住宅ローン金利シミュレーションの完全ガイド:変動・固定金利の比較と返済額計算のコツ

著者: Room Match編集部公開日: 2025/11/20

住宅ローン金利シミュレーションの重要性

「住宅ローンの金利タイプはどれを選べばよいのか」「月々の返済額はいくらになるのか」と悩んでいる方は少なくありません。借入額・返済期間・金利タイプによって、月々の返済額や総返済額が大きく変わるため、事前にシミュレーションで確認することが重要です。

この記事では、住宅ローン金利シミュレーションの基本的な使い方、変動金利と固定金利の比較、主要シミュレーター(SUUMO、auじぶん銀行、みずほ銀行等)の特徴を、住宅金融支援機構や主要銀行の公式情報を元に解説します。

初めて住宅ローンを組む方でも、自分に合った金利タイプと返済プランを選べるようになります。

この記事のポイント

  • 住宅ローンシミュレーションで購入可能額・月々返済額・総返済額を事前に把握できる
  • 2025年時点で変動金利は0.525%~0.960%、固定10年は1.90%~2.35%、フラット35は1.87%が相場
  • 変動金利が何%上昇したら固定金利と逆転するかを計算することで、金利上昇リスクを判断できる
  • 主要シミュレーターは機能が異なるため、複数を使い分けて比較することが推奨される
  • シミュレーション結果は参考値であり、実際の借入時は金融機関への確認が必須

住宅ローン金利シミュレーションの基本と使い方

(1) シミュレーションでわかること:購入可能額・月々返済額・総返済額

住宅ローンシミュレーションでは、以下の情報を試算できます。

  • 購入可能額: 年収・頭金から借入可能な金額
  • 月々の返済額: 借入額・金利・返済期間から算出される毎月の返済額
  • 総返済額: 元金+利息の合計額
  • 諸費用: 手数料・印紙税・保証料・登記費用等

これらを事前に把握することで、無理のない返済計画を立てられます。

(2) 入力項目の設定:借入額・返済期間・金利・頭金

住宅ローンシミュレーションでは、以下の項目を入力します。

入力項目 内容
借入額 物件価格から頭金を引いた金額
返済期間 一般的に20年~35年
金利タイプ 変動金利・固定金利(期間選択型)・全期間固定金利
頭金 一般的に物件価格の10〜20%

頭金を増やすと借入額が減り、月々の返済負担と総返済額が軽減されます。

(3) 元利均等返済と元金均等返済の違い

住宅ローンの返済方式には、元利均等返済と元金均等返済の2種類があります。

返済方式 特徴 メリット デメリット
元利均等返済 毎月の返済額(元金+利息)が一定 返済計画が立てやすい 総返済額が多い
元金均等返済 毎月の元金返済額が一定、利息は残高に応じて減少 総返済額が少ない 当初の返済額が高い

多くの金融機関では元利均等返済が一般的です。

(4) シミュレーション結果の見方:残高推移表の確認

残高推移表では、年齢ごとの借入金額残高を確認できます。

定年退職時の残高を確認することで、退職金での一括返済が可能かを判断できます。また、売却や借り換えを検討する際にも、残高推移表が参考になります。

変動金利vs固定金利:シミュレーションで比較する

(1) 2025年時点の金利相場:変動0.525%~0.960%、固定10年1.90%~2.35%、フラット35は1.87%

2025年時点の住宅ローン金利相場は以下の通りです。

金利タイプ 金利相場(2025年)
変動金利 0.525%~0.960%
固定10年 1.90%~2.35%
フラット35 1.87%~4.14%

(出典: HOME4U

2025年1月に日本銀行が0.25%の追加利上げを実施し、政策金利が0.5%程度に上昇しました。これにより、変動金利・固定金利ともに上昇傾向にあります。

(2) 3,000万円・4,000万円・5,000万円借入時の返済額比較

借入額別の月々返済額を比較します(返済期間35年、元利均等返済)。

3,000万円借入時

金利タイプ 金利 月々返済額
変動金利 0.6% 79,208円
固定10年 2.0% 99,378円
フラット35 1.87% 97,568円

4,000万円借入時

金利タイプ 金利 月々返済額
変動金利 0.6% 105,611円
固定10年 2.0% 132,505円
フラット35 1.87% 130,091円

5,000万円借入時

金利タイプ 金利 月々返済額
変動金利 0.6% 132,014円
固定10年 2.0% 165,631円
フラット35 1.87% 162,614円

変動金利は月々の返済額を抑えられますが、将来の金利上昇リスクがあります。

(3) 変動金利が何%上昇したら固定金利と逆転するか

変動金利が固定金利と逆転する上昇幅を計算します。

例えば、変動金利0.6%・固定金利2.0%の場合、変動金利が1.4%以上上昇すると固定金利の方が有利になります。

当初の金利差 変動金利が何%上昇で逆転
1.0% 1.0%以上
1.4% 1.4%以上
2.0% 2.0%以上

金利上昇リスクをどの程度許容できるかで、金利タイプを選択することが重要です。

(4) 金利タイプ別のメリット・デメリット

金利タイプ別のメリット・デメリットは以下の通りです。

金利タイプ メリット デメリット
変動金利 低金利、月々の返済額を抑えられる 金利上昇リスク、返済額が増える可能性
固定金利(期間選択型) 一定期間は返済額が確定 固定期間終了後は金利が変わる可能性
全期間固定金利(フラット35等) 借入から完済まで返済額が確定 金利が高い、総返済額が多い

収入の安定性、金利上昇への耐性、返済計画を踏まえて判断しましょう。

主要シミュレーターの特徴と使い分け

(1) 住宅金融支援機構:資金計画から将来のライフイベントまで試算可能、最大3つのプランを同時比較

住宅金融支援機構のシミュレーターは、資金計画から将来のライフイベントまで総合的に試算できます。

特徴:

  • 最大3つのプランを同時に試算し比較可能
  • 諸費用を含む総支払額までシミュレーション可能
  • 毎月の家計収支、将来のライフイベントまで試算可能

公的機関による信頼性の高いシミュレーションツールです。

(2) SUUMO:最新金利情報から購入可能額を試算、予算に合った物件検索に連携、11の金融機関の金利を比較

SUUMOのシミュレーターは、購入可能額の算出から物件検索まで連携できます。

特徴:

  • 最新金利情報から購入可能額と月々の支払額を試算
  • 予算に合った物件検索に直接つなげられる
  • 11の金融機関の金利を掲載し比較可能

物件探しと資金計画を同時に進めたい方に適しています。

(3) auじぶん銀行:金利引下げプログラムや団信プランの選択機能、結果の保存・印刷・ダウンロード可能

auじぶん銀行のシミュレーターは、金利引下げプログラムや団信プランの選択機能が充実しています。

特徴:

  • 金利引下げプログラムや団信プランの選択機能を搭載
  • シミュレーション結果を保存・印刷・ダウンロード可能
  • 3つの結果を保存・比較できる

団体信用生命保険(団信)とは、住宅ローン契約者が死亡または高度障害状態になった場合に、保険金でローンが完済される保険です。

(4) みずほ銀行:残高推移表で年齢ごとの借入金額残高を確認、繰上返済シミュレーション機能

みずほ銀行のシミュレーターは、残高推移表と繰上返済シミュレーションが充実しています。

特徴:

  • 残高推移表で年齢ごとの借入金額残高を確認できる
  • 一部繰上返済シミュレーション機能
  • 元利均等返済での月々返済額試算

繰上返済とは、毎月の返済とは別に、元金の一部または全部を前倒しで返済することです。利息軽減や返済期間短縮が可能です。

2025年の金利動向と金利上昇リスクへの対処法

(1) 日銀の政策金利引上げの影響:2025年1月に0.25%追加利上げ、政策金利0.5%程度に

2025年1月に日本銀行が0.25%の追加利上げを実施し、政策金利が0.5%程度に上昇しました。これにより、変動金利・固定金利ともに上昇傾向にあります。

今後も政策金利の動向次第で、住宅ローン金利が変動する可能性があります。

(2) 変動金利の金利上昇リスク:5年ルール・125%ルールの仕組み

変動金利には、金利上昇時の急激な返済額増加を防ぐ仕組みがあります。

  • 5年ルール: 金利が変動しても、5年間は返済額が変わらない
  • 125%ルール: 返済額が増える場合でも、前回の125%までに制限される

ただし、金利上昇分は元金返済に回らず、元金が減らないリスクがあります。

(3) 繰上返済の活用:利息軽減と返済期間短縮の効果

繰上返済を活用することで、利息軽減や返済期間短縮が可能です。

例えば、3,000万円を金利1.0%・35年で借りた場合、5年後に100万円を繰上返済すると、約40万円の利息を軽減できます。

繰上返済には手数料がかかる場合があるため、金融機関に確認することをおすすめします。

(4) 借り換えのタイミング:金利差1%以上、残高1,000万円以上、残期間10年以上が目安

住宅ローンの借り換えは、以下の条件を満たす場合にメリットがあります。

条件 目安
金利差 1%以上
残高 1,000万円以上
残期間 10年以上

借り換えには諸費用(手数料、印紙税、保証料等)がかかるため、総支払額を比較してメリットを確認しましょう。

まとめ:シミュレーション結果を踏まえた次のアクション

住宅ローン金利シミュレーションを活用することで、購入可能額・月々返済額・総返済額を事前に把握できます。2025年時点で変動金利は0.525%~0.960%、固定10年は1.90%~2.35%、フラット35は1.87%が相場です。

変動金利が何%上昇したら固定金利と逆転するかを計算することで、金利上昇リスクを判断できます。主要シミュレーター(住宅金融支援機構、SUUMO、auじぶん銀行、みずほ銀行等)は機能が異なるため、複数を使い分けて比較することが推奨されます。

シミュレーション結果は参考値であり、実際の借入時は金融機関への確認が必須です。信頼できる金融機関やファイナンシャルプランナーに相談しながら、無理のない返済計画を立てましょう。

よくある質問

Q1変動金利と固定金利のどちらを選べばよいですか?

A1変動金利は低金利(2025年時点で0.525%~0.960%)ですが、将来の金利上昇リスクがあります。固定金利は金利が高い(固定10年1.90%~2.35%)ですが、返済額が確定します。収入の安定性、金利上昇への耐性、返済計画を踏まえて判断しましょう。金利上昇リスクを許容できる場合は変動金利、返済額を確定させたい場合は固定金利が適しています。

Q2シミュレーション結果と実際の審査結果は異なりますか?

A2はい、異なる場合があります。シミュレーション結果は参考金利であり、実際の借入金利とは異なる場合があります。また、諸費用(手数料、印紙税、保証料等)が別途かかるため、総支払額を確認する必要があります。実際の借入時は金融機関への確認が必須です。

Q3変動金利は何%上昇まで耐えられますか?

A3変動金利が固定金利と逆転する上昇幅を計算する必要があります。例えば変動0.6%・固定2.0%なら、1.4%以上上昇すると固定の方が有利になります。5年ルール・125%ルールで急激な返済額増加は防げますが、金利上昇分は元金返済に回らず、元金が減らないリスクもあります。金融機関やファイナンシャルプランナーに相談することを推奨します。

Q4複数のシミュレーターを使うメリットは何ですか?

A4各シミュレーターで機能が異なります。住宅金融支援機構は総合的な資金計画、SUUMOは物件検索連携、auじぶん銀行は団信プラン選択、みずほ銀行は繰上返済試算に強みがあります。複数使って条件を比較することで、自分に合った返済プランを見つけやすくなります。

Q5頭金はいくら用意すればよいですか?

A5一般的に物件価格の10〜20%が目安です。頭金を増やすと借入額が減り、月々の返済負担と総返済額が軽減されます。シミュレーターで頭金の額を変えて試算し、無理のない範囲で設定することが重要です。ただし、手元資金をすべて頭金に回すと、諸費用や引越し費用が不足する可能性があるため、バランスを考えましょう。

R

Room Match編集部

Room Matchは、不動産の購入・売却・賃貸に関する実践的な情報を提供するメディアです。住宅ローン、物件選び、不動産会社の選び方など、実務担当者に役立つ情報を分かりやすく解説しています。

関連記事