頭金なしでマンションは買える?現実的な可否を検証
「貯金が少ないけど、今すぐマンションを買いたい」「頭金なしでも住宅ローンは組めるのか」と不安に感じている方は少なくありません。
この記事では、頭金なし・フルローンでのマンション購入の現実的な可否、メリット・デメリット、審査通過のポイントを解説します。
住宅購入を検討している方が、自分の状況に合った判断ができるようになります。
この記事のポイント
- 頭金なしでマンション購入は可能で、約27%が頭金なしで購入している(30代は40.2%)
- 諸費用(新築は物件価格の3-6%、中古は6-9%)は現金で用意する必要がある
- フルローンは審査が厳しくなり、融資率9割超では金利が上がる場合がある
- 早期購入(30歳で購入すれば65歳で完済)や手元資金確保がメリット
- 月々の返済額増加とオーバーローンのリスクがデメリット
(1) 頭金なし購入の実態(約27%が頭金なし、30代は40.2%)
頭金なしでマンションを購入することは、珍しいことではありません。マンションレビューの調査によると、約27%の購入者が頭金なしで購入しており、30代では40.2%が頭金なしで購入しています。
さらに、2014-2023年のデータでは37.1%が頭金なし購入を選択しており、1993年以前の16.0%から約2.3倍に増加しています。
(2) フルローンとは何か(物件価格100%借入)
フルローンとは、物件価格の100%を住宅ローンで借入することです。頭金(自己資金)を用意せず、物件価格全額を借りる形になります。
(3) 頭金なしと頭金ありの違い
| 項目 | 頭金なし | 頭金あり(20%) |
|---|---|---|
| 借入額 | 3,000万円 | 2,400万円 |
| 月々の返済額(35年・金利1%) | 約8.5万円 | 約6.8万円 |
| 総返済額 | 約3,557万円 | 約2,846万円 |
| 手元資金 | 諸費用のみ(100-300万円) | 頭金+諸費用(700-900万円) |
フルローンの基礎知識:仕組みと審査の実態
(1) フルローンの融資条件(融資率100%)
金融機関の多くが物件価格の100%までの借入を認めるようになり、頭金なし購入が一般化しています。2023年調査では新築マンション購入者の42%が自己資金5%未満で購入契約しています。
(2) 審査基準(年収・勤続年数・年齢・既存借入)
フルローンの審査では、以下の項目が重視されます。
- 年収: 返済負担率(年収に対する年間返済額の割合)は一般的に25-35%以内
- 勤続年数: 安定した収入を証明するため、3年以上が目安
- 年齢: 完済時年齢が80歳未満(金融機関により異なる)
- 既存借入: 自動車ローンやカードローン等の残債
(3) 融資率9割超の場合の金利上乗せリスク
融資率が9割を超える場合、金融機関によっては金利を高く設定されることがあります。例えば、通常金利1.0%に対し、融資率9割超では1.2%に上乗せされる場合があります。
頭金なし購入のメリット:早期購入と手元資金確保
(1) 早期購入のメリット(30歳購入で65歳完済)
30歳で購入すれば35年ローンでも65歳で完済できるため、老後資金計画で有利になります。賃貸住宅に住み続けると家賃を払い続けることになり、資産形成の機会を逃す可能性があります。
(2) 手元資金の確保(突発的な出費への対応力)
手元に資金を確保することで、突然の事故・災害・親の介護など大きな出費に対応しやすくなります。頭金として数百万円を払ってしまうと、手元資金がゼロになり、緊急時の対応力が低下します。
(3) 資産形成の機会損失を回避
頭金を貯めるために数年待つと、その間の家賃支払いが発生し続けます。また、物件価格が上昇した場合、総額が増えてしまう可能性があります。
頭金なし購入のデメリット:返済負担とリスク管理
(1) 月々の返済額増加と家計への負担
借入額が増えるため、月々の返済額が増加し、家計への負担が大きくなります。3,000万円のフルローンと頭金20%(2,400万円借入)を比較すると、月々の返済額は約1.7万円増加します。
(2) オーバーローンのリスク(残債が時価額を超える)
残債が物件の時価額を超えるオーバーローン(残債割れ)になると、売却金だけでは完済できず、新たな資金が必要になります。将来転勤や家族構成の変化で売却が必要になった場合、リスクが高まります。
(3) 変動金利の場合の金利上昇リスク
変動金利の場合、将来の金利上昇で返済額が増加し、延滞リスクが高まります。フルローンは借入額が大きいため、金利上昇の影響も大きくなります。
(4) 総返済額の比較(頭金ありとの差額)
3,000万円の物件を35年・金利1%で購入した場合の総返済額を比較すると、以下のようになります。
| 頭金 | 借入額 | 総返済額 | 差額 |
|---|---|---|---|
| なし | 3,000万円 | 約3,557万円 | - |
| 20%(600万円) | 2,400万円 | 約2,846万円 | 約711万円 |
頭金20%を用意すると、総返済額が約711万円少なくなります。
審査通過のポイントと諸費用の準備
(1) 審査に通りやすい人の条件(年収・勤続年数・年齢)
フルローン審査に通りやすい人の条件は以下の通りです。
- 年収: 安定した収入があり、返済負担率が25-35%以内
- 勤続年数: 3年以上(転職直後は審査が厳しい)
- 年齢: 完済時年齢が80歳未満(30-40代が有利)
- 既存借入: 自動車ローンやカードローンの残債が少ない
(2) 諸費用の目安(新築3-6%、中古6-9%)
諸費用は、新築マンションで物件価格の3-6%、中古マンションで6-9%が目安です。3,000万円の物件なら、100-300万円の現金が必要になります。
諸費用の内訳:
- 仲介手数料(中古のみ): 物件価格×3%+6万円+消費税
- 登記費用: 10-30万円
- 不動産取得税: 評価額×3%(軽減措置あり)
- 火災保険: 10年一括払いで20-30万円
- ローン手数料: 借入額×2.2%または定額3-5万円
(3) 諸費用は現金で必要(手元資金ゼロでは購入不可)
諸費用は基本的に住宅ローンに含められないため、自己資金で用意する必要があります。手元資金ゼロでは購入できません。一部金融機関では「諸費用ローン」として別途借入が可能ですが、金利が高く設定されることが多いです。
(4) 中古マンションの担保評価の注意点
中古マンションの場合、金融機関の担保評価が販売価格と一致せず、フルローンが組めない可能性があります。築年数が古い物件や立地条件が悪い物件は、担保評価が低くなる傾向があります。
まとめ:状況別の判断基準と次のアクション
頭金なしでマンション購入は可能で、約27%の購入者が頭金なしで購入しています。早期購入や手元資金確保がメリットですが、月々の返済額増加とオーバーローンのリスクがデメリットです。
フルローン審査は厳しくなり、返済能力(年収・勤続年数・年齢・既存借入等)が詳細に審査されます。諸費用(新築は物件価格の3-6%、中古は6-9%)は現金で用意する必要があります。
将来の収入見込みと家計バランスを慎重に検討し、ファイナンシャルプランナーや住宅ローンアドバイザーに相談しながら、無理のない資金計画を立てましょう。


