固定資産税の納税証明書とは|必要な場面と用途
住宅ローンの申請や不動産売却の際、「固定資産税の納税証明書が必要」と言われて、どこで取得すればいいか困っている方は少なくありません。
この記事では、固定資産税の納税証明書を取得できる場所、必要書類、手数料、オンライン申請の方法まで、東京都主税局や横浜市等の公式情報を元に解説します。
急ぎで証明書が必要な方でも、取得方法と注意点を正確に把握できるようになります。
この記事のポイント
- 固定資産税の納税証明書は課税地の市区町村役場(税務課窓口)で取得可能
- 東京23区内の場合は都税事務所で取得する
- マイナンバーカードがあればオンライン申請が可能な自治体が増えている
- 手数料は自治体により異なる(東京都400円、名古屋市・大阪市300円等)
- スマホ決済で納付した場合、納入確認に約2週間かかるため急ぎの場合は注意
(1) 納税証明書の定義と記載内容
固定資産税納税証明書とは、固定資産税の納付状況(納付すべき額、納付額、未納額)を証明する書類です。
記載内容:
- 納税義務者の氏名・住所
- 年度(例:令和7年度)
- 税目(固定資産税・都市計画税)
- 納付すべき税額
- 納付済み税額
- 未納額
記載されない情報:
- 物件ごとの税額(課税明細書を使用)
- 固定資産の評価額(評価証明書を使用)
(2) 納税証明書が必要な場面(住宅ローン・融資申請・入札等)
アントレによると、納税証明書は以下の場面で必要です。
| 場面 | 用途 |
|---|---|
| 住宅ローン申請 | 金融機関が滞納がないことを確認 |
| 事業融資 | 税金の未納がないことを証明 |
| 官公庁の入札・指名願い | 納税義務を果たしていることの証明 |
| 不動産売却 | 売主が税金を完納していることの証明 |
| ビザ申請・永住権申請 | 日本国内での納税実績の証明 |
(3) この記事で分かること
この記事では、以下の内容を解説します。
- 納税証明書と評価証明書の違い
- 取得できる場所(市区町村役場、出張所、都税事務所、オンライン)
- 申請に必要な書類と手数料
- オンライン申請の方法と注意点
- 取得時の注意点(スマホ決済の反映期間、即日発行の条件等)
納税証明書と評価証明書の違い
固定資産税関連の証明書には複数の種類があり、混同しやすいため注意が必要です。
(1) 納税証明書(納付状況を証明)
用途:
- 税金の納付状況を証明
- 融資申請、入札、ビザ申請等で使用
記載内容:
- 納付すべき税額、納付済み税額、未納額
取得場所:
- 課税地の市区町村役場(東京23区は都税事務所)
(2) 評価証明書(評価額のみを証明)
マネーフォワードによると、評価証明書は以下の用途で使用されます。
用途:
- 不動産登記時の登録免許税算定
- 相続税申告
- 財産分与
記載内容:
- 固定資産の評価額のみ
- 税額・納付状況は記載なし
取得場所:
- 課税地の市区町村役場
(3) 公課証明書(評価額+税額を記載)
用途:
- 評価額と税額の両方を確認したい場合
- 不動産売買時の固定資産税精算
記載内容:
- 評価額
- 課税標準額
- 税額
(4) 課税明細書(毎年届く通知書)
用途:
- 確定申告の経費算入(物件ごとの税額を確認)
- 物件ごとの評価額・税額を確認
記載内容:
- 物件ごとの評価額・課税標準額・税額
- 非課税資産は記載なし
取得方法:
- 毎年4〜6月に納税通知書と一緒に送付される
- 紛失した場合は再発行不可(固定資産税課税台帳の閲覧で代用可能)
東急リバブルによると、確定申告で経費算入する際は課税明細書を使用します。納税証明書には物件ごとの税額が記載されていないためです。
納税証明書を取得できる場所
(1) 市区町村役場の税務課窓口
基本原則: 固定資産税の納税証明書は、課税地の市区町村役場の税務課窓口で取得できます。
即日発行: 窓口申請の場合、通常は即日発行されます。ただし、直近に納付した場合は注意が必要です(後述)。
受付時間: 平日8:30〜17:00(自治体により異なる)
(2) 出張所・連絡所での取得
自治体によっては、出張所・連絡所でも取得可能です。
例:
- 横浜市:各区役所の市税証明発行コーナーで取得可能
- 大阪市:各区役所窓口で取得可能
事前に自治体の公式サイトで確認してください。
(3) 東京23区の場合(都税事務所)
東京都主税局によると、東京23区内の固定資産税は都税のため、都税事務所で取得します。
取得場所:
- 課税地を管轄する都税事務所
- 都税証明郵送受付センター(郵送申請)
手数料:
- 400円/税目
- 固定資産税・都市計画税は合わせて1税目扱い
(4) オンライン申請対応自治体
2024〜2025年にかけて、オンライン申請対応自治体が増加しています。
対応自治体の例:
- 大阪市:税証明書のオンライン申請
- 横浜市:納税証明書
- 八王子市、西宮市等
オンライン申請の詳細は後述します。
申請に必要な書類と手数料
(1) 必要書類(申請書・本人確認書類)
名古屋市によると、以下の書類が必要です。
必須書類:
- 申請書(窓口に備え付け、または自治体サイトからダウンロード)
- 本人確認書類:
- 運転免許証
- マイナンバーカード
- パスポート
- 健康保険証(+別の公的証明書)
直近に納付した場合:
- 領収証書を持参するとスムーズ
- スマホ決済・クレジット決済で納付した場合、納入確認に約2週間かかるため注意
(2) 代理人申請の場合(委任状が必要)
必須書類:
- 委任状(委任者の署名・押印が必要)
- 代理人の本人確認書類
委任状の記載内容:
- 委任者の氏名・住所・押印
- 代理人の氏名・住所
- 取得する証明書の種類(「固定資産税納税証明書」)
- 使用目的(例:住宅ローン申請のため)
(3) 手数料の目安(自治体別:東京都400円、名古屋市300円等)
| 自治体 | 手数料 | 備考 |
|---|---|---|
| 東京都(23区) | 400円/税目 | 固定資産税・都市計画税は合わせて1税目 |
| 横浜市 | 300円/年度 | 2026年1月より様式変更予定 |
| 名古屋市 | 300円/税目・年度 | 1税目1年度につき300円 |
| 大阪市 | 300円/通 | オンライン申請も同額 |
注意:
- 手数料は自治体により異なるため、事前に公式サイトで確認してください
- 複数年度分が必要な場合は年度ごとに手数料が発生します
(4) 郵送申請の場合(定額小為替・返信用封筒)
必要書類:
- 申請書(自治体サイトからダウンロード)
- 本人確認書類の写し
- 定額小為替(手数料分、郵便局で購入)
- 返信用封筒(自分の住所を記載、切手貼付)
注意点:
- 郵送申請の場合、証明書の到着まで1週間程度かかります
- 急ぎの場合は速達対応(別途切手代が必要)
オンライン申請の方法と注意点
(1) オンライン申請対応自治体(大阪市・横浜市等)
大阪市によると、マイナンバーカードがあればオンライン申請が可能です。
対応自治体の例:
- 大阪市、横浜市、八王子市、西宮市等
利用可能者:
- 市内在住者
- 市外在住者も利用可能(大阪市等)
(2) マイナンバーカードと署名用電子証明書が必要
必要なもの:
- マイナンバーカード
- 署名用電子証明書(マイナンバーカードに搭載)
- ICカードリーダー(またはスマホのNFC機能)
事前準備:
- マイナンバーカードの取得(申請から1ヶ月程度)
- 署名用電子証明書のパスワード設定
(3) 申請から受取までの流れ
ステップ1:オンライン申請
- 自治体の電子申請システムにログイン
- 証明書の種類・年度を選択
- マイナンバーカードで電子署名
ステップ2:手数料支払い
- クレジットカード
- PayPay(西宮市等)
- コンビニ決済
ステップ3:受取
- 郵送受取(数日〜1週間)
- 窓口受取(一部自治体のみ)
(4) 手数料の支払い方法(PayPay対応自治体も)
支払い方法の例:
- クレジットカード(VISA、Mastercard等)
- PayPay(西宮市等)
- コンビニ決済(ファミリーマート、ローソン等)
注意:
- オンライン申請の手数料は窓口と同額の自治体が多い
- 別途システム利用料がかかる場合もある
まとめ:取得時の注意点と次のアクション
固定資産税の納税証明書は、課税地の市区町村役場(東京23区は都税事務所)で取得できます。マイナンバーカードがあればオンライン申請も可能です。
取得時の注意点:
- スマホ決済で納付した場合:納入確認に約2週間かかるため、急ぎの場合は領収証書を持参
- 納税証明書では物件ごとの税額は確認不可:確定申告には課税明細書を使用
- 手数料・申請方法は自治体により異なる:事前に公式サイトで確認
- 代理人申請には委任状が必要
次のアクション:
- 該当自治体の公式サイトで手数料・申請方法を確認
- 必要書類(本人確認書類、委任状等)を準備
- 窓口・郵送・オンラインのいずれかで申請
- 直近に納付した場合は領収証書を持参
不明点がある場合は、該当自治体の税務課窓口に電話で確認することをおすすめします。
