土地担保ローンとは?土地を活用した資金調達の基礎知識
土地を所有している方で資金調達を検討する際、「土地を担保にお金を借りることはできるか」「どのくらい借りられるか」「金利はどのくらいか」と疑問に感じることは少なくありません。
この記事では、土地担保ローンの仕組み、金利の相場、審査基準、メリット・デメリット、利用時の注意点を解説します。土地を担保にして資金を借りる不動産担保ローンは、低金利・高額融資・長期返済が可能な一方で、返済不能時には土地が差し押さえられ競売にかけられるリスクがあります。
土地担保ローンの仕組みとリスクを理解することで、安全に資金調達を行うための判断ができるようになります。
この記事のポイント
- 土地担保ローンは土地を担保にして資金を借りるローンで、銀行の金利は年1〜8%、ノンバンクは年2〜10%が相場
- 融資可能額は不動産評価額の60〜80%が目安で、評価額が高いほど低金利で高額融資が可能
- メリットは低金利・高額融資・長期返済・資金使途自由、デメリットは返済不能時の土地差し押さえ・競売リスク
- 安全に活用するには無理のない返済計画を立て、金融機関を比較検討し、専門家(ファイナンシャルプランナー)に相談することが重要
(1) 土地担保ローンの定義(土地を担保にして資金を借りる)
土地担保ローンは、土地を担保にして資金を借りるローンです。正式には不動産担保ローンの一種で、土地だけでなく建物も担保にできます。
担保とは、借り手が返済できなくなった場合に、貸し手が差し押さえて売却できる財産のことです。土地を担保にすることで、金融機関は返済リスクを軽減でき、借り手は低金利・高額融資を受けられます。
(2) 不動産担保ローンとの関係
不動産担保ローンは、土地や建物などの不動産を担保にして資金を借りるローンの総称です。土地担保ローンは、その中でも土地のみを担保にするケースを指します。
不動産担保ローンの種類
- 土地のみ: 更地、駐車場等の土地を担保にする
- 建物付き土地: 戸建て、マンション、アパート等の建物付き土地を担保にする
- 建物のみ: マンション区分所有権等の建物を担保にする
土地のみでも担保として認められるため、更地や駐車場を所有している方でも利用できます。
(3) 利用シーン(事業資金、教育資金、借り換え等)
土地担保ローンは資金使途が原則自由で、以下のような様々な目的に利用できます。
主な利用シーン
- 事業資金: 会社設立、設備投資、運転資金等
- 教育資金: 子供の大学進学費用、留学費用等
- 借り換え: 既存の高金利ローンを低金利の土地担保ローンに借り換え
- 住宅ローン返済: 住宅ローンの一括返済や繰り上げ返済
- 生活資金: 医療費、介護費用等
資金使途が自由なため、幅広い資金ニーズに対応できる点が特徴です。
土地担保ローンの仕組みと金利タイプ|変動金利と固定金利の違い
(1) 抵当権設定の仕組み(第1順位・第2順位)
土地担保ローンでは、土地に抵当権を設定します。
抵当権とは、不動産を担保とする権利で、返済が滞ると債権者(金融機関)が不動産を競売にかけて債権を回収できる権利です。
抵当権の順位
- 第1順位: 最も優先度の高い抵当権(住宅ローンが第1順位のケースが多い)
- 第2順位: 第1順位の次の優先度の抵当権(既存ローンがある場合、新規ローンは第2順位になる)
住宅ローンが残っていても利用できるか
- 第2順位以降の担保設定で可能なケースがあります
- ただし、既存ローンの残高が多い場合は融資額が減額される可能性があります
- 金融機関により対応が異なるため、相談が必要です
(2) 金利の相場(銀行1〜8%、ノンバンク2〜10%)
土地担保ローンの金利相場は以下の通りです。
| 金融機関 | 金利相場 |
|---|---|
| 銀行 | 年1〜8% |
| ノンバンク | 年2〜10% |
2025年12月時点の金利例
- 東京スター銀行: 変動金利1.000%〜7.250%
- 新生インベストメント&ファイナンス: 2.95%〜5.90%
(参考: イー・ローン 2025年12月版 不動産担保ローンの金利ランキング)
銀行は金利が低めですが審査が厳しく、ノンバンクは金利がやや高めですが審査が柔軟な傾向があります。
(3) 変動金利と固定金利の違い(3年/5年/10年)
土地担保ローンの金利タイプには変動金利と固定金利があります。
変動金利
- おおむね6ヶ月に1度見直される金利タイプ
- 固定金利より低めの傾向
- 金利上昇リスクがあるため、返済額が増える可能性がある
固定金利
- 一定期間(3年/5年/10年等)金利が変わらないタイプ
- 返済計画が立てやすい
- 変動金利より高めの傾向
金利タイプの選び方
- 金利上昇が心配な方は固定金利
- 低金利を優先する方は変動金利
- 返済期間が短い場合は変動金利、長い場合は固定金利を検討
(4) 銀行とノンバンクの違い
土地担保ローンは銀行とノンバンクの両方で提供されています。
| 項目 | 銀行 | ノンバンク |
|---|---|---|
| 金利 | 低め(年1〜8%) | やや高め(年2〜10%) |
| 審査 | 厳しい | 柔軟(赤字でも利用可能な場合あり) |
| 審査期間 | 1〜2週間 | 最短即日〜3営業日 |
| 融資スピード | やや遅い | 速い |
ノンバンクとは、銀行以外の金融機関(消費者金融、信販会社等)で、独自の審査基準で銀行より柔軟ですが金利はやや高めです。
選び方のポイント
- 低金利を優先する方は銀行
- 審査に不安がある方、融資スピードを重視する方はノンバンク
- 総返済額で比較検討することを推奨
審査基準と借入可能額|担保評価額・掛け目・返済能力
(1) 担保評価額の算定方法
土地担保ローンの審査では、土地の担保評価額が重要な基準になります。
担保評価額とは、不動産の市場価値を金融機関が査定した金額で、融資可能額の算定基準になります。
評価方法
- 公示地価、基準地価、路線価等を参考にする
- 土地の立地、面積、形状、用途地域等を考慮する
- 周辺の取引事例を参考にする
- 金融機関が独自の評価基準を設けている場合がある
評価額が高いほど、低金利で高額融資が可能になります。
(2) 掛け目(融資可能額の目安:評価額の60〜80%)
融資可能額は、担保評価額に掛け目を掛けた金額が目安です。
掛け目とは、担保評価額に対する融資可能額の割合で、一般的に60〜80%です。
融資可能額の計算例
- 担保評価額: 5,000万円
- 掛け目: 70%
- 融資可能額: 5,000万円 × 70% = 3,500万円
掛け目の決定要因
- 土地の流動性(売却しやすさ)
- 金融機関のリスク評価
- 既存ローンの有無(第2順位の場合は掛け目が低くなる)
融資可能額の最大額は金融機関により異なりますが、最大10億円程度が上限です。
(参考: 新生インベストメント&ファイナンス「不動産担保ローンではいくら借りられる?」)
(3) 返済能力・信用情報の審査
土地担保ローンの審査では、担保評価額だけでなく、借り手の返済能力と信用情報も審査されます。
返済能力の審査項目
- 年収、所得水準
- 勤務先、勤続年数
- 事業の収益状況(法人・自営業の場合)
- 既存ローンの返済状況
信用情報の確認
- クレジットカードやローンの滞納歴
- 過去の債務整理・自己破産の有無
- 他社借入の状況
銀行は返済能力と信用情報を厳格に審査しますが、ノンバンクは柔軟な審査基準を設けており、赤字でも利用可能な場合があります。
(参考: dスマホローン「不動産担保ローンとは?審査基準を解説」)
(4) 住宅ローンが残っていても利用できるか
住宅ローンが残っている土地でも、第2順位以降の担保設定で土地担保ローンを利用できるケースがあります。
第2順位の担保設定
- 既存の住宅ローンが第1順位、新規ローンが第2順位になる
- 第2順位は返済リスクが高いため、金利が高くなる場合がある
- 既存ローンの残高が多い場合、融資額が減額される可能性がある
利用可能な条件
- 担保評価額 - 既存ローン残高 = 融資可能余地
- 例: 評価額5,000万円、既存ローン残高2,000万円の場合、3,000万円の70%(2,100万円)が融資可能額の目安
第2順位での利用可否は金融機関により異なるため、相談が必要です。
メリット・デメリット|低金利・高額融資と返済不能時のリスク
(1) メリット(低金利・高額融資・長期返済・資金使途自由)
土地担保ローンの主なメリットは以下の通りです。
低金利
- 銀行の金利は年1〜8%と、無担保ローン(年5〜15%)より低い
- 担保があるため、金融機関のリスクが低く低金利を実現できる
高額融資
- 担保評価額の60〜80%まで融資可能
- 最大10億円程度の高額融資が可能
- 無担保ローンは数百万円が上限のため、高額資金ニーズに対応できる
長期返済
- 返済期間は最長30年程度
- 長期返済により、月々の返済額を抑えられる
資金使途自由
- 事業資金、教育資金、借り換え等、様々な目的に利用できる
- 住宅ローンは住宅購入に限定されるが、土地担保ローンは用途が自由
(参考: SBIエステートファイナンス「不動産担保ローンとは?メリット・デメリット」)
(2) デメリット(返済不能時の土地差し押さえ・競売リスク)
土地担保ローンの最大のデメリットは、返済不能時の土地差し押さえ・競売リスクです。
返済不能時のリスク
- 返済が滞ると、金融機関が抵当権を行使し、土地を差し押さえる
- 差し押さえられた土地は競売にかけられ、売却代金で債務を回収する
- 競売価格は市場価格の70〜80%程度になることが多い
- 土地を失うだけでなく、売却代金で債務を完済できない場合は残債が残る
その他のデメリット
- 諸費用(登記費用、印紙税等)が発生する
- 審査期間が1〜2週間程度かかる(即日融資は難しい)
- 担保評価額が低いと希望額を借りられない場合がある
返済計画を慎重に立て、無理のない返済額を設定することが重要です。
(3) ノンバンクのメリット・デメリット
ノンバンクのメリット
- 審査が柔軟(赤字でも利用可能な場合あり)
- 審査期間が短い(最短即日〜3営業日)
- 第2順位以降でも可能なケースが多い
ノンバンクのデメリット
- 金利が高め(年2〜10%)
- 総返済額が銀行より多くなる場合がある
ノンバンクは銀行との差別化で柔軟条件を提示していますが、金利が高めのため総返済額で比較検討することを推奨します。
利用時の注意点とリスク|競売・差し押さえを避けるために
(1) 返済計画の立て方(無理のない返済額の設定)
土地担保ローンを安全に利用するには、無理のない返済計画を立てることが最重要です。
返済計画のポイント
- 月々の返済額は年収の25%以内に抑える(住宅ローンの目安)
- 事業資金の場合、事業の収益見通しを慎重に立てる
- 金利上昇リスクを考慮する(変動金利の場合)
- 返済期間を長めに設定し、繰り上げ返済で調整する
返済シミュレーション
- 借入額: 3,000万円
- 金利: 年3%(変動)
- 返済期間: 20年
- 月々の返済額: 約16.6万円
返済額が収入に対して過大にならないよう、慎重に計画してください。
(2) 返済不能時のリスク(競売・差し押さえ)
返済が滞ると、以下のようなリスクがあります。
返済不能時の流れ
- 延滞通知(金融機関から督促状が届く)
- 期限の利益喪失(分割払いの権利を失い、一括返済を求められる)
- 抵当権の実行(金融機関が土地を差し押さえる)
- 競売(裁判所が競売手続きを開始し、土地を売却する)
- 配当(売却代金で債務を回収、残債があれば請求される)
競売のリスク
- 市場価格の70〜80%程度で売却されることが多い
- 土地を失うだけでなく、残債が残る可能性がある
- 信用情報に記録され、今後のローン利用が困難になる
返済が困難になった場合は、早めに金融機関に相談し、返済計画の見直しやリスケジュール(返済条件の変更)を検討してください。
(3) 金融機関選びのポイント(金利・審査柔軟性・融資スピード)
金融機関を選ぶ際は、以下のポイントで比較検討してください。
金利
- 低金利を優先する場合は銀行
- 複数の金融機関を比較し、総返済額で判断する
審査柔軟性
- 銀行の審査に不安がある場合はノンバンク
- 赤字、第2順位でも対応可能な金融機関を探す
融資スピード
- 急ぎの資金ニーズがある場合はノンバンク
- 審査期間は銀行で1〜2週間、ノンバンクで最短即日〜3営業日
その他のポイント
- 繰り上げ返済手数料の有無
- 返済方法(元利均等返済、元金均等返済)
- 諸費用(登記費用、事務手数料等)
3社以上を比較し、総合的に判断することを推奨します。
(4) 専門家(ファイナンシャルプランナー)への相談
土地担保ローンは高額の資金調達であり、返済不能時のリスクも大きいため、専門家への相談を推奨します。
相談先
- ファイナンシャルプランナー(FP): 資金計画、返済シミュレーション、金融機関選びのアドバイス
- 宅地建物取引士: 土地の評価額、市場価格の相場
- 税理士: 税務上の取り扱い、確定申告の方法
YMYL分野(金融・財産に関わる重要な決定)のため、正確な情報提供と専門家への相談が重要です。
まとめ:土地担保ローンを安全に活用するための3つのポイント
土地担保ローンは、土地を担保にして資金を借りるローンで、銀行の金利は年1〜8%、ノンバンクは年2〜10%が相場です。融資可能額は不動産評価額の60〜80%が目安で、評価額が高いほど低金利で高額融資が可能です。
メリットは低金利・高額融資・長期返済・資金使途自由で、事業資金、教育資金、借り換え等の様々な資金ニーズに対応できます。一方、デメリットは返済不能時の土地差し押さえ・競売リスクで、土地を失うだけでなく残債が残る可能性があります。
土地担保ローンを安全に活用するための3つのポイントは以下の通りです。
- 無理のない返済計画を立てる: 月々の返済額は年収の25%以内に抑え、金利上昇リスクを考慮した返済シミュレーションを行う
- 金融機関を比較検討する: 銀行とノンバンクの金利・審査柔軟性・融資スピードを比較し、総返済額で判断する(3社以上を比較推奨)
- 専門家に相談する: ファイナンシャルプランナー、宅地建物取引士、税理士等の専門家に相談し、資金計画・税務対策を慎重に検討する
土地担保ローンは高額の資金調達手段ですが、返済不能時のリスクも大きいため、慎重な計画と専門家への相談が不可欠です。信頼できる金融機関や専門家に相談しながら、納得のいく資金調達を実現してください。
※本記事の情報は2025年時点のものです。金利、審査基準、制度等は変更される可能性があるため、最新情報は各金融機関や専門家にご確認ください。個別の借入計画は必ずファイナンシャルプランナーに相談してください。


