新築住宅購入時の諸費用とは?
新築住宅の購入を検討する際、「物件価格以外にどれくらいお金が必要なのか」と不安に感じる方は少なくありません。
この記事では、新築住宅購入時の諸費用の内訳、建売・注文住宅の違い、住み替え時の諸費用、節約のポイントを、SUUMOやHOME'Sなどの情報を元に解説します。
物件価格以外にかかる費用を正確に把握し、資金計画を立てたいと考えている方でも、具体的な費用と節約方法を理解できるようになります。
この記事のポイント
- 新築住宅の諸費用は物件価格の5〜10%が相場(建売6〜9%、注文住宅10〜12%)
- 主な内訳は仲介手数料、手付金、登記費用、住宅ローン費用、火災保険、不動産取得税
- 手付金(物件価格の5〜10%)は現金での準備が必須
- 諸費用は原則として現金払いが必要だが、一部金融機関では住宅ローンに組み込める商品もある
- 住み替え時は売却と購入の両方で諸費用が発生し、物件価格の10〜15%が目安
(1) 諸費用とは何か(物件価格以外にかかる費用)
諸費用とは、物件価格とは別にかかる手数料・税金・保険料などの総称です。
諸費用に含まれる主な費用:
- 仲介手数料
- 手付金
- 登記費用
- 住宅ローン関連費用
- 火災保険料
- 不動産取得税
- 固定資産税・都市計画税
諸費用は、原則として現金での準備が必要です。
(2) 諸費用の目安(物件価格の5〜10%)
SUUMOによると、新築住宅の諸費用は物件価格の5〜10%が相場です。
物件タイプ別の目安:
- 建売住宅: 6〜9%
- 注文住宅: 10〜12%
- 新築マンション: 3〜6%
物件価格4,000万円の場合、120万〜400万円程度の諸費用が発生します。
(3) 支払いのタイミング(契約時・決済時・入居後)
諸費用は、以下のタイミングで発生します。
契約時:
- 手付金(物件価格の5〜10%)
- 印紙税(契約書)
決済時(引き渡し時):
- 仲介手数料
- 登記費用
- 住宅ローン費用
- 火災保険料
- 固定資産税・都市計画税の清算金
入居後:
- 不動産取得税(購入から半年〜1年半後)
- 固定資産税・都市計画税(毎年1月1日時点の所有者に課税)
諸費用の内訳と相場
(1) 仲介手数料(物件価格×3%+6万円+消費税)
仲介手数料は、不動産会社を通じて購入する際に支払う手数料です。
計算式: (物件価格 × 3% + 6万円)× 1.1(消費税)
例(物件価格4,000万円の場合):
- 仲介手数料: (4,000万円 × 3% + 6万円)× 1.1 = 138.6万円
建売住宅で売主直販の場合は、仲介手数料が不要になることもあります。
(2) 手付金(物件価格の5〜10%、現金必須)
手付金は、売買契約時に売主に預けるお金です。
相場: 物件価格の5〜10%
例(物件価格4,000万円の場合):
- 手付金: 200〜400万円程度
手付金は現金での準備が必須で、住宅ローンに組み込むことはできません。
(3) 登記費用(登録免許税+司法書士報酬)
登記費用は、不動産の所有権を登記する際にかかる費用です。
内訳:
- 登録免許税: 固定資産税評価額 × 税率(軽減後0.15%〜0.3%)
- 司法書士報酬: 5〜15万円程度
例(固定資産税評価額3,000万円の場合):
- 所有権保存登記: 3,000万円 × 0.15% = 4.5万円
- 司法書士報酬: 5〜10万円程度
- 合計: 約10〜15万円程度
国税庁によると、登録免許税の軽減措置は2027年3月31日まで延長されています。
(4) 住宅ローン費用(事務手数料・保証料・印紙税)
住宅ローン利用時には、以下の費用がかかります。
内訳:
- 融資事務手数料: 借入額 × 2%(金融機関により異なる)
- ローン保証料: 借入額 × 2%程度(一括前払いの場合)
- 印紙税: 2〜10万円程度
例(借入額3,000万円の場合):
- 融資事務手数料: 3,000万円 × 2% = 60万円
- ローン保証料: 60万円程度(または金利上乗せ型で0円)
- 印紙税: 2万円程度
- 合計: 約62〜122万円程度
(5) 火災保険料(5年一括で12万〜25万円程度)
住宅ローン利用時は、火災保険への加入が必須です。
相場: 5年一括払いで12万〜25万円程度
保険内容:
- 火災保険(必須)
- 地震保険(任意、火災保険料の約50%追加)
- 水災・風災等の補償(任意)
複数社で比較し、補償内容を見直すことで費用を抑えられます。
(6) 不動産取得税(課税標準額×3%、軽減措置あり)
不動産取得税は、不動産取得時に1回だけかかる税金です。
税率: 課税標準額 × 3%(2027年3月31日まで軽減)
軽減措置:
- 新築住宅: 固定資産税評価額から1,200万円控除(床面積50㎡以上240㎡以下)
- 軽減措置適用で実質0円になるケースも多い
不動産取得税は、購入から半年〜1年半後に納税通知書が届きます。
(7) 固定資産税・都市計画税(入居後、標準税率1.4%)
固定資産税は、毎年1月1日時点の所有者に課される税金です。
税率:
- 固定資産税: 標準税率1.4%
- 都市計画税: 標準税率0.3%(市街化区域内のみ)
例(固定資産税評価額3,000万円の場合):
- 固定資産税: 3,000万円 × 1.4% = 42万円/年
- 都市計画税: 3,000万円 × 0.3% = 9万円/年
- 合計: 約51万円/年
新築住宅には軽減措置があり、当初3〜5年間は税額が半額になります。
建売・注文住宅・マンションの諸費用比較
(1) 建売住宅の諸費用(6〜9%、仲介手数料の有無で変動)
建売住宅の諸費用は、物件価格の6〜9%が目安です。
特徴:
- 仲介手数料が最大の費用(物件価格 × 3% + 6万円 + 消費税)
- 売主直販の場合は仲介手数料が不要
- 完成済み物件なら引き渡しが早い
(2) 注文住宅の諸費用(10〜12%、地鎮祭・上棟式等が追加)
注文住宅の諸費用は、物件価格の10〜12%が目安です。
特徴:
- 建築確認申請費用: 20〜30万円程度
- 地鎮祭・上棟式: 5〜10万円程度
- 外構工事費用: 100〜300万円程度(別途)
- 仲介手数料は土地購入時のみ発生
(3) 新築マンションの諸費用(3〜6%、修繕積立基金が追加)
新築マンションの諸費用は、物件価格の3〜6%が目安です。
特徴:
- 修繕積立基金: 20〜80万円程度(入居時一括払い)
- 管理準備金: 2〜5万円程度
- 仲介手数料は不要(売主直販が多い)
- 戸建てより諸費用が安い傾向
(4) シミュレーション例(物件価格4,000万円の場合)
建売住宅(仲介あり):
| 項目 | 金額 |
|---|---|
| 仲介手数料 | 138.6万円 |
| 手付金(現金) | 200〜400万円 |
| 登記費用 | 10〜15万円 |
| 住宅ローン費用 | 62〜122万円 |
| 火災保険(5年) | 12〜25万円 |
| 不動産取得税 | 0〜30万円 |
| 合計 | 約240〜360万円 |
物件価格の6〜9%に相当します。
住み替え(買い替え)時の諸費用
(1) 売却側の諸費用(仲介手数料・抵当権抹消登記・譲渡所得税等)
住み替え時は、売却にも諸費用がかかります。
売却側の主な費用:
- 仲介手数料: 売却価格 × 3% + 6万円 + 消費税
- 抵当権抹消登記: 1〜2万円程度
- 譲渡所得税: 売却益が出た場合(3,000万円特別控除あり)
例(売却価格3,500万円の場合):
- 仲介手数料: (3,500万円 × 3% + 6万円)× 1.1 = 121.5万円
- その他費用: 2〜5万円程度
- 合計: 約120〜130万円程度
(2) 購入側の諸費用(通常の新築購入と同じ)
購入側の諸費用は、通常の新築購入と同じです。
購入側の費用: 物件価格の6〜10%(240〜400万円程度、4,000万円物件の場合)
(3) 住み替え特有の費用(仮住まい費用・引越し費用2回分)
売り先行で住み替える場合、以下の費用が追加で発生します。
住み替え特有の費用:
- 仮住まい賃料: 月10万円 × 3か月 = 30万円程度
- 引越し費用: 1回15万円 × 2回 = 30万円程度
- 合計: 約60万円程度
三菱地所によると、住み替え時の費用は初回購入より高くなる傾向があります。
(4) 費用の目安(売却+購入で物件価格の10〜15%)
住み替え時の諸費用総額は、売却価格と購入価格を合わせた10〜15%が目安です。
例(売却3,500万円 → 購入4,000万円):
- 売却側の諸費用: 120〜130万円
- 購入側の諸費用: 240〜360万円
- 住み替え特有の費用: 60万円
- 合計: 約420〜550万円程度
諸費用を節約するポイント
(1) 仲介手数料の節約(自社販売物件の選択)
仲介手数料は、諸費用の中で最大の割合を占めることが多い費用です。
節約方法:
- 売主直販の物件を選ぶ(仲介手数料0円)
- 仲介手数料無料・半額の不動産会社を探す
- 交渉により値引きしてもらう(上限の範囲内で)
(2) 火災保険の見直し(複数社比較・補償内容の最適化)
火災保険は、複数社で比較することで費用を抑えられます。
節約方法:
- 3社以上から見積もりを取る
- 不要な補償を外す(水災が不要な立地等)
- 免責金額を設定する(自己負担額を増やして保険料を下げる)
- 一括払いより年払いを検討(途中解約時の返金がある)
(3) 住宅ローンの諸費用削減(保証料0円商品、ネット銀行の活用)
住宅ローン費用は、金融機関により大きく異なります。
節約方法:
- 保証料0円の住宅ローンを選ぶ(金利上乗せ型)
- ネット銀行を活用する(事務手数料が安い場合あり)
- 融資事務手数料定額型を選ぶ(借入額 × 2%より安くなることも)
(4) 諸費用ローンの利用(メリット・デメリット)
諸費用ローンを利用すると、自己資金を抑えられます。
| メリット | デメリット |
|---|---|
| 自己資金を抑えられる | 金利が高くなる可能性 |
| 手元資金を温存できる | 審査が厳しくなる |
| 一括払いの負担を軽減 | 返済総額が増える |
諸費用ローンは、手付金には使えない点に注意が必要です。
まとめ:諸費用の準備と注意点
新築住宅の諸費用は、物件価格の5〜10%が相場で、建売は6〜9%、注文住宅は10〜12%、新築マンションは3〜6%程度です。主な内訳は仲介手数料、手付金、登記費用、住宅ローン費用、火災保険、不動産取得税で、物件価格4,000万円の場合は約240〜400万円の諸費用が発生します。
手付金(物件価格の5〜10%)は現金での準備が必須で、住宅ローンに組み込むことはできません。諸費用は原則として現金払いが必要ですが、一部金融機関では諸費用込みローン商品もあります。
住み替え時は売却と購入の両方で諸費用が発生し、物件価格の10〜15%が目安です。税制は改正される可能性があるため、最新情報はFP(ファイナンシャルプランナー)や不動産会社への相談をおすすめします。
