固定資産税の納付期限とコンビニ払いの基本
固定資産税の納期限を過ぎてしまった場合、「コンビニで払えるのか」「延滞金はどれくらいかかるのか」と不安に感じる方は多いのではないでしょうか。
この記事では、固定資産税の期限切れ後の支払い方法、コンビニ払いの条件、延滞金の計算方法、払えない場合の対処法を解説します。納付期限を過ぎた場合でも適切に対処できるようになります。
この記事のポイント
- 納期限を過ぎた納付書は原則コンビニで使用不可(ただし取扱期限内なら可能な場合もある)
- 納期限後は金融機関窓口または市区町村役所窓口で納付可能
- 延滞金は納期限の翌日から発生(1ヶ月以内は年2.4%、以降は年8.7%・令和7年)
- 支払いが困難な場合は放置せず、早期に自治体窓口へ相談することで分割納付や差し押さえ猶予が認められる可能性がある
- 自治体により取扱いが異なるため、詳細は必ず管轄の市区町村に確認を
(1) 固定資産税の納期限(年4回の納付スケジュール)
固定資産税は、毎年1月1日時点の土地・建物の所有者に課される地方税で、市区町村が課税します。通常、年4回に分けて納付するスケジュールとなっています。
一般的な納期限(自治体により異なる):
- 第1期:5月頃
- 第2期:7月頃
- 第3期:12月頃
- 第4期:2月頃
この「納期限」は、各期の税金を納付しなければならない期限を指します。納期限を過ぎると、延滞金が発生する可能性があります。
(2) コンビニ払いの条件(1回30万円まで、現金のみ)
コンビニ払いは便利な納付方法ですが、以下の条件があります(2024年時点)。
- 1回の納付額が30万円まで
- 現金のみ対応(クレジットカード・電子マネーは不可)
- 納付書にバーコードが印字されている
30万円を超える場合は、金融機関窓口や市区町村役所窓口での納付が必要です。
(3) 取扱期限と納期限の違い
納付書には、「納期限」と「取扱期限」という2つの期限が記載されています。
| 項目 | 意味 | 期限例 |
|---|---|---|
| 納期限 | 各期の税金を納付すべき期限 | 第1期:5月31日 |
| 取扱期限 | コンビニや一部決済サービスで使用できる期限 | 翌年5月31日 |
取扱期限は、通常は発行年度の翌年5月31日に設定されており、この期限を過ぎると納付書自体が使用できなくなります。
納期限を過ぎた場合のコンビニ払いの可否
納期限を過ぎてしまった場合、コンビニで納付できるかどうかは自治体により取扱いが異なります。
(1) 原則:納期限を過ぎるとコンビニで使用不可
多くの自治体では、納期限を過ぎた納付書はコンビニで使用できません。これは、延滞金の計算や管理の都合上、コンビニでの取扱いを停止する必要があるためです。
金沢市や名古屋市等の自治体では、納期限後のコンビニ払いを受け付けていません。
(2) 取扱期限内(通常は翌年5月31日まで)なら可能な場合もある
一方で、草加市等の一部自治体では、納期限を過ぎても取扱期限(通常は翌年5月31日)までならコンビニで納付できる場合があります。
ただし、この場合でも延滞金は別途納付する必要がある場合が多いため、詳細は必ず管轄の自治体に確認してください。
(3) 納付書のバーコード破損・汚損の場合も受付不可
コンビニ払いは、納付書のバーコードをスキャンすることで処理されます。バーコード部分が破損・汚損した場合、コンビニで受付できません。
この場合は、市区町村役所で新しい納付書を発行してもらう必要があります。
納期限後の固定資産税の支払い方法
納期限を過ぎた場合でも、以下の方法で納付できます。
(1) 金融機関窓口での納付
銀行・信用金庫・郵便局等の金融機関窓口であれば、納期限を過ぎた納付書でも納付できる場合が多いです。窓口で納付書を提示し、固定資産税と延滞金(発生している場合)を支払います。
ただし、納期限から3ヶ月以上経過した納付書は使用できない場合があります。
(2) 市区町村役所窓口での納付
市区町村役所の税務課・市税事務所等でも納付できます。この方法が最も確実で、延滞金の計算や納付書の再発行もその場で対応してもらえます。
窓口の営業時間(平日8:30-17:00等)を事前に確認し、納付書を持参してください。
(3) 新しい納付書の取り寄せ(3ヶ月以上経過の場合)
納期限から3ヶ月以上経過した納付書は、使用できない場合があります。名古屋市等では、この場合に市税事務所から新しい納付書を取り寄せる必要があります。
新しい納付書には、本税と延滞金が合算された金額が記載されます。
(4) 使用できない納付方法(クレジットカード・スマホ決済・インターネットバンキング)
納期限を過ぎると、以下の納付方法は使用できなくなります。
- クレジットカード払い
- スマホ決済(PayPay・LINE Pay等)
- インターネットバンキング
これらの方法は、納期限内に限定されているため、期限を過ぎた場合は窓口での納付を選択してください。
延滞金の発生と計算方法
納期限を過ぎた場合、延滞金がどれくらいかかるのかを理解しておくことが重要です。
(1) 延滞金の発生タイミング(納期限の翌日から)
延滞金は、納期限の翌日から発生します。例えば、第1期の納期限が5月31日の場合、6月1日から延滞金が計算されます。
延滞金は日数に応じて増加するため、未納に気付いたら速やかに納付することが重要です。
(2) 延滞金率(1ヶ月以内は年2.4%、以降は年8.7%・令和7年)
令和7年(2025年)の延滞金率は以下の通りです(自治体により異なる場合があります)。
| 期間 | 延滞金率 |
|---|---|
| 納期限の翌日から1ヶ月以内 | 年2.4% |
| 1ヶ月経過後 | 年8.7% |
この税率は法改正により変更される可能性があるため、最新の情報は各自治体に確認してください。
(3) 延滞金の計算例とシミュレーション
延滞金の計算式は以下の通りです。
延滞金 = 本税額 × 延滞金率 × 延滞日数 ÷ 365日
計算例:
- 本税額:10万円
- 納期限:5月31日
- 納付日:7月15日(45日遅延)
1ヶ月以内(6月1日~6月30日、30日間):
10万円 × 2.4% × 30日 ÷ 365日 = 197円
1ヶ月経過後(7月1日~7月15日、15日間):
10万円 × 8.7% × 15日 ÷ 365日 = 358円
合計延滞金: 197円 + 358円 = 555円
ただし、多くの自治体では「1,000円未満の延滞金は徴収しない」という取扱いをしています。この例では555円のため、延滞金は発生しない可能性があります。
固定資産税が払えない場合の対処法
経済的な理由で固定資産税を一括で納付できない場合でも、適切な対処法があります。
(1) 早期に自治体窓口へ相談(分割納付の可能性)
固定資産税が払えない場合は、放置せず、早めに自治体の税務課や市税事務所に相談してください。事情を説明することで、以下の対応が認められる可能性があります。
- 分割納付: 一括での納付が困難な場合に、税金を分割して納める方法
- 納付猶予: 災害・病気・事業の休廃業等の理由がある場合、一定期間納付を猶予
自治体の窓口は、納税者の事情に応じて柔軟に対応してくれる場合が多いため、まずは相談することが重要です。
(2) 納付しない場合のリスク(督促状・差し押さえ)
納期限を過ぎても納付しない場合、以下のような流れで手続きが進みます。
- 督促状の送付(納期限から20日以内)
- 催告書の送付(督促状送付後も納付がない場合)
- 財産調査(預貯金・給与・不動産等)
- 差し押さえ(最悪の場合、財産を強制的に徴収)
差し押さえは、預貯金・給与・不動産・自動車等が対象となり、生活に大きな影響を及ぼす可能性があります。
(3) 差し押さえ猶予の条件
以下のような場合、差し押さえが猶予される可能性があります。
- 災害により財産に著しい損害を受けた
- 本人または家族が病気・負傷した
- 事業の休廃業・著しい損失があった
- 滞納処分により生活を著しく窮迫させる恐れがある
これらの条件に該当する場合は、自治体窓口で相談し、必要な書類を提出することで猶予が認められることがあります。
まとめ:期限切れ後のスムーズな納付手続き
固定資産税の納期限を過ぎてしまった場合でも、適切な方法で納付することが可能です。以下のポイントを押さえて、スムーズに手続きを進めましょう。
- 納期限を過ぎた納付書は原則コンビニで使用不可(ただし取扱期限内なら可能な自治体もある)
- 金融機関窓口または市区町村役所窓口で納付可能
- 延滞金は納期限の翌日から発生(1ヶ月以内は年2.4%、以降は年8.7%)
- 3ヶ月以上経過した納付書は使用不可の場合があり、新しい納付書を取り寄せる
- 支払いが困難な場合は放置せず、早期に自治体窓口へ相談する
自治体により取扱いが異なるため、詳細は必ず管轄の市区町村に確認してください。延滞金を最小限に抑えるためにも、未納に気付いたら速やかに対処することが重要です。
