住宅ローンのお金の流れを理解する重要性
初めて住宅ローンを利用する方にとって、「お金がいつ、どのように動くのか」は大きな不安材料です。手付金、頭金、融資実行、残金決済と、複数のタイミングでお金が動くため、全体像を把握しておくことが重要です。
この記事では、住宅ローンの申込から融資実行までのお金の流れを、全国銀行協会や住宅金融支援機構の情報を元に解説します。各段階で必要な費用と手続きのタイミングを理解し、スムーズな住宅購入に備えましょう。
この記事のポイント
- 住宅ローンの流れは「事前審査→本審査→契約→融資実行」の4ステップ
- 融資実行日は物件の引渡し日と同日に設定されることが多い
- 手付金は物件価格の5〜10%、頭金は10〜20%が目安
- 諸費用は新築マンションで3〜5%、中古マンションで6〜8%
- 注文住宅は複数回支払いがあり、つなぎ融資の活用が必要
申込から審査までの流れ
住宅ローンの審査は、事前審査と本審査の2段階で行われます。
事前審査の手続きと期間
事前審査(仮審査)は、本格的な申込前に借入可能かどうかを確認する審査です。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 審査期間 | 最短即日〜1週間程度 |
| 必要書類 | 本人確認書類、収入証明書(源泉徴収票等) |
| 審査内容 | 年収、勤続年数、他の借入状況 |
事前審査に通過しても、本審査で落ちる可能性はあります。事前審査は借入可能額の目安を確認するためのものと考えてください。
本審査の手続きと必要書類
物件が決まったら、本審査に進みます。本審査では物件の担保価値も審査対象となります。
本審査に必要な主な書類:
- 本人確認書類(運転免許証、パスポート等)
- 収入証明書(源泉徴収票、確定申告書)
- 住民票、印鑑証明書
- 物件関連書類(売買契約書、登記事項証明書)
本審査の期間は1〜2週間程度が一般的です。金融機関や審査状況により異なるため、余裕を持ったスケジュールを組みましょう。
契約から融資実行までの流れ
本審査に通過したら、契約手続きを経て融資実行となります。
金銭消費貸借契約のタイミング
金銭消費貸借契約(金消契約)は、住宅ローンの正式な契約です。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| タイミング | 融資実行日の1週間〜10日前 |
| 場所 | 金融機関の窓口または自宅(電子契約の場合) |
| 所要時間 | 1〜2時間程度 |
金消契約では、借入額、金利、返済期間、返済方法などの最終的な条件が確定します。契約内容を十分に確認してから署名・捺印してください。
融資実行日と引渡し日の関係
融資実行日は、物件の引渡し日と同日に設定されるのが一般的です。
融資実行日の流れ:
- 金融機関が融資金を振り込む
- 残金を売主に支払う
- 抵当権設定登記を行う
- 物件の引渡しを受ける
これらの手続きは同日に行われ、司法書士が立ち会って登記手続きを進めます。
お金の動き方|振込先と支払いタイミング
住宅ローンのお金の動き方は、物件種別により異なります。
新築・中古マンションの場合
新築・中古マンションの場合、お金の流れは比較的シンプルです。
| タイミング | 支払い内容 | 支払い先 |
|---|---|---|
| 契約時 | 手付金(5〜10%) | 売主 |
| 引渡時 | 残金(手付金を除いた額) | 売主 |
融資金の振込先は、自分の口座に入金されてから売主に支払うパターンと、売主の口座に直接振り込まれるパターンがあります。金融機関や販売会社により異なるため、事前に確認しておきましょう。
注文住宅の場合|つなぎ融資の活用
注文住宅の場合、工事の進捗に合わせて複数回の支払いが発生します。
| タイミング | 支払い内容 | 割合目安 |
|---|---|---|
| 契約時 | 契約金 | 10%程度 |
| 着工時 | 着工金 | 30%程度 |
| 上棟時 | 中間金 | 30%程度 |
| 引渡時 | 残金 | 30%程度 |
住宅ローンは物件完成後の引渡し時に融資実行されるため、それ以前の支払いにはつなぎ融資を利用します。
つなぎ融資の注意点:
- 金利は通常の住宅ローンより高い(年利2〜3%程度)
- 利息負担が発生するため、利用期間は短くする工夫が必要
- 住宅ローン融資実行時に一括返済する
住宅購入に必要な費用の内訳
住宅購入には、物件価格以外にも様々な費用が必要です。
手付金・頭金の目安
手付金と頭金は混同されやすいですが、意味が異なります。
| 項目 | 目安 | 説明 |
|---|---|---|
| 手付金 | 物件価格の5〜10% | 契約時に支払う(頭金の一部) |
| 頭金 | 物件価格の10〜20% | 現金で支払う部分(手付金含む) |
頭金を多く用意するほど借入額を抑えられ、毎月の返済負担が軽くなります。三井住友銀行によると、返済負担率は15〜20%程度が無理のない目安です。
諸費用の内訳と割合
住宅購入時の諸費用は、物件種別により異なります。
| 物件種別 | 諸費用割合 |
|---|---|
| 新築マンション | 物件価格の3〜5% |
| 中古マンション | 物件価格の6〜8% |
| 一戸建て | 物件価格の6〜10% |
主な諸費用の内訳:
- 住宅ローン関連費用(事務手数料、保証料、印紙税)
- 登記費用(登録免許税、司法書士報酬)
- 仲介手数料(中古物件の場合)
- 火災保険料・地震保険料
- 不動産取得税(購入後に発生)
諸費用は原則として現金で用意する必要がありますが、金融機関によっては諸費用ローンとして借入可能な場合もあります。
まとめ:住宅ローンのお金の流れと準備のポイント
住宅ローンのお金の流れは、「事前審査→本審査→金消契約→融資実行」の順で進みます。融資実行日は引渡し日と同日に設定されることが多く、抵当権設定登記も同日に行われます。
手付金(5〜10%)と諸費用(3〜10%)は現金で用意する必要があるため、余裕を持った資金計画を立てましょう。注文住宅の場合は複数回の支払いがあるため、つなぎ融資の活用も検討してください。
具体的な手続きや資金計画に不安がある場合は、金融機関の担当者やファイナンシャルプランナーに相談することをお勧めします。
