投資マンションが「売却できない」状況と背景
(1) 投資マンション所有者が直面する「売りたいのに売れない」問題
投資マンションを所有する30代~50代の所有者の中には、「売却したいのに売れない」という深刻な悩みを抱えている方が少なくありません。購入時のローン返済が続いているが、空室リスクや管理費負担に悩み、売却を検討しているものの、「査定額がローン残債を下回る」「買い手が見つからない」という状況に直面しています。
(2) 2024年の不動産市場動向と売却タイミングの重要性
HOMES「【2025年版】投資用マンションの売り時は?」によると、2024年時点では不動産価格の上昇傾向が続いており、投資マンションの売却タイミングとしては良好です。ただし、2024年7月に日銀が政策金利を0.25%に引き上げたことで、今後の金利上昇が投資マンション市場に影響を与える可能性があります。
投資マンションが売却できない6つの主な理由
この記事のポイント
- 投資マンションが売却できない最大の理由は「オーバーローン状態」(売却価格<残債)
- 売却価格が相場より高すぎる、サブリース契約が買主に敬遠される、空室率が高いなどが主な原因
- オーバーローン状態では自己資金追加または任意売却が必要
- 複数の不動産会社に査定を依頼して適正価格を把握することが重要
- 専門家(宅建士・税理士・弁護士)への相談が成功の鍵
(1) オーバーローン状態(残債>売却価格)で抵当権を抹消できない
三井のリハウス「投資マンションが売却できない!」によると、投資マンションが売却できない最大の理由は「オーバーローン状態」です。オーバーローンとは、売却価格がローン残債を下回る状態を指し、抵当権を抹消できないため通常の売却ができません。
(2) 売却価格が相場より高すぎる
売却価格が相場より高すぎる場合、買い手が見つかりません。複数の不動産会社に査定を依頼して適正価格を把握し、市場価格に合わせた価格設定が必要です。
(3) サブリース契約が買主に敬遠される
サブリース契約とは、不動産会社が物件を一括借り上げして入居者に転貸する契約です。家賃保証があるため魅力的に見えますが、市場賃料より低い家賃設定となるため、買主に敬遠される傾向があります。また、借地借家法で保護されており、一方的な解除が困難な場合があります。
(4) 空室率が高く投資価値が低い
空室率が高い物件は、投資価値が低いと判断されます。可能であれば空室を埋めてから売却することで、買い手が見つかりやすくなり、満室時の利回りを示せます。
(5) 囲い込みにより買主に情報が届かない
囲い込みとは、不動産会社が物件情報をREINS(不動産流通標準情報システム)に登録せず、自社で買主を見つけて両手仲介(売主・買主双方から手数料を得る)を狙う行為です。違法ではありませんが不適切であり、売却が長期化するリスクがあります。REINS登録を確認することで囲い込みを防げます。
(6) エリアの需要低下・築年数による価値低下
エリアの需要低下や築年数による価値低下も売却が困難になる要因です。地域の人口減少、交通アクセスの悪化、築年数の経過による建物の劣化などが影響します。
オーバーローン状態での売却対処法
(1) 自己資金を追加してアンダーローンにする方法
オーバーローン状態から脱却する最も確実な方法は、自己資金を追加してアンダーローン(売却価格>残債)にすることです。不足分を現金で補填することで、抵当権を抹消し通常の売却が可能になります。
(2) 任意売却と競売の違い・選択基準
任意売却とは、オーバーローン状態でも債権者(金融機関)の同意を得て売却する方法です。競売よりも高値で売れる可能性がありますが、信用情報に影響を与える場合があります。
| 項目 | 任意売却 | 競売 |
|---|---|---|
| 売却価格 | 市場価格に近い | 市場価格の6-7割 |
| 手続き | 債権者の同意が必要 | 裁判所が進める |
| プライバシー | 一般の売却と同様 | 公開情報となる |
| 残債の処理 | 債権者と協議可能 | 残債は一括返済請求される |
任意売却は専門性が高いため、必ず専門家(不動産会社・弁護士)に相談してください。
(3) 買取業者の活用とメリット・デメリット
買取業者とは、不動産を直接買い取る業者です。買取価格は市場価格の7-8割程度ですが、迅速に現金化できるメリットがあります。
メリット:
- 迅速に売却できる(最短数日~数週間)
- 仲介手数料がかからない
- 内覧対応が不要
デメリット:
- 買取価格が市場価格より低い(7-8割程度)
急いで売却したい場合や、仲介での売却が困難な場合に検討する選択肢です。
価格設定・物件条件の見直しと改善方法
(1) 複数の不動産会社に査定を依頼して適正価格を把握
セゾンファンデックス「投資マンションが売却できない理由」によると、売却価格が相場より高すぎる場合、買い手が見つかりません。複数の不動産会社(最低3社)に査定を依頼して適正価格を把握し、市場価格に合わせた価格設定が必要です。
(2) 空室を埋めてから売却する戦略
可能であれば空室を埋めてから売却することで、買い手が見つかりやすくなります。満室時の利回りを示せるため、投資価値が高まります。ただし、空室を埋めるためのリフォーム費用や広告費が必要になる場合があるため、費用対効果を検討してください。
(3) サブリース契約の解除または引継ぎ条件の明確化
サブリース契約は買主に敬遠される傾向があります。契約内容を開示し、買主への引継ぎまたは解除の可否を相談しましょう。サブリース契約は借地借家法で保護されており、一方的な解除は困難な場合があるため、弁護士への相談を推奨します。
(4) REINS登録確認で囲い込みを防ぐ
REINS(不動産流通標準情報システム)に物件情報が正しく登録されているかを確認しましょう。専属専任媒介契約・専任媒介契約の場合、不動産会社はREINSへの登録が義務付けられています。登録証明書の交付を求めることで、囲い込みを防げます。
売却成功への具体的ステップと専門家の活用
(1) 売却の最適タイミング(所有5年超・大規模修繕前・金利上昇前)
長谷工の仲介「投資用マンションの売り時は?」によると、投資マンション売却の最適なタイミングは以下の通りです。
- 所有5年超: 譲渡所得税の税率が短期譲渡39.63%から長期譲渡20.315%に下がる
- 大規模修繕前: 大規模修繕の費用負担を避けられる
- 金利上昇前: 金利上昇により不動産価格が下落する可能性がある
2024年時点では不動産価格の上昇傾向が続いており、売却タイミングとしては良好です。
(2) 投資物件専門の不動産会社の選び方
投資物件専門の不動産会社に依頼することで、買い手の見つかる確率が上がります。投資家ネットワークを持つ不動産会社を選ぶことが重要です。
選び方のポイント:
- 投資物件の取り扱い実績が豊富
- REINSへの登録義務を遵守している
- 査定根拠を明確に説明できる
- 複数社に査定を依頼して比較する
(3) 専門家(宅建士・税理士・弁護士)への相談タイミング
投資マンション売却では、以下のタイミングで専門家への相談を推奨します。
| 専門家 | 相談タイミング | 相談内容 |
|---|---|---|
| 宅地建物取引士 | 売却検討時 | 査定、適正価格、売却戦略 |
| 税理士 | 売却決定時 | 譲渡所得税、確定申告 |
| 弁護士 | オーバーローン・任意売却時 | 法的手続き、債権者との交渉 |
オーバーローン・任意売却・サブリース契約解除等の法的・金融的リスクに関わる場合は、必ず専門家に相談してください。
まとめ:投資マンション売却を成功させる判断基準
投資マンションが売却できない最大の理由は「オーバーローン状態」(売却価格<残債)です。抵当権を抹消できないため通常の売却ができず、自己資金追加または任意売却が必要になります。その他の理由として、売却価格が相場より高すぎる、サブリース契約が買主に敬遠される、空室率が高い、囲い込みにより買主に情報が届かない、エリアの需要低下・築年数による価値低下などが挙げられます。
対処法として、複数の不動産会社に査定を依頼して適正価格を把握し、可能であれば空室を埋めてから売却する、REINS登録を確認して囲い込みを防ぐなどが有効です。売却の最適タイミングは、所有5年超(長期譲渡所得で税率20.315%)、大規模修繕前、金利上昇前が目安です。
投資マンション売却は、個人の状況により最適解が異なります。オーバーローン・任意売却・サブリース契約解除等の法的・金融的リスクに関わる場合は、必ず専門家(宅地建物取引士、税理士、弁護士)に相談してください。早めに行動を起こし、無理のない売却計画を立てましょう。


