住宅ローンはどこで借りる?金融機関選びの重要性
住宅購入を検討中の方は、「住宅ローンはどこで借りるべきか」「都市銀行、地方銀行、ネット銀行、どれがいいのか」と悩んでいませんか?
住宅ローンは金融機関の選び方で総返済額が数百万円単位で変わることがあります。この記事では、都市銀行・地方銀行・ネット銀行・フラット35の特徴、金融機関を比較するチェックポイント、自分に合った選び方を解説します。
初めて住宅ローンを検討する方が、自分に合った金融機関を選べるようになります。
この記事のポイント
- 住宅ローンは都市銀行・地方銀行・ネット銀行・フラット35の4タイプがある
- ネット銀行は低金利だが対面相談ができない点に注意
- 金利だけでなく、団信や手数料を含めた総コストで比較が重要
- 複数の金融機関で事前審査を受けて条件を比較するのがおすすめ
住宅ローンの借入先は、都市銀行、地方銀行、ネット銀行、フラット35の4タイプがあります。どの金融機関を選ぶかで、以下の点が大きく変わります。
- 金利: 変動金利0.3〜0.7%台(ネット銀行)から1.0%前後(都市銀行)まで幅がある
- 団信の補償内容: がん団信や全疾病保障の有無、金利上乗せの有無
- 手数料: 事務手数料や保証料の額・形式
- 審査基準: 勤続年数や雇用形態の重視度合い
金利差が0.3%でも、3,000万円を35年で借りると総返済額が約50万円以上変わることがあります。
住宅ローンの借入先4タイプ|特徴とメリット・デメリット
(1) 都市銀行(メガバンク)の特徴と向いている人
都市銀行の例: 三菱UFJ銀行、三井住友銀行、みずほ銀行等
メリット:
- 店舗数が多い: 全国に店舗があり対面相談しやすい
- 安心感: 大手の信頼性とブランド力
- 柔軟な対応: 借り換えや条件変更の相談がしやすい
デメリット:
- 金利がやや高め: ネット銀行より0.2〜0.5%程度高い傾向
- 審査が厳しい: 勤続年数や雇用形態が重視される
向いている人: 対面で相談しながら決めたい人、大手の安心感を重視する人
(2) 地方銀行・信用金庫の特徴と地域密着のメリット
地方銀行の例: 横浜銀行、千葉銀行、福岡銀行等
メリット:
- 地域密着の柔軟性: 地域の不動産事情に詳しい
- 給与振込先として優遇: 給与振込や公共料金支払いで金利優遇がある場合も
- 地域限定の優遇: 地元で購入する場合の特典
デメリット:
- 金利: 都市銀行と同程度、ネット銀行より高め
- 対応エリアが限定: 転居時に継続利用が難しい場合がある
向いている人: 地元で購入する人、地域密着の銀行を希望する人
(3) ネット銀行の低金利と注意点
ネット銀行の例: 住信SBIネット銀行、auじぶん銀行、PayPay銀行等
メリット:
- 低金利: 店舗を持たないため、0.3〜0.7%台の低金利を実現
- 24時間申込可能: オンライン完結で仕事を休まず手続き
- 印紙税不要: 電子契約のため印紙税(1〜6万円)が不要
- 団信が充実: がん団信や全疾病保障を金利上乗せなしで提供する銀行が多い
デメリット:
- 対面相談ができない: 初めての住宅ローンでは不安を感じる場合がある
- 審査基準が厳しい: 勤続年数や収入の安定性が重視される
向いている人: 金利の低さを重視する人、オンライン手続きに抵抗がない人
(4) フラット35(住宅金融支援機構)の特徴
フラット35とは: 住宅金融支援機構と民間金融機関が提携して提供する最長35年の全期間固定金利住宅ローンです。
メリット:
- 全期間固定金利: 将来の金利上昇リスクを避けられる
- 審査基準が緩やか: 個人事業主や転職直後でも審査に通りやすい
- 保証料不要: 保証人も不要
- 団信は任意: 健康上の理由で団信に加入できなくても借入可能
デメリット:
- 金利がやや高め: 変動金利より当初の金利が高い(2025年12月時点で1.8%前後)
- 技術基準: 住宅の技術基準(耐震性等)を満たす必要がある
(出典: 長期固定金利住宅ローン【フラット35】)
向いている人: 将来の金利上昇リスクを避けたい人、自営業や転職直後の人
金融機関を比較するときの5つのチェックポイント
(1) 金利タイプと実質金利の比較
住宅ローンの金利には、変動金利と固定金利があります。
| 金利タイプ | 特徴 | 金利水準(2025年12月時点) |
|---|---|---|
| 変動金利 | 半年ごとに見直し | 0.3〜0.7%台(ネット銀行) |
| 固定期間選択型 | 一定期間固定(10年等) | 1.0〜1.5%程度 |
| 全期間固定金利 | 借入期間中ずっと固定 | 1.5〜2.0%程度 |
実質金利とは: 表示金利に団信や手数料を加味した実質的な負担金利です。金利だけでなく、以下を含めた総コストで比較しましょう。
(2) 団信(団体信用生命保険)の補償内容
団信は、住宅ローン返済中に債務者が死亡または高度障害になった場合、残債が保険で完済される制度です。
団信の種類:
| 団信の種類 | 補償内容 | 金利上乗せ |
|---|---|---|
| 一般団信 | 死亡・高度障害 | なし |
| がん団信 | 死亡・高度障害+がん診断 | ネット銀行は無料が多い、都市銀行は+0.2%程度 |
| 全疾病保障 | 死亡・高度障害+すべての病気 | ネット銀行は無料が多い、都市銀行は+0.3%程度 |
ネット銀行の多くは、がん団信や全疾病保障を金利上乗せなしで提供しており、大きなメリットです。
(3) 事務手数料・保証料の違い
住宅ローン借入時には、金利以外にも以下の費用がかかります。
| 項目 | 内容 | 金額 |
|---|---|---|
| 事務手数料 | 金融機関への手数料 | 定額型:3〜10万円 定率型:借入金額の2.2% |
| 保証料 | 保証会社への費用 | 借入金額の約2%(ネット銀行・フラット35は不要が多い) |
| 印紙税 | 契約書への印紙代 | 1〜6万円(電子契約は不要) |
例(借入金額3,000万円の場合):
- 事務手数料(定率型): 3,000万円 × 2.2% = 66万円
- 保証料: 3,000万円 × 2% = 60万円(ネット銀行は不要が多い)
ネット銀行は保証料が不要な代わりに、事務手数料が定率型(2.2%)の場合が多いです。
自分に合った金融機関の選び方
(1) 対面相談を重視するなら都市銀行・地方銀行
初めての住宅ローンで、専門家に相談しながら決めたい人は、都市銀行や地方銀行がおすすめです。
- メリット: 対面で返済計画を相談できる、店舗が多く相談しやすい
- デメリット: 金利がネット銀行より高め
(2) 金利の低さを重視するならネット銀行
金利の低さを最優先にする人は、ネット銀行がおすすめです。
- メリット: 0.3〜0.7%台の低金利、がん団信や全疾病保障が無料
- デメリット: 対面相談ができない、審査が厳しい傾向
判断基準:
- 金利差0.3%で総返済額が約50万円以上変わる場合、ネット銀行を検討する価値がある
- オンライン手続きに抵抗がなく、自分で情報収集できる人向け
住宅ローン審査の違いと通過のコツ
(1) 金融機関別の審査基準の違い
審査基準は金融機関によって異なります。
| 項目 | 都市銀行・地方銀行 | ネット銀行 | フラット35 |
|---|---|---|---|
| 勤続年数 | 3年以上が望ましい | 3年以上が望ましい | 不問(収入の安定性重視) |
| 雇用形態 | 正社員が有利 | 正社員が有利 | 自営業・派遣でもOK |
| 年収 | 300万円以上が目安 | 300〜400万円以上 | 規定なし(返済負担率で判断) |
フラット35は審査基準が比較的緩やかで、個人事業主や転職直後でも審査に通りやすい特徴があります。
(2) 事前審査を複数受けるメリット
複数の金融機関で事前審査を受けることで、以下のメリットがあります。
- 条件の比較: 金利、手数料、団信の内容を比較できる
- 審査に通りやすい金融機関がわかる: 審査基準の違いを把握
- 交渉材料になる: 複数の金融機関の条件を提示することで、条件交渉がしやすくなる場合も
事前審査は無料で、複数受けても信用情報に悪影響はありません。
まとめ:住宅ローンはどこで借りるべきか判断基準
住宅ローンは、都市銀行・地方銀行・ネット銀行・フラット35の4タイプがあり、それぞれ特徴が異なります。金利だけでなく、団信の補償内容、事務手数料、保証料を含めた総コストで比較することが重要です。
対面相談を重視するなら都市銀行・地方銀行、金利の低さを重視するならネット銀行がおすすめです。将来の金利上昇リスクを避けたい人や自営業の人はフラット35も選択肢です。
複数の金融機関で事前審査を受けて条件を比較し、ファイナンシャルプランナーや宅地建物取引士に相談しながら、自分に合った金融機関を選びましょう。


