住宅ローンの諸費用を理解する重要性
住宅購入を検討している方は、「諸費用はいくらかかるのか」「現金で用意できない場合はどうすればいいのか」「諸費用を住宅ローンに組み込めるのか」といった疑問をお持ちではないでしょうか。
この記事では、住宅ローンの諸費用の内訳、組み込み方法、メリット・デメリット、節約術を、金融機関の公式情報を元に解説します。
初めて住宅を購入する方でも、諸費用を含めた資金計画を正確に立てられるようになります。
この記事のポイント
- 住宅ローンの諸費用は新築で物件価格の3〜7%、中古で6〜10%が相場(3,000万円なら約90〜300万円)
- 主要項目は保証料・融資手数料・印紙税・登記費用・火災保険
- 諸費用は住宅ローンに組み込める金融機関が多い(特にネット銀行)
- 諸費用込みローンは初期資金を抑えられるが、借入額増加で総返済額も増える
- 保証料不要ローン、火災保険の複数社比較等で諸費用を抑えられる
住宅ローン諸費用の内訳と目安
(1) 諸費用の主要項目(保証料・融資手数料・印紙税・登記費用)
住宅ローン契約時には、以下の諸費用がかかります。
主要な諸費用の内訳:
| 項目 | 金額の目安 | 備考 |
|---|---|---|
| 保証料 | 1,000万円あたり約20万円(35年返済) | 金融機関により異なる、不要のローンもあり |
| 融資手数料 | 定額型: 3〜5万円、定率型: 借入額の2.2% | 金融機関により選択可能 |
| 印紙税 | 2万円(借入額1,000万円超5,000万円以下) | 電子契約で不要の場合あり |
| 登記費用 | 10〜30万円 | 登録免許税と司法書士報酬 |
| 火災保険 | 15〜50万円 | 補償内容により変動 |
保証料が諸費用の中で最大の割合を占めることが多いです。
(2) 新築と中古の諸費用の違い(3〜7% vs 6〜10%)
新築物件と中古物件では、諸費用の割合が異なります。
新築物件の諸費用:
- 物件価格の3〜7%が相場
- 仲介手数料が不要(売主から直接購入の場合)
中古物件の諸費用:
- 物件価格の6〜10%が相場
- 仲介手数料(物件価格の3%+6万円+消費税)が必要
中古物件は仲介手数料が加わるため、諸費用が高くなる傾向があります。
(3) 3,000万円の物件での諸費用試算例
3,000万円の物件を購入する場合の諸費用を試算します。
新築物件の場合(3〜7%):
- 諸費用総額: 約90万円〜210万円
中古物件の場合(6〜10%):
- 諸費用総額: 約180万円〜300万円
余裕を持った資金計画のため、新築なら7%、中古なら10%で見積もることが推奨されます。
諸費用を住宅ローンに組み込む方法
(1) 諸費用込みローンの仕組み
諸費用を住宅ローンに組み込めるかは、金融機関により異なります。
諸費用込みローンの仕組み:
- 物件価格 + 諸費用を合算して借り入れ
- ネット銀行(PayPay銀行、auじぶん銀行等)は組み込み可能なところが多い
- メガバンクでも組み込み可能な商品がある
組み込める上限額は金融機関により異なるため、事前確認が必要です。
(2) 組み込める費用と組み込めない費用
すべての諸費用を組み込めるわけではありません。
一般的に組み込める費用:
- 保証料
- 融資手数料
- 登記費用
- 火災保険
一般的に組み込めない費用:
- 仲介手数料(一部金融機関では可能)
- 引越し費用
- 家具・家電購入費
金融機関により異なるため、詳細は各金融機関にご確認ください。
(3) 諸費用ローン vs 住宅ローンへの組み込み
諸費用を借り入れる方法は2つあります。
諸費用ローン:
- 諸費用のみを対象としたローン
- 住宅ローンより金利が高めのことが多い
- 審査基準が緩やかな場合がある
住宅ローンへの組み込み:
- 住宅ローンと同じ金利で借り入れ可能
- 諸費用ローンより有利な場合が多い
- 借入額の上限に注意
金利面では、住宅ローンへの組み込みが有利な場合が多いです。
諸費用込みローンのメリット・デメリット
(1) メリット(初期資金を抑えられる)
諸費用を住宅ローンに組み込むメリットは、初期資金を抑えられることです。
メリット:
- 頭金以外の現金が不要
- 手元資金を温存できる
- 急な出費にも対応可能
頭金が少ない方や、手元資金を残しておきたい方に適しています。
(2) デメリット(借入額増加・総返済額増加)
一方、借入額が増えることによるデメリットもあります。
デメリット:
- 借入額が増え、月々の返済額が上昇
- 総返済額が増加(利息負担が増える)
- 住宅ローン審査が厳しくなる可能性
試算例(3,000万円の物件、諸費用200万円の場合):
- 借入額3,000万円: 月々約9万円(金利1.0%、35年返済)
- 借入額3,200万円: 月々約9.6万円(+6,000円/月)
- 総返済額の差: 約250万円
諸費用200万円を組み込むと、総返済額が約250万円増える計算です。
(3) 諸費用が払えない時の対処法
諸費用の現金が用意できない場合、以下の対処法があります。
対処法:
- 住宅ローンに組み込む(最も一般的)
- 諸費用ローンを利用(金利が高め)
- つなぎ融資を利用(一時的な資金手当)
- 予算を見直し、物件価格を下げる
それぞれのメリット・デメリットを比較し、ご自身の状況に合った方法を選択しましょう。
諸費用を抑える節約術と金融機関比較
(1) 保証料不要のローンを選ぶ
保証料は諸費用の中で最大の割合を占めるため、保証料不要のローンを選ぶと大幅に節約できます。
保証料不要のローンの例:
- フラット35: 保証料不要、融資手数料のみ
- ネット銀行: 保証料不要が多い
3,000万円の借り入れで、保証料が約60万円かかる場合、これを節約できます。
(2) 火災保険の複数社比較
火災保険は複数社で見積もり比較することで、15〜50万円の範囲で節約できる可能性があります。
火災保険の比較ポイント:
- 補償内容(火災、水災、地震等)
- 保険期間(1年、5年、10年等)
- 特約の有無
金融機関指定の保険と他社の保険を比較し、最適なものを選びましょう。
(3) ネット銀行と従来銀行の諸費用比較
ネット銀行は諸費用が安い傾向があります。
ネット銀行の特徴:
- 保証料不要が多い
- 融資手数料は定率型(借入額の2.2%等)が多い
- 対面相談がない
従来銀行の特徴:
- 保証料が必要な場合が多い
- 融資手数料は定額型(3〜5万円)が多い
- 対面相談が充実
借入額が小さい場合は従来銀行、大きい場合はネット銀行が有利な場合があります。
まとめ:諸費用を含めた最適な資金計画の立て方
住宅ローンの諸費用は、新築で物件価格の3〜7%、中古で6〜10%が相場です。3,000万円の物件なら約90〜300万円を見込む必要があります。
諸費用は住宅ローンに組み込める金融機関が多く、初期資金を抑えられますが、借入額増加により総返済額も増える点に注意が必要です。保証料不要のローン、火災保険の複数社比較等で諸費用を抑えることも可能です。
諸費用を含めた資金計画を立てる際は、総返済額のシミュレーションを行い、ファイナンシャルプランナーや金融機関に相談しながら、ご自身に最適な方法を選択しましょう。
