固定資産税通知書はいつ届く?届かない理由と対処法
毎年4〜6月頃に届くはずの固定資産税通知書が届かず、不安を感じたり、通知書の見方が分からずに困っている方は少なくありません。
この記事では、固定資産税通知書の届く時期、届かない場合の具体的な対処法、通知書の見方を、自治体の公式情報を元に分かりやすく解説します。
初めて不動産を所有する方でも、固定資産税通知書を正しく理解し、適切に対応できるようになります。
この記事のポイント
- 固定資産税通知書は4月〜6月頃に郵送されるが、自治体により発送時期が異なる(東京23区は6月1日、宮崎市は5月初め等)
- 納税通知書・課税明細書・納付書の3種類の書類が同封される
- 課税明細書の重要項目は「固定資産税評価額」「課税標準額」「税額」の3つ
- 納税通知書と課税明細書は再発行不可のため大切に保管が必要
- 通知書が届かない場合は市区町村役場の税務課に問い合わせる
固定資産税通知書の基礎知識
固定資産税通知書とは何か
固定資産税通知書とは、毎年1月1日時点の土地・家屋の所有者に対して、市区町村が送付する税額通知書類です。地方税法により、納期限の10日前までに交付することが定められています。
固定資産税は地方税の一種で、不動産を所有している限り、毎年課税されます。通知書には、課税対象となる不動産の詳細、税額、納付期限等が記載されています。
納税通知書・課税明細書・納付書の違い
固定資産税通知書には、以下の3種類の書類が同封されています。
| 書類の種類 | 内容 | 再発行の可否 |
|---|---|---|
| 納税通知書 | 固定資産税の税額や納付時期を通知する書類 | 再発行不可 |
| 課税明細書 | 課税対象となる土地・家屋の住所・課税標準額・税額を詳細に示した書類 | 再発行不可 |
| 納付書 | 実際に固定資産税を金融機関等で支払う際に使用する書類(年4回分) | 再発行可能 |
納税通知書と課税明細書は再発行できないため、大切に保管してください。納付書のみ、紛失した場合は市区町村役場で再発行が可能です。
固定資産税の納付スケジュール
固定資産税は、年4回に分けて納付するのが一般的です。自治体により納付期限が異なりますが、一般的なスケジュールは以下の通りです。
| 期別 | 納付月 | 備考 |
|---|---|---|
| 第1期 | 4月〜6月 | 全額一括払いも可能 |
| 第2期 | 7月〜9月 | |
| 第3期 | 12月〜翌年1月 | |
| 第4期 | 翌年2月〜3月 |
第1期の納付期限までに全額を一括で支払うことも可能です。一括払いによる割引はありませんが、納付忘れを防ぐことができます。
固定資産税通知書の見方と確認ポイント
課税明細書の重要3項目(固定資産税評価額・課税標準額・税額)
課税明細書には、以下の3つの重要項目が記載されています。
1. 固定資産税評価額
固定資産税評価額とは、土地・家屋の時価の約70%で算出された評価額です。3年に一度、評価替えが行われます(直近は2024年度)。
2. 課税標準額
課税標準額とは、固定資産税を計算する基礎となる金額です。評価額に軽減措置等を適用後の額で、実際の税額計算に使用されます。
3. 税額
税額は、課税標準額に税率を乗じて算出されます。固定資産税の標準税率は1.4%、都市計画税の税率は0.3%です。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 固定資産税評価額 | 土地・家屋の時価の約70% |
| 課税標準額 | 評価額に軽減措置を適用後の額 |
| 固定資産税額 | 課税標準額 × 1.4% |
| 都市計画税額 | 課税標準額 × 0.3%(市街化区域のみ) |
固定資産税の計算方法
固定資産税の税額は、以下の計算式で算出されます。
固定資産税 = 課税標準額 × 税率(1.4%)
例えば、課税標準額が1,000万円の土地の場合、固定資産税は14万円(1,000万円 × 1.4%)となります。
計算例:
- 固定資産税評価額: 1,500万円
- 課税標準額: 1,000万円(軽減措置適用後)
- 固定資産税: 14万円(1,000万円 × 1.4%)
なお、新築住宅の軽減措置が適用される場合、固定資産税が3〜5年間減額されます(2026年3月31日まで延長)。
都市計画税との違い
市街化区域内の土地・家屋を所有している場合、固定資産税に加えて都市計画税も課税されます。
| 税金の種類 | 税率 | 課税対象 |
|---|---|---|
| 固定資産税 | 1.4%(標準税率) | 全国の土地・家屋 |
| 都市計画税 | 0.3%(制限税率) | 市街化区域内の土地・家屋のみ |
都市計画税は、市街化区域内の都市計画事業や土地区画整理事業の費用に充てられます。市街化区域外の土地・家屋には課税されません。
通知書が届かない場合の対処法
自治体別の発送時期の確認
固定資産税通知書の発送時期は、自治体により異なります。主要自治体の発送時期は以下の通りです。
| 自治体 | 発送時期 |
|---|---|
| 東京23区 | 6月1日 |
| 横浜市 | 4月上旬 |
| 大阪市 | 4月上旬 |
| 宮崎市 | 5月初め |
お住まいの自治体の発送時期は、市区町村の公式ウェブサイトで確認できます。発送から到着まで1〜10日程度かかるため、発送時期から2週間経っても届かない場合は、市区町村役場に問い合わせることを推奨します。
市区町村役場への問い合わせ方法
通知書が届かない場合は、お住まいの市区町村役場の税務課(固定資産税担当)に問い合わせてください。
問い合わせ先の調べ方:
- 市区町村の公式ウェブサイトにアクセス
- 「固定資産税」「税金」等のキーワードで検索
- 税務課の連絡先を確認
問い合わせ時に準備する情報:
- 所有者の氏名
- 不動産の所在地(住所)
- 不動産の種類(土地・家屋)
電話での問い合わせが難しい場合は、市区町村役場の窓口に直接訪問することも可能です。
紛失した場合の再発行の可否
納税通知書と課税明細書は再発行できません。紛失した場合でも、再度発行してもらうことはできないため、大切に保管してください。
ただし、納付書のみは再発行が可能です。納付書を紛失した場合は、市区町村役場の税務課で再発行を申請してください。
再発行可能な書類:
- ✅ 納付書: 再発行可能
- ❌ 納税通知書: 再発行不可
- ❌ 課税明細書: 再発行不可
課税明細書は、不動産所得の経費計上の証拠書類として確定申告時に必要になる場合があるため、特に注意して保管してください。
よくある疑問と注意点
引越し後に届かない場合の対応
引越しをした場合、固定資産税通知書は旧住所に送付されるため、届かない可能性があります。この場合、以下の対応を行ってください。
1. 郵便局での転送届を提出
郵便局に転送届を提出していれば、旧住所宛の郵便物が新住所に転送されます。転送期間は届出から1年間です。
2. 市区町村役場に住所変更を届け出
固定資産税の納税通知書の送付先を変更したい場合は、市区町村役場の税務課に住所変更を届け出てください。ただし、所有者の住民登録地とは別に、納税通知書の送付先を指定することも可能です。
納期限を過ぎた場合のペナルティ
納期限を過ぎると、以下のペナルティが発生します。
| ペナルティの種類 | 内容 |
|---|---|
| 延滞金 | 納期限の翌日から延滞金が発生(年率2.4%〜8.7%、2025年時点) |
| 督促状の送付 | 納期限から20日以内に督促状が送付される |
| 財産の差し押さえ | 督促状の指定期限までに納付しない場合、財産が差し押さえられる可能性 |
納期限までに支払いが困難な場合は、早めに市区町村役場の税務課に相談してください。分割納付等の対応を検討してもらえる場合があります。
通知書の保管期間と活用方法
固定資産税通知書は、以下の用途で活用されるため、確定申告が終わるまで保管することを推奨します。
活用方法:
- 確定申告: 不動産所得の経費として固定資産税を計上する証拠書類
- 不動産売却: 売却時に買主に固定資産税評価額を示す資料
- 相続手続き: 相続税の計算で固定資産税評価額が参考になる
課税明細書には固定資産税評価額が記載されており、不動産の価値を把握する上で重要な資料です。少なくとも3年間は保管しておくことを推奨します。
まとめ:固定資産税通知書の管理と活用
固定資産税通知書は、4月〜6月頃に郵送されますが、自治体により発送時期が異なります。納税通知書・課税明細書・納付書の3種類が同封され、納税通知書と課税明細書は再発行できないため、大切に保管してください。
通知書が届かない場合は、市区町村役場の税務課に問い合わせることを推奨します。課税明細書には固定資産税評価額・課税標準額・税額が記載されており、確定申告や不動産売却時に活用できる重要な資料です。
納期限までに支払いが困難な場合は、早めに市区町村役場に相談し、分割納付等の対応を検討しましょう。
