固定資産税評価額とは:不動産の税額を決める基準
不動産を所有すると、「固定資産税評価額って何?」「どうやって調べるの?」「売買価格と何が違うの?」と疑問に感じる方は少なくありません。
この記事では、固定資産税評価額の定義、建物の評価額の計算方法、調べ方(課税明細書・ネット・証明書)、売買価格との違いを、総務省や各自治体の公式情報を元に解説します。
初めて固定資産税を納める方でも、評価額の仕組みと調べ方を理解できるようになります。
この記事のポイント
- 固定資産税評価額は市町村が決定する税額の基準で、土地と建物で異なる評価方法を使用
- 建物の評価額は「再建築価格×経年減点補正率」で計算され、再建築価格の約70%、工事請負契約額の50〜70%が目安
- 調べ方は課税明細書(毎年4月頃送付)、全国地価マップ(ネット)、固定資産評価証明書(役場で取得)の3つ
- 評価額と売買価格は全く別の基準で、評価額が高くても売却価格が低い場合がある
- 評価替えは3年に1度実施され、直近は令和6年度(2024年度)、次回は令和9年度(2027年度)
固定資産税評価額とは:定義と役割
固定資産税評価額の定義:市町村が決定する税額の基準
総務省によると、固定資産税評価額とは、不動産の固定資産税額を求める際の基準となる土地・建物の評価額です。
市町村が決定し、毎年4月1日の新年度から適用されます。
土地と建物で異なる評価方法
固定資産税評価額は、土地と建物で異なる評価方法を使用します。
| 対象 | 評価方法 |
|---|---|
| 土地 | 公示地価の約70%を目安に市町村が評価 |
| 建物 | 再建築価格×経年減点補正率で計算 |
(出典: 総務省)
土地は公示地価を基準とし、建物は再建築費用を基準とします。
固定資産税以外での活用(相続税、不動産取得税等)
固定資産税評価額は、固定資産税以外にも以下の税金計算で活用されます。
- 相続税: 土地の相続税評価額の参考として使用される場合がある
- 不動産取得税: 固定資産税評価額を基準に課税
- 登録免許税: 登記時の課税標準として使用
建物の固定資産税評価額の計算方法:再建築価格と経年減点補正率
再建築価格の算定基準
SUUMOによると、再建築価格とは、評価時点で同一の建物を新築する場合に必要な建築費です。
構造(木造・鉄骨・鉄筋コンクリート等)、床面積、仕上げ材等を考慮して算定されます。
経年減点補正率:築年数による評価額の減少
経年減点補正率とは、建物の築年数による劣化を数値化したものです。
年数が経つほど評価額は下がりますが、建物部分の評価額は築年数がたってもほとんど下がらないため、築古物件の売却価格とは大きな乖離が生じる場合があります。
評価額の目安:再建築価格の約70%、工事請負契約額の50〜70%
SUUMOによると、建物の固定資産税評価額の目安は以下の通りです。
- 再建築価格の約70%
- 工事請負契約額の50〜70%
この目安を使えば、おおよその評価額を計算できます。
固定資産税評価額の調べ方:課税明細書・ネット・証明書
課税明細書で確認する方法:毎年4月頃送付、「価格」または「評価額」欄を確認
HOME4Uによると、課税明細書は毎年4月初旬頃、納税通知書とともに市町村から送付されます。
「価格」または「評価額」欄を確認すれば、固定資産税評価額がわかります。
ネットで調べる方法:全国地価マップで固定資産税路線価を確認
一般財団法人 資産評価システム研究センターが運営する「全国地価マップ」で、固定資産税路線価を無料で確認できます。
土地の評価額の目安を調べる際に便利です。ただし、建物の評価額は掲載されていないため、課税明細書または評価証明書で確認する必要があります。
固定資産評価証明書の取得:市区町村の役場や都税事務所で取得
HOME4Uによると、市区町村の役場や都税事務所で固定資産評価証明書を取得すれば、正確な評価額がわかります。
取得方法:
- 窓口: 市区町村の役場・都税事務所
- 必要書類: 本人確認書類(運転免許証等)
- 手数料: 300円程度(自治体により異なる)
固定資産課税台帳の閲覧:4月〜5月は無料、期間外は300円
固定資産課税台帳は、固定資産税評価額が記載された台帳です。
HOME4Uによると、4月〜5月頃の閲覧期間中であれば無料で閲覧可能ですが、期間外は300円程度の手数料がかかります(自治体により異なる)。
固定資産税評価額と売買価格の違い:差が生じる理由
評価額と売買価格は全く別の基準:評価額は税金計算用、売買価格は市場価値
HOME4Uによると、固定資産税評価額と実際の売却価格は全く関係がなく、評価額が高くても売却価格が低い場合もあります。
| 項目 | 基準 |
|---|---|
| 固定資産税評価額 | 市町村が定めた評価方法(税金計算用) |
| 売買価格 | 市場の需要供給で決まる(市場価値) |
(出典: HOME4U)
評価額は税金計算のための基準であり、売買価格とは目的が異なります。
評価額から売却相場を計算する方法:土地は評価額÷0.7×1.1、建物は参考程度
HOME4Uによると、土地の売却相場は以下の計算式で目安を算出できます。
土地の売却相場の目安:
固定資産税評価額 ÷ 0.7 × 1.1
ただし、建物は参考程度にしかならず、物件の個別性や市場動向を考慮していないため、実際の取引価格とズレる可能性があります。
建物の評価額と売却価格の乖離:築古物件ほど大きな差
建物部分の評価額は築年数がたってもほとんど下がらないため、築古物件の売却価格とは大きな乖離が生じます。
評価額から計算した売却相場はあくまで目安であり、正確な売却価格を知りたい場合は不動産会社に査定を依頼することを推奨します。
評価替えの仕組み:3年に1度の見直しスケジュール
評価替えの実施時期:3年ごと、基準日は1月1日
iemiruによると、固定資産税評価額は3年ごとに評価替えが行われ、基準年の1月1日に決定されます。
評価替えにより、地価の変動や建物の劣化が評価額に反映されます。
直近の評価替え:令和6年度(2024年度)、次回は令和9年度(2027年度)
iemiruによると、直近の評価替えは令和6年度(2024年度)に実施されました。
次回の評価替えは令和9年度(2027年度)に予定されています。
評価額はいつから適用されるか:毎年4月1日の新年度から
評価替えで決定した評価額は、毎年4月1日の新年度から適用されます。
3年間は同じ評価額が使用されますが、地価が急激に下落した場合は見直されることがあります。
まとめ:固定資産税評価額を正しく理解して活用するポイント
固定資産税評価額は市町村が決定する税額の基準で、土地と建物で異なる評価方法を使用します。建物の評価額は「再建築価格×経年減点補正率」で計算され、再建築価格の約70%、工事請負契約額の50〜70%が目安です。
調べ方は課税明細書(毎年4月頃送付)、全国地価マップ(ネット)、固定資産評価証明書(役場で取得)の3つです。評価額と売買価格は全く別の基準で、評価額が高くても売却価格が低い場合があるため注意が必要です。
評価替えは3年に1度実施され、直近は令和6年度(2024年度)、次回は令和9年度(2027年度)です。正確な情報は専門家(税理士、不動産鑑定士等)への相談を推奨します。
