金沢市の不動産市場の特徴と北陸新幹線の影響
コンパクトシティとしての魅力:居住・ビジネス・商業エリアが隣接
金沢市は、人口約47万人の北陸地方最大の都市です。居住エリア、ビジネスエリア、商業エリアが隣接したコンパクトな街づくりが特徴で、生活利便性が高いエリアとして注目されています。
コンパクトシティとは、都市機能が集約され、移動距離が短く、生活に必要な施設が徒歩圏内にある都市のことを指します。金沢市は、この理念を実現しており、「街の住みここちランキング(2025年版)」で県内第2位、「住みたい街ランキング(2025年版)」で石川県全体で7年連続第1位を獲得しています。
北陸新幹線で東京まで約2時間半:アクセス性の向上
2015年の北陸新幹線開業により、金沢駅から東京駅まで約2時間半でアクセスできるようになりました。この交通利便性の向上が、金沢市の不動産市場に大きな影響を与えています。
北陸新幹線は、金沢駅から富山駅、長野駅を経由して東京駅まで直通しており、ビジネスや観光での往来が活発化しました。この影響で、金沢駅周辺エリアの不動産価格は上昇傾向にあります。
住みやすさランキング上位:街の住みここち県内第2位
金沢市は、治安が良く、教育施設や医療機関が充実しており、住みやすい街として評価されています。2022年の刑法犯発生件数は1,772件で、人口千人当たり約3.8件と、全国平均の4.8件より低い水準です。
伝統文化と現代的な都市機能が共存する金沢市は、観光地としても人気があり、兼六園や金沢城公園、ひがし茶屋街などの名所が点在しています。観光情緒と生活利便性が両立する街として、幅広い世代に人気があります。
金沢市のエリア別不動産価格相場:2024年最新データ
この記事のポイント
- 金沢市の不動産価格は2024年の基準地価平均で14.2万円/m²、前年比+2.96%の上昇
- 土地取引価格は2024年第1四半期で前年比+37.74%と大幅上昇、価格変動が大きい
- 人気エリアは金沢駅周辺、香林坊・武蔵、金沢駅西で、中古マンションは2LDKで約1,000万〜2,500万円
- 売却の流れは6ステップで3〜6ヶ月かかり、相続物件は遺産分割協議や名義変更が必要
- 税金は不動産取得税(標準税率4%、住宅・土地は特例で3%)、固定資産税(税率1.4%、毎年)
全市平均:基準地価14.2万円/m²、前年比+2.96%
2024年の金沢市の基準地価平均は14万1,718円/m²、坪単価では46万8,491円/坪で、前年からの変動率は+2.96%の上昇となりました。
用途別では、住宅地が8万7,574円/m²(前年比+2.37%)、商業地が25万2,351円/m²(前年比+4.09%)と、商業地の上昇率が高い傾向にあります。
用途別価格:住宅地8.8万円/m²、商業地25.2万円/m²
用途別の価格は以下の通りです。
| 用途 | 基準地価平均(m²) | 前年比 |
|---|---|---|
| 住宅地 | 8万7,574円 | +2.37% |
| 商業地 | 25万2,351円 | +4.09% |
住宅地と商業地を比較すると、商業地の価格が約2.9倍高く、上昇率も高い傾向にあります。
土地取引価格:2024年第1四半期で前年比+37.74%の大幅上昇
2024年(令和6年)第1四半期の金沢市の土地取引価格は、平方メートル単価10万9,545円/m²、坪単価36万2,133円/坪で、前年比+37.74%の大幅上昇を記録しました。
基準地価は緩やかな上昇傾向にありますが、実際の取引価格は短期的に大きく変動する可能性があります。価格変動リスクを考慮し、購入時期を慎重に判断することが重要です。
人気エリアの相場:金沢駅周辺、香林坊・武蔵、金沢駅西
金沢市で人気のエリアは、以下の通りです。
- 金沢駅周辺: 北陸新幹線や複数路線が利用可能で、商業施設が充実。ビジネスと観光の拠点として人気
- 香林坊・武蔵エリア: 兼六園や金沢城公園に近く、観光情緒と利便性が両立。おしゃれなカフェや雑貨屋が多い
- 金沢駅西エリア: 県庁や中央病院があり、ビジネスマン向けの単身用物件が多数。静かな住環境が魅力
これらのエリアは、交通利便性と住環境のバランスが良く、不動産価格も安定しています。
マンション相場:2LDK約1,000万〜2,500万円、3LDK約1,500万〜4,000万円
金沢市の中古マンション価格相場は、以下の通りです。
| 間取り | 価格相場 |
|---|---|
| 2LDK(二人暮らし向け) | 約1,000万〜2,500万円 |
| 3LDK・4LDK(ファミリー向け) | 約1,500万〜4,000万円 |
東京などの大都市に比べると手頃な価格帯で、広い間取りのマンションを購入できる可能性があります。
金沢市で物件を選ぶ際のポイント:立地・利便性・将来性
金沢駅周辺エリア:北陸新幹線・複数路線利用可、商業施設充実
金沢駅周辺は、北陸新幹線やJR北陸本線、IRいしかわ鉄道線が利用できる利便性の高いエリアです。駅直結の商業施設「金沢百番街」や、近隣の「フォーラス金沢」などがあり、買い物や外食に便利です。
ビジネスと観光の拠点として発展しており、ホテルやオフィスビルも多数立地しています。二人暮らしやビジネスマン向けの物件が豊富で、交通利便性を重視する方におすすめです。
香林坊・武蔵エリア:兼六園・金沢城公園に近く、観光情緒と利便性が両立
香林坊・武蔵エリアは、兼六園や金沢城公園に近く、観光情緒と利便性が両立する人気エリアです。おしゃれなカフェや雑貨屋が多く、休日の散策にも最適です。
繁華街である片町にも近く、飲食店や商業施設が充実しています。伝統文化と現代的な都市機能が共存するエリアとして、幅広い世代に人気があります。
金沢駅西エリア:県庁・中央病院があり、ビジネスマン向け物件多数
金沢駅西エリアは、石川県庁や金沢中央病院があり、公的機関や医療機関が集積しているエリアです。ビジネスマン向けの単身用物件が多く、静かな住環境が魅力です。
金沢駅から徒歩圏内で、北陸新幹線や複数路線が利用できるため、通勤にも便利です。閑静な住宅街としても評価されており、ファミリー層にもおすすめです。
治安の良さ:刑法犯発生件数は人口千人当たり約3.8件(全国平均4.8件より低い)
金沢市の治安は良好で、2022年の刑法犯発生件数は1,772件、人口千人当たり約3.8件と、全国平均の4.8件より低い水準です。
地域住民によるパトロールや、警察による防犯活動が熱心に行われており、安心して暮らせる環境が整っています。ファミリー層にとって、治安の良さは重要な選択基準となります。
金沢市の不動産取引の流れと税金
購入の流れ:物件探し→内見→契約→決済
不動産購入の流れは、以下の通りです。
| ステップ | 内容 | 期間目安 |
|---|---|---|
| 1. 物件探し | 不動産ポータルサイトや仲介会社で物件を探す | 1〜3ヶ月 |
| 2. 内見 | 実際に物件を見学し、周辺環境を確認 | 数日〜1ヶ月 |
| 3. 購入申込 | 購入意思を伝え、価格交渉を行う | 1週間 |
| 4. 売買契約 | 契約書を締結し、手付金を支払う | 1週間 |
| 5. 住宅ローン審査 | 金融機関で住宅ローンの審査を受ける | 1〜2週間 |
| 6. 決済・引渡し | 残金を支払い、所有権を移転 | 1〜2ヶ月 |
売却の流れ:依頼→媒介契約→販売活動→売買契約→引渡し・決済→確定申告
不動産売却の流れは、以下の通りです。
| ステップ | 内容 | 期間目安 |
|---|---|---|
| 1. 依頼 | 複数の不動産会社に査定を依頼 | 1週間 |
| 2. 媒介契約 | 不動産会社と媒介契約を締結 | 1週間 |
| 3. 販売活動 | 広告掲載、内見対応 | 1〜3ヶ月 |
| 4. 売買契約 | 買主と契約書を締結 | 1週間 |
| 5. 引渡し・決済 | 売却代金を受け取り、所有権を移転 | 1〜2ヶ月 |
| 6. 確定申告 | 売却益がある場合は確定申告 | 翌年2〜3月 |
売却完了までには3〜6ヶ月ほどかかります。相続物件の場合は、遺産分割協議や不動産名義の移転手続きが必要なため、さらに期間が延びる可能性があります。
不動産取得税:標準税率4%、住宅・土地は特例で3%に軽減
不動産取得税は、不動産を取得したときに1回だけ課税される石川県の県税です。石川県の公式サイトによると、標準税率は4%ですが、住宅や土地の取得は特例で3%に軽減されます。
登記の有無や、有償・無償を問わず課税される点に注意してください。課税時期は、取得後数ヶ月後に納税通知書が郵送されます。
固定資産税:税率1.4%、都市計画税0.3%、毎年1月1日時点の所有者に課税
固定資産税は、毎年1月1日時点の不動産所有者に課される金沢市の市税です。金沢市の公式サイトによると、税率は1.4%です。
都市計画税は、都市計画区域内の不動産に課される税金で、税率は0.3%です。固定資産税と合わせて納付します。
納税通知書は令和7年4月上旬に発送され、一括払いまたは4回の分割払いが可能です。
金沢市の不動産購入・売却で失敗しないための注意点
価格変動リスク:2024年第1四半期で前年比+37.74%と大幅上昇
金沢市の土地取引価格は、2024年第1四半期で前年比+37.74%と大幅な上昇を記録しました。基準地価は緩やかな上昇傾向にありますが、実際の取引価格は短期的に大きく変動する可能性があります。
価格変動リスクを考慮し、購入時期を慎重に判断することが重要です。複数の不動産会社に査定を依頼し、比較検討することを推奨します。
相続物件の手続き:遺産分割協議や不動産名義の移転が必要
相続物件を売却する場合は、以下の手続きが必要です。
手続きの流れ:
- 遺産分割協議: 相続人が複数いる場合、遺産の分割方法を協議
- 不動産名義の移転: 相続登記を行い、所有者を相続人に変更
- 売却の依頼: 名義変更後に不動産会社へ売却を依頼
相続物件の売却は、通常の売却よりも手続きが複雑で、期間も延びる可能性があります。司法書士や税理士への相談を推奨します。
売却に必要な書類:身分証明証、住民票、印鑑証明書、登記済権利証、実印
不動産売却時には、以下の書類が必要です。
- 身分証明証: 運転免許証、パスポート等
- 住民票: 市区町村役場で取得(発行から3ヶ月以内)
- 印鑑証明書: 市区町村役場で取得(発行から3ヶ月以内)
- 登記済権利証または登記識別情報: 不動産の所有権を証明する書類
- 実印: 印鑑証明書と同じ印鑑
書類の準備には時間がかかるため、売却を検討する際は早めに準備を開始してください。
賃貸市場の動向:2024年3月期の空室率13.9%
2024年3月期の金沢市における賃貸不動産の空室率は13.9%で、前期(2023年12月期)より0.8ポイント低下しました。空室率の低下は、賃貸需要が高まっていることを示しています。
投資用物件を検討する際は、賃貸市場の動向を確認し、空室リスクを考慮することが重要です。
まとめ:金沢市での不動産取引の最適な進め方
金沢市の不動産価格は、2024年の基準地価平均で14万1,718円/m²、坪単価46万8,491円/坪で、前年比+2.96%の上昇となりました。住宅地は8万7,574円/m²、商業地は25万2,351円/m²です。
土地取引価格は2024年第1四半期で前年比+37.74%と大幅上昇しており、価格変動が大きい点に注意が必要です。複数の不動産会社に査定を依頼し、比較検討することを推奨します。
人気エリアは金沢駅周辺、香林坊・武蔵、金沢駅西で、中古マンションは2LDKで約1,000万〜2,500万円、3LDKで約1,500万〜4,000万円と、東京などの大都市に比べて手頃な価格帯です。
売却の流れは6ステップ(依頼→媒介契約→販売活動→売買契約→引渡し・決済→確定申告)で、3〜6ヶ月ほどかかります。相続物件の場合は、遺産分割協議や不動産名義の移転手続きが必要なため、さらに期間が延びる可能性があります。
税金は、不動産取得税(標準税率4%、住宅・土地は特例で3%、購入時に1回のみ)、固定資産税(税率1.4%、毎年)、都市計画税(税率0.3%、都市計画区域内のみ、毎年)があります。
不動産取引は、専門家(宅地建物取引士、税理士、ファイナンシャルプランナー等)への相談を推奨します。契約内容、税金、将来の価格動向など、専門知識が必要な事項が多いため、信頼できる専門家に相談し、安心して取引を進めてください。
