住宅ローン残高証明書はなぜ必要なのか
住宅ローンを利用している方にとって、年末調整や確定申告で住宅ローン控除を受けるために、住宅ローン残高証明書が必要です。「いつ届くのか」「届かない場合はどうすればよいか」と不安に感じる方は少なくありません。
この記事では、住宅ローン残高証明書の役割、発行時期(初年度と2年目以降)、届かない場合の対処法、再発行手続きを、金融機関の公式情報を元に解説します。残高証明書の発行時期を把握し、早めの手続きで住宅ローン控除をスムーズに受けられるようになります。
この記事のポイント
- 初年度は翌年1月下旬に発送(確定申告向け)、2年目以降は10月中旬〜下旬に発送(年末調整向け)
- 金融機関により発送時期が異なるため、11月初旬まで届かない場合は金融機関に確認
- 届かない場合は住所変更未届・紛失の可能性、金融機関の住宅ローン窓口に問い合わせ
- 再発行は電話またはインターネットで依頼可能、数日〜1週間程度で発送
- 2024年以降は調書方式対応の金融機関では証明書添付が不要になる場合あり
住宅ローン残高証明書とは?役割と記載内容
(1) 住宅ローン控除に必要な書類
住宅ローン残高証明書とは、年末時点の住宅ローン残高を証明する書類です。住宅ローン控除(住宅借入金等特別控除)の申請に必要な書類で、金融機関が発行します。
住宅ローン控除とは、住宅ローンを利用して住宅を取得した場合、年末残高の0.7%を所得税から控除できる制度です(国税庁)。最長13年間適用され、税負担を大幅に軽減できます。
(2) 証明書に記載される内容(年末残高等)
住宅ローン残高証明書には、以下の内容が記載されます。
- 借入者の氏名・住所
- 金融機関名・支店名
- 年末時点のローン残高
- 住宅取得対価の額
- 連帯債務者の氏名(該当する場合)
これらの情報を元に、年末調整または確定申告で住宅ローン控除を申請します。
(3) 2024年以降の調書方式とは
国税庁によると、2024年以降、金融機関が税務署に直接残高データを送る「調書方式」が導入されています。
調書方式対応の金融機関では、証明書の添付が不要になる場合があります。ただし、申請書を提出していない場合は従来通り証明書が必要です。対応状況は金融機関により異なるため、確認しましょう。
住宅ローン残高証明書の発行時期(初年度と2年目以降)
(1) 初年度:翌年1月下旬に発送(確定申告向け)
三菱UFJ銀行によると、住宅ローンを借り入れた初年度は、翌年1月下旬に発送されます。
例えば、2024年12月に住宅ローンを借り入れた場合、2025年1月下旬に残高証明書が届きます。これは、確定申告の時期(2月〜3月)に間に合うよう発送されます。
住宅ローン控除の初年度は、確定申告が必須です。2月〜3月の確定申告時期に残高証明書を提出します。
(2) 2年目以降:10月中旬〜下旬に発送(年末調整向け)
2年目以降は、10月中旬〜下旬に発送されます。これは、年末調整(11月〜12月)に使用できるタイミングです。
会社員の場合、2年目以降は年末調整で住宅ローン控除を申請できます。10月中旬〜下旬に届く残高証明書と、税務署から送られる「年末調整のための(特定増改築等)住宅借入金等特別控除証明書」を会社に提出します。
(3) 金融機関別の発送時期の違い
金融機関により発送時期が異なります。以下は主要金融機関の例です。
| 金融機関 | 発送時期 |
|---|---|
| 三菱UFJ銀行 | 10月下旬 |
| 住信SBIネット銀行 | 10月中旬 |
| フラット35(住宅金融支援機構) | 10月中旬 |
※執筆時点の情報です。最新の発送時期は各金融機関の公式サイトでご確認ください。
11月初旬まで届かない場合は、金融機関の住宅ローン窓口に問い合わせましょう。
残高証明書が届かない場合の原因と対処法
(1) 住所変更が届いていない
残高証明書が届かない原因の一つは、住所変更が金融機関に届いていない場合です。
引っ越しをした場合、金融機関に住所変更を届け出る必要があります。届け出を忘れると、旧住所に発送され、受け取れません。金融機関のマイページまたは窓口で住所変更手続きを行いましょう。
(2) 紛失・処分してしまった
残高証明書が届いたが、紛失または処分してしまった場合もあります。
証明書は通常の郵便で届くため、他の郵便物と一緒に処分してしまうケースがあります。毎年10月中旬〜下旬には金融機関からの郵便物に注意しましょう。
(3) 金融機関への問い合わせ方法
届かない場合、または紛失した場合は、金融機関の住宅ローン窓口に問い合わせます。
- 電話: 金融機関の専用フリーダイヤル(各金融機関の公式サイトに記載)
- インターネット: マイページから再発行依頼
- 窓口: 最寄りの支店で直接相談
問い合わせ時には、住宅ローンの契約番号、氏名、生年月日などが必要です。
残高証明書の再発行手続きと電子交付
(1) 電話・インターネットでの再発行手続き
三菱UFJ銀行によると、再発行は電話またはインターネットで依頼できます。
- 電話: 専用フリーダイヤルで再発行依頼
- インターネット: マイページから再発行依頼(一部金融機関のみ対応)
再発行の手続きは簡単で、数分で完了します。
(2) 再発行にかかる期間と手数料
住宅金融支援機構によると、再発行には数日〜1週間程度かかります。
手数料は金融機関により異なります。無料の場合もあれば、有料(数百円程度)の場合もあります。再発行依頼時に確認しましょう。
年末調整や確定申告の期限に間に合うよう、早めの手続きを推奨します。
(3) 電子交付サービスの普及状況
一部の金融機関では、電子交付サービスを提供しています。
マイページからPDFでダウンロードでき、紛失リスクを避けられます。また、郵送を待たずにすぐに入手できるメリットがあります。
住信SBIネット銀行などでは、マイページで電子交付に対応しています。電子交付対応の金融機関を利用している場合は、活用しましょう。
まとめ:早めの手続きと住宅ローン控除の期限
住宅ローン残高証明書は、初年度は翌年1月下旬に発送(確定申告向け)、2年目以降は10月中旬〜下旬に発送(年末調整向け)されます。金融機関により発送時期が異なるため、11月初旬まで届かない場合は金融機関に確認しましょう。
届かない場合は、住所変更未届または紛失の可能性があります。金融機関の住宅ローン窓口に問い合わせ、再発行を依頼しましょう。再発行は電話またはインターネットで依頼でき、数日〜1週間程度で発送されます。
2024年以降は、調書方式対応の金融機関では証明書添付が不要になる場合があります。対応状況は金融機関により異なるため、確認しましょう。
年末調整(11月〜12月)または確定申告(2月〜3月)の期限に間に合うよう、早めの手続きを心がけましょう。住宅ローン控除は最長13年間適用され、大きな節税効果があるため、確実に申請しましょう。
