固定資産税の支払い方法を選ぶポイント
固定資産税の支払いにあたり、「どの方法で支払うと最もお得なのか」と悩む方は少なくありません。クレジットカード、電子マネー、スマホ決済アプリなど、複数の選択肢があり、それぞれにメリット・デメリットがあります。
この記事では、固定資産税の支払い方法を比較し、ポイント還元率・手数料・手間の観点から最もお得な方法を解説します。税額別のシミュレーションも提示し、不動産所有者が最適な支払い方法を選択できる内容になっています。
この記事のポイント
- 固定資産税の支払い方法は大きく「現金納付」と「キャッシュレス納付」の2つに分類される
- スマホ決済アプリ(楽天ペイ・ファミペイ等)は決済手数料がかからずポイントを貯められる
- クレジットカード払いは決済手数料(約0.8%)がかかるため、高還元率カードでないとマイナスになる可能性がある
- 電子マネー(nanaco・WAON)をクレジットカードでチャージすることで、ポイント二重取りが可能
- 2025年時点では、楽天ペイ、ファミペイ、auペイが特にお得な選択肢として推奨されている
(1) ポイント還元率と決済手数料の比較
固定資産税の支払い方法を選ぶ際の最重要ポイントは、ポイント還元率と決済手数料の比較です。
基本的な考え方:
- 決済手数料が無料で、ポイント還元率が高い方法が最もお得
- 決済手数料がかかる場合、ポイント還元率が手数料を上回る必要がある
例えば、クレジットカード払いでは決済手数料が約0.8%かかるため、ポイント還元率が1.0%以上のカードでないと実質的にマイナスになる可能性があります。
一方、スマホ決済アプリは決済手数料がかからず、ポイントを貯められるため、多くの場合で最もお得な選択肢となります。
(2) 自治体による対応状況の確認
固定資産税の支払い方法は、自治体によって対応状況が異なる場合があります。
確認すべき項目:
- クレジットカード払いに対応しているか
- どのスマホ決済アプリが使用可能か(PayPay、楽天ペイ、d払い、au PAY、ファミペイ等)
- 地方税統一二次元コードに対応しているか
2023年4月から地方税統一二次元コードを活用した地方税の納付が開始され、多くの自治体でクレジットカードや電子決済が可能になりました(三井住友VISAカード)。
ただし、対応状況は自治体により異なるため、納付書に記載されている支払い方法または自治体の公式サイトで事前に確認しましょう。
固定資産税の6つの支払い方法
固定資産税の支払い方法は、大きく「現金納付」と「キャッシュレス納付」の2つに分類されます。
(1) 現金納付(コンビニ・銀行窓口)
特徴:
- コンビニエンスストア、銀行窓口、郵便局で現金で支払う
- 領収証書が発行される
- ポイント還元なし、手数料なし
メリット:
- 領収証書が発行されるため、納税証明が必要な場合に安心
- 手数料がかからない
デメリット:
- ポイント還元がないため、お得度は低い
- 窓口まで出向く手間がかかる
(2) 口座振替
特徴:
- 指定した銀行口座から自動的に引き落とし
- 一度設定すれば自動で支払いが完了
メリット:
- 支払い忘れを防げる
- 手間がかからない
デメリット:
- ポイント還元がない
- 一括払いでも割引はない
(3) クレジットカード払い
特徴:
- クレジットカードで納税
- 決済手数料(約0.8%)がかかる
- カードのポイントが貯まる
メリット:
- 24時間どこからでも手続き可能
- カードのポイントが貯まる
- 支払いを先延ばしにできる
デメリット:
- 決済手数料がかかる(約0.8%)
- 高還元率カード(1.0%以上)でないとマイナスになる可能性がある
- 領収証書が発行されない
(4) スマホ決済アプリ(PayPay・楽天ペイ等)
特徴:
- PayPay、楽天ペイ、d払い、au PAY、ファミペイなどのアプリで支払い
- 決済手数料がかからない
- アプリごとにポイント還元の仕組みが異なる
メリット:
- 決済手数料がかからない
- ポイントが貯まる(アプリによる)
- 24時間どこからでも手続き可能
デメリット:
- アプリによってポイント還元ルールが異なる
- ポイント還元ルールが頻繁に変更される
- 領収証書が発行されない
(5) 電子マネー(nanaco・WAON等)
特徴:
- nanaco、WAONなどの電子マネーで支払い
- クレジットカードでチャージすることで、チャージ分のポイントを獲得可能
メリット:
- ポイント二重取りが可能(クレジットカードでチャージ→電子マネーで支払い)
- コンビニで手軽に支払える
デメリット:
- チャージ上限が5万円のため、5万円超の納税には使えない
- ポイント還元ルールが変更される可能性がある
(6) 地方税統一二次元コード対応の納付
特徴:
- 2023年4月から導入された、QRコード・バーコードシステムを使った納付
- 多くのスマホ決済アプリ・クレジットカードで利用可能
メリット:
- 複数の支払い方法から選択可能
- 自治体の対応が拡大している
デメリット:
- 自治体により対応状況が異なる
スマホ決済アプリで支払うメリット・デメリット
(1) 楽天ペイの特徴(期間限定ポイント使用可・2024年6月の仕様変更)
楽天ペイの特徴:
- 期間限定ポイントを含めて使用可能:固定資産税の支払いに充当できる唯一の方法
- 2024年6月4日の仕様変更:楽天キャッシュの楽天ポイント進呈ルールが変更され、請求書払いの決済はポイント進呈の対象外となった(タチナビ)
楽天ペイを使うメリット:
- 期間限定ポイントを有効活用できる
- 楽天カードから楽天キャッシュへチャージで0.5%還元(請求書払い自体はポイント対象外)
注意点:
- 決済上限は30万円
- 2024年6月以降、請求書払いでのポイント還元はなくなった
(2) ファミペイの特徴(1件につき10ポイント付与)
ファミペイの特徴:
- 公共料金納付1件につき10ポイント付与(2025年時点)(カーツリー)
- ファミリーマートで手軽に利用可能
ファミペイを使うメリット:
- 手数料なしで10ポイントが確実に貯まる
- ファミリーマート利用者にとって便利
注意点:
- ポイント還元率は税額により変動(税額が大きいほど還元率は低下)
- ファミペイボーナスは有効期限がある
(3) PayPay・auペイ・d払いの特徴
| アプリ | 特徴 | 決済上限 | ポイント還元 |
|---|---|---|---|
| PayPay | PayPayマネーライトが使える。クレジットカード(旧PayPayあと払い)を登録しておけばチャージ不要 | 30万円 | 2022年4月以降、請求書払いでPayPayボーナスは付与されない |
| au PAY | au PAYでの支払いに対応 | 30万円 | アプリ独自のポイント還元あり(詳細は公式サイト確認) |
| d払い | d払いでの支払いに対応 | 30万円 | アプリ独自のポイント還元あり(詳細は公式サイト確認) |
注意点: スマホ決済アプリのポイント還元ルールは頻繁に変更されるため、支払い前に最新情報を確認することが重要です。
(4) 決済上限と注意点
決済上限:
- PayPay、楽天ペイ:30万円
- 電子マネー(nanaco、WAON):チャージ上限5万円
注意点:
- 30万円を超える納税額には対応できない
- 電子マネーは5万円超の納税には使えない
- 領収証書が発行されないため、納税証明が必要な場合は自治体への確認が必要
クレジットカード払いのメリット・デメリット
(1) 決済手数料(約0.8%)とポイント還元率の比較
クレジットカード払いの最大のデメリットは、決済手数料が約0.8%かかることです。
シミュレーション例:
| 固定資産税額 | 決済手数料(0.8%) | ポイント還元(1.0%) | 実質利益 |
|---|---|---|---|
| 10万円 | 800円 | 1,000円 | +200円 |
| 30万円 | 2,400円 | 3,000円 | +600円 |
| 50万円 | 4,000円 | 5,000円 | +1,000円 |
結論: ポイント還元率が1.0%のカードであれば、決済手数料を差し引いても実質的にプラスになります。ただし、還元率が0.5%のカードではマイナスになる可能性があります。
(2) 高還元率カードでないとマイナスになる可能性
**高還元率カード(1.0%以上)**の例:
- 楽天カード(1.0%)
- dカード(1.0%)
- リクルートカード(1.2%)
**通常還元率カード(0.5%)**の例:
- 一部の銀行系カード
クレジットカード払いを選ぶ際は、必ず自身のカードのポイント還元率を確認し、決済手数料(約0.8%)を上回るかどうかを判断しましょう。
(3) 領収証書が発行されない点に注意
クレジットカード払いでは領収証書が発行されないため、納税証明が必要な場合は自治体への確認が必要です。
納税証明書は自治体の窓口で別途取得できますが、手数料がかかる場合があります。
電子マネー・その他の支払い方法の特徴
(1) nanaco・WAONでのポイント二重取りの仕組み
電子マネー(nanaco、WAON)を使ったポイント二重取りの仕組みは以下の通りです。
手順:
- クレジットカードで電子マネー(nanaco、WAON)にチャージ → クレジットカードのポイント獲得
- 電子マネーで固定資産税を支払い → (電子マネー側のポイント還元は基本的になし)
ポイント: クレジットカードでチャージした分のポイントを獲得できるため、実質的にポイント還元を受けられます。
注意点:
- チャージでポイントが貯まるクレジットカードを使用する必要がある(一部カードはチャージでポイント付与なし)
- 電子マネー側のポイント還元は基本的にない
(2) チャージ上限(5万円)の制約
多くの電子マネーはチャージ上限が5万円であるため、一度の納税額が5万円を超える場合は使用できません。
対応策:
- 複数回に分けてチャージする(手間がかかる)
- 5万円以下の納税にのみ電子マネーを使用し、5万円超の場合はスマホ決済アプリを使用
(3) 口座振替・コンビニ払いの特徴
口座振替:
- 一度設定すれば自動で支払いが完了
- ポイント還元はないが、支払い忘れを防げる
- 一括払いでも割引はない
コンビニ払い(現金):
- 領収証書が発行される
- ポイント還元なし、手数料なし
- お得度は低いが、確実な納税証明が必要な場合に有効
まとめ:最もお得な支払い方法の選び方
(1) 税額別のおすすめ支払い方法
| 固定資産税額 | おすすめ支払い方法 | 理由 |
|---|---|---|
| 5万円以下 | 電子マネー(nanaco・WAON)+クレジットカードチャージ | ポイント二重取りが可能 |
| 5万円〜30万円 | 楽天ペイ(期間限定ポイント消化)またはファミペイ(10ポイント/件) | 決済手数料なし、ポイント還元あり |
| 30万円超 | 高還元率クレジットカード(1.0%以上) | 決済上限がないため大きな税額にも対応可能 |
総合的なおすすめ: 2025年時点では、楽天ペイ、ファミペイ、auペイが特にお得な選択肢として推奨されています(ペイッター)。
(2) 2025年時点での最新情報確認の重要性
スマホ決済アプリのポイント還元ルールは頻繁に変更されるため、支払い前に最新情報を確認することが重要です。
確認すべき項目:
- 自治体が対応している支払い方法
- スマホ決済アプリの最新ポイント還元ルール
- クレジットカードの決済手数料とポイント還元率
固定資産税の支払い方法は、ポイント還元率・決済手数料・手間を比較して選ぶことが重要です。2025年時点の最新情報を確認し、自身の状況に最も適した方法を選択しましょう。
