: 1,200万円
- 土地の固定資産税評価額: 800万円
- 建物の床面積: 100㎡(120㎡以下なので全額軽減対象)
計算:
- 建物の固定資産税: 1,200万円 × 1.4%(標準税率) = 16.8万円
- 軽減措置適用(3年間): 16.8万円 × 1/2 = 8.4万円
- 土地の固定資産税: 800万円 × 1.4% = 11.2万円(軽減措置なし)
年次別の税額:
- 1-3年目: 建物8.4万円 + 土地11.2万円 = 19.6万円
- 4年目以降: 建物16.8万円 + 土地11.2万円 = 28万円
4年目の税額は3年目の約1.4倍に増加します(土地の固定資産税が含まれるため、純粋に2倍にはならない)。
(参考: Live-Rary「固定資産税は4年目でどれくらい上がる?」)
(3) 事前の資金計画の重要性
4年目以降の税負担増を見越して、以下のような資金計画を立てることが重要です。
- 毎月の住宅ローン返済額に加えて、固定資産税の増加分(年間5-10万円程度)を積み立てる
- 3年目のうちに4年目以降の税額をシミュレーションし、家計に無理がないか確認する
- 軽減措置終了後の支払いに備えて、預貯金を確保しておく
固定資産税の支払時期と納税方法
(1) いつから払うのか(取得翌年の1月1日時点の所有者)
固定資産税は、毎年1月1日時点の土地・建物の所有者に課されます。新築住宅を購入した場合、翌年の1月1日時点で所有者となっているため、翌年度から納税義務が発生します。
例えば、2025年7月に新築住宅を購入した場合、2026年1月1日時点で所有者となり、2026年度の固定資産税(2026年4-6月頃に納税通知書が届く)から納税義務が生じます。
(2) 納税通知書が届くタイミング(4-6月頃)
固定資産税の納税通知書は、毎年4-6月頃に市町村から送付されます。自治体により送付時期が異なりますが、多くの自治体では4月下旬から5月上旬に送付されます。
納税通知書には、固定資産税評価額、税額、納期限が記載されています。
(3) 支払い方法(年4回分割・一括払い)
固定資産税の支払い方法は、以下の2つから選べます。
- 年4回の分割払い: 多くの自治体では、年4回(例:6月・9月・12月・翌年2月)に分けて支払う
- 一括払い: 第1期(6月頃)に全額を一括で支払う
支払い方法は、口座振替、クレジットカード、コンビニ払い、スマートフォン決済(PayPay、LINE Pay等)などが利用できます。
(参考: 三菱UFJ銀行「固定資産税はいつ払う?」)
固定資産税はいつ下がるのか(経年劣化・評価替え)
(1) 建物の経年劣化による減額(木造15年、軽量鉄骨20年、RC60年)
建物の固定資産税は、経年劣化により徐々に下がる可能性があります。経年減点補正率により、以下の年数で最低評価額(新築時の約20%)に到達します。
- 木造: 15年
- 軽量鉄骨: 20年
- 鉄筋コンクリート(RC): 60年
例えば、木造住宅の場合、築15年で建物の固定資産税評価額は新築時の約20%まで下がります。これにより、固定資産税も約80%減少する可能性があります。
(参考: フィル・パーク「固定資産税が安くなる方法は?」)
(2) 3年に一度の評価替え
固定資産税評価額は、3年に一度の基準年度(3の倍数の年:2024年、2027年、2030年等)に見直されます。評価替えにより、地価の変動や建物の経年劣化を反映して税額が調整されます。
ただし、評価替えで必ず税額が下がるわけではありません。地価上昇や建築費高騰があれば、税額が据え置きまたは上昇する場合もあります。
(3) 建築費高騰・地価上昇で下がらない場合もある
近年は建築費の高騰や一部地域での地価上昇により、固定資産税が下がらないケースも見られます。特に、以下のような場合は注意が必要です。
- 建築費高騰: 新築住宅の建築費が上がると、評価額も上がる可能性がある
- 地価上昇: 再開発や人気エリアでは土地の評価額が上がり、固定資産税が増加する場合がある
- 都市計画の変更: 用途地域の変更(住居地域→商業地域等)により税額が上がる場合がある
(参考: 不動産のあいうえお「固定資産税はいつ安くなる?」)
まとめ:固定資産税の負担を抑える方法
新築一般住宅の固定資産税は、最初の3年間(マンション5年間)は半額の軽減措置が適用されます。認定長期優良住宅の場合、軽減期間は5年間(マンション7年間)に延長されます。
軽減措置終了後(4年目・6年目)は税額が約1.9倍に上がるため、事前に資金計画を立てることが重要です。毎月の住宅ローン返済額に加えて、固定資産税の増加分(年間5-10万円程度)を積み立てましょう。
固定資産税の減税制度は、2024年税制改正で2年延長され、令和8年(2026年)3月31日取得分まで適用されます。税制改正により変更される可能性があるため、最新情報を確認してください。
納税通知書は4-6月頃に送付され、年4回の分割払い(または一括払い)で支払います。建物の固定資産税は経年劣化で下がる可能性がありますが、3年に一度の評価替えで建築費高騰や地価上昇があれば下がらない場合もあります。
税理士や不動産会社に相談しながら、固定資産税の負担を正しく理解し、無理のない資金計画を立てましょう。
