個人が土地を購入する流れの全体像
個人が土地を購入する際、「何から始めればいいのか」「どのような手続きが必要なのか」と不安を抱える方は多いでしょう。土地購入は、マンションや建売住宅の購入とは異なり、建築制限や地盤条件など確認すべき項目が多岐にわたります。
この記事では、個人が土地を購入する流れを時系列で詳しく解説し、各ステップでの注意点(建築条件の確認、地盤調査、境界確定、ライフライン整備状況、接道義務等)と諸費用(仲介手数料、登記費用、測量費用、造成費用等)を具体的に示します。
国土交通省の土地取引ガイドラインや総務省の税制情報を元に、専門家(宅建士、土地家屋調査士、建築士)への相談推奨も含めて詳しく説明します。
30-50代の土地購入検討者の方でも、購入の流れや手続き、諸費用の総額を正確に把握し、失敗しない土地購入を実現できるようになります。
この記事のポイント
- 土地購入の全体プロセスは買付証明書提出から引き渡しまで2〜3ヶ月、土地探しから含めると6ヶ月程度が目安
- 購入の流れは7ステップ:予算設定→土地探し→現地調査→売買契約→決済・登記の順に進む
- 建ぺい率・容積率などの建築制限を事前に確認しないと、希望する建物が建てられない可能性がある
- 地盤が弱い土地では地盤改良工事に200万円以上かかる場合があり、事前の地盤調査が必須
- 諸費用は物件価格の5〜10%が目安で、仲介手数料、登記費用、不動産取得税、測量費用等が含まれる
(1) 土地購入の7ステップ概要
個人が土地を購入する流れは、以下の7ステップで構成されます。
| ステップ | 内容 | 期間の目安 |
|---|---|---|
| 1. 予算設定 | 購入予算と建築費用を含めた総予算を設定 | 1週間 |
| 2. 土地探し | 不動産会社やポータルサイトで土地を探す | 1〜3ヶ月 |
| 3. 現地調査 | 現地を訪問し、地盤や境界、ライフラインを確認 | 1日〜1週間 |
| 4. 買付証明書提出 | 購入意思を示す買付証明書を提出 | 1日 |
| 5. 売買契約 | 重要事項説明を受け、売買契約を締結 | 1日 |
| 6. 決済・登記 | 残代金支払いと所有権移転登記 | 契約後1〜2ヶ月 |
| 7. 引き渡し | 土地の引き渡しを受ける | 決済当日 |
(2) 購入期間の目安(2〜3ヶ月)
買付証明書提出から引き渡しまでは2〜3ヶ月が目安です(不動産業界の一般的な目安)。土地探しから含めると、全体で6ヶ月程度を見込む必要があります。
買付証明書提出から契約までは1週間〜10日と短期間のため、資金準備や必要書類の事前確認が重要です。
(3) 建築条件付き土地と更地の違い
土地には「建築条件付き土地」と「更地(建築条件なし)」の2種類があります。
| 項目 | 建築条件付き土地 | 更地(建築条件なし) |
|---|---|---|
| 特徴 | 一定期間内に特定の建築会社で建物を建てる条件 | 自由に建築会社を選べる |
| メリット | 住宅ローンが利用しやすい | 自由度が高い |
| デメリット | 建築会社を選べない | 土地ローン(高金利)の利用が必要 |
注文住宅を建てる予定がある場合は、建築条件付き土地の方が住宅ローンを利用しやすく、金利面で有利です。
土地探しから現地調査まで
(1) 予算設定と土地探しの方法
土地購入の第一歩は、予算設定です。土地購入費用だけでなく、建築費用、諸費用を含めた総予算を設定します。
総予算の内訳例:
- 土地購入費用: 2,000万円
- 建築費用: 2,500万円
- 諸費用(土地+建物): 500万円(10%程度)
- 総予算: 5,000万円
土地探しの方法は、以下の3つが一般的です。
- 不動産ポータルサイト: SUUMO、HOME'S、アットホーム等
- 不動産会社: 地域密着型の不動産会社、大手不動産会社
- ハウスメーカー: 建築条件付き土地を紹介してもらう
(2) 現地調査のチェックポイント(地盤、境界、ライフライン)
気になる土地が見つかったら、必ず現地を訪問して以下のポイントを確認します。
地盤の確認:
- 地盤が弱い土地では地盤改良工事に200万円以上かかる場合がある
- ハザードマップで水害・土砂災害リスクを確認
- 周辺の建物の基礎や擁壁にひび割れがないか確認
境界の確認:
- 隣地との境界標(コンクリート杭等)があるか確認
- 境界が不明確な場合は、測量費用(50〜100万円程度)が必要
ライフラインの確認:
- 上下水道、ガス、電気が引き込まれているか確認
- 未整備の場合、引き込み工事費用(数十万〜数百万円)が発生
セキスイハイム東海によると、インフラ未整備の土地では引き込み工事で予算オーバーの可能性があります。
(3) 建築制限の確認(建ぺい率・容積率、用途地域)
土地には、建築基準法や都市計画法により建築制限が設けられています。
建ぺい率: 敷地面積に対する建築面積の割合。用途地域ごとに上限が定められています。
容積率: 敷地面積に対する延べ床面積の割合。建ぺい率と同様、用途地域ごとに制限があります。
確認方法:
- 自治体の都市計画課で確認
- 不動産会社に確認してもらう
- 重要事項説明書に記載される
建ぺい率・容積率などの法的制限により、希望する建物が建てられないリスクがあります。購入前に建築士に相談し、希望する建物が建てられるか確認することを推奨します。
(4) 接道義務とセットバックの確認
接道義務: 建築基準法により、敷地は幅員4m以上の道路に2m以上接していなければなりません。接道義務を満たさない土地では、建物を建てられません。
セットバック: 道路幅員が4m未満の場合、敷地を後退させて道路幅を確保する必要があります。セットバックした部分は建築面積に含まれないため、実質的な敷地面積が減少します。
売買契約の手続きと注意点
(1) 重要事項説明書の確認ポイント
売買契約前に、宅地建物取引士による重要事項説明が行われます。重要事項説明書には、以下の情報が記載されています。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 物件の表示 | 所在地、地目、面積 |
| 法令上の制限 | 建ぺい率、容積率、用途地域、接道義務 |
| インフラ整備状況 | 上下水道、ガス、電気の引き込み状況 |
| 私道負担 | 私道の持分があるか |
| 境界の明示 | 境界標の有無、測量の要否 |
重要事項説明書は契約の重要な判断材料です。不明点があれば、契約前に宅建士に質問してください。
(2) 手付金の支払い(物件価格の5〜10%)
売買契約時に、買主は売主に手付金を支払います。手付金は物件価格の5〜10%が一般的です。
手付金の性質:
- 契約成立の証拠
- 契約解除時は手付金放棄となる
- 残代金支払い時に売買代金の一部に充当される
契約例(物件価格2,000万円の場合):
- 手付金(10%): 200万円
- 残代金: 1,800万円(決済時に支払い)
(3) 契約締結から決済までの期間(1〜2ヶ月)
売買契約締結から決済・引き渡しまで、1〜2ヶ月の準備期間があります。この期間に行う主な準備は以下の通りです。
- 住宅ローンの本審査: 建築条件付き土地や注文住宅の建築計画がある場合
- 土地ローン・つなぎ融資の申し込み: 土地のみ購入の場合
- 測量: 境界が不明確な場合(50〜100万円程度)
- 地盤調査: 地盤の強度を確認(5〜10万円程度)
決済・登記の流れと必要書類
(1) 決済当日の流れ
決済・引き渡しは、通常金融機関の応接室で行われます。当日の流れは以下の通りです。
- 書類の確認(登記済証、印鑑証明書等)
- 残代金の支払い(買主から売主へ)
- 仲介手数料の支払い(残額)
- 司法書士による登記手続き(所有権移転)
- 土地の引き渡し
(2) 所有権移転登記の手続き
所有権移転登記は、土地の所有者を売主から買主に変更する手続きです。通常、司法書士に依頼します。
登記費用の内訳:
- 登録免許税: 固定資産税評価額×2%(土地)
- 司法書士報酬: 5〜10万円程度
(3) 必要書類の準備(登記済証、印鑑証明書等)
決済時に必要な書類は以下の通りです。
| 書類名 | 用途 | 取得方法 |
|---|---|---|
| 印鑑証明書(3ヶ月以内) | 本人確認 | 市区町村役場で取得(300円程度) |
| 住民票(3ヶ月以内) | 住所確認 | 市区町村役場で取得(300円程度) |
| 本人確認書類 | 本人確認 | 運転免許証、パスポート等 |
| 銀行口座情報 | 融資実行 | 通帳またはキャッシュカード |
諸費用の内訳と資金計画
(1) 仲介手数料(物件価格×3%+6万円+消費税)
不動産会社に支払う仲介手数料は、以下の計算式で求められます。
計算式(物件価格400万円超の場合):
仲介手数料 = 物件価格 × 3% + 6万円 + 消費税
計算例(物件価格2,000万円の場合):
仲介手数料 = 2,000万円 × 3% + 6万円 + 消費税
= 60万円 + 6万円 + 消費税
= 72.6万円(消費税込み)
(2) 登記費用(登録免許税、司法書士報酬)
登記費用は、登録免許税と司法書士報酬の合計です。
登録免許税:
- 所有権移転登記(土地): 固定資産税評価額×2%
司法書士報酬:
- 5〜10万円程度
計算例(固定資産税評価額1,000万円の場合):
登録免許税 = 1,000万円 × 2% = 20万円
司法書士報酬 = 7万円
合計 = 27万円
(3) 不動産取得税と軽減措置(2027年3月末まで)
不動産取得税は、土地・建物を取得した際に課される地方税です。税率は原則4%ですが、現在は土地・住宅用建物について3%の軽減税率が適用されています。
総務省によると、2027年3月31日まで住宅用地取得時の軽減措置が適用され、課税標準を固定資産税評価額の1/2で計算できます。
計算例(固定資産税評価額1,000万円の場合):
不動産取得税 = 1,000万円 × 1/2 × 3% = 15万円
(4) 測量費用・造成費用(必要な場合)
測量費用:
- 境界が不明確な場合、測量が必須
- 費用: 50〜100万円程度(土地の形状や周辺状況により異なる)
- 売主負担か買主負担かは契約時に要確認
造成費用:
- 土地の高低差が大きい場合、擁壁工事や盛土・切土が必要
- 費用: 数百万円〜(工事内容により大きく異なる)
まとめ:失敗しないための土地購入チェックリスト
個人が土地を購入する流れは、予算設定→土地探し→現地調査→売買契約→決済・登記の7ステップです。全体で2〜3ヶ月、土地探しから含めると6ヶ月程度を見込む必要があります。
建ぺい率・容積率などの建築制限を事前に確認しないと、希望する建物が建てられない可能性があります。購入前に建築士に相談し、希望する建物が建てられるか確認することを推奨します。
地盤が弱い土地では地盤改良工事に200万円以上かかる場合があり、事前の地盤調査が必須です。ハザードマップで水害・土砂災害リスクも確認してください。
諸費用は物件価格の5〜10%が目安で、仲介手数料、登記費用、不動産取得税、測量費用等が含まれます。資金計画に余裕を持たせておくことが重要です。
個別の土地条件や法規制については、専門家(宅建士、土地家屋調査士、建築士)に相談し、失敗しない土地購入を実現しましょう。


