不動産取得税と固定資産税の違いを理解する重要性
不動産を購入する方の中には、「不動産取得税と固定資産税の違いがわからない」「どちらがいくらかかるのか知りたい」と悩んでいる方も多いのではないでしょうか。
この記事では、不動産取得税と固定資産税の違い、それぞれの計算方法と税率、軽減措置と節税ポイントを解説します。総務省や国土交通省の公式情報を参照し、不動産購入時に知っておくべき税金対策をお伝えします。
この記事のポイント
- 不動産取得税は取得時に1回だけ、固定資産税は毎年課税される
- 不動産取得税は都道府県税(税率4%→特例3%)、固定資産税は市町村税(税率1.4%)
- 新築住宅は1,200万円控除(長期優良住宅は1,300万円)で大幅減税
- 軽減措置には申請が必要、忘れると本則税率が適用される
不動産取得税とは:取得時に1回だけ課税
課税の仕組みと税率(原則4%、特例3%)
不動産取得税は、土地や建物を取得した際に1回だけ課される都道府県税です。売買、贈与、新築・増築などが課税対象となります。
税率:
- 原則: 4%
- 住宅・住宅用土地: 3%(2027年3月31日まで)
特例税率3%は延長が繰り返されており、2025年時点では2027年3月31日まで適用されます。
納付時期(取得後4〜6ヶ月)
不動産取得税の納税通知書は、取得後4〜6ヶ月後に届くのが一般的です。ただし自治体によっては取得後1年半後になる場合もあるため、購入時点で予算を確保しておくことをおすすめします。
納税通知書が届いてから納付期限は約1ヶ月程度が一般的です。
軽減措置と1,200万円控除
新築住宅を取得した場合、一定の要件を満たせば固定資産税評価額から1,200万円が控除されます(認定長期優良住宅は1,300万円)。
控除の要件:
- 床面積50㎡以上240㎡以下
- 居住用の住宅であること
- 取得後10日〜60日以内に都道府県税事務所に申告
この控除により、評価額1,200万円以下の新築住宅は不動産取得税がゼロになる場合もあります。
固定資産税とは:所有中に毎年課税
課税の仕組みと税率(1.4%)
固定資産税は、毎年1月1日時点で土地や建物を所有している方に課される市町村税です。
税額の計算:
固定資産税額 = 課税標準額 × 1.4%(標準税率)
課税標準額は固定資産税評価額をもとに算出されます。固定資産税評価額は市場価格の約70%が目安ですが、地域によって異なります。
納付時期(年4回分割)
固定資産税は年4回に分割して納付します。一般的な納付時期は以下のとおりです(自治体により異なります)。
| 期別 | 納付時期(目安) |
|---|---|
| 第1期 | 4〜5月 |
| 第2期 | 7月 |
| 第3期 | 12月 |
| 第4期 | 翌2月 |
4〜5月頃に納税通知書が届き、一括払いまたは分割払いを選択できます。
都市計画税との違い(0.3%)
固定資産税と一緒に課税されることが多い都市計画税についても理解しておきましょう。
| 項目 | 固定資産税 | 都市計画税 |
|---|---|---|
| 課税対象 | 全国の土地・建物 | 市街化区域内のみ |
| 税率 | 1.4% | 0.3%(上限) |
| 用途 | 普通税(一般財源) | 目的税(都市計画事業) |
市街化区域に不動産を所有している場合、固定資産税1.4%+都市計画税0.3%=合計1.7%が課税されます。
両者の5つの違いを比較
課税回数の違い(1回 vs 毎年)
最も大きな違いは課税回数です。
- 不動産取得税: 取得時に1回限り
- 固定資産税: 所有している限り毎年
不動産取得税は一時的な出費ですが、固定資産税は継続的なランニングコストとなります。長期保有では固定資産税の累計額が不動産取得税を上回ります。
課税主体の違い(都道府県 vs 市町村)
納付先が異なります。
- 不動産取得税: 都道府県(都税事務所・県税事務所)
- 固定資産税: 市町村(市役所・区役所)
軽減措置の申請先も異なるため、手続きを間違えないように注意してください。
税率と計算方法の違い
| 項目 | 不動産取得税 | 固定資産税 |
|---|---|---|
| 税率 | 4%(住宅は3%) | 1.4% |
| 計算基準 | 取得時の評価額 | 毎年1月1日の評価額 |
| 評価替え | なし | 3年に1度 |
固定資産税評価額は3年に1度「評価替え」が行われます。建物は経年で減価しますが、土地は地価変動により上がる場合もあります。
軽減措置と節税のポイント
不動産取得税の軽減措置(2027年3月まで)
不動産取得税の主な軽減措置は以下のとおりです。
新築住宅:
- 床面積50㎡〜240㎡で1,200万円控除
- 認定長期優良住宅は1,300万円控除
住宅用土地:
- 評価額が2分の1に軽減(2027年3月31日まで)
- さらに一定額を税額から控除
これらの特例は延長される傾向にありますが、適用期限を確認のうえ早めに手続きしてください。
固定資産税の軽減措置
固定資産税にも軽減措置があります。
新築住宅:
- 戸建て: 3年間、税額が2分の1
- マンション(3階建て以上の耐火・準耐火建築物): 5年間、税額が2分の1
- 認定長期優良住宅: 上記期間が2年延長
住宅用地:
- 小規模住宅用地(200㎡以下): 課税標準が6分の1
- 一般住宅用地(200㎡超): 課税標準が3分の1
申請手続きと必要書類
軽減措置を受けるには申請が必須です。忘れると本則税率が適用され、大幅な負担増となります。
不動産取得税:
- 申請先: 都道府県税事務所
- 期限: 取得後10日〜60日以内(自治体により異なる)
- 必要書類: 登記事項証明書、売買契約書、建築確認済証など
固定資産税:
- 新築住宅の軽減は自動適用される場合が多い
- ただし認定長期優良住宅は認定書の提出が必要
不明点は購入前に宅建士や税理士に相談することをおすすめします。
まとめ:不動産購入時の税金対策
不動産取得税と固定資産税は、課税タイミング・納付先・税率が異なる別の税金です。
まとめ:
| 項目 | 不動産取得税 | 固定資産税 |
|---|---|---|
| 課税回数 | 1回限り | 毎年 |
| 納付先 | 都道府県 | 市町村 |
| 税率 | 4%(特例3%) | 1.4% |
| 軽減措置 | 1,200万円控除等 | 3〜5年間減額等 |
節税のポイント:
- 軽減措置の申請を忘れない(期限内に必ず手続き)
- 長期優良住宅は控除額・減額期間が有利
- 住宅用地は評価額が大幅に軽減される
- 不動産取得税は取得後4〜6ヶ月で届くため予算確保
税制は改正される可能性があるため、最新情報は国土交通省や総務省の公式サイト、お住まいの自治体の税務課で確認してください。具体的な税額計算や手続きについては、税理士や宅建士への相談をおすすめします。


