土地図面の種類と用途
土地を購入する際、図面の確認は必須です。土地図面には公図、地積測量図、確定測量図など複数の種類があり、それぞれ役割と精度が異なります。これらを正しく理解せずに購入すると、境界トラブルや建築制限の見落としにつながる可能性があります。
この記事では、土地図面の種類と用途、入手方法、見方と確認ポイント、購入時に必要な図面、トラブル回避法を詳しく解説します。法務局での取得方法やオンライン請求の手順、公図と現況のズレへの対処法など、実務に役立つ情報をまとめました。
この記事のポイント
- 土地図面は公図・地積測量図・確定測量図の3種類があり、用途と精度が異なる
- 法務局で公図・地積測量図を取得可能で、オンライン請求なら即時入手できる
- 公図は位置・形状を示すが精度が低く、地積測量図は正確な面積・境界を記録
- 境界未確定の土地は確定測量(60万円~100万円)の実施が必要でトラブル回避に重要
公図(不動産登記法14条地図)の役割
公図は、土地の位置・形状・地番を示す図面で、法務局に備え付けられています。不動産登記法14条に基づく地図として、土地の大まかな配置を確認するために使用されます。
ただし、公図の多くは明治時代の地租改正時に作成された「字図」や「地図に準ずる図面」であり、測量精度が低い場合があります。縮尺が不正確で、実際の土地の形状・面積と一致しないことも珍しくありません。
公図の用途:
- 土地の位置関係の大まかな確認
- 隣接地との位置関係の把握
- 地番の確認
公図はあくまで「参考図面」として扱い、正確な境界確認には地積測量図または確定測量図が必要です。
地積測量図(面積・境界の正確な記録)
地積測量図は、測量士または土地家屋調査士が測量した結果を記録した図面で、土地の面積・境界点の座標値が記載されています。土地の分筆・合筆、地積更正などの登記申請時に法務局に提出されます。
地積測量図の記載内容:
- 土地の形状と面積
- 境界点の座標値(世界測地系)
- 測量年月日と測量者の署名・押印
- 隣接地との境界線
地積測量図は公図と異なり、測量に基づく正確な図面です。ただし、古い地積測量図(平成17年以前)は座標値が記載されていない場合があり、精度が劣る可能性があります。
確定測量図(境界確定済みの正式図面)
確定測量図は、隣接地所有者全員の立会いと承諾を得て境界を確定し、作成された測量図です。土地家屋調査士が作成し、隣接地所有者の署名・押印が記載されています。
確定測量図の特徴:
- 隣接地所有者全員の立会いと承諾済み
- 境界標(コンクリート杭・プレート等)が設置済み
- 境界トラブルのリスクが最小
- 売買契約時に最も信頼性の高い図面
確定測量図がある土地は、境界が明確で安心して購入できます。逆に確定測量図がない場合は、購入前に確定測量の実施を売主に依頼することをおすすめします。
土地図面の入手方法
法務局での公図・地積測量図の取得
公図と地積測量図は、全国の法務局(登記所)で誰でも取得できます。土地の所在地を管轄する法務局で、窓口または郵送で請求します。
窓口請求の流れ:
- 法務局の窓口で「公図・地積測量図交付請求書」に記入
- 土地の地番を記載(地番がわからない場合は住所から検索可能)
- 手数料を支払う(公図450円、地積測量図450円)
- その場で交付(混雑時は数十分待つ場合あり)
郵送請求の流れ:
- 法務局のホームページから交付請求書をダウンロード
- 必要事項を記入し、返信用封筒と収入印紙を同封
- 管轄法務局に郵送
- 数日~1週間程度で返送される
オンライン請求(登記情報提供サービス)
登記情報提供サービスを利用すれば、インターネットで公図・地積測量図をPDFで即時取得できます。手数料は1通361円で、法務局窓口より安価です。
利用方法:
- 登記情報提供サービスに利用登録(クレジットカード決済)
- 土地の所在地・地番を入力して検索
- 公図・地積測量図を選択して請求
- PDFファイルがダウンロード可能(印刷して利用)
注意点として、オンラインで取得した図面は「登記情報」であり、正式な「登記事項証明書」ではありません。売買契約等で正式な証明書が必要な場合は、法務局で登記事項証明書を取得してください。
不動産会社・土地家屋調査士経由での入手
土地の購入を検討している場合、不動産会社や土地家屋調査士に依頼すれば、公図・地積測量図を代理で取得してもらえます。特に土地家屋調査士は境界確認のプロフェッショナルであり、図面の読み方や注意点も含めてアドバイスを受けられます。
確定測量図が必要な場合は、土地家屋調査士に依頼して測量を実施してもらいます。費用は60万円~100万円以上ですが、境界トラブルを未然に防ぐための重要な投資です。
土地図面の見方と確認ポイント
公図の縮尺と精度の限界
公図には縮尺が記載されていますが(例:1/600)、実際の縮尺と一致しないことが多いため注意が必要です。特に古い公図(明治時代作成の字図)は、測量精度が低く、実測との誤差が数メートルに及ぶ場合もあります。
公図で確認すべきポイント:
- 土地の地番と隣接地の地番
- 前面道路の幅員(ただし正確ではない)
- 隣接地との位置関係
- 接道状況(接道義務を満たしているか)
公図はあくまで「位置関係の参考」として使用し、正確な面積・境界は地積測量図で確認してください。
地積測量図の境界点と座標値
地積測量図には、境界点の座標値が記載されています(平成17年以降の測量図)。座標値は世界測地系(平成14年以降)またはGPS測量による正確な数値であり、境界の位置を再現できます。
地積測量図で確認すべきポイント:
- 土地の面積(登記簿面積と一致するか)
- 境界点の座標値(座標値が記載されているか)
- 測量年月日(古すぎないか、平成17年以降が望ましい)
- 測量者の署名・押印(土地家屋調査士の資格者か)
座標値が記載されていない古い地積測量図の場合、精度が低い可能性があります。購入前に新たに測量を実施することをおすすめします。
隣接地との境界線の確認方法
地積測量図や確定測量図には、隣接地との境界線が記載されています。境界線が確定しているか、境界標(杭・プレート)が設置されているかを現地で確認してください。
現地確認のポイント:
- 境界標の有無(コンクリート杭、金属プレート等)
- 境界標が測量図の位置と一致しているか
- 隣接地所有者が境界を認識しているか
境界標がない、または境界が不明確な場合は、確定測量を実施して境界を明確にすることが重要です。
土地購入時に必要な図面
売買契約時:公図・地積測量図
土地の売買契約を締結する際、最低限必要な図面は公図と地積測量図です。これらの図面で土地の位置・面積を確認し、登記簿の記載と一致しているかを確認します。
契約時の確認事項:
- 地番と地積が登記簿と一致しているか
- 隣接地との境界が明確か
- 接道義務を満たしているか(幅員4m以上の道路に2m以上接する)
建築確認申請時:確定測量図
建物を建築する際、建築確認申請に確定測量図が必要です。確定測量図がない場合、建築前に測量を実施して確定測量図を作成する必要があります。
融資申込時:土地の図面一式
住宅ローンを申し込む際、金融機関に土地の図面一式(公図・地積測量図・確定測量図)を提出します。金融機関は土地の担保価値を評価するため、正確な図面が必要です。
土地図面に関するトラブル回避法
公図と現況のズレへの対処法
公図と現地の状況にズレがある場合、以下の対処法があります。
対処法:
- 現地測量の実施:土地家屋調査士に依頼して実測し、公図とのズレを確認
- 地図訂正の申請:法務局に地図訂正を申請(時間と費用がかかる)
- 確定測量の実施:隣接地所有者の立会いを得て境界を確定
公図のズレが大きい場合、土地の面積や形状が登記簿と異なる可能性があるため、購入前に必ず実測してください。
境界未確定土地のリスク
境界が未確定の土地(境界標がない、隣接地所有者の承諾がない)は、以下のリスクがあります。
リスク:
- 隣接地との境界トラブル(越境・侵入等)
- 建築時に隣地所有者から境界確認を求められる
- 売却時に境界確定を求められ、売却が遅れる
- 金融機関の担保評価が下がる可能性
境界未確定の土地を購入する場合は、売買契約の特約として「売主負担で確定測量を実施する」ことを明記することをおすすめします。
隣接地所有者との境界トラブル防止策
境界トラブルを防ぐための最も確実な方法は、購入前に確定測量を実施することです。
確定測量の流れ:
- 土地家屋調査士に測量を依頼
- 隣接地所有者全員に立会いを依頼
- 境界点を確認し、境界標を設置
- 隣接地所有者から境界確認書(筆界確認書)に署名・押印をもらう
- 確定測量図を作成し、法務局に提出
費用は60万円~100万円以上かかりますが、将来の境界トラブルを防ぐための重要な投資です。
まとめ:土地図面を正しく活用するために
土地図面は、公図・地積測量図・確定測量図の3種類があり、それぞれ用途と精度が異なります。公図は位置関係の参考、地積測量図は面積・境界の正確な記録、確定測量図は境界確定済みの正式図面として活用します。
法務局で公図・地積測量図を取得でき、オンライン請求なら即時入手可能です(手数料361円)。土地購入前に必ず公図・地積測量図を確認し、境界が未確定の場合は確定測量の実施を強くおすすめします。
公図と現況のズレ、境界標の有無、隣接地所有者との境界トラブルリスクを事前に確認し、専門家(土地家屋調査士)の助言を活用してください。境界未確定の土地は将来のトラブルの原因となるため、購入前の確定測量実施が重要です。


