新築住宅の固定資産税はいつから課税される?
新築住宅を購入した際、「固定資産税はいつから課税されるのか」「初年度の税負担はいくらになるのか」と不安を感じる方は少なくありません。
この記事では、固定資産税の課税開始時期、軽減措置の内容、計算方法、減税期間終了後の対策を、国土交通省・東京都主税局の公式情報を元に解説します。
新築購入を検討中の方でも、税負担の全体像を正確に把握できるようになります。
この記事のポイント
- 固定資産税は毎年1月1日時点の所有者に課税され、1月1日までに完成ならその年の4月から、1月2日以降なら翌年の4月から納税開始
- 新築住宅は一般住宅で3年間(耐火建築物は5年間)、長期優良住宅で5年間(耐火は7年間)、固定資産税額が1/2に減額される
- 軽減措置終了後(4年目または6年目)に税額が約2倍になるため、資金計画への織り込みが必要
- 固定資産税評価額は建築費の約60%、土地は購入価格の約70%が目安で、税率は標準1.4%
- 建物は経年劣化で評価額が下がるが、軽減措置終了直後は税額が上がるため、長期的な視点での計画が重要
(1) 課税開始の基準日は1月1日
固定資産税は、毎年1月1日時点の土地・建物の所有者に課税されます(東京都主税局)。
このため、1月1日までに建物が完成していれば、その年の4月から納税通知書が届きます。一方、1月2日以降に完成した場合は、翌年の4月から課税開始となります。
(2) 建築時期による課税タイミングの違い(1月1日前後)
建築時期によって課税タイミングが異なるため、以下の表で確認しましょう。
| 完成時期 | 課税開始年 | 納税通知書送付時期 |
|---|---|---|
| 2024年12月31日まで | 2025年度 | 2025年4〜6月 |
| 2025年1月2日以降 | 2026年度 | 2026年4〜6月 |
(出典: HOME'S)
1月1日前後で完成時期が分かれる場合は、引き渡し日を調整することで、初年度の税負担を1年先延ばしにできる可能性があります。
(3) 納税通知書が届く時期と納付方法
納税通知書は毎年4〜6月頃に自治体から送付されます。納付方法は自治体により異なりますが、一般的には以下の2種類です。
- 年4回の分割払い(6月・9月・12月・翌年2月等)
- 一括払い(6月等、自治体により早期納付割引がある場合も)
納付方法は口座振替、コンビニ払い、クレジットカード払い等が利用できます。詳細は自治体の税務課にご確認ください。
固定資産税の基礎知識(課税の仕組み・税率・納税時期)
(1) 固定資産税とは?課税対象と納税義務者
固定資産税は、土地・建物の所有者に課される地方税です。毎年1月1日時点の所有者が納税義務を負います。
課税対象は以下の通りです。
- 土地: 宅地、農地、山林等
- 建物: 住宅、店舗、工場等
- 償却資産: 事業用の機械・設備等(住宅購入者には通常無関係)
(2) 標準税率1.4%の仕組み(自治体により異なる)
固定資産税の**標準税率は1.4%**です(東京都主税局)。ただし、自治体により税率が異なる場合があります。
例えば、東京都23区は1.4%ですが、一部の市町村では1.5%や1.6%に設定されているケースもあります。詳細は自治体の税務課にご確認ください。
(3) 固定資産税評価額の決定方法(家屋調査)
固定資産税評価額は、自治体が実施する家屋調査により決定されます。新築後1〜3ヶ月で調査員が訪問し、建材・設備・面積等を確認します。
評価額の目安は以下の通りです(HOME4U)。
- 建物: 建築費の約60%
- 土地: 購入価格の約70%
ただし、自治体や建材・設備により大きく異なるため、「約◯万円」等の目安表記に留めます。
新築住宅の軽減措置とは?適用要件と減額期間
(1) 一般住宅の軽減措置(3年間・5年間の1/2減額)
新築住宅の固定資産税は、一定期間1/2に減額される軽減措置があります(国土交通省)。
- 一般住宅: 3年間(新築後1〜3年目)
- 3階建以上の耐火・準耐火建築物: 5年間(新築後1〜5年目)
この軽減措置は2026年3月31日までの新築が対象です(2024年税制改正で2年間延長、一建設)。
(2) 長期優良住宅の特例(5年間・7年間の1/2減額)
長期優良住宅の認定を受けた住宅は、軽減期間が2年間延長されます。
- 長期優良住宅(一般): 5年間(新築後1〜5年目)
- 長期優良住宅(耐火建築物): 7年間(新築後1〜7年目)
長期優良住宅とは、耐震性・省エネ性等の基準を満たし、国の認定を受けた住宅です。詳細は国土交通省の公式サイトでご確認ください。
(3) 適用要件(床面積50㎡以上280㎡以下)と申請方法
軽減措置の適用要件は以下の通りです(国土交通省)。
- 床面積: 50㎡以上280㎡以下
- 減額対象: 1戸あたり120㎡相当分まで
- 申請期限: 自治体により異なる(新築後速やかに申請が必要)
申請は自己申告制のため、新築後すぐに自治体の税務課に確認し、必要書類(確認済証、長期優良住宅認定通知書等)を提出しましょう(東京都主税局)。
(4) 住宅用地の特例(小規模住宅用地1/6、一般住宅用地1/3)
住宅の敷地には、住宅用地の特例が適用されます(長谷工の住まい)。
| 区分 | 面積 | 軽減率 |
|---|---|---|
| 小規模住宅用地 | 200㎡以下 | 課税標準額が1/6 |
| 一般住宅用地 | 200㎡超 | 課税標準額が1/3 |
この特例により、土地の固定資産税が大幅に軽減されます。
固定資産税の計算方法(評価額の目安・税額シミュレーション)
(1) 固定資産税評価額の目安(建築費の約60%、土地は購入価格の約70%)
固定資産税評価額は、自治体の家屋調査により決定されますが、目安は以下の通りです(HOME4U)。
- 建物: 建築費の約60%
- 土地: 購入価格の約70%
ただし、建材・設備・立地により大きく異なるため、正確な評価額は家屋調査後に確定します。
(2) 税額の計算式(評価額 × 税率1.4%)
固定資産税の計算式は以下の通りです。
固定資産税額 = 固定資産税評価額 × 税率1.4%
軽減措置が適用される場合は、以下の計算式になります。
軽減後の税額 = (固定資産税評価額 × 税率1.4%)× 1/2
(3) 具体的な税額シミュレーション(一般住宅・長期優良住宅)
具体例として、以下の条件でシミュレーションします。
前提条件:
- 建物: 新築一戸建て(建築費3,000万円)
- 土地: 200㎡以下(購入価格2,000万円)
- 税率: 1.4%
建物の税額:
- 固定資産税評価額: 3,000万円 × 60% = 1,800万円
- 通常の税額: 1,800万円 × 1.4% = 25.2万円
- 軽減後の税額(1〜3年目): 25.2万円 × 1/2 = 12.6万円
- 軽減終了後の税額(4年目以降): 25.2万円
土地の税額:
- 固定資産税評価額: 2,000万円 × 70% = 1,400万円
- 小規模住宅用地の特例適用: 1,400万円 × 1/6 = 233.3万円(課税標準額)
- 土地の税額: 233.3万円 × 1.4% = 3.3万円
合計:
- 1〜3年目: 12.6万円(建物)+ 3.3万円(土地)= 15.9万円
- 4年目以降: 25.2万円(建物)+ 3.3万円(土地)= 28.5万円
このように、軽減措置終了後は税額が約1.8倍に増加します。
固定資産税が安くなる時期・下がるタイミング
(1) 4年目以降の税額変化(軽減措置終了で約2倍)
軽減措置の3年間が終了すると、4年目に税額が約2倍になります(オウチーノ)。
例:
- 1〜3年目: 7万円(軽減後)
- 4年目: 14万円(本来の税額)
このため、4年目以降の税額増加を想定した資金計画が必要です。
(2) 建物の経年劣化による評価額減少(木造15-35年、RC60年)
建物は経年劣化により、毎年評価額が下がります(フィル・パーク)。
- 木造住宅: 15〜35年で評価額が約25%減少
- RC造(鉄筋コンクリート): 60年で評価額が約25%減少
ただし、軽減措置終了直後(4年目)は税額が上がるため、経年劣化による減少効果が相殺されます。
(3) 土地の基準年度評価替え(3年ごと)による変動
土地の固定資産税評価額は、3年ごとの基準年度(令和3年、令和6年、令和9年等)で見直されます(フィル・パーク)。
地価が下落した場合、土地の評価額が下がり、税額も減少します。一方、地価が上昇した場合は税額が増加する可能性があります。
(4) 資金計画に織り込むべきポイント
以下のポイントを資金計画に織り込みましょう。
- 4年目以降の税額増加: 軽減措置終了後は約2倍に
- 経年劣化による減少: 5〜10年後から徐々に税額が下がる
- 地価変動: 3年ごとの基準年度で土地の税額が変動
「必ず安くなる」等の断定表現は避け、長期的な視点での計画が重要です。
まとめ:新築購入者が知っておくべき税負担の全体像
新築住宅の固定資産税は、毎年1月1日時点の所有者に課税され、1月1日までに完成ならその年の4月から、1月2日以降なら翌年の4月から納税通知書が届きます。
一般住宅は3年間(耐火建築物は5年間)、長期優良住宅は5年間(耐火は7年間)、固定資産税額が1/2に減額される軽減措置があります。ただし、軽減措置の適用要件(床面積50㎡以上280㎡以下、申請期限)を満たす必要があるため、新築後すぐに自治体の税務課に確認・申請しましょう。
軽減措置終了後(4年目または6年目)に税額が約2倍になるため、家計の資金計画に織り込むことが重要です。建物は経年劣化で評価額が下がりますが、軽減措置終了直後は税額が上がるため、長期的な視点での計画が必要です。
税制は改正される可能性があるため、最新情報は国土交通省・各自治体の税務課で確認し、詳細な税額計算は税理士への相談を推奨します。
