住宅ローンの無理のない返済比率は?年収別の目安と計算方法を解説

著者: Room Match編集部公開日: 2025/12/19

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住宅ローンの返済比率とは何か

住宅購入を検討する際、「年収に対してどの程度のローン返済額が適正か」と悩む方は少なくありません。返済比率(返済負担率)は、年収に占める年間返済額の割合を示す重要な指標で、無理のない借入計画を立てるための基準となります。

この記事では、住宅ローンの無理のない返済比率について、三井住友銀行みずほ銀行の情報を元に解説します。

初めて住宅ローンを組む方でも、年収別の適正な返済額を正確に把握し、無理のない借入計画を立てられるようになります。

この記事のポイント

  • 金融機関の審査基準は返済比率30~35%だが、理想的な返済比率は手取り収入の20~25%
  • フラット35の基準は年収400万円未満で30%以下、400万円以上で35%以下
  • 返済比率には住宅ローンだけでなく、自動車ローンやクレジットカードのリボ払いなども含まれる
  • 審査金利と適用金利の違いにより、実際の返済比率が想定より高くなる場合がある

金融機関の審査基準と理想的な返済比率

(1) 金融機関の審査基準(30~35%)

多くの金融機関では、返済比率30~35%を審査基準としています。これは、「借入可能な上限」を示す基準であり、実際に無理なく返済できる額とは別です。

金融機関の審査基準

金融機関 返済比率の基準
メガバンク 30~35%
地方銀行 30~35%
フラット35 年収400万円未満で30%以下、400万円以上で35%以下

(出典: 三井住友銀行みずほ銀行

ただし、審査基準を満たしているからといって、無理なく返済できるわけではありません。

(2) 理想的な返済比率(手取り収入の20~25%)

実際に無理なく返済できる返済比率は、手取り収入の20~25%が目安です。金融機関の審査基準(30~35%)は額面年収ベースですが、理想比率は手取り収入ベースで考える必要があります。

理想的な返済比率

  • 審査基準: 額面年収の30~35%(借入可能な上限)
  • 理想的な返済比率: 手取り収入の20~25%(無理なく返済できる目安)

(出典: 三井住友銀行

計算例

年収500万円の場合:

  • 手取り収入: 約400万円(額面の約8割)
  • 理想的な年間返済額: 80万~100万円(手取りの20~25%)
  • 月額返済額: 約6.7万~8.3万円

金融機関の審査基準(30%)では年間150万円(月額12.5万円)まで借入可能ですが、無理のない返済のためには手取りの20~25%に抑えることを推奨します。

(3) フラット35の返済比率基準

住宅金融支援機構のフラット35は、返済比率の基準を明確に公表しています。

フラット35の返済比率基準

年収 返済比率の基準
400万円未満 30%以下
400万円以上 35%以下

(出典: みずほ銀行

フラット35の基準は審査の上限を示すものであり、実際の家計状況に応じた余裕のある設定が重要です。

返済比率の計算方法と注意点

(1) 基本的な計算方法

返済比率は以下の式で計算します。

返済比率の計算式

返済比率(%)= 年間返済額 ÷ 年収 × 100

計算例

年収500万円、年間返済額100万円の場合:

返済比率 = 100万円 ÷ 500万円 × 100 = 20%

(出典: SUUMO

(2) 住宅ローン以外の借入の扱い

返済比率を計算する際は、住宅ローンだけでなく、すべての借入の返済額を合計する必要があります。

含めるべき借入

  • 自動車ローン
  • カードローン
  • クレジットカードのリボ払い・分割払い
  • 奨学金
  • 携帯電話の分割払い

(出典: 三井住友銀行

計算例

年収500万円、住宅ローン年間返済額90万円、自動車ローン年間返済額30万円の場合:

年間返済額合計 = 90万円 + 30万円 = 120万円
返済比率 = 120万円 ÷ 500万円 × 100 = 24%

既存借入がある場合、返済比率が高くなるため、申込前に完済または減額することを推奨します。

(3) 審査金利と適用金利の違い

金融機関が返済比率を計算する際に使用する「審査金利」は、実際の「適用金利」より高く設定されています。

審査金利と適用金利の違い

項目 内容
審査金利 返済比率を計算する際に使用する金利(実際より高め)
適用金利 実際にローンを組む際に適用される金利(審査金利より低い)

(出典: 三菱UFJ銀行

  • 適用金利: 年0.5%(実際の金利)
  • 審査金利: 年3.0%(審査時の計算に使用)

審査金利で計算すると、実際の返済額より高い金額で審査されるため、金利上昇リスクを考慮した審査が行われます。このため、実際の返済比率は想定より低くなる場合がありますが、将来的な金利上昇に備えて余裕を持った設定が重要です。

年収別の無理のない返済額シミュレーション

(1) 年収300万~500万円の場合

年収300万~500万円の場合、手取り収入の20~25%で計算すると、以下の返済額が目安となります。

年収別の無理のない返済額(手取りの20~25%)

年収 手取り収入(約8割) 理想的な年間返済額 月額返済額
300万円 240万円 48万~60万円 4万~5万円
400万円 320万円 64万~80万円 5.3万~6.7万円
500万円 400万円 80万~100万円 6.7万~8.3万円

(出典: SUUMO

年収400万円の具体例

  • 手取り収入: 約320万円
  • 理想的な月額返済額: 5.3万~6.7万円
  • 35年ローン、金利0.5%の場合の借入可能額: 約1,900万~2,400万円

(2) 年収600万~700万円の場合

年収600万~700万円の場合、手取り収入の20~25%で計算すると、以下の返済額が目安となります。

年収別の無理のない返済額(手取りの20~25%)

年収 手取り収入(約8割) 理想的な年間返済額 月額返済額
600万円 480万円 96万~120万円 8万~10万円
700万円 560万円 112万~140万円 9.3万~11.7万円

年収600万円の具体例

  • 手取り収入: 約480万円
  • 理想的な月額返済額: 8万~10万円
  • 35年ローン、金利0.5%の場合の借入可能額: 約2,900万~3,600万円

(3) 家族構成・生活費による調整

理想的な返済比率は、家族構成や生活費により調整が必要です。

家族構成別の調整

  • 単身・夫婦のみ: 手取りの25%まで可能
  • 子ども1~2人: 手取りの20~22%が目安
  • 子ども3人以上: 手取りの18~20%が目安

将来の支出増加を考慮

  • 子どもの教育費(大学進学で年間100万円以上)
  • 病気・介護費用
  • 収入減少(転職・退職等)

(出典: 三菱UFJ銀行

返済期間中(数十年)には想定外の支出が生じる可能性があるため、余裕を持った設定が重要です。

返済比率を適正に保つための対策

(1) 頭金を増やす

頭金を増やすことで、借入額を減らし、返済比率を下げることができます。

頭金の目安

  • 理想的な頭金: 物件価格の20%以上
  • 最低限の頭金: 物件価格の10%

物件価格3,000万円の場合:

  • 頭金20%(600万円)→ 借入額2,400万円
  • 頭金10%(300万円)→ 借入額2,700万円

頭金を増やすことで、月々の返済額が減り、返済比率を適正に保ちやすくなります。

(2) 返済期間を延長する

返済期間を延長することで、月々の返済額を減らし、返済比率を下げることができます。

返済期間別の月額返済額の違い

借入額3,000万円、金利0.5%の場合:

返済期間 月額返済額 総利息額
25年 約10.6万円 約192万円
30年 約9.0万円 約231万円
35年 約7.8万円 約270万円

ただし、返済期間を延ばすと総利息額が増えるため、無理のない範囲で短めに設定することを推奨します。

(3) 既存借入を削減する

自動車ローンやクレジットカードのリボ払いなどの既存借入を削減することで、返済比率を下げることができます。

削減の優先順位

  1. カードローン(金利が高く、返済比率への影響が大きい)
  2. 自動車ローン
  3. クレジットカードのリボ払い
  4. 携帯電話の分割払い

既存借入を完済または減額することで、住宅ローンの借入可能額が増え、返済比率を適正に保ちやすくなります。

まとめ:無理のない住宅ローン計画の立て方

住宅ローンの理想的な返済比率は、手取り収入の20~25%が目安です。金融機関の審査基準(30~35%)は借入可能な上限であり、実際に無理なく返済できる額とは別です。

返済比率には、住宅ローンだけでなく、自動車ローンやクレジットカードのリボ払いなどの既存借入も含まれます。審査金利と適用金利の違いにより、実際の返済比率が想定より高くなる場合があるため、余裕を持った設定が重要です。

年収別の無理のない返済額を参考に、家族構成や生活費、将来の支出増加を考慮した借入計画を立てましょう。返済比率を適正に保つためには、頭金を増やす、返済期間を調整する、既存借入を削減するなどの対策が有効です。

返済計画に不安がある場合は、ファイナンシャルプランナーや住宅ローンアドバイザーに相談しながら、無理のない住宅ローン計画を立てましょう。

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よくある質問

Q1住宅ローンの理想的な返済比率は何%ですか?

A1手取り収入ベースで20~25%が目安です。金融機関の審査基準(30~35%)は借入可能な上限であり、実際に無理なく返済できる額とは別です(三井住友銀行調べ)。年収500万円(手取り約400万円)の場合、理想的な年間返済額は80万~100万円(月額6.7万~8.3万円)となります。家族構成や将来の支出増加を考慮し、余裕を持った設定が重要です。

Q2返済比率の計算には年収のどの数字を使いますか?

A2金融機関の審査では額面年収(税込み)を使用します。ただし理想比率を考える際は、実際の手取り収入ベースで考えることが重要です。手取り収入は一般的に額面年収の約8割と計算されます。年収500万円の場合、手取り収入は約400万円となり、理想的な返済比率20~25%では年間80万~100万円の返済が目安となります。

Q3住宅ローン以外の借り入れも含めるのですか?

A3含めます。マイカーローン、クレジットカードのリボ払い、奨学金、携帯電話の分割払いなど、すべてのローン返済額を合計して計算する必要があります(三井住友銀行調べ)。既存借入がある場合、返済比率が高くなるため、申込前に完済または減額することを推奨します。カードローンは金利が高く返済比率への影響が大きいため、優先的に完済しましょう。

Q4フラット35の返済比率の基準は?

A4年収400万円未満で30%以下、年収400万円以上で35%以下が基準です(みずほ銀行調べ)。ただしフラット35の基準は審査の上限を示すものであり、実際の家計状況に応じた余裕のある設定が重要です。理想的には手取り収入の20~25%に抑えることで、無理のない返済が可能になります。

Q5審査金利と適用金利の違いは何ですか?

A5審査金利は返済比率を計算する際に使用する金利で、実際の適用金利より高く設定されています(三菱UFJ銀行調べ)。例えば適用金利が年0.5%でも、審査金利は年3.0%で計算されます。これにより金利上昇リスクを考慮した審査が行われます。実際の返済額は審査時より低くなる場合がありますが、将来的な金利上昇に備えて余裕を持った設定が重要です。

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Room Match編集部

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