住宅ローン金利は上がる?今後の見通しと対策を徹底解説

著者: Room Match編集部公開日: 2025/12/4

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なぜ住宅ローン金利の今後が注目されるのか

住宅ローンを検討中の方や、すでに変動金利で借りている方にとって、「住宅ローン金利は今後上がるのか」は最も気になるテーマです。

2024年3月に日本銀行がマイナス金利政策を解除したことで、長年続いた超低金利の時代が終わりを迎えました。住宅金融支援機構によると、2025年12月時点で変動金利は0.6%台に上昇し、固定金利のフラット35も1.970%と前月から引き上げられています。

この記事では、今後の住宅ローン金利の見通し、変動金利利用者が直面するリスク、そして具体的な対策方法を解説します。

この記事のポイント

  • 2024年3月のマイナス金利解除後、変動金利は2024年10月頃から上昇傾向にある
  • エコノミスト予想では政策金利が2026年末までに1.1%程度まで上昇する可能性
  • 変動金利利用者は返済計画の見直し、繰り上げ返済、固定金利への借り換えを検討すべき
  • 借り換えには手数料がかかるため、総コストをファイナンシャルプランナー等に相談することを推奨

(1) マイナス金利政策の解除(2024年3月)と金融政策の転換

日本銀行は2016年から2024年3月まで、マイナス金利政策(政策金利をマイナスに設定する金融政策)を実施していました。この政策により、住宅ローン金利は歴史的な低水準を維持してきました。

しかし、2024年3月にマイナス金利政策が解除されると、金融政策は「金利上昇局面」に転換しました。SBI新生銀行の解説によると、この転換は日本経済の正常化を目指すものであり、今後も段階的な利上げが予想されます。

(2) 変動金利の上昇傾向(2024年10月~)

2024年10月頃から、変動金利は上昇傾向を示しています。変動金利は、市場金利の変動に応じて見直される住宅ローン金利であり、短期プライムレート(銀行が優良企業に対して短期で貸し出す際の最優遇金利)に連動することが多いためです。

2025年1月には、日本銀行が政策金利を0.25%から0.5%に引き上げました。この決定により、変動金利は2025年4月には0.6%台に達しています。

(3) 返済額増加による家計への影響

金利上昇は、住宅ローン利用者の家計に直接的な影響を及ぼします。変動金利で借りている場合、金利が1%上昇すると、月々の返済額が大きく増加する可能性があります。

例えば、借入額3,000万円・返済期間35年の場合、金利0.6%→1.6%で月々の返済額は約8万円→約9万円に増加します(約1万円増)。この増加額は、借入額や残期間により異なりますが、家計を圧迫するリスクがあることを認識しておく必要があります。

現在の住宅ローン金利の状況(2025年12月時点)

2025年12月時点での住宅ローン金利の状況を、変動金利・固定金利・政策金利・長期金利の4つの視点から整理します。

(1) 変動金利:0.6%台に上昇(主要銀行)

2025年12月時点で、主要銀行の変動金利は0.6%台に上昇しています。全国銀行協会によると、変動金利は短期プライムレートに連動するため、日銀の政策金利引き上げの影響を受けやすい状況です。

オンライン銀行(PayPay銀行、SBI新生銀行等)は競争のため比較的低金利を提供していますが、今後の利上げ局面では、これらの金融機関でも金利上昇が予想されます。

(2) 固定金利:フラット35は1.970%(前月から引き上げ)

全期間固定金利のフラット35(住宅金融支援機構が提供する最長35年の全期間固定金利住宅ローン)は、2025年12月時点で1.970%となっており、前月から引き上げられています。

固定金利は、借入期間中の金利が一定に固定される住宅ローン金利であり、10年固定、全期間固定(フラット35等)があります。長期金利(10年国債利回り)の動向に連動するため、変動金利とは異なる動きを見せることがあります。

(3) 政策金利:2025年1月に0.25%→0.5%に引き上げ

日本銀行は2025年1月に、政策金利(日本銀行が金融政策として決定する短期金利)を0.25%から0.5%に引き上げました。この決定は、賃金上昇とインフレ率が日銀の2%目標を大きく上回っていることを受けたものです。

政策金利の引き上げは、変動金利の上昇に直結するため、変動金利利用者にとっては注視すべき動きです。

(4) 10年国債利回り:1.83%(約17.5年ぶりの高水準)

2025年11月には、10年国債利回りが1.83%と約17.5年ぶりの高水準に達しています。10年国債利回りは、長期金利の指標として固定金利に影響を与えます。

この上昇は、日本経済の正常化と海外金利動向(米国の金利政策等)の影響を受けたものと考えられます。

項目 2025年12月の水準
変動金利 0.6%台
フラット35(固定金利) 1.970%
政策金利 0.5%
10年国債利回り 1.83%

(出典: 住宅金融支援機構SBI新生銀行

今後の住宅ローン金利の見通し:日銀の利上げシナリオ

今後の住宅ローン金利がどこまで上がるのかは、日本銀行の金融政策と経済状況に大きく依存します。ここでは、エコノミストの予想を元に、複数のシナリオを提示します。

(1) 政策金利の上昇予測:2026年末までに1.1%程度(エコノミスト予想)

エコノミストの予想では、政策金利は2026年末までに1.1%程度まで上昇する可能性があります。この予測は、賃金上昇とインフレ率が日銀の2%目標を大きく上回っていることを根拠としています。

ただし、日銀の金融政策は経済状況により変動するため、予測が困難であることに留意が必要です。海外の景気後退や国内経済の減速があれば、利上げペースが鈍化する可能性もあります。

(2) 変動金利への影響:短期プライムレート連動で段階的上昇

変動金利は短期プライムレートに連動するため、政策金利の引き上げに応じて段階的に上昇します。政策金利が1.1%に達した場合、変動金利も1%台半ば~後半まで上昇する可能性があります。

変動金利利用者にとっては、月々の返済額が増加するリスクがあるため、今後の日銀の政策金利決定を注視する必要があります。

(3) 固定金利への影響:長期金利(10年国債利回り)の動向次第

固定金利は、長期金利(10年国債利回り)の動向に連動します。10年国債利回りが今後も上昇を続ける場合、フラット35などの固定金利も2%台前半まで上昇する可能性があります。

ただし、長期金利は海外金利動向(米国の金利政策等)や日本国債の需給バランスにも影響を受けるため、変動金利とは異なる動きを見せることがあります。

(4) 賃金上昇とインフレ率が2%目標を上回り、利上げを促進

日本銀行は、賃金上昇とインフレ率が2%目標を大きく上回っている状況を踏まえ、段階的な利上げを進めています。この政策転換は、日本経済の正常化を目指すものですが、住宅ローン利用者にとっては金利上昇リスクを意味します。

今後も賃金上昇とインフレ率が高水準を維持する場合、日銀はさらなる利上げを実施する可能性があります。

変動金利利用者のリスクと対策

変動金利で住宅ローンを借りている方は、金利上昇によるリスクを理解し、適切な対策を講じることが重要です。

(1) リスク:返済額増加による家計圧迫

変動金利は、市場金利の変動に応じて見直されるため、金利上昇局面では月々の返済額が増加します。借入額が大きい場合や返済期間が長い場合、返済額増加の影響は大きくなります。

例えば、借入額3,000万円・返済期間35年の場合、金利0.6%→1.6%で月々の返済額は約8万円→約9万円に増加します(約1万円増)。さらに金利が上昇すれば、家計を圧迫するリスクがあります。

(2) 対策1:返済計画の見直し(余裕を持った予算設定)

金利上昇リスクを踏まえ、返済計画を見直すことが重要です。月々の返済額が増加しても家計に余裕が持てるよう、予算設定を見直しましょう。

具体的には、以下の点を確認します。

  • 月々の返済額が家計の25%以内に収まっているか
  • 金利が1%上昇した場合でも返済可能か
  • 緊急時の貯蓄が十分にあるか

(3) 対策2:繰り上げ返済の活用(元金削減で利息軽減)

繰り上げ返済(毎月の返済とは別に、元金の一部または全部を前倒しで返済すること)を活用することで、元金を削減し、将来の利息負担を軽減できます。

金利上昇局面では、繰り上げ返済の効果がより大きくなります。余裕資金がある場合は、積極的に繰り上げ返済を検討しましょう。

(4) 対策3:固定金利への借り換え検討(金利上昇局面での選択肢)

変動金利から固定金利への借り換え(現在の住宅ローンを別の金融機関や金利タイプに変更すること)を検討するのも一つの選択肢です。固定金利に借り換えることで、返済額を安定化させることができます。

ただし、借り換えには手数料がかかるため、総コストを比較して判断する必要があります。詳細は次のセクションで解説します。

(5) 金利上昇シミュレーション:金利1%上昇で月々の返済額がどう変わるか

金利が1%上昇した場合、月々の返済額がどう変わるかをシミュレーションしておくことが重要です。以下の表は、借入額3,000万円・返済期間35年の場合の例です。

金利 月々の返済額 総返済額
0.6% 約8万円 約3,360万円
1.6% 約9万円 約3,780万円
2.6% 約10万円 約4,200万円

金利が1%上昇するごとに、月々の返済額が約1万円、総返済額が約420万円増加することがわかります。この数字を踏まえ、返済計画を見直しましょう。

固定金利と変動金利の選び方:借り換えのタイミング

住宅ローンを新規で借りる場合や、借り換えを検討する場合、固定金利と変動金利のどちらを選ぶべきかは重要な判断です。

(1) 変動金利を選ぶべき人:金利上昇リスクを許容でき、繰り上げ返済余力がある

変動金利は、固定金利よりも金利が低いため、当初の返済額を抑えられます。以下のような方は、変動金利を選ぶメリットがあります。

  • 金利上昇リスクを許容できる
  • 繰り上げ返済の余力がある
  • 借入額が少なく、返済期間が短い
  • 金利動向を定期的にチェックできる

(2) 固定金利を選ぶべき人:返済額の安定を重視、金利上昇リスクを回避したい

固定金利は、借入期間中の金利が一定に固定されるため、返済額が変動しません。以下のような方は、固定金利を選ぶメリットがあります。

  • 返済額の安定を重視したい
  • 金利上昇リスクを回避したい
  • 借入額が大きく、返済期間が長い
  • 家計管理をシンプルにしたい

(3) 借り換えのメリット:金利タイプ変更で返済額を安定化

変動金利から固定金利への借り換えを行うことで、返済額を安定化させることができます。金利上昇局面では、固定金利への借り換えを検討する方が増えています。

借り換えのメリットは以下の通りです。

  • 返済額が固定され、家計管理がしやすくなる
  • 金利上昇リスクを回避できる
  • 精神的な安心感が得られる

(4) 借り換えのデメリット:手数料・諸費用がかかる(総コスト比較が必要)

借り換えには、以下のような手数料・諸費用がかかります。

  • 事務手数料(借入額の2%程度)
  • 保証料
  • 登記費用
  • 印紙税

これらの費用を合計すると、数十万円になることがあります。借り換えを検討する際は、手数料・諸費用を含めた総コストを比較し、本当にメリットがあるかを確認する必要があります。

(5) 借り換えのタイミング:変動金利と固定金利の差、今後の金利見通しを比較

借り換えのタイミングは、現在の変動金利と固定金利の差、今後の金利上昇見通しを比較して判断します。

例えば、現在の変動金利が0.6%、固定金利が1.970%の場合、金利差は約1.4%です。今後、変動金利が1.970%を超えて上昇する可能性が高いと判断すれば、借り換えのメリットがあります。

ただし、借り換えには手数料がかかるため、総コストをファイナンシャルプランナー等の専門家に相談して決定するのが推奨されます。

まとめ:金利上昇局面での住宅ローン戦略

2024年3月のマイナス金利解除後、住宅ローン金利は上昇傾向にあります。エコノミスト予想では、政策金利が2026年末までに1.1%程度まで上昇する可能性があり、変動金利利用者は返済額増加のリスクに直面しています。

金利上昇局面では、返済計画の見直し、繰り上げ返済の活用、固定金利への借り換え検討が重要な対策となります。借り換えを検討する際は、手数料・諸費用を含めた総コストを比較し、ファイナンシャルプランナー等の専門家に相談することを推奨します。

今後の住宅ローン金利の動向は、日本銀行の金融政策と経済状況に大きく依存します。最新の金利情報を定期的にチェックし、自分に合った住宅ローン戦略を選択しましょう。

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よくある質問

Q12024年のマイナス金利解除で住宅ローン金利はどう変わったのか?

A12024年3月に日本銀行がマイナス金利政策を解除した後、変動金利は2024年10月頃から上昇傾向を示しています。2025年12月時点で、主要銀行の変動金利は0.6%台に上昇し、全期間固定金利のフラット35は1.970%となっています。今後も日銀の段階的な利上げが予想されるため、変動金利はさらに上昇する可能性があります。最新の金利情報は各金融機関にご確認ください。

Q2今後の住宅ローン金利はどこまで上がるのか?

A2エコノミストの予想では、政策金利は2026年末までに1.1%程度まで上昇する可能性があります。変動金利は短期プライムレートに連動するため、政策金利の引き上げに応じて段階的に上昇します。政策金利が1.1%に達した場合、変動金利も1%台半ば~後半まで上昇する可能性があります。ただし、日銀の金融政策は経済状況により変動するため、予測が困難であることに留意が必要です。

Q3変動金利から固定金利に借り換えるべきタイミングはいつか?

A3借り換えのタイミングは、現在の変動金利と固定金利の差、今後の金利上昇見通しを比較して判断します。2025年12月時点では、変動金利が0.6%、固定金利が1.970%であり、金利差は約1.4%です。今後、変動金利が1.970%を超えて上昇する可能性が高いと判断すれば、借り換えのメリットがあります。ただし、借り換えには事務手数料や登記費用等がかかるため、総コストをファイナンシャルプランナー等の専門家に相談して決定するのが推奨されます。

Q4金利が1%上がると月々の返済額はどれくらい増えるのか?

A4借入額3,000万円・返済期間35年の場合、金利0.6%→1.6%で月々の返済額は約8万円→約9万円に増加します(約1万円増)。さらに金利が2.6%まで上昇すると、月々の返済額は約10万円になります。金利が1%上昇するごとに、月々の返済額が約1万円、総返済額が約420万円増加することになります。借入額や残期間により増加額は異なるため、金融機関のシミュレーションツールで試算することを推奨します。

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Room Match編集部

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