貸土地(土地賃貸)とは:仕組み・地代相場・メリット・注意点を解説

著者: Room Match編集部公開日: 2025/12/8

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貸土地(土地賃貸)とは:土地活用の選択肢として

土地を所有しているものの、「売却はしたくない」「何か活用したい」とお考えの方は少なくありません。

この記事では、貸土地(土地賃貸)の仕組み、借地権の種類、地代相場、メリット・デメリット、契約時の注意点を、国税庁国土交通省の公式情報を元に解説します。

土地活用を検討されている方が、貸土地という選択肢を正しく理解できるようになります。

この記事のポイント

  • 貸土地とは土地のみを貸し出して地代収入を得る活用方法
  • 借地権には普通借地権と定期借地権があり、返還条件が異なる
  • 地代相場は契約形態により土地価格の2〜6%程度が目安
  • 貸主は安定収入を得られるが、長期契約で土地の自由な利用が制限される
  • 契約書の作成と専門家への相談がトラブル回避の鍵

借地権の種類:普通借地権と定期借地権の違い

貸土地の契約形態は「借地権」によって定められます。借地権とは、建物所有を目的として他人の土地を借りる権利のことです。

普通借地権(期間30年以上・更新可能)

普通借地権は、契約期間が最低30年で、更新が可能な借地権です。

項目 内容
契約期間 30年以上
更新 可能(最初の更新は20年、その後は10年ごと)
返還 正当事由がなければ貸主からの解約は困難

普通借地権は借主の権利が強く保護されているため、一度貸すと長期間にわたって返還が難しくなる可能性があります。

定期借地権(期間満了で確実に返還)

定期借地権は、契約期間満了で確実に土地が返還される借地権です。1992年の借地借家法改正により導入されました。

項目 内容
契約期間 50年以上(一般定期借地権の場合)
更新 なし(期間満了で終了)
返還 契約期間満了で確実に返還

旧借地法では土地が返還されないトラブルが多発しましたが、定期借地権の導入により、貸主が安心して土地を貸せるようになりました。

事業用定期借地権と建物譲渡特約付借地権

事業用定期借地権は、店舗やオフィスなど事業用建物に限定した定期借地権で、契約期間は10年以上50年未満です。住宅には使用できません。

建物譲渡特約付借地権は、期間満了時に建物を地主に譲渡する特約が付いた借地権で、30年以上の契約期間が必要です。

地代(借地料)の相場と決め方

地代とは、土地を借りる対価として支払う賃料のことです。

地代相場の目安(土地価格の2〜6%)

地代相場は契約形態により異なります。

契約形態 地代相場(年額)
事業用定期借地権 土地価格の約6%
普通借地権 土地価格の約3〜4%
建物譲渡特約付借地権 土地価格の約2%

例えば、土地価格が3,000万円の場合、事業用定期借地権なら年間約180万円(月額約15万円)が目安となります。ただし、地域や用途により大きく異なる場合があります。

5つの計算方法(積算法・賃貸事例比較法など)

地代の算定方法は主に以下の5つがあります。

  • 積算法: 土地価格に期待利回りを乗じて算定
  • 賃貸事例比較法: 周辺の類似物件の賃料を参考に算定
  • 収益分析法: 借主の事業収益から支払可能賃料を逆算
  • 公租公課法: 固定資産税の3〜5倍程度を目安に算定
  • 路線価法: 路線価を基準に算定

複数の方法で算定し、適正価格を判断することが推奨されます。

用途による地代の違い(店舗・駐車場・資材置場)

借主の用途によって地代水準は異なります。コンビニや飲食店など収益性の高い用途では高めの地代が期待できますが、資材置場など収益性の低い用途では低めになる傾向があります。

貸土地のメリット・デメリット【貸主・借主別】

貸主のメリット:安定収入・固定資産税の負担

貸主にとっての主なメリットは以下の通りです。

  • 安定した地代収入: 長期契約により毎月安定した収入を得られる
  • 管理の手間が少ない: 建物の維持管理は借主が行う
  • 土地を手放さずに活用: 売却せずに収益化できる

貸主のデメリット:長期契約・土地利用の制限

一方、貸主のデメリットも把握しておく必要があります。

  • 長期間の土地拘束: 普通借地権では30年以上の長期契約となる
  • 自由な土地利用の制限: 貸している間は自分で使えない
  • 返還の困難さ: 普通借地権では途中解約が難しい

借主のメリット・デメリット

借主にとっては、土地を購入するより初期費用を抑えられる点がメリットです。ただし、建物の所有権は持てても土地の所有権は持てないため、資産価値の面ではデメリットとなる場合があります。

貸土地契約の流れと注意点

契約書作成のポイント(期間・地代・更新条件)

契約書には以下の項目を明確に記載することが重要です。

  • 契約期間と更新の有無
  • 地代の金額と改定条件
  • 土地の用途制限
  • 契約終了時の原状回復義務
  • 解約条件

契約書の様式は国税庁で公開されているひな形を参考にできます。

確定申告と税金(不動産所得)

貸土地による収入は「不動産所得」として確定申告が必要です。

不動産所得 = 地代収入 − 必要経費(固定資産税、修繕費等)

固定資産税は原則として土地所有者(貸主)が負担しますが、契約で借主負担と定めることも可能です。詳細は税理士への相談を推奨します。

トラブル回避のための注意点

貸土地でよくあるトラブルと対策は以下の通りです。

  • 地代改定トラブル: 改定条件を契約書に明記しておく
  • 契約終了時の返還トラブル: 定期借地権を選択する
  • 用途違反: 用途制限を契約書に明記する

契約前に宅地建物取引士や弁護士への相談を推奨します。

まとめ:貸土地を成功させるためのポイント

貸土地は、土地を売却せずに安定した収入を得られる土地活用方法です。借地権の種類(普通借地権・定期借地権)によって契約期間や返還条件が大きく異なるため、目的に応じた選択が重要です。

地代相場は契約形態や用途により異なり、土地価格の2〜6%程度が目安となります。契約書の作成は慎重に行い、専門家(宅地建物取引士、弁護士、税理士)への相談を活用しましょう。

貸土地を検討される場合は、複数の不動産会社に相談し、最適な活用方法を見つけることが成功への第一歩です。

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よくある質問

Q1貸土地の地代相場はいくらですか?

A1地代相場は契約形態により異なります。事業用定期借地権で土地価格の約6%、普通借地権で約3〜4%、建物譲渡特約付借地権で約2%が目安です。例えば、土地価格3,000万円の事業用定期借地権なら年間約180万円(月額約15万円)程度となります。ただし、地域や用途により大きく変動するため、複数の方法で算定することを推奨します。

Q2土地を貸すと固定資産税はどうなりますか?

A2固定資産税は原則として毎年1月1日時点の土地所有者(貸主)が負担します。ただし、契約で借主負担と定めることも可能です。地代に固定資産税相当額を上乗せして設定するケースも多く見られます。税金の取り扱いについては、契約前に税理士への相談を推奨します。

Q3土地を貸したら返してもらえなくなりませんか?

A3旧借地法では土地が返還されないトラブルが多発しましたが、1992年の借地借家法改正で導入された定期借地権を選択すれば、契約期間満了で確実に土地が返還されます。普通借地権は30年以上の長期契約となり、正当事由がなければ貸主からの解約は困難です。土地の返還を確実にしたい場合は、定期借地権での契約を検討しましょう。

Q4貸土地の収入に確定申告は必要ですか?

A4必要です。地代収入は「不動産所得」として確定申告が必要となります。不動産所得は、地代収入から必要経費(固定資産税、修繕費、管理費等)を差し引いて計算します。確定申告の方法や節税対策については、税理士への相談を推奨します。

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Room Match編集部

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