土地評価証明書が必要な場面とは
不動産取引や相続手続きを進める際、「土地評価証明書」という言葉を耳にすることがあります。正式には「固定資産評価証明書」と呼ばれるこの書類は、土地・建物の評価額を証明する公的書類です。
この記事では、固定資産評価証明書がどのような場面で必要になるのか、どこで取得できるのか、手数料はいくらかといった実践的な情報を、東京都主税局の公式情報を元に解説します。
初めて不動産取引や相続手続きを行う方でも、必要な書類を正確に準備できるようになります。
この記事のポイント
- 固定資産評価証明書は、不動産登記・相続税申告・登録免許税計算で必要になる
- 市区町村役場(東京23区は都税事務所)で取得でき、手数料は200-400円程度
- 土地と建物は別々の証明書が発行されるため、一戸建ての場合は2枚必要
- 固定資産公課証明書(税額の証明)とは別の書類であり、用途に応じた使い分けが必要
- 2024年4月から相続登記が義務化され、3年以内に登記しないと10万円以下の過料が科される
土地評価証明書が必要な場面
固定資産評価証明書が必要になる主な場面は、以下の3つです。
(1) 不動産登記(相続・贈与・売買)
不動産の所有権が移転する際の登記手続きでは、登録免許税の計算に固定資産評価額が必要です。
特に、2024年4月から相続登記が義務化され、相続発生から3年以内に登記しないと10万円以下の過料が科されるようになりました。相続手続きでは、固定資産評価証明書を早めに取得することが重要です。
(2) 相続税・贈与税の申告
相続税や贈与税の計算では、不動産の評価額を正確に把握する必要があります。固定資産評価証明書は、税務署への申告書類として使用されます。
(3) 登録免許税の計算
不動産の登記を行う際には登録免許税を納める必要があり、税額は固定資産評価額を基に計算されます。例えば、所有権移転登記の登録免許税は「固定資産評価額 × 税率」で算出されるため、正確な評価額の証明が不可欠です。
固定資産評価証明書とは
(1) 定義と記載内容
固定資産評価証明書とは、土地・建物などの固定資産税課税対象となる資産の評価額を証明する公的書類です。
主な記載内容は以下の通りです。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 所在地 | 土地・建物の所在地 |
| 地目・家屋番号 | 土地の用途、建物の番号 |
| 地積・床面積 | 土地の面積、建物の床面積 |
| 評価額 | 固定資産税評価額 |
| 所有者 | 固定資産税納税義務者 |
(出典: 東京都主税局)
(2) 申請できる方の範囲
東京都主税局によると、固定資産評価証明書を申請できるのは以下の方です。
- 所有者本人
- 相続人(相続発生後)
- 借地権者・借家人(賃貸借契約書の提示が必要)
- 代理人(委任状が必要)
(3) 土地と建物の証明書の違い
重要な点として、土地と建物は別々の証明書が発行されます。一戸建ての場合は「土地の証明書」と「建物の証明書」の計2枚が必要です。取得枚数を間違えると手続きが遅れるため、注意してください。
取得方法と必要書類
(1) 窓口申請の手順
市区町村役場(東京23区の場合は都税事務所)の窓口で申請します。
手順:
- 窓口で「固定資産評価証明書交付申請書」を記入
- 本人確認書類を提示
- 手数料を支払う(現金)
- その場で証明書を受け取る
(2) 郵送申請の手順
東京都主税局によると、郵送申請も可能です。
手順:
- 申請書をダウンロード・記入
- 本人確認書類のコピーを同封
- 手数料分の定額小為替を同封(郵便局で購入)
- 返信用封筒(切手を貼付)を同封
- 自治体の担当部署に郵送
- 数日〜1週間程度で証明書が郵送される
郵送申請は時間がかかるため、相続登記の期限(3年以内)に間に合わせるには早めの手続きが重要です。
(3) 必要な本人確認書類
申請時に必要な本人確認書類は以下の通りです。
- 運転免許証
- マイナンバーカード
- パスポート
- 健康保険証(窓口申請のみ)
代理人が申請する場合は、委任状も必要です。
(4) 取得場所(市区町村役場・都税事務所)
| 地域 | 取得場所 |
|---|---|
| 一般市町村 | 市区町村役場(税務課等) |
| 東京23区 | 都税事務所 |
自治体によって取得場所が異なるため、事前に確認してください。
手数料と注意点
(1) 手数料の相場(200-400円)
固定資産評価証明書の手数料は、自治体により異なりますが、1通あたり200-400円程度が相場です。
(2) 自治体別の違い
手数料は自治体ごとに異なります。例えば、東京23区では1物件あたり400円、地方自治体では200-300円のところもあります。詳細は、取得予定の自治体のホームページで確認してください。
(3) 土地と建物は別々に発行
前述の通り、土地と建物は別々の証明書が発行されます。一戸建ての場合は計2枚が必要なため、手数料も2通分かかります。
(4) 4月は申請が集中
4月は固定資産税の課税時期であり、申請が集中します。窓口が混雑する可能性があるため、余裕をもって申請することをおすすめします。
固定資産公課証明書との違い
(1) 評価証明書と公課証明書の違い
固定資産評価証明書と固定資産公課証明書は、名前が似ていますが別の書類です。
| 項目 | 固定資産評価証明書 | 固定資産公課証明書 |
|---|---|---|
| 証明内容 | 評価額 | 税額 |
| 用途 | 不動産登記、相続税申告 | 税額の確認 |
(出典: マネーフォワード)
(2) 用途による使い分け
- 不動産登記: 固定資産評価証明書が必要
- 税額の確認: 固定資産公課証明書が必要
用途を間違えると再取得が必要になるため、申請前に確認してください。
相続登記義務化と早めの準備
2024年4月から相続登記が義務化され、相続発生から3年以内に登記しないと10万円以下の過料が科されるようになりました。
相続手続きでは、固定資産評価証明書が不可欠です。郵送申請には時間がかかるため、相続が発生したら早めに証明書を取得し、登記手続きを進めることをおすすめします。
詳細な登記手続きについては、法務局または司法書士にご相談ください。
まとめ
固定資産評価証明書は、不動産登記・相続税申告・登録免許税計算で必要になる公的書類です。市区町村役場(東京23区は都税事務所)で取得でき、手数料は200-400円程度です。
土地と建物は別々の証明書が発行されるため、一戸建ての場合は2枚必要です。また、固定資産公課証明書(税額の証明)とは別の書類であり、用途に応じて使い分けが必要です。
2024年4月から相続登記が義務化されたため、相続発生後は早めに証明書を取得し、3年以内に登記手続きを完了させましょう。
