なぜ住宅ローン審査に落ちるのか|審査落ちの実態
住宅ローン審査に落ちた場合、「なぜ落ちたのか」「どうすれば通るのか」と不安を感じる方は少なくありません。
この記事では、住宅ローン審査に落ちる主な理由、原因別の対処法、再申込の戦略を解説します。国土交通省の民間住宅ローン実態調査や審査落ち経験者の実態調査を元にまとめています。
初めて住宅ローンを申し込む方でも、審査に通過するためのポイントを理解し、適切に対処できるようになります。
この記事のポイント
- 審査に落ちる最大の原因は信用情報の問題(クレジットカードの延滞など)
- 返済負担率は年収の20〜25%以内に抑えるのが理想
- 勤続年数は1年以上が目安(62%の金融機関が基準)
- 審査に落ちた理由は金融機関から教えてもらえないことがほとんど
- 再申込は最低6ヶ月空け、フラット35という選択肢も検討を
住宅ローン審査で重視される項目と基準
(1) 金融機関が重視する審査項目トップ5
国土交通省の令和5年度調査によると、金融機関が住宅ローン審査で重視する項目は以下の通りです。
| 順位 | 審査項目 | 重視する金融機関の割合 |
|---|---|---|
| 1位 | 完済時年齢 | 94.0% |
| 2位 | 健康状態 | 94.0% |
| 3位 | 借入時年齢 | 93.2% |
| 4位 | 勤続年数 | 93.2% |
| 5位 | 年収 | 93.2% |
これらの項目のうち、1つでも基準を満たさないと審査に落ちる可能性が高くなります。
(2) 年収と返済負担率の基準
年収は一般的に300万円以上が目安です。ただし、重要なのは年収額よりも返済負担率(年収に対する年間返済額の割合)です。
- 理想的な返済負担率: 20〜25%以内
- 審査基準の上限: 35%以内(金融機関により異なる)
返済負担率が高いと、返済が困難になるリスクがあるため、審査が厳しくなります。
(3) 勤続年数と雇用形態の基準
勤続年数は1年以上が目安です。国土交通省の調査によると、62%の金融機関が勤続年数1年以上を基準としています。
ただし、大手企業や公務員の場合は勤続年数が短くても審査に通る可能性があります。
(参考: 三井住友銀行「住宅ローンは勤続年数が短くても組める!」)
審査に落ちる主な原因|信用情報・返済負担率・勤続年数
(1) 信用情報の問題(クレジットカードの延滞・異動情報)
審査に落ちる最大の原因は、信用情報の問題です。
- クレジットカードの延滞: 61日以上の延滞は信用情報に「異動」として記録され、最長5年間残る
- スマホ料金の未払い: スマホの分割払いも信用情報に記録される
- スーパーホワイト: クレジットカードやローンの利用履歴が全くない状態も審査で不利になることがある
「異動」情報があると、公務員や上場企業勤務でも審査に通らないケースが多いです。
(参考: リクルート「専門家だけが知っている住宅ローン審査に落ちるワケ」)
(2) 返済負担率が高い(年収に対する返済額の割合)
返済負担率が35%を超えると、審査に落ちる可能性が高くなります。
返済負担率の計算例:
- 年収500万円、年間返済額150万円の場合
- 返済負担率 = 150万円 ÷ 500万円 = 30%
住宅ローン以外に自動車ローンやカードローンがある場合、それらの返済額も含めて計算されます。
(3) 勤続年数が短い・雇用形態が不安定
勤続年数が1年未満の場合、審査に落ちる可能性が高くなります。
- 転職直後: 試用期間中は審査に通りにくい
- 派遣・契約社員: 正社員より審査が厳しい
- 自営業: 確定申告3年分の提出が必要な場合が多い
ただし、大手企業への転職や公務員の場合は例外的に審査に通ることがあります。
(4) 健康状態の問題(団体信用生命保険)
団体信用生命保険(団信)は、住宅ローン契約者が死亡・高度障害になった場合に残債を保険で完済する保険です。
健康上の理由で団信に加入できない場合、審査に落ちることがあります。
(参考: LIFULL HOME'S「審査に落ちた300人に聞いた、お金に問題なくても通らない理由」)
(5) 物件の担保評価不足
購入予定の物件が担保として不十分と判断された場合、審査に落ちることがあります。
- 再建築不可の物件: 建築基準法に適合しない物件
- 築年数が古すぎる物件: 耐用年数を超える物件
- 市場価値が低い物件: 立地・需要が低い物件
物件の担保評価は金融機関が独自に行うため、事前に不動産会社に相談することを推奨します。
広告
審査に落ちた場合の対処法|原因別の改善策
(1) 信用情報の問題への対処法
信用情報に「異動」がある場合、以下の対処法を検討してください。
- 信用情報の開示: CIC、JICC、全銀協に情報開示請求を行い、現状を確認
- 異動情報の削除待ち: 最長5年間で削除されるため、その期間は住宅ローン申込を控える
- 延滞の解消: 未払いがある場合は速やかに支払う
クレジットカードやスマホ料金の支払いは、日頃から遅れないよう注意が必要です。
(2) 返済負担率を下げる方法
返済負担率を下げるには、以下の方法があります。
- 借入額を減らす: 自己資金(頭金)を増やし、借入額を減らす
- 他の借入を完済: 自動車ローン、カードローンを完済する
- 返済期間を延ばす: 35年返済にすることで月々の返済額を減らす
返済負担率を20〜25%以内に抑えることで、審査に通る可能性が高くなります。
(3) 勤続年数が短い場合の対策
勤続年数が短い場合、以下の対策を検討してください。
- 1年経過を待つ: 勤続1年以上になってから申し込む
- フラット35を検討: 勤続年数不問のため、勤続年数が短くても審査対象
- 大手企業・公務員の場合: 勤続年数が短くても審査に通る可能性があるため、複数の金融機関に相談
転職直後の場合は、試用期間を終えてから申し込むことを推奨します。
(4) 健康上の理由で落ちた場合の対策
健康状態の問題で団信に加入できない場合、以下の対策を検討してください。
- ワイド団信: 持病があっても加入できる団信(金利上乗せが必要)
- フラット35: 団信任意のため、団信に加入せずに借入可能
- 配偶者を主債務者: 健康な配偶者を主債務者にして申し込む
(参考: 住宅金融支援機構「フラット35」)
再申込の戦略とタイミング|フラット35という選択肢
(1) 同じ金融機関への再申込は6ヶ月空ける
審査に落ちた場合、同じ金融機関への再申込は最低6ヶ月空けることを推奨します。
申し込み履歴は信用情報機関に6ヶ月間残るため、短期間での再申込は「審査に何度も落ちている」という印象を与えます。
(2) 複数の金融機関に同時申込のリスク(申し込みブラック)
短期間に複数の金融機関に申し込むと、「申し込みブラック」と判断される可能性があります。
- 申し込み履歴: 信用情報機関に6ヶ月間残る
- 審査への悪影響: 「返済能力に問題があるのでは」と疑われる
複数の金融機関に申し込む場合は、事前審査を2〜3行に絞り、同時期に申し込むことを推奨します。
(参考: まるっとローン「住宅ローンに落ちたら再審査できる?」)
(3) フラット35という選択肢(勤続年数不問・団信任意)
一般の住宅ローンで審査に落ちた場合、フラット35を検討することを推奨します。
| 項目 | 一般の住宅ローン | フラット35 |
|---|---|---|
| 勤続年数 | 1年以上が目安 | 不問 |
| 団信 | 必須 | 任意 |
| 年収基準 | 300万円以上が目安 | なし |
| 金利 | 変動金利あり | 全期間固定金利 |
フラット35は審査基準が比較的緩いため、勤続年数が短い、健康上の理由で団信に加入できない方でも審査対象となります。
(参考: 住宅金融支援機構「フラット35」)
まとめ:住宅ローン審査を通過するためのポイント
住宅ローン審査に落ちる最大の原因は、信用情報の問題(クレジットカードの延滞など)です。返済負担率は年収の20〜25%以内に抑え、勤続年数は1年以上が目安です。
審査に落ちた理由は金融機関から教えてもらえないことがほとんどのため、自分で原因を推測し、改善する必要があります。
再申込は最低6ヶ月空け、一般の住宅ローンで落ちた場合はフラット35を検討することを推奨します。
住宅ローン審査は人生設計に大きな影響を与えるため、ファイナンシャルプランナーや住宅ローンアドバイザーに相談しながら、無理のない返済計画を立てましょう。
