マンション地震で潰れやすい階は1階|中層階が最も安全

著者: Room Match編集部公開日: 2025/11/24

広告

無料査定依頼キャンペーン 【ノムコム】

マンションの地震被害と階数の関係:耐震性と安全な住まい選びのポイント

マンションに住んでいる方、またはマンション購入を検討している方の中には、「地震が来たらどの階が潰れやすいのか」「自分の住んでいる階は大丈夫なのか」と不安に感じている方も多いのではないでしょうか。特に近年、大規模地震の発生リスクが指摘される中、マンションの階数と地震被害の関係は重要な関心事となっています。

この記事では、マンションの階層別の倒壊リスク、耐震基準の違い、地震に強いマンションの選び方を詳しく解説します。過去の地震被害データや専門家の見解を元に、科学的根拠に基づく情報を提供し、安全なマンション選びをサポートします。

この記事のポイント

  • 1階が最も倒壊リスクが高く、上層階の重みと地震エネルギーが集中する
  • ピロティ構造(1階が駐車場で壁がない)のマンションは阪神淡路大震災で多くの崩壊事例あり
  • 3階以上の中階層は倒壊リスクが低く、避難もしやすいバランスの良い階層
  • 高層階は倒壊リスクは低いが、長周期地震動で大きく揺れ、家具転倒やエレベーター停止のリスク
  • 1981年6月1日以降の新耐震基準のマンションは震度6強〜7に耐えられる水準

1. マンションの地震被害と階数の関係:なぜこの問題が重要なのか

(1) 過去の地震被害から見る階層別の傾向

1995年に発生した阪神淡路大震災(最大震度7)では、マンションの階層別に被害の傾向が見られました。

阪神淡路大震災での被害事例:

  • 1階の倒壊が多数: 特にピロティ構造(1階が駐車場・エントランスのみで壁がない)のマンションで1階部分が崩壊した事例が多発
  • 新耐震基準のマンションはほとんど倒壊せず: 1981年6月以降の新耐震基準のマンションは、最大震度7の地震でもほとんど倒壊しませんでした

東日本大震災での教訓:

  • 高層ビルが長周期地震動により大きく揺れ、家具転倒や設備損傷が多発
  • エレベーター停止により高層階からの避難が困難になった

(2) 科学的根拠に基づく情報の重要性

インターネット上には「中間階が最も危険」「〇階が絶対安全」といった根拠のない情報も散見されますが、地震被害は建物全体の耐震性、構造、築年数など多くの要因に左右されます。

重要な視点:

  • 階数だけで安全性を判断することはできない
  • 耐震基準(新耐震・旧耐震)が最も重要な判断基準
  • ピロティ構造など特定の構造的弱点の有無が重要
  • 専門家(建築士、防災専門家等)による総合的な評価が必要

2. マンションで地震時に潰れやすい階とその理由

(1) 1階の倒壊リスクが最も高い理由

マンションで地震時に最も倒壊リスクが高いのは1階です。

1階の倒壊リスクが高い理由:

  • 上層階の重量が集中: 2階以上の全ての階の重みが1階に集中する
  • 地震エネルギーを直接受ける: 地盤から直接伝わる地震エネルギーの影響を最も強く受ける
  • 柱や壁への負荷が最大: 建物全体を支える構造部材への負荷が最も大きい

(2) ピロティ構造の危険性と阪神淡路大震災の事例

ピロティ構造とは、1階が駐車場やエントランスホールのみで、壁がなく柱だけで上層階を支える構造です。

ピロティ構造の問題点:

  • 1階に耐力壁(地震エネルギーを分散する壁)が少ない
  • 柱のみで上層階の重量を支えるため、地震時の負荷が柱に集中
  • 横揺れに対する抵抗力が弱い

阪神淡路大震災での事例:

  • ピロティ構造のマンションで1階部分が崩壊した事例が多数発生
  • 特に旧耐震基準(1981年5月31日以前)のピロティ構造マンションで被害が顕著

現在の対策:

  • 新耐震基準以降のピロティ構造は、耐震壁の追加や柱の補強により安全性が向上
  • ただし、ピロティ構造がある場合は耐震診断の実施状況を確認することが重要

(3) 中間階が倒壊リスクが低い理由

3階以上の中階層は、倒壊リスクが比較的低い階層とされています。

中階層の安全性が高い理由:

  • 地震エネルギーを直接受けず、1階で一部吸収される
  • 上層階からの重量負荷が1階より少ない
  • 避難もしやすく、バランスの良い階層

中間階の誤解:

  • 「中間階が最も倒壊しやすい」という噂は科学的根拠がありません
  • 過去の地震被害データでも中間階のみが倒壊した事例はほとんどありません

3. 階層別のリスクと特徴:低層・中層・高層の比較

(1) 低層階(1-3階):倒壊リスクと津波・水害リスク

メリット デメリット
避難がしやすい 1階は倒壊リスクが最も高い
揺れが比較的小さい 津波・水害のリスクがある
エレベーター不要 プライバシー・防犯面で不安

低層階の注意点:

  • 1階はピロティ構造の有無を確認
  • 津波・洪水ハザードマップで浸水リスクを確認
  • 防犯対策(窓の施錠、防犯カメラ等)を徹底

(2) 中層階(4-10階):倒壊リスクと避難のバランス

メリット デメリット
倒壊リスクが低い 中程度の揺れを感じる
避難もしやすい エレベーター停止時に階段移動が必要
津波・水害リスクが低い 眺望・日当たりは高層階に劣る

中層階の特徴:

  • 倒壊リスクと避難のしやすさのバランスが最も良い
  • 家具転倒防止対策は必要だが、高層階ほどではない
  • ファミリー層に人気の階層

(3) 高層階(11階以上):長周期地震動と家具転倒リスク

メリット デメリット
倒壊リスクは低い 長周期地震動で大きく揺れる
眺望・日当たりが良い 家具転倒・窓ガラス破損リスクが高い
津波・水害リスクがほぼない エレベーター停止時の避難・物資運搬が困難

高層階の注意点:

  • 震度6の地震が震度7相当の揺れになる可能性
  • 家具の転倒防止対策を徹底する(突っ張り棒、固定金具等)
  • 長周期地震動により揺れが長時間続く(数分間)
  • エレベーター停止により数日間〜数週間高層階から出られない可能性

4. 地震に強いマンションの選び方:耐震基準と構造

(1) 新耐震基準と旧耐震基準の違い(1981年6月1日が境界)

マンションの耐震性を判断する上で最も重要なのが「耐震基準」です。

基準 適用時期 耐震性能 実績
旧耐震基準 1981年5月31日以前の建築確認 震度5強程度の地震で倒壊しない水準 阪神淡路大震災で倒壊事例が多数
新耐震基準 1981年6月1日以降の建築確認 震度6強〜7程度の地震で倒壊しない水準 阪神淡路大震災でもほとんど倒壊せず

2000年基準(さらに強化):

  • 2000年6月1日以降の建築確認では、さらに耐震性能が強化されました
  • 接合部の仕様が明確化され、耐震性がより向上

購入時の確認ポイント:

  • 建築確認日を不動産会社に質問
  • 重要事項説明書で耐震基準を確認
  • 旧耐震基準の物件は耐震診断・補強工事の実施状況を必ず確認

(2) 耐震等級の確認方法と重要性

耐震等級は、建物の耐震性能を示す等級です。

耐震等級 耐震性能 マンションでの割合
等級1 震度6強〜7に耐える水準(建築基準法の最低基準) 80%以上
等級2 等級1の1.25倍の耐震性 約10%
等級3 等級1の1.5倍の耐震性(災害時の避難所となる建物の基準) 約5%

確認方法:

  • 設計住宅性能評価書で確認
  • 不動産会社に耐震等級を質問
  • 新築マンションの場合は販売資料に記載されていることが多い

注意点:

  • マンションの80%以上は耐震等級1(建築基準法の最低基準)
  • 耐震等級2以上の物件は少ないが、より高い安全性を求める場合は検討の価値あり

(3) マンションの構造別の特徴(RC造・SRC造・S造)

マンションの構造により、耐震性が異なります。

構造 特徴 耐震性 主な用途
RC造(鉄筋コンクリート造) 鉄筋とコンクリートの組み合わせ 高い 中低層マンション(〜10階程度)
SRC造(鉄骨鉄筋コンクリート造) 鉄骨+鉄筋+コンクリートの組み合わせ 非常に高い 高層マンション(10階以上)
S造(鉄骨造) 鉄骨のみ 中程度 低層アパート

SRC造の特性:

  • 重量の関係で下層階の方が上層階より耐震性が高い
  • 高層マンションで多く採用される

5. マンション購入時の耐震性チェックポイント

(1) 築年数と耐震基準の確認

マンション購入時は、築年数と耐震基準を必ず確認してください。

チェックリスト:

  • 建築確認日が1981年6月1日以降か(新耐震基準)
  • 2000年6月1日以降か(2000年基準)
  • 旧耐震基準の場合、耐震診断を実施しているか
  • 重要事項説明書で耐震基準を確認したか

(2) 耐震診断・補強工事の実施状況

旧耐震基準の物件を購入検討する場合、耐震診断・補強工事の実施状況を確認することが重要です。

確認方法:

  • 不動産会社に耐震診断・補強工事の実施状況を質問
  • 管理組合の議事録で耐震補強工事の決議を確認
  • 重要事項説明書で耐震診断結果を確認

耐震補強工事の費用:

  • 1戸あたり:50万円~150万円程度(工事内容により変動)
  • 管理組合負担か所有者負担かを確認

(3) ピロティ構造の有無と構造評価

ピロティ構造がある場合は、特に注意が必要です。

確認ポイント:

  • 1階にピロティ構造(駐車場・エントランスのみ)があるか
  • ピロティ構造がある場合、耐震壁の追加や柱の補強がされているか
  • 耐震診断で構造的問題が指摘されていないか

(4) 家具転倒防止対策と避難計画

どの階に住む場合でも、家具転倒防止対策と避難計画は重要です。

家具転倒防止対策:

  • 突っ張り棒で家具を天井に固定
  • L字金具で壁に固定
  • 滑り止めマットを家具の下に敷く
  • 重いものは低い位置に収納

避難計画:

  • 避難経路を複数確認(階段の位置、非常口等)
  • 非常持ち出し袋を用意(水、食料、ラジオ、懐中電灯等)
  • 管理組合の防災訓練に参加

6. まとめ:安全なマンション選びと地震への備え

マンションの地震被害は、階数だけでなく、耐震基準、構造、築年数など多くの要因に左右されます。

安全なマンション選びのポイント:

  1. 新耐震基準のマンションを選ぶ: 1981年6月1日以降の建築確認で震度6強〜7に耐えられる
  2. 1階は倒壊リスクが最も高い: 特にピロティ構造の有無を確認
  3. 中階層はバランスが良い: 3階以上の中階層は倒壊リスクが低く、避難もしやすい
  4. 高層階は長周期地震動に注意: 家具転倒防止対策を徹底し、エレベーター停止を想定した備蓄を
  5. 専門家への相談: 宅建士、建築士、防災専門家に相談し、総合的な評価を受ける

地震リスクを完全にゼロにすることはできませんが、正しい知識と対策により、リスクを大幅に低減できます。マンション購入時は耐震性を重視し、入居後も継続的な防災対策を心がけてください。

広告

無料査定依頼キャンペーン 【ノムコム】

広告

よくある質問

Q1マンションで地震時に最も潰れやすい階はどこですか?

A11階が最も倒壊リスクが高いです。上層階の重みが1階に集中し、地盤から直接伝わる地震エネルギーの影響を最も強く受けるためです。特にピロティ構造(1階が駐車場やエントランスのみで壁がない)のマンションは要注意で、阪神淡路大震災では1階部分が崩壊した事例が多数発生しました。新耐震基準以降のピロティ構造は耐震壁の追加や柱の補強により安全性が向上していますが、耐震診断の実施状況を確認することが重要です。

Q2中間階は地震で倒壊しやすいという噂は本当ですか?

A2誤りです。3階以上の中階層は倒壊リスクが低く、助かりやすい階とされています。地震エネルギーを直接受けず1階で一部吸収され、上層階からの重量負荷も1階より少ないためです。避難もしやすく、倒壊リスクと避難のしやすさのバランスが最も良い階層です。「中間階が最も倒壊しやすい」という噂は科学的根拠がなく、過去の地震被害データでも中間階のみが倒壊した事例はほとんどありません。

Q3高層階は地震で危険なのですか?

A3倒壊リスクは低いですが、長周期地震動により大きく揺れるリスクがあります。震度6の地震が震度7相当の揺れになる可能性があり、家具転倒や窓ガラス破損のリスクが高まります。揺れが長時間続く(数分間)ことも特徴です。また、エレベーター停止により避難・物資運搬が困難になり、数日間〜数週間高層階から出られない可能性もあります。家具の転倒防止対策(突っ張り棒、固定金具等)を徹底することが重要です。

Q4地震に強いマンションを選ぶには何を確認すればいいですか?

A41981年6月1日以降の新耐震基準のマンションを選ぶことが最も重要です(震度6強〜7に耐えられる水準)。その他の確認ポイントは、①耐震等級(設計住宅性能評価書で確認)、②ピロティ構造の有無、③耐震診断・補強工事の実施状況、④建築確認日(2000年6月1日以降はさらに耐震性能が強化)です。旧耐震基準の物件は、耐震診断・補強工事の実施状況を必ず確認し、専門家(建築士等)への相談を推奨します。

Q5旧耐震基準のマンションは購入しない方がいいですか?

A51981年5月31日以前の旧耐震基準は震度5強程度の地震にしか耐えられない可能性があり、阪神淡路大震災でも倒壊事例が多数発生しました。購入を検討する場合は、①耐震診断の実施有無と結果、②耐震補強工事の実施有無と内容、③実施時期と費用負担を必ず確認してください。耐震補強工事済みであれば安全性が向上している場合もありますが、専門家(建築士、防災専門家等)に相談し、総合的な評価を受けることを強く推奨します。

R

Room Match編集部

Room Matchは、不動産の購入・売却・賃貸に関する実践的な情報を提供するメディアです。住宅ローン、物件選び、不動産会社の選び方など、実務担当者に役立つ情報を分かりやすく解説しています。

関連記事