住宅ローン金利シミュレーションの重要性
「住宅ローンの金利タイプはどれを選べばよいのか」「月々の返済額はいくらになるのか」と悩んでいる方は少なくありません。借入額・返済期間・金利タイプによって、月々の返済額や総返済額が大きく変わるため、事前にシミュレーションで確認することが重要です。
この記事では、住宅ローン金利シミュレーションの基本的な使い方、変動金利と固定金利の比較、主要シミュレーター(SUUMO、auじぶん銀行、みずほ銀行等)の特徴を、住宅金融支援機構や主要銀行の公式情報を元に解説します。
初めて住宅ローンを組む方でも、自分に合った金利タイプと返済プランを選べるようになります。
この記事のポイント
- 住宅ローンシミュレーションで購入可能額・月々返済額・総返済額を事前に把握できる
- 2025年時点で変動金利は0.525%~0.960%、固定10年は1.90%~2.35%、フラット35は1.87%が相場
- 変動金利が何%上昇したら固定金利と逆転するかを計算することで、金利上昇リスクを判断できる
- 主要シミュレーターは機能が異なるため、複数を使い分けて比較することが推奨される
- シミュレーション結果は参考値であり、実際の借入時は金融機関への確認が必須
住宅ローン金利シミュレーションの基本と使い方
(1) シミュレーションでわかること:購入可能額・月々返済額・総返済額
住宅ローンシミュレーションでは、以下の情報を試算できます。
- 購入可能額: 年収・頭金から借入可能な金額
- 月々の返済額: 借入額・金利・返済期間から算出される毎月の返済額
- 総返済額: 元金+利息の合計額
- 諸費用: 手数料・印紙税・保証料・登記費用等
これらを事前に把握することで、無理のない返済計画を立てられます。
(2) 入力項目の設定:借入額・返済期間・金利・頭金
住宅ローンシミュレーションでは、以下の項目を入力します。
| 入力項目 | 内容 |
|---|---|
| 借入額 | 物件価格から頭金を引いた金額 |
| 返済期間 | 一般的に20年~35年 |
| 金利タイプ | 変動金利・固定金利(期間選択型)・全期間固定金利 |
| 頭金 | 一般的に物件価格の10〜20% |
頭金を増やすと借入額が減り、月々の返済負担と総返済額が軽減されます。
(3) 元利均等返済と元金均等返済の違い
住宅ローンの返済方式には、元利均等返済と元金均等返済の2種類があります。
| 返済方式 | 特徴 | メリット | デメリット |
|---|---|---|---|
| 元利均等返済 | 毎月の返済額(元金+利息)が一定 | 返済計画が立てやすい | 総返済額が多い |
| 元金均等返済 | 毎月の元金返済額が一定、利息は残高に応じて減少 | 総返済額が少ない | 当初の返済額が高い |
多くの金融機関では元利均等返済が一般的です。
(4) シミュレーション結果の見方:残高推移表の確認
残高推移表では、年齢ごとの借入金額残高を確認できます。
定年退職時の残高を確認することで、退職金での一括返済が可能かを判断できます。また、売却や借り換えを検討する際にも、残高推移表が参考になります。
変動金利vs固定金利:シミュレーションで比較する
(1) 2025年時点の金利相場:変動0.525%~0.960%、固定10年1.90%~2.35%、フラット35は1.87%
2025年時点の住宅ローン金利相場は以下の通りです。
| 金利タイプ | 金利相場(2025年) |
|---|---|
| 変動金利 | 0.525%~0.960% |
| 固定10年 | 1.90%~2.35% |
| フラット35 | 1.87%~4.14% |
(出典: HOME4U)
2025年1月に日本銀行が0.25%の追加利上げを実施し、政策金利が0.5%程度に上昇しました。これにより、変動金利・固定金利ともに上昇傾向にあります。
(2) 3,000万円・4,000万円・5,000万円借入時の返済額比較
借入額別の月々返済額を比較します(返済期間35年、元利均等返済)。
3,000万円借入時
| 金利タイプ | 金利 | 月々返済額 |
|---|---|---|
| 変動金利 | 0.6% | 79,208円 |
| 固定10年 | 2.0% | 99,378円 |
| フラット35 | 1.87% | 97,568円 |
4,000万円借入時
| 金利タイプ | 金利 | 月々返済額 |
|---|---|---|
| 変動金利 | 0.6% | 105,611円 |
| 固定10年 | 2.0% | 132,505円 |
| フラット35 | 1.87% | 130,091円 |
5,000万円借入時
| 金利タイプ | 金利 | 月々返済額 |
|---|---|---|
| 変動金利 | 0.6% | 132,014円 |
| 固定10年 | 2.0% | 165,631円 |
| フラット35 | 1.87% | 162,614円 |
変動金利は月々の返済額を抑えられますが、将来の金利上昇リスクがあります。
(3) 変動金利が何%上昇したら固定金利と逆転するか
変動金利が固定金利と逆転する上昇幅を計算します。
例えば、変動金利0.6%・固定金利2.0%の場合、変動金利が1.4%以上上昇すると固定金利の方が有利になります。
| 当初の金利差 | 変動金利が何%上昇で逆転 |
|---|---|
| 1.0% | 1.0%以上 |
| 1.4% | 1.4%以上 |
| 2.0% | 2.0%以上 |
金利上昇リスクをどの程度許容できるかで、金利タイプを選択することが重要です。
(4) 金利タイプ別のメリット・デメリット
金利タイプ別のメリット・デメリットは以下の通りです。
| 金利タイプ | メリット | デメリット |
|---|---|---|
| 変動金利 | 低金利、月々の返済額を抑えられる | 金利上昇リスク、返済額が増える可能性 |
| 固定金利(期間選択型) | 一定期間は返済額が確定 | 固定期間終了後は金利が変わる可能性 |
| 全期間固定金利(フラット35等) | 借入から完済まで返済額が確定 | 金利が高い、総返済額が多い |
収入の安定性、金利上昇への耐性、返済計画を踏まえて判断しましょう。
主要シミュレーターの特徴と使い分け
(1) 住宅金融支援機構:資金計画から将来のライフイベントまで試算可能、最大3つのプランを同時比較
住宅金融支援機構のシミュレーターは、資金計画から将来のライフイベントまで総合的に試算できます。
特徴:
- 最大3つのプランを同時に試算し比較可能
- 諸費用を含む総支払額までシミュレーション可能
- 毎月の家計収支、将来のライフイベントまで試算可能
公的機関による信頼性の高いシミュレーションツールです。
(2) SUUMO:最新金利情報から購入可能額を試算、予算に合った物件検索に連携、11の金融機関の金利を比較
SUUMOのシミュレーターは、購入可能額の算出から物件検索まで連携できます。
特徴:
- 最新金利情報から購入可能額と月々の支払額を試算
- 予算に合った物件検索に直接つなげられる
- 11の金融機関の金利を掲載し比較可能
物件探しと資金計画を同時に進めたい方に適しています。
(3) auじぶん銀行:金利引下げプログラムや団信プランの選択機能、結果の保存・印刷・ダウンロード可能
auじぶん銀行のシミュレーターは、金利引下げプログラムや団信プランの選択機能が充実しています。
特徴:
- 金利引下げプログラムや団信プランの選択機能を搭載
- シミュレーション結果を保存・印刷・ダウンロード可能
- 3つの結果を保存・比較できる
団体信用生命保険(団信)とは、住宅ローン契約者が死亡または高度障害状態になった場合に、保険金でローンが完済される保険です。
(4) みずほ銀行:残高推移表で年齢ごとの借入金額残高を確認、繰上返済シミュレーション機能
みずほ銀行のシミュレーターは、残高推移表と繰上返済シミュレーションが充実しています。
特徴:
- 残高推移表で年齢ごとの借入金額残高を確認できる
- 一部繰上返済シミュレーション機能
- 元利均等返済での月々返済額試算
繰上返済とは、毎月の返済とは別に、元金の一部または全部を前倒しで返済することです。利息軽減や返済期間短縮が可能です。
2025年の金利動向と金利上昇リスクへの対処法
(1) 日銀の政策金利引上げの影響:2025年1月に0.25%追加利上げ、政策金利0.5%程度に
2025年1月に日本銀行が0.25%の追加利上げを実施し、政策金利が0.5%程度に上昇しました。これにより、変動金利・固定金利ともに上昇傾向にあります。
今後も政策金利の動向次第で、住宅ローン金利が変動する可能性があります。
(2) 変動金利の金利上昇リスク:5年ルール・125%ルールの仕組み
変動金利には、金利上昇時の急激な返済額増加を防ぐ仕組みがあります。
- 5年ルール: 金利が変動しても、5年間は返済額が変わらない
- 125%ルール: 返済額が増える場合でも、前回の125%までに制限される
ただし、金利上昇分は元金返済に回らず、元金が減らないリスクがあります。
(3) 繰上返済の活用:利息軽減と返済期間短縮の効果
繰上返済を活用することで、利息軽減や返済期間短縮が可能です。
例えば、3,000万円を金利1.0%・35年で借りた場合、5年後に100万円を繰上返済すると、約40万円の利息を軽減できます。
繰上返済には手数料がかかる場合があるため、金融機関に確認することをおすすめします。
(4) 借り換えのタイミング:金利差1%以上、残高1,000万円以上、残期間10年以上が目安
住宅ローンの借り換えは、以下の条件を満たす場合にメリットがあります。
| 条件 | 目安 |
|---|---|
| 金利差 | 1%以上 |
| 残高 | 1,000万円以上 |
| 残期間 | 10年以上 |
借り換えには諸費用(手数料、印紙税、保証料等)がかかるため、総支払額を比較してメリットを確認しましょう。
まとめ:シミュレーション結果を踏まえた次のアクション
住宅ローン金利シミュレーションを活用することで、購入可能額・月々返済額・総返済額を事前に把握できます。2025年時点で変動金利は0.525%~0.960%、固定10年は1.90%~2.35%、フラット35は1.87%が相場です。
変動金利が何%上昇したら固定金利と逆転するかを計算することで、金利上昇リスクを判断できます。主要シミュレーター(住宅金融支援機構、SUUMO、auじぶん銀行、みずほ銀行等)は機能が異なるため、複数を使い分けて比較することが推奨されます。
シミュレーション結果は参考値であり、実際の借入時は金融機関への確認が必須です。信頼できる金融機関やファイナンシャルプランナーに相談しながら、無理のない返済計画を立てましょう。
