固定資産税の納付で困っていませんか?
不動産を所有すると毎年納付する固定資産税ですが、「どこに払うのか」「納付書はいつ届くのか」「支払い方法は何が選べるのか」と疑問を持つ方は少なくありません。
この記事では、固定資産税の納付先、支払い方法、決定プロセス、納付書の配送先、転居時の手続きを、総務省や自治体公式サイトの情報を元に解説します。
初めて固定資産税を納付する方でも、納付手続きを正確に理解できるようになります。
この記事のポイント
- 固定資産税は物件所在地の市町村に納税(東京23区は東京都)
- 納税通知書は毎年4〜5月に登録住所に届く(東京23区は6月1日発送)
- 支払い方法は現金、口座振替、クレジットカード、スマホ決済アプリなど多様
- eL-QR(地方税統一QRコード)を使えば、スマホアプリで自宅から支払い可能
- 転居時は届出をしないと納税通知書が届かない可能性があるため、住所変更の届出が必要
固定資産税の納付先の基本
(1) 固定資産税とは
固定資産税は、土地・家屋・償却資産の所有者に課される市町村税(東京23区は都税)です。
総務省の公式サイトによると、固定資産税は地方税法で規定されており、毎年1月1日時点の所有者が納税義務を負います。
不動産を所有している限り、毎年納付が必要な税金です。
(2) 納税先は市町村(東京23区は都税)
固定資産税の納税先は、物件所在地の市町村です。
納税先の原則
| 地域 | 納税先 |
|---|---|
| 市町村(一般) | 物件所在地の市町村 |
| 東京23区 | 東京都 |
東京23区のみ特例で、固定資産税は東京都に納税します。それ以外の地域では、物件所在地の市町村に納税します。
納税先は納税通知書に明記されており、不明な場合は市町村税務課へ問い合わせることができます。
(3) 納税義務者と納税通知書
固定資産税の納税義務者は、毎年1月1日時点の所有者です。
納税義務者の決定
- 1月1日時点の所有者:登記簿上の所有者が納税義務を負う
- 売買した場合:1月2日以降に売買しても、その年の固定資産税は1月1日時点の所有者が納税
- 相続の場合:1月1日時点の所有者が死亡している場合、相続人が納税義務を承継
納税通知書は、1月1日時点の所有者の登録住所に送付されます。
固定資産税の支払い方法
(1) 現金納付・口座振替
固定資産税の支払い方法は、自治体により多様な選択肢が用意されています。
主な支払い方法
- 現金納付:市町村税務課の窓口、金融機関、コンビニエンスストアで納付
- 口座振替:指定口座から自動引き落とし(事前申込が必要)
現金納付は手軽ですが、納付書を持参する必要があります。口座振替は自動引き落としで納付忘れを防げますが、事前に申込が必要です。
(2) クレジットカード・ペイジー
近年では、キャッシュレス決済も広く利用できます。
キャッシュレス決済の種類
- クレジットカード:インターネット経由で納付、ポイント還元がある場合も
- ペイジー(Pay-easy):インターネットバンキングやATMから納付
クレジットカード納付は便利ですが、決済手数料がかかる場合があります。ペイジーは金融機関のATMやインターネットバンキングで手続きできます。
(3) eL-QR(地方税統一QRコード)とスマホ決済
2023年4月から、eL-QR(地方税統一QRコード)が導入され、スマホ決済が便利になりました。
eL-QRとは、納付書に印刷されたQRコードをスマホアプリで読み取り、各種キャッシュレス決済で納税できる仕組みです。
eL-QR対応のスマホ決済アプリ(例)
- PayPay
- LINE Pay
- 楽天ペイ
- au PAY
- d払い
eL-QRを使えば、自宅から簡単に納付でき、納付書を持参する手間が省けます。
(4) 各支払い方法の注意点
支払い方法により、上限額や手数料が異なる場合があります。
注意点
| 支払い方法 | 注意点 |
|---|---|
| コンビニ払い | 1枚あたり30万円までの上限がある |
| クレジットカード | 決済手数料がかかる場合がある |
| スマホ決済 | アプリのチャージ上限額に注意 |
支払い方法の詳細や手数料は、自治体公式サイトで確認してください。
固定資産税の決定プロセスと納付期限
(1) 固定資産税評価額の決定方法
固定資産税の税額は、固定資産税評価額を基に計算されます。
固定資産税評価額とは、固定資産税の計算基礎となる評価額で、3年に1度評価替えが行われます。
評価方法
- 土地:地価公示価格の7割を目安に評価
- 家屋:再建築価格方式で評価(同じ建物を新築した場合の価格を基準)
- 評価替え:3年に1度、直近は2024年
評価額は市町村が決定し、納税通知書に記載されます。
(2) 税額の計算式(標準税率1.4%)
固定資産税額は、以下の計算式で求められます。
固定資産税額の計算式
固定資産税額 = 固定資産税評価額 × 1.4%(標準税率)
標準税率は1.4%ですが、自治体により異なる場合があります。自治体公式サイトで税率を確認してください。
小規模住宅用地の特例
200㎡以下の住宅用地は、固定資産税評価額を1/6にする特例があります。これにより、住宅用地の固定資産税が大幅に軽減されます。
小規模住宅用地の特例とは、住宅用地の固定資産税を軽減する措置で、200㎡以下の部分は評価額を1/6に、200㎡超の部分は1/3に減額されます。
(3) 納付期限(年4回が一般的)
固定資産税の納付期限は、年4回に分けて納付するのが一般的です。
納付期限の例(自治体により異なる)
- 第1期:4月〜5月
- 第2期:7月
- 第3期:12月
- 第4期:翌年2月
納付期限は自治体により異なるため、納税通知書で確認してください。
一括納付も可能で、一括納付により割引がある自治体もあります。
(4) 2024年評価替えの影響
2024年は3年に1度の評価替えの年です。
建築資材の高騰により、家屋評価額が上昇する見込みです(木造1.11倍、非木造1.07倍)。また、全国的に地価が上昇傾向にあり、商業地を中心に評価額が上昇する可能性があります。
評価替えにより税額が変動する可能性があるため、納税通知書で確認してください。
納付書の配送先と転居時の手続き
(1) 納税通知書が届く時期と場所
納税通知書は、毎年4〜5月に1月1日時点の所有者の登録住所に届きます。
納税通知書の発送時期
| 地域 | 発送時期 |
|---|---|
| 一般的な市町村 | 4月〜5月 |
| 東京23区 | 6月1日 |
発送から手元に届くまで1週間〜10日程度かかります。5月下旬になっても届かない場合は、市町村税務課へ問い合わせてください。
(2) 転居時の住所変更届
転居しても、自動的に納税通知書の送付先は変更されません。
転居時の手続き
- 市町村税務課に住所変更の届出を提出
- 登記簿上の住所変更(所有権登記名義人住所変更登記)も推奨
届出をしないと、旧住所に納税通知書が送付され、納付期限を過ぎる可能性があります。転居時は必ず届出を行ってください。
(3) 納税通知書が届かない場合の対処
納税通知書が届かない場合は、以下の原因が考えられます。
届かない原因
- 転居により送付先が変更されていない
- 郵便事故で紛失
- 発送時期が遅れている
市町村税務課に問い合わせて、納税通知書の再発行を依頼してください。納税義務は消滅しないため、届かなくても納付が必要です。
まとめ:固定資産税の納付手順
固定資産税は、物件所在地の市町村に納税します(東京23区は東京都)。納税通知書は毎年4〜5月に登録住所に届き、年4回に分けて納付するのが一般的です。
支払い方法は、現金納付、口座振替、クレジットカード、ペイジー、スマホ決済アプリなど多様な選択肢があります。2023年4月導入のeL-QRを使えば、スマホアプリで自宅から簡単に納付できます。
転居時には住所変更の届出を行い、納税通知書が確実に届くようにしてください。納税通知書が届かない場合は、市町村税務課に問い合わせて再発行を依頼してください。
不明な点は、市町村税務課や税理士への相談を推奨します。
