土地所有者の調べ方【登記情報・公図の取得方法と注意点】

著者: Room Match編集部公開日: 2025/11/26

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土地所有者を調べる方法:登記情報から所有者を特定する手順

土地購入や境界確認を検討する際、「気になる土地の所有者を調べたい」「隣地の所有者を確認したい」と思う方は少なくありません。

この記事では、土地所有者の調べ方、登記情報の取得方法、地番の確認方法を、法務局公式サイトのデータを元に解説します。

オンライン請求・法務局窓口・郵送それぞれの方法と費用を比較し、読者が自分で手続きできるようになります。

この記事のポイント

  • 土地所有者を調べるには、登記情報提供サービスが最も安価(142円)で、登記簿謄本(600円)と同じ内容を確認できる
  • 登記簿謄本はオンライン請求が窓口より安く、郵送受取も可能で法務局に行く必要がない
  • 地番が分からない場合は、法務局で住宅地図と公図を照合することで特定できる
  • 名寄帳(固定資産課税台帳)を市区町村役場で取得すれば、1人の所有者が持つ全不動産を一覧で確認できる
  • 2024年4月から相続登記が義務化され、相続を知った日から3年以内の申請が必須となった

土地所有者を調べる必要性と活用場面

土地所有者の調査は、以下のような場面で必要になります。

土地購入前の所有者確認

土地購入を検討する際、登記簿上の所有者を確認することが重要です。

  • 売主との一致確認:売買契約の相手が真の所有者か確認
  • 抵当権等の確認:担保権が設定されていないか確認
  • 境界の明確化:隣地所有者を確認し、境界を明確にする

隣地との境界確定や紛争解決

境界紛争を解決する際、隣地の所有者を確認する必要があります。

  • 境界確定:土地家屋調査士が測量する際に隣地所有者の立会いが必要
  • 越境物の確認:木の枝や塀が越境している場合、所有者と交渉

相続での財産調査

相続が発生した際、被相続人が所有していた全ての不動産を調査する必要があります。

  • 相続財産の確定:名寄帳で被相続人の全不動産を一覧確認
  • 相続登記の準備:2024年4月から相続登記が義務化されたため早期対応が必要

土地所有者を調べる方法の基礎知識

土地所有者を調べる方法は、主に以下の3つです。

登記簿謄本(登記事項証明書)とは

登記簿謄本(登記事項証明書)とは:不動産の所有者や権利関係を記録した公的書類。法務局で誰でも取得可能(600円/通)です。

法務局公式サイトによると、登記簿謄本には以下の情報が記載されています。

項目 内容
所在・地番 土地の所在地と地番
地目・地積 土地の種類(宅地・田・畑等)と面積
所有者 現在の所有者の氏名・住所
権利関係 抵当権・地上権等の権利

登記簿謄本は公的証明書として使用できるため、売買契約や相続手続き等の正式な場面で必要です。

登記情報提供サービスとは

登記情報提供サービスとは:インターネットで登記情報を確認できるサービス。142円で最も安価ですが、公的証明書としては使用できません。

内容は登記簿謄本と同じですが、正式な手続きには登記事項証明書が必要です。

名寄帳(固定資産課税台帳)とは

名寄帳(固定資産課税台帳)とは:1人の所有者が持つ全不動産を市区町村ごとに一覧化した書類。固定資産税がかからない不動産も記載されます。

税理士法人チェスターによると、名寄帳は相続人・遺言執行者・財産管理人も請求可能です。

相続で土地を調査する場合、名寄帳は固定資産税がかからない私道や農地も記載されるため、漏れなく確認できます。

誰でも調べられるのか?第三者の請求可否

法務局公式サイトによると、登記簿謄本は誰でも取得できます。

不動産との関係性は不要であり、第三者でも請求可能です。

ただし、市区町村役場の名寄帳は原則として本人または相続人のみが請求できます。

登記情報の取得方法と費用比較

登記情報の取得方法は、オンライン・法務局窓口・郵送の3つがあります。

登記情報提供サービス(142円)の使い方

登記情報提供サービスは、インターネットで登記情報を確認できる最も安価な方法です。

手順

  1. 登記情報提供サービスにアクセス
  2. 利用者登録(クレジットカードまたは口座振替)
  3. 地番または家屋番号を入力して検索
  4. 142円で登記情報を取得

注意点

  • 公的証明書として使用できない
  • PDF形式でダウンロード可能
  • 法務局の認証文がない

登記簿謄本のオンライン請求(郵送受取480円)

法務局公式サイトによると、オンライン請求で郵送受取を選択すると480円で取得できます。

手順

  1. 登記・供託オンライン申請システムにアクセス
  2. 利用者登録
  3. 地番または家屋番号を入力して請求
  4. 手数料をインターネットバンキング等で納付
  5. 郵送で受取

メリット

  • 法務局に行く必要がない
  • 窓口(600円)より安い
  • 公的証明書として使用可能

法務局窓口での取得(600円)

法務局の窓口で直接取得する方法です。

手順

  1. 法務局の窓口に行く
  2. 登記事項証明書交付申請書に記入
  3. 手数料600円(収入印紙)を支払う
  4. その場で受取

メリット

  • 即日受取可能
  • 窓口職員に相談できる

デメリット

  • オンラインより120円高い
  • 法務局の開庁時間(平日8時30分~17時15分)に行く必要がある

登記事項要約書(450円)との違い

登記事項要約書とは:登記簿の概要を記載した書類。450円で取得可能ですが、公的証明書としては使用できません。

登記事項要約書は、内容確認のみを目的とする場合に利用します。

地番の調べ方と公図・名寄帳の活用

土地所有者を調べる際、地番が必要です。

地番と住所(住居表示)の違い

地番とは:登記簿上で土地を特定するための番号。住所(住居表示)とは異なります。

項目
住所(住居表示) 東京都千代田区丸の内1丁目1番1号
地番 東京都千代田区丸の内1丁目1番

住所だけでは登記簿を取得できないため、地番の確認が必要です。

ブルーマップや公図での地番確認

ブルーマップとは:住宅地図に地番が記載された地図。法務局や図書館で閲覧可能です。

公図とは:土地の位置・形状・地番を示した図面。法務局で取得可能(450円)です。

地番の調べ方

  1. 法務局で住宅地図と公図を照合
  2. ブルーマップを図書館・法務局で閲覧
  3. 法務局職員に住所を伝えて地番を教えてもらう

名寄帳で所有者の全不動産を一覧確認

名寄帳は、1人の所有者が持つ全不動産を市区町村ごとに一覧化した書類です。

税理士法人チェスターによると、名寄帳には以下の情報が記載されます。

  • 所在・地番
  • 地目・地積
  • 評価額・課税標準額
  • 固定資産税額

固定資産税がかからない私道・農地・公衆用道路も記載されるため、相続時の財産調査に有効です。

市区町村役場での手続き

名寄帳は、市区町村役場の固定資産税課で取得できます。

手順

  1. 市区町村役場の固定資産税課に行く
  2. 名寄帳交付申請書に記入
  3. 本人確認書類を提示(相続人の場合は戸籍謄本等も必要)
  4. 手数料(市区町村により異なる、概ね200-400円)を支払う
  5. 受取

注意点

  • 原則として本人または相続人のみが請求可能
  • 第三者は固定資産税の課税情報を閲覧できない

所有者調査の注意点とよくある失敗

土地所有者を調べる際、以下の点に注意が必要です。

相続登記未了で実際の所有者と異なる場合

登記簿に記載された所有者が既に死亡しており、相続登記が未了の場合、実際の権利者と登記簿が一致しません。

政府広報オンラインによると、2024年4月から相続登記が義務化され、相続を知った日から3年以内の申請が必須となりました。

正当な理由なく申請しない場合は10万円以下の過料が科されます。

相続登記とは:不動産の所有者が死亡した際に、相続人への名義変更を行う登記。2024年4月から義務化されました。

登記情報は公的証明書として使えない

登記情報提供サービスで取得した情報は公的証明書として使用できません。

売買契約や相続手続き等の正式な場面では、登記事項証明書(登記簿謄本)が必要です。

所有者不明土地の調査と相続登記義務化

所有者不明土地とは:登記簿上の所有者が死亡・所在不明等により、現在の所有者が直ちに判明しない土地です。

所有者不明土地の発生を防ぐため、不動産登記制度が見直され、登記名義人の住所変更登記も義務化されました。

所有者不明土地の調査は専門的な知識が必要な場合があるため、司法書士への相談を推奨します。

個人情報保護と正当な利用目的

登記情報は誰でも取得できますが、個人情報保護法の観点から、正当な目的での利用が前提です。

  • 不正な目的での利用:ストーカー行為、嫌がらせ等
  • 正当な目的での利用:土地購入、境界確認、相続調査等

他人の登記情報を無断で公開する行為は、個人情報保護法違反となる可能性があります。

まとめ:目的別の調べ方と次のアクション

土地所有者を調べる方法は、登記情報提供サービス(142円)が最も安価で、登記簿謄本のオンライン請求(郵送受取480円)が便利です。地番が分からない場合は、法務局で住宅地図と公図を照合することで特定できます。

目的別の調べ方

土地購入前の所有者確認

  • 登記情報提供サービスで内容確認(142円)
  • 正式な契約前に登記簿謄本を取得(480円~)

隣地との境界確定

  • 登記簿謄本で隣地所有者を確認(480円~)
  • 土地家屋調査士に測量を依頼

相続での財産調査

  • 名寄帳で被相続人の全不動産を確認(200-400円)
  • 相続登記の準備(司法書士への相談推奨)

次のアクション

  1. 地番の確認:住所から地番を調べる
  2. 登記情報の取得:目的に応じて登記情報提供サービスまたは登記簿謄本を取得
  3. 専門家への相談:複雑な案件は司法書士・土地家屋調査士に相談

信頼できる専門家に相談しながら、適切な方法で土地所有者を調査することが重要です。

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よくある質問

Q1土地所有者を無料で調べる方法はある?

A1完全無料の方法はありません。最も安価なのは登記情報提供サービス(142円)ですが、公的証明書としては使えません。正式な手続きには登記簿謄本(オンライン郵送受取480円、窓口600円)が必要です。地番の確認は法務局で無料でできます。

Q2地番が分からない場合はどうすればいい?

A2法務局で住宅地図と公図を照合、またはブルーマップ(住宅地図に地番が記載された地図)を図書館・法務局で閲覧します。法務局職員に住所を伝えて地番を教えてもらうことも可能です。詳細は法務局公式サイトでご確認ください。

Q3第三者でも土地所有者を調べられる?

A3誰でも調べられます。登記簿謄本の取得に不動産との関係性は不要です。ただし、市区町村役場の名寄帳(固定資産課税台帳)は原則として本人または相続人のみが請求可能です。正当な目的での利用が前提となります。

Q4登記簿の所有者が死亡している場合は?

A4相続登記が未了の場合、実際の権利者と登記簿が一致しません。2024年4月から相続登記が義務化され、相続を知った日から3年以内の申請が必須となりました。正当な理由なく申請しない場合は10万円以下の過料が科されます。所有者不明の場合は司法書士への相談を推奨します。

Q5登記情報提供サービスと登記簿謄本の違いは?

A5内容は同じですが、登記情報提供サービスで取得した情報は公的証明書として使えません。売買契約や相続手続き等の正式な場面では登記事項証明書(登記簿謄本)が必要です。費用は登記情報提供サービスが142円、登記簿謄本がオンライン郵送受取480円、窓口600円です。

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Room Match編集部

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