転職直後でも住宅ローンは組めるのか
転職したばかりでも住宅購入を諦める必要はありません。
この記事では、転職直後の住宅ローン審査の実態、審査に通るための具体的な対策、金融機関による違い、転職前後のベストタイミングを、国土交通省の調査や住宅金融支援機構の公式情報を元に解説します。
ご自身の状況に合った金融機関選びと審査対策ができるようになります。
この記事のポイント
- 金融機関の93.6%が勤続年数を審査基準として考慮しており、1年以上が基本ライン
- フラット35は勤続年数不問、ネット銀行も要件が緩やかで転職直後でも申込可能
- キャリアアップ転職は審査にプラス評価される場合がある
- 転職前の申込みが有利だが、年収アップの場合は転職後も選択肢
- 本審査後の転職は必ず金融機関に報告が必要
(1) 金融機関の93.6%が勤続年数を審査基準として考慮
国土交通省の令和5年度調査によると、金融機関の93.6%が住宅ローン審査時に勤続年数を考慮しています。
勤続年数は、収入の安定性を測る重要な指標として位置付けられており、長いほど審査に有利に働きます。
(2) 転職直後の住宅ローン申込みの現実と可能性
多くの金融機関では勤続1年以上が目安とされていますが、金融機関や商品によって基準が異なります。
三井住友銀行の解説によると、転職直後でも審査に通る方法があり、金融機関選びと準備が重要です。
住宅ローン審査における勤続年数の重要性
勤続年数が審査でどのように評価されるかを理解しましょう。
(1) 勤続年数が審査に影響する理由
金融機関は、住宅ローンの返済期間(25〜35年)にわたって安定した収入があるかを重視します。
三菱UFJ銀行の解説によると、勤続年数が短い場合、以下の懸念があります。
- 今後も転職を繰り返す可能性がある
- 試用期間中で雇用が安定していない
- 収入が安定するまで時間がかかる
このため、勤続年数は収入の安定性を測る重要な指標となります。
(2) 一般的な勤続年数の基準|1年以上が目安
金融機関による勤続年数の基準は以下の通りです。
| 金融機関 | 勤続年数の目安 |
|---|---|
| メガバンク | 1年以上 |
| 地方銀行 | 1〜3年 |
| ネット銀行 | 不問または緩やか |
| フラット35 | 不問 |
一般的に勤続1年以上が基本ラインですが、3年以上あると審査に有利に働きます。
(3) 勤続年数以外の審査項目との関係
勤続年数は審査項目の一つであり、他の項目との総合的な評価で判断されます。
主な審査項目は以下の通りです。
- 年収: 安定した収入があるか
- 返済負担率: 年収に対する年間返済額の割合(一般的に30〜35%以下が目安)
- 信用情報: クレジットカードやローンの返済履歴
- 健康状態: 団体信用生命保険への加入可否
- 物件の担保価値: 物件の評価額
勤続年数が短くても、年収が高い、返済負担率が低い、信用情報に問題がない等の条件が揃えば、審査に通る可能性があります。
転職直後でも利用できる住宅ローンの選択肢
転職直後でも申込可能な住宅ローンがあります。
(1) フラット35|勤続年数不問の全期間固定金利ローン
住宅金融支援機構のフラット35は、勤続年数不問で申込可能です。
特徴:
- 全期間固定金利(金利上昇リスクなし)
- 勤続年数の要件なし
- 団体信用生命保険への加入は任意
注意点:
- 変動金利より金利が高い場合が多い
- 物件の技術基準(耐震性、省エネ性能等)を満たす必要がある
(2) ネット銀行|柔軟な審査基準で転職者にも対応
SBI新生銀行の解説によると、ネット銀行は勤続年数要件が緩やかまたは不問です。
主なネット銀行:
- イオン銀行
- SBI新生銀行
- auじぶん銀行
- ソニー銀行
特徴:
- 店舗コストが低いため、金利が低い
- 審査基準が柔軟
- Web完結で手続きが簡便
(3) 地方銀行・信用金庫|地域密着型の個別対応
地方銀行や信用金庫は、地域密着型の営業スタイルで個別対応をしてくれる場合があります。
転職理由や転職先の安定性を丁寧に説明することで、柔軟な審査が期待できます。
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審査に通るための具体的な対策とポイント
転職直後でも審査通過の可能性を高める方法があります。
(1) キャリアアップ転職は審査にプラス評価
三井住友銀行の解説によると、同業種・同職種でのキャリアアップ転職(年収やポジションが上がる転職)は、審査でプラス評価される場合があります。
理由:
- 専門性が高く、収入が安定する可能性が高い
- 年収アップは返済能力の向上を示す
(2) 前職の源泉徴収票と転職先の雇用契約書を準備
勤続年数が短い場合、前職の源泉徴収票と転職先の雇用契約書を提出することで、収入の安定性を示せます。
必要書類:
- 前職の源泉徴収票(年収の実績を証明)
- 転職先の雇用契約書(今後の年収を証明)
- 転職先の給与明細(直近3ヶ月分)
(3) 返済負担率を30%以下に抑える
返済負担率(年収に対する年間返済額の割合)は、一般的に30〜35%以下が目安です。
勤続年数が短い場合、返済負担率を30%以下に抑えることで、審査通過の可能性が高まります。
計算例:
- 年収500万円、返済負担率30%の場合:年間返済額150万円以下(月々12.5万円以下)
(4) 複数の金融機関に相談して可能性を広げる
金融機関や商品によって審査基準が異なるため、複数の金融機関に相談しましょう。
メガバンク、ネット銀行、フラット35等、それぞれの特徴を比較し、ご自身の状況に合った金融機関を選ぶことが重要です。
転職前後の住宅ローン申込み|どちらがベストか
転職と住宅購入のタイミングは慎重に検討しましょう。
(1) 転職前に申込むメリット・デメリット
メリット:
- 勤続年数が長く、審査に有利
- 収入の安定性を証明しやすい
デメリット:
- 転職後の年収が下がる場合、返済が厳しくなる
- 転職先が決まる前に申込むリスクがある
(2) 転職後に申込むメリット・デメリット
メリット:
- キャリアアップ転職で年収が上がる場合、借入可能額が増える
- 転職先の安定性を確認してから申込める
デメリット:
- 勤続年数が短く、審査が厳しくなる
- 金融機関の選択肢が限られる
(3) 本審査後の転職は必ず金融機関に報告
モゲチェックの解説によると、本審査後の転職は必ず金融機関に報告してください。
理由:
- 融資実行時に源泉徴収票の提出を求められ、転職が発覚する
- 黙っていると再審査や契約見直しのリスクがある
- 虚偽申告は信用情報に傷がつく可能性がある
転職を検討している場合は、融資実行後まで待つことを推奨します。
まとめ|転職と住宅購入のタイミング戦略
転職直後でも住宅ローンは組めますが、金融機関選びと準備が重要です。フラット35やネット銀行は勤続年数不問または要件が緩やかで、転職直後でも申込可能です。
キャリアアップ転職は審査にプラス評価される場合があり、前職の源泉徴収票と転職先の雇用契約書を準備することで、収入の安定性を示せます。
転職と住宅購入のタイミングは、年収の変化、キャリアプラン、ライフプランを総合的に考慮し、住宅ローンアドバイザーやファイナンシャルプランナーに相談しながら、最適な計画を立てましょう。
