土地代とは|土地購入費用の基礎知識
注文住宅を建てるために土地を購入する際、「土地代はいくらくらいかかるのか」「どうやって調べればいいのか」と疑問に思う方は多いでしょう。
この記事では、土地代の相場、調べ方、購入時の諸費用、注意点を、国土交通省や国税庁の公式情報を元に解説します。
土地購入が初めての方でも、必要な予算を正確に把握し、賢く購入できるようになります。
この記事のポイント
- 土地代の調べ方は公示地価、基準地価、相続税路線価、実勢価格の4種類がある
- 2025年の全国平均は23万3,296円/m²(坪単価77万円)、東京都は69万8,836円/m²(坪単価231万円)
- 土地購入時の諸費用は土地代の5~10%が目安で、仲介手数料や登記費用が含まれる
- 用途地域、災害リスク、接道状況を事前に確認しないと、建物が建てられない可能性がある
(1) 土地代の定義|土地の価格と評価方法の種類
土地代とは、土地の価格のことです。土地の価格は、評価方法により以下の4種類があります。
| 評価方法 | 公表機関 | 公表時期 | 特徴 |
|---|---|---|---|
| 公示地価 | 国土交通省 | 毎年3月(1月1日時点) | 一般の土地取引の指標となる |
| 基準地価 | 都道府県 | 毎年9月(7月1日時点) | 公示地価を補完する役割 |
| 相続税路線価 | 国税庁 | 毎年7月1日 | 相続税・贈与税の算定基準(実勢価格の約80%) |
| 実勢価格 | 実際の取引 | 随時 | 需給バランスで変動する実際の取引価格 |
(出典: 国土交通省 不動産情報ライブラリ、全国地価マップ)
土地購入を検討する際は、これら複数の評価方法を参考にして、おおよその相場を把握することが重要です。
(2) 土地代と建物価格の関係|建売住宅の土地代の計算方法
建売住宅の場合、販売価格には土地代と建物価格の両方が含まれています。土地代だけを知りたい場合は、以下の計算式で逆算できます。
計算式
土地代 = 販売価格 - 建物価格 - 消費税
建物は消費税の課税対象ですが、土地は非課税です。そのため、消費税から建物価格を逆算し、土地代を算出することも可能です。
販売価格や建物価格は、物件情報に記載されていることが多いため、購入前に確認しておきましょう。
(3) 土地購入費用の構成|土地代+諸費用の合計額を把握する
土地購入時には、土地代以外に諸費用がかかります。諸費用は土地代の5~10%が目安です。
土地購入費用の構成
- 土地代: 土地本体の価格
- 諸費用: 仲介手数料、登記費用、固定資産税・都市計画税の日割り精算等
例えば、土地代が2,000万円の場合、諸費用は100万円~200万円が目安となります。
土地価格の調べ方|公示地価・路線価・実勢価格の違いと確認方法
土地価格を調べる方法は複数あります。それぞれの違いと確認方法を理解しておきましょう。
(1) 公示地価|国土交通省が毎年3月に公表する指標価格
公示地価は、国土交通省が毎年3月に公表する、1月1日時点の土地価格です。一般の土地取引の指標となる価格で、全国約26,000地点の標準地について評価されます。
確認方法
- 国土交通省 不動産情報ライブラリで検索可能
- 地図上で標準地の価格を確認できる
(2) 基準地価|都道府県が毎年9月に公表する補完指標
基準地価は、都道府県が毎年9月に公表する、7月1日時点の土地価格です。公示地価を補完する役割を持ち、全国約21,000地点の基準地について評価されます。
公示地価と基準地価を併せて確認することで、年2回(1月・7月時点)の土地価格動向を把握できます。
(3) 相続税路線価|国税庁が公表する相続税・贈与税の算定基準
相続税路線価は、国税庁が毎年7月1日に公表する、相続税・贈与税の算定基準となる土地価格です。実勢価格の約80%が目安とされています。
確認方法
- 国税庁 財産評価基準書で検索可能
- 路線価図で道路ごとの価格を確認できる
(4) 実勢価格|実際の取引価格を調べる方法(不動産情報ライブラリ)
実勢価格は、実際の取引で成立する価格です。需給バランスや立地条件により変動します。
確認方法
- 国土交通省 不動産情報ライブラリの「不動産取引価格情報検索」で過去の取引事例を確認できる
- SUUMO、HOME'S等の不動産ポータルサイトで販売中の土地価格を参考にできる
実勢価格は公示地価や路線価と異なり、個別の事情(形状、接道状況、周辺環境等)により大きく変動します。
(5) 全国地価マップの活用|4種類の公的土地評価情報を一括確認
全国地価マップは、4種類の公的土地評価情報(固定資産税路線価、相続税路線価、公示地価、都道府県地価調査価格)を一括で確認できるサービスです。
地図上で価格を確認できるため、複数の評価方法を比較しながら相場を把握できます。
土地代の相場|全国平均・地域別の価格動向(2025年最新版)
土地代の相場は、地域により大きく異なります。2025年の最新データを確認しましょう。
(1) 全国平均の土地価格|2025年は23万3,296円/m²(坪単価77万円)
土地代データによると、2025年(令和7年)の日本全国の地価総平均は以下の通りです。
- 平米単価: 23万3,296円/m²
- 坪単価: 77万1,228円
- 前年比: +2.17%
2024年も全国的に地価は上昇傾向にあり、経済回復、再開発プロジェクト、インバウンド需要増加などが地価上昇の要因となっています。
(2) 都市部の土地価格|東京都は69万8,836円/m²(坪単価231万円)
都市部の土地価格は全国平均を大きく上回ります。
東京都の土地取引価格(2024年第1四半期)
- 平米単価: 69万8,836円/m²
- 坪単価: 231万202円
- 前年比: +14.26%
東京都の中でも、港区、千代田区、中央区などの都心部はさらに高額です。
(3) 郊外・地方の土地価格|地域差と価格推移の特徴
郊外や地方の土地価格は、都市部と比べて低めです。ただし、駅近や人気エリアでは高額になることもあります。
地域差の特徴
- 都市部: 交通利便性、商業施設、再開発により高額
- 郊外: 都市部よりも低額だが、駅近や人気学区は高額
- 地方: 全国平均を下回る地域が多いが、観光地や人口増加エリアは上昇傾向
購入を検討するエリアの相場は、国土交通省 不動産情報ライブラリで確認してください。
(4) 2024-2025年の地価動向|全国的に上昇傾向、都市部・観光地で顕著
日本経済新聞「あなたの街の地価は? 上昇・下落率マップ2025」によると、2024-2025年の地価動向は以下の通りです。
- 全国的に地価は上昇傾向
- 特に都市部(東京、大阪、名古屋等)や観光地(京都、沖縄、北海道等)で上昇が顕著
- 地方の一部では横ばいまたは下落傾向
土地購入を検討する際は、最新の地価動向を確認し、今後の価格推移も考慮することが重要です。
土地購入時の諸費用|仲介手数料・登記費用の内訳と計算方法
土地購入時には、土地代以外に諸費用がかかります。諸費用の内訳と計算方法を理解しておきましょう。
(1) 諸費用の総額|土地代の5~10%が目安
土地購入時の諸費用は、土地代の5~10%が目安です。
2,000万円の土地を購入する場合の諸費用例
- 仲介手数料: 約72万円
- 登記費用: 約20万円
- 固定資産税・都市計画税の日割り精算: 約5万円
- その他: 約3万円
- 合計: 約100万円(土地代の5%)
諸費用は物件や仲介会社により異なるため、契約前に詳細を確認してください。
(2) 仲介手数料|(土地代×3%+6万円)+消費税の計算式
仲介手数料は、不動産会社に支払う仲介報酬です。宅地建物取引業法により、上限額が定められています。
計算式
仲介手数料 = (土地代 × 3% + 6万円) + 消費税
2,000万円の土地の仲介手数料例
(2,000万円 × 3% + 6万円) + 消費税
= (60万円 + 6万円) + 6.6万円
= 72.6万円
仲介手数料は、契約時や引き渡し時に支払うのが一般的です。
(3) 登記費用|登録免許税・司法書士報酬の内訳
登記費用は、土地の所有権移転登記にかかる費用です。
登記費用の内訳
- 登録免許税: 固定資産税評価額の2%(土地の売買の場合)
- 司法書士報酬: 5万円~15万円(地域・司法書士により異なる)
固定資産税評価額は、市町村が決定する評価額で、実際の取引価格よりも低めに設定されることが多いです。
(4) その他の費用|固定資産税・都市計画税の日割り精算等
その他の費用として、以下が含まれます。
- 固定資産税・都市計画税の日割り精算: 引き渡し日以降の税金を買主が負担
- 測量費用: 土地の境界を確定する場合(30万円~50万円)
- 地盤調査費用: 地盤の強さを確認する場合(5万円~10万円)
- インフラ引き込み費用: 上下水道、電気、ガス等が未整備の場合(数十万円~数百万円)
これらの費用は物件により異なるため、購入前に不動産会社に確認してください。
土地購入時の注意点|用途地域・災害リスク・接道状況を確認
土地購入時には、以下の注意点を事前に確認しましょう。
(1) 用途地域の確認|13種類の地域区分と建築制限
用途地域とは、都市計画法で定められた13種類の地域区分です。用途地域により、建物の種類・規模が制限されます。
用途地域の例
- 第一種低層住居専用地域: 低層住宅専用、高さ制限あり
- 第二種低層住居専用地域: 低層住宅中心、小規模店舗可
- 商業地域: 商業施設中心、高層建築可
建てたい建物が建築できるかどうかは、用途地域により決まります。購入前に、市町村の都市計画課や不動産会社に確認してください。
(2) 災害リスクの確認|地盤の強さ・液状化・浸水リスクをハザードマップで確認
土地の災害リスクを確認することは重要です。
確認すべきリスク
- 地盤の強さ: 地盤が弱いと液状化・地盤沈下のリスクがあり、地盤補強工事が必要になる可能性がある
- 液状化リスク: 埋立地や低地では液状化が発生しやすい
- 浸水リスク: 河川や海の近くでは浸水リスクがある
国土交通省 ハザードマップポータルサイトで、災害リスクを確認できます。
(3) 接道状況の確認|建築基準法の道路に2m以上接していることが必要
接道状況とは、敷地が道路に接している状況のことです。建築基準法により、敷地は建築基準法の道路に2m以上接していないと、建物を建てられません。
接道状況の確認ポイント
- 接している道路が建築基準法の道路か(幅員4m以上等)
- 敷地が道路に2m以上接しているか
- 旗竿地(敷地延長)の場合、通路部分の幅が十分か
接道状況は建築確認に影響するため、購入前に不動産会社や建築士に確認してください。
(4) インフラの確認|上下水道・電気・ガスの整備状況と引き込み費用
インフラ(上下水道、電気、ガス等)が未整備の場合、引き込み工事費用が別途必要になります。
引き込み工事費用の目安
- 上下水道: 数十万円~数百万円(距離により異なる)
- 電気: 数万円~数十万円
- ガス: 数万円~数十万円
インフラの整備状況は、購入前に市町村の担当課や不動産会社に確認してください。
(5) 地盤・高低差のリスク|造成工事・擁壁設置・地盤補強の追加費用
高低差が大きい土地や地盤が弱い土地は、追加費用がかかる可能性があります。
追加費用の例
- 造成工事: 土地を平らにする工事(数十万円~数百万円)
- 擁壁設置: 土留めのための擁壁を設置(数百万円~数千万円)
- 地盤補強工事: 地盤を強化する工事(50万円~200万円)
これらの費用は土地の状況により大きく異なるため、購入前に地盤調査や測量を行い、概算費用を確認することを推奨します。
まとめ|土地代を正しく把握して賢く購入しよう
土地代の相場は、地域により大きく異なります。2025年の全国平均は23万3,296円/m²(坪単価77万円)、東京都は69万8,836円/m²(坪単価231万円)です。
土地価格の調べ方は、公示地価、基準地価、相続税路線価、実勢価格の4種類があります。国土交通省 不動産情報ライブラリや全国地価マップを活用して、複数の評価方法を比較しましょう。
土地購入時の諸費用は土地代の5~10%が目安です。仲介手数料、登記費用、固定資産税・都市計画税の日割り精算等が含まれます。
用途地域、災害リスク、接道状況、インフラの整備状況を事前に確認し、追加費用が発生しないか確認してください。
信頼できる不動産会社や建築士に相談しながら、無理のない資金計画を立て、賢く土地を購入しましょう。
