マンションでネットが繋がらない時の状況と本記事の目的
マンションで突然インターネットが繋がらなくなると、「管理会社に連絡すべきか」「自分で対処すべきか」「原因は何なのか」と不安になる方は少なくありません。
この記事では、マンションのインターネット接続トラブルの原因の切り分け方、自分で確認すべきこと、管理会社への連絡手順、プロバイダへの連絡方法を解説します。業界情報や技術資料(2025年時点)を参照し、実践的な対処法を提供します。
マンションでインターネットが繋がらない時の対処方法を知りたい方は、ぜひ参考にしてください。
この記事のポイント
- マンションのインターネットは個別契約と全戸一括型で対応先が異なる(管理会社 vs プロバイダ)
- 自分で確認すべきことは、ルーター再起動、二重ルーター解消、Wi-Fi周波数帯の切り替え
- 隣人も繋がらない場合は共用設備のトラブルの可能性が高く、管理会社に連絡する
- 無料インターネット物件では夕方〜夜に速度低下が起きやすい
原因の切り分け方(個別契約 vs 共有回線・管理会社とプロバイダの役割分担)
マンションのインターネット接続トラブルは、原因によって対応先が異なります。まずは原因を切り分けましょう。
マンションのインターネット設備の種類(VDSL・光配線・LAN配線)
マンションのインターネット設備には、主に以下の3種類があります。
| 設備方式 | 仕組み | 最大速度 | 特徴 |
|---|---|---|---|
| VDSL方式 | 共用部まで光回線、各戸まで電話線 | 100Mbps程度 | 築古物件に多い、速度は遅め |
| 光配線方式 | 各戸まで光ファイバー直接引き込み | 1-10Gbps | 高速、築浅物件に多い |
| LAN配線方式 | 各戸までLANケーブル配線 | 100Mbps-1Gbps | 中間的な速度 |
VDSL方式は電話線を使用するため、光配線方式の1/10以下の速度しか出ない場合があります。設備方式により対処方法が異なるため、賃貸契約書や管理会社に確認しましょう。
個別契約と全戸一括型の違い
マンションのインターネット契約形態には、主に2種類があります。
個別契約:
- 自分でプロバイダと契約し、月額料金を支払う
- 光回線事業者やプロバイダに直接連絡する
- 回線品質を自分でコントロールできる
全戸一括型(無料インターネット物件):
- 建物全体で一括契約し、全入居者が無料または定額で利用
- 管理会社に連絡する(共用設備のトラブルとして扱う)
- 夕方〜夜に複数の入居者が同時利用すると速度低下しやすい
どちらの契約形態かで連絡先が異なるため、まず賃貸契約書を確認してください。
共用部分と専有部分の管轄区分
マンションの設備は共用部分と専有部分に分かれます。
共用部分(管理会社の管轄):
- マンション全体のインターネット設備(VDSL装置、光回線の共用部分等)
- 共用部に設置されたルーター・モデム
- 建物全体の配線
専有部分(居住者の管轄):
- 自室内のルーター、モデム(個別契約の場合)
- 自室内のLANケーブル、Wi-Fi環境
共用部分のトラブルは管理会社、専有部分のトラブルは自己責任または個別契約のプロバイダに連絡します。
管理会社とプロバイダの役割分担
連絡先の役割分担は以下の通りです。
| 状況 | 連絡先 | 対応内容 |
|---|---|---|
| 全戸一括型で建物全体が繋がらない | 管理会社 | 共用設備の修理・復旧 |
| 全戸一括型で自室のみ繋がらない | まず管理会社に相談 | 原因の切り分け |
| 個別契約で繋がらない | プロバイダ・光回線事業者 | 回線トラブルの対応 |
| 光回線を新規契約したい | 管理会社(許可取得)+ プロバイダ | 工事許可と契約手続き |
まず自分の契約形態を確認し、適切な連絡先を選びましょう。
自分で確認すべきこと(ルーター再起動・二重ルーター・周波数帯)
管理会社やプロバイダに連絡する前に、自分で確認できることを試してみましょう。
ルーターとモデムの再起動手順
最も簡単で効果的な対処法は、ルーターとモデムの再起動です。
再起動手順:
- デバイス(PC、スマホ等)の電源を切る
- ルーターの電源を切る
- モデムの電源を切る
- 10秒待つ
- モデム→ルーターの順で電源を入れ直す
- デバイスの電源を入れ、接続を確認
この手順で解決する場合が多いため、まず試してみてください。
二重ルーター状態の確認と解消(ブリッジモード・APモード)
無料インターネット物件では、共用部にルーターがあり、自室にも自分のルーターがある場合、「二重ルーター状態」になっている可能性があります。
二重ルーター状態とは:
- ルーターが2台直列に接続された状態
- 通信速度の低下やネットワーク接続の不安定化を引き起こす
解消方法: 自室のルーターを「ブリッジモード」または「APモード」(アクセスポイントモード)に切り替えます。設定方法はルーターの取扱説明書を参照してください。
この設定により、ルーターのルーティング機能を無効化し、無線アクセスポイントとしてのみ機能させることができます。
Wi-Fi周波数帯の切り替え(5GHz/2.4GHz)
マンションでは複数のWi-Fiルーターが飛び交うため、周波数帯による干渉が起きる場合があります。
| 周波数帯 | 特徴 | メリット | デメリット |
|---|---|---|---|
| 5GHz帯 | 干渉に強い、高速 | マンションで安定しやすい | 障害物に弱い |
| 2.4GHz帯 | 障害物に強い | 広範囲をカバー | 干渉されやすい |
5GHz帯は2.4GHz帯より干渉に強く安定しているため、マンションでは5GHz帯への切り替えを試してみてください。
隣人も繋がらないかの確認
可能であれば、隣人や同じ建物の住人に「インターネットが繋がるか」を確認しましょう。
- 複数の住人が繋がらない場合: 共用設備のトラブルの可能性が高い→管理会社に連絡
- 自室のみ繋がらない場合: 専有部分の問題の可能性が高い→自分で対処またはプロバイダに連絡
この確認により、原因の切り分けがしやすくなります。
管理会社への連絡手順(連絡すべきタイミング・伝えるべき情報)
管理会社に連絡する場合の手順を確認しましょう。
管理会社に連絡すべきケース(共有回線・設備トラブル)
以下の場合は管理会社に連絡します。
- 全戸一括型のインターネット物件で、自分で対処しても解決しない
- 隣人も繋がらず、共用設備のトラブルの可能性が高い
- マンション全体のインターネット設備に関する問い合わせ
- 光回線の個別契約を検討しており、工事許可が必要
管理会社を通さずに自分で業者を呼んで修理すると、費用を自己負担することになる可能性があります。まずは管理会社に連絡しましょう。
伝えるべき情報(機器メーカー・型番・症状・発生時期)
管理会社に連絡する際は、以下の情報を明確に伝えます。
必須情報:
- 機器のメーカー・型番: ルーター、モデムの製品名(本体に記載)
- 症状: いつから繋がらないか、どんな状況で起きるか
- 発生時期: 突然か、徐々にか
- 隣人の状況: 隣人も繋がらないか(確認できた場合)
例: 「昨日の夜から突然インターネットが繋がらなくなりました。ルーターの型番は〇〇で、再起動しても改善しません。隣の部屋の方も繋がらないとおっしゃっていました。」
明確に伝えることで、管理会社が迅速に対応できます。
連絡先と対応時間
管理会社の連絡先は、賃貸契約書または重要事項説明書に記載されています。
対応時間:
- 通常営業時間: 平日9:00-18:00(管理会社により異なる)
- 緊急連絡先: 多くは24時間緊急連絡先を設けている(夜間・休日)
インターネットが繋がらない場合は緊急性が低いと判断されることもありますが、仕事や生活に支障がある場合は状況を明確に伝えましょう。
費用負担の考え方(設備故障 vs 使用者過失)
費用負担は、設備故障か使用者過失かで異なります。
| ケース | 費用負担 | 例 |
|---|---|---|
| 設備の経年劣化・故障 | 管理会社(オーナー) | モデムの故障、配線の劣化 |
| 使用者の過失 | 居住者 | ルーターを破損、ケーブルを切断 |
| 自分で業者を呼んだ場合 | 居住者(自己負担の可能性) | 管理会社に連絡せず勝手に修理 |
設備の不具合は基本的に管理会社が負担しますが、自分で業者を呼ぶ前に必ず管理会社に連絡してください。
プロバイダへの連絡(個別契約の場合の対応・光回線工事の許可)
個別契約の場合や、光回線の新規契約を検討する場合の対応を確認しましょう。
個別契約の場合の連絡先(プロバイダ・光回線事業者)
個別契約でインターネットを利用している場合は、プロバイダまたは光回線事業者に直接連絡します。
主な連絡先:
- プロバイダのサポート窓口(契約書に記載)
- 光回線事業者(NTT東日本・西日本、KDDI、NURO光等)
伝えるべき情報:
- 契約者名、契約ID
- 症状、発生時期
- 試した対処法(ルーター再起動等)
プロバイダのサポート窓口は、24時間対応している場合もあります。
光回線の個別契約を検討する場合(管理会社への許可申請)
無料インターネット物件で速度に不満がある場合、光回線を個別契約することも検討できます。
許可申請の手順:
- 管理会社に「光回線の個別契約を検討している」旨を伝える
- 工事内容を説明(穴あけ工事を避ける旨を伝えると許可が得やすい)
- 管理会社またはオーナーの許可を得る
- 光回線事業者に工事を依頼
既に部屋まで光回線が配線されている場合は許可不要な場合もありますが、管理会社に事前確認することをおすすめします。
無料インターネット物件の速度改善方法
無料インターネット物件で速度が遅い場合、以下の方法を試してみてください。
- 5GHz帯への周波数切り替え: 干渉を減らして速度向上
- ブリッジモードで二重ルーター解消: 通信速度の改善
- 利用時間帯の調整: 夕方〜夜は混雑しやすいため、朝や昼間の利用を検討
- 光回線の個別契約: 管理会社の許可を得て高速回線を契約
ただし、マンションISP市場は2024年度に642万戸に拡大し、10GbpsサービスやWi-Fi 7対応など技術革新が進んでいます(MM総研調査)。将来的には無料インターネット物件の品質も向上する可能性があります。
まとめ:予防策と快適なインターネット環境を保つポイント
マンションのインターネット接続トラブルは、原因の切り分けが重要です。個別契約はプロバイダに、全戸一括型は管理会社に連絡します。自分で確認すべきことは、ルーター再起動、二重ルーター解消、Wi-Fi周波数帯の切り替えです。
隣人も繋がらない場合は共用設備のトラブルの可能性が高く、管理会社に連絡しましょう。管理会社を通さずに自分で業者を呼ぶと、費用を自己負担することになる可能性があるため注意が必要です。
無料インターネット物件では夕方〜夜に速度低下が起きやすいため、利用時間帯の調整や光回線の個別契約を検討してください。詳細な対処方法や契約内容については、管理会社またはプロバイダにご確認ください。
無料インターネット物件の注意点(速度低下・セキュリティ)
無料インターネット物件では、以下の点に注意が必要です。
- 速度低下: 夕方〜夜は複数の入居者が同時利用するため、回線混雑により速度低下が起きやすい
- セキュリティリスク: 共用Wi-Fiではパスワード未設定や弱い暗号化方式の場合、情報漏洩や不正アクセスのリスクがある
- VDSL方式の速度制限: 最大100Mbps程度のため、動画視聴や大容量ファイルのダウンロードには不向き
セキュリティを重視する場合は、個別契約の光回線を検討することをおすすめします。
接続が不安定になりやすい時間帯(夕方〜夜)
全戸一括型のマンションISPでは、夕方〜夜(18:00-23:00頃)に接続が不安定になりやすい傾向があります。
この時間帯は多くの入居者が帰宅し、動画視聴やオンラインゲームを楽しむため、回線が混雑します。仕事でインターネットを使用する場合は、朝や昼間の利用を検討してください。
トラブル予防のポイント
トラブルを予防するためのポイントは以下の通りです。
- 定期的な再起動: 月に1回程度、ルーターとモデムを再起動する
- ファームウェアの更新: ルーターのファームウェアを最新版に保つ
- 契約内容の確認: 全戸一括型か個別契約か、管轄区分を理解しておく
- 緊急連絡先の保管: 管理会社の連絡先を手元に控えておく
快適なインターネット環境を保つために、日頃から予防策を実施しましょう。
